マイダンジョン育成中

どらいあい

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第60話

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「そうか…それなら私から言うことはないがそれでいいのか?」

「別にいいです」

「ワタシはこの城を探検したいです!」

 アヤメの空気を読まない発言に対して私とレッドドラゴンは顔を見合わせて少し苦笑した。

「フッわかった、それでは特別に我が城を自由に歩く許可を出そう。好きなだけ探検でも何でもするがいい」

「サンキュー!」

 アヤメは言うだけを言うとマジでこの王様の間からさっさと出て行った。
 あのドレス走り難くそうなのに平気そうだったな。
 汚したりしないで欲しいと切に願う私だ、怖いものがないって凄いね。

「お前たちも同じように探検でもするか?」

「…… 実は少し興味があったりするんですよね」

「分かったお前たちにも許可を出そう、だが城では我が眷属が仕事をしているからな。それの邪魔をするなよ」

「わかりました」

 私も探検できるようだ、やったね。

「…としかし流石にここで後は自由にしろというのをあれか……よしこの私が案内してやろう」

 なんかレッドドラゴンまでついてくるってことになった、まあ仕方ないか。
 というわけで積もる話はまるっと無視してこのお城の中を見て回ることになった。

 そしていろんなところを見て回るわけだがやはりお城だなという感想が出てくる。

 普通なあの狭いアパートに住んでる身としてはこんなところに住んだら流石に広すぎて生活に不便が出てきそうだなとかそんな感想しか出てこないぞ。

 なんかの撮影のセットとかなら申し分なさそうだけど。
 向かったのは大広間だったり、城の真ん中の噴水がある中庭だったりを見学した。

 ちなみに食堂と思しき場所にもいったらそこにはドラゴンメイドさんがかなりいたよ。

 食事する風景を覗くような真似はよろしくないと思い早々に後にしたが一体どんな料理が出されているのかかなり気になった私だ。

 城の高いところから周りを見てみたら結構な絶景が広がっていた。
 火山の頂上からの雄大な景色、悪くないな。

 そしてそこで気づいたことがある、火山の火口なんだからマグマとか出てると思ったんだがそういうのは見えないんだが…。

「てっきり溶岩流とか本当に見れるもんだと思ってたんですが…」

「ここの溶岩は全て温泉に変えているぞ、だから溶岩や溶岩流は見れないな」

「………はい?」

 突然レッドドラゴンが意味のわからないこと言ってきた。

「あのな、火山の火口に建物を建ててみろ、毎日火山灰が降ってきて我が城が大変なことになるだろう? だからこの火山の溶岩を温泉に変えたんだ、お前たちが下で入っていた温泉も元は溶岩だったんだぞ」

 なんていうことだ、まさか本当に温泉 火山だったとは。
 そもそも溶岩を温泉に変えるとか意味不明なことを言ってはいるのだが、何しろ相手はドラゴンだ気にしても仕方がないので出来るんだろうなという事にしておこう。

 そして次に向かったのは火竜城の外である。
 折角だしお城の見た目がどんな感じなのか是非とも見てみたかったのだ。

 「我が城の見た目? そんなを見てどうするのだ」とレッドドラゴンが言ってたが普通お城って見た目が一番気になるものじゃないかな。

 なんか気分が完全に観光客のそれになってる事に気付いた。

 まあ…良いか、レッドドラゴンとか聞いて最初こそ内心超ビビってたけど、話してみると普通に偉そうでも人の話とか聞いてくれるドラゴンさんだったし。

 ハルカとアヤメはどう言うつもりか分からないが、個人的にはこれから少しずつでも仲良くなれればと思う。

 そして火竜城の外に出てみる。
 本当に火口に出来ていて地続きな一本道を除いて周りを本当に温泉に囲まれていた。

 マグマじゃない…まあそう聞いてたし理解はしてたつもりだが本当にシュールというか何というか…。

「…………?」

 温泉の湯気がもりもり出ている。
 何やらその向こうにいるぞ?
 あっ何と火口の温泉にさっきの温泉にもいた入浴カピバラがいた。

 相変わらずプリティーな見た目をしている青い毛並みのカピバラである。

「まさか火山の山頂にまで来てるなんて、どれだけ温泉が好きなんだろう?」

「何を言う、奴らも我が眷属なんだからここにも来るに決まっているだろう?」

「!?」

 えっあのカピバラ、ドラゴンなの?
 見てみると入浴カピバラの1匹の背中にニュッと小さなコウモリっぽい羽を生やした。

 その羽をパタパタするとふわ~と宙に浮き温泉から上がる入浴カピバラ。
 何という事だ、カピバラがドラゴンの系譜だなんて…。

「えっレッドドラゴンさんもドラゴンになったらあのカピバラみたいな姿に?」

「そんな訳ないだろうが!」

 怒られた、てっきり物凄く大きなカピバラドラゴンの親玉みたいな一団がこの温泉火山を支配してるのかと思ったら違ったみたいだ。
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