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第72話
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工藤さんの意外な話を聞けたのには驚いた。
あの海でアヤメと一緒にとても楽しそうにはしゃいでいる彼女がそんな真面目な仕事をしていた人間と同一人物とはとてもを思えないな。
しかしいつもの彼女はそういうことをしそうにも見えるから不思議だ。
探索者っていろんな仕事があるものだな。
「お待たせ、持ってきたわよ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
ハルカがバスタオルと暖かいコーヒーを持ってきてくれた、それで体を温める。
「そういえばアヤメが新しいスキルを手に入れたってはしゃいでたんだけど、ハルカも何か新しいスキルを手に入れたりしたのかい?」
「ええっもちろん私も手に入れたわ」
やっぱりハルカも同時にスキルを手に入れたんだな。
私は何のスキルも手に入れてないのに…羨ましい。
「それはどんなスキルなんだい?」
「わかりやすく言えば千里眼といったところね、この場にいてもこのダンジョン、或いはヒロキさんのいる世界の行ったことのない場所でもそこを視認することが出来るというものね」
「それはなかなか便利そうだ」
「それだけじゃないわ、このスキルと瞬間移動のスキルを組み合わせれば一度も行ったことない場所にも一瞬で移動することが出来るわよ」
「それはすごい」
その二つのスキルのコンボはかなり強力だ。やっぱり羨ましい。
「やっぱりお2人は人間じゃないんですね…」
月城さんにはこのダンジョンに案内するという話が出たあの新居にて事前にハルカとアヤメについて説明していた。
最初は驚いた月城さんだが2人に一度その姿を銃に変えてもらった。
その時月城さんはもう信じるしかないですねといった感じになる。
「…この2人がいたからこそ私みたいな人間でもこのダンジョンをここまで大きく出来たんです」
「そのおかげで私もこうやってここに来れたわけですね、一河さんたちには感謝しています」
月城さんが軽く頭を下げた。
そこまでのことはしていないと思っている私なのだが。
「私たちはただ月城さんの休日に無理を言ってこのダンジョンに来てもらっただけですよ?」
「そのおかげで私はとても救われました。それに実は私、そこまで友達が多くないのでこんな風に休みの日に過ごすなんて社会人になって初めての経験なんですよ」
「そうなんですか? それならまたいつでも来てください、あっ明日は休みだったりするんですか?」
「…いえっ仕事です。基本的にダンジョンセンターの職員は連休は取れませんから。私もあそこで働き始めてから何年か経ちますが一度も連休は取れてません」
なかなかにあれな話だな。
もう少し踏み入って聞いてみたら年間の休みは基本的に80日くらいだそうである。
その上でどういうわけだか本来休みの日である土曜日とかも普通に出社して仕事がある日があるらしい。
「それっ結構ブラックじゃないですか? あまり詳しくはないですけど」
「…ですね」
月城さんも困ったような笑顔をするだけだ。
私がダンジョンセンターに行った時いつも彼女がいた。
そのことにこれまで疑問すら持たなかったが考えてみるとなかなかに凄い話であった。
社会的にとか法律的にどうかは分からないが個人的にはかなりブラック寄りだと思うんだけどなダンジョンセンター。
訴えられたりしないのかよと思うってかなんか訴えたい気分になってきた。
「一河さんのダンジョンのおかげでまた明日から働く気力も湧いてきました」
「そうですか、またいつでもこのダンジョンに遊びに来てください。みんな歓迎しますよ月城さん」
彼女がそういうのならこれ以上私が言えることはない。
せめて彼女のストレスを和らげられるようにこのダンジョンでおもてなしをするくらいである。
ほどなくしてはしゃぎ終えた工藤さんとアヤメも海から戻ってきてハルカがバスタオルとコーヒーを用意してくれた。
しばし休憩をした後は森林地帯の方へ行き散歩がてらの森林浴を楽しんだりしていたらモフリンベアー達が来て月城さんはとても喜んでいた(テンションが高すぎだったかもだが)。
そして最後にハルカにお願いして瞬間移動で温泉火山の温泉に浸かったわけである。
もちろん工藤さん達が使う温泉の方は私は使えないのでハルカにお願いしてもう片方の余った温泉に向かったけど。
あの洞窟の方の温泉だよ。
私も露天風呂の温泉に使いたいね。
そんな感じで月城さんの休日ダンジョン生活は過ぎていった。
明日から再び社会の一員として頑張る彼女の背中を見ながら私は心の中で頑張れと応援して見送ったのだ。
………私?
私は海ではしゃいで疲れたので明日は昼前まで寝とこうと思います。
あの海でアヤメと一緒にとても楽しそうにはしゃいでいる彼女がそんな真面目な仕事をしていた人間と同一人物とはとてもを思えないな。
しかしいつもの彼女はそういうことをしそうにも見えるから不思議だ。
探索者っていろんな仕事があるものだな。
「お待たせ、持ってきたわよ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
ハルカがバスタオルと暖かいコーヒーを持ってきてくれた、それで体を温める。
「そういえばアヤメが新しいスキルを手に入れたってはしゃいでたんだけど、ハルカも何か新しいスキルを手に入れたりしたのかい?」
「ええっもちろん私も手に入れたわ」
やっぱりハルカも同時にスキルを手に入れたんだな。
私は何のスキルも手に入れてないのに…羨ましい。
「それはどんなスキルなんだい?」
「わかりやすく言えば千里眼といったところね、この場にいてもこのダンジョン、或いはヒロキさんのいる世界の行ったことのない場所でもそこを視認することが出来るというものね」
「それはなかなか便利そうだ」
「それだけじゃないわ、このスキルと瞬間移動のスキルを組み合わせれば一度も行ったことない場所にも一瞬で移動することが出来るわよ」
「それはすごい」
その二つのスキルのコンボはかなり強力だ。やっぱり羨ましい。
「やっぱりお2人は人間じゃないんですね…」
月城さんにはこのダンジョンに案内するという話が出たあの新居にて事前にハルカとアヤメについて説明していた。
最初は驚いた月城さんだが2人に一度その姿を銃に変えてもらった。
その時月城さんはもう信じるしかないですねといった感じになる。
「…この2人がいたからこそ私みたいな人間でもこのダンジョンをここまで大きく出来たんです」
「そのおかげで私もこうやってここに来れたわけですね、一河さんたちには感謝しています」
月城さんが軽く頭を下げた。
そこまでのことはしていないと思っている私なのだが。
「私たちはただ月城さんの休日に無理を言ってこのダンジョンに来てもらっただけですよ?」
「そのおかげで私はとても救われました。それに実は私、そこまで友達が多くないのでこんな風に休みの日に過ごすなんて社会人になって初めての経験なんですよ」
「そうなんですか? それならまたいつでも来てください、あっ明日は休みだったりするんですか?」
「…いえっ仕事です。基本的にダンジョンセンターの職員は連休は取れませんから。私もあそこで働き始めてから何年か経ちますが一度も連休は取れてません」
なかなかにあれな話だな。
もう少し踏み入って聞いてみたら年間の休みは基本的に80日くらいだそうである。
その上でどういうわけだか本来休みの日である土曜日とかも普通に出社して仕事がある日があるらしい。
「それっ結構ブラックじゃないですか? あまり詳しくはないですけど」
「…ですね」
月城さんも困ったような笑顔をするだけだ。
私がダンジョンセンターに行った時いつも彼女がいた。
そのことにこれまで疑問すら持たなかったが考えてみるとなかなかに凄い話であった。
社会的にとか法律的にどうかは分からないが個人的にはかなりブラック寄りだと思うんだけどなダンジョンセンター。
訴えられたりしないのかよと思うってかなんか訴えたい気分になってきた。
「一河さんのダンジョンのおかげでまた明日から働く気力も湧いてきました」
「そうですか、またいつでもこのダンジョンに遊びに来てください。みんな歓迎しますよ月城さん」
彼女がそういうのならこれ以上私が言えることはない。
せめて彼女のストレスを和らげられるようにこのダンジョンでおもてなしをするくらいである。
ほどなくしてはしゃぎ終えた工藤さんとアヤメも海から戻ってきてハルカがバスタオルとコーヒーを用意してくれた。
しばし休憩をした後は森林地帯の方へ行き散歩がてらの森林浴を楽しんだりしていたらモフリンベアー達が来て月城さんはとても喜んでいた(テンションが高すぎだったかもだが)。
そして最後にハルカにお願いして瞬間移動で温泉火山の温泉に浸かったわけである。
もちろん工藤さん達が使う温泉の方は私は使えないのでハルカにお願いしてもう片方の余った温泉に向かったけど。
あの洞窟の方の温泉だよ。
私も露天風呂の温泉に使いたいね。
そんな感じで月城さんの休日ダンジョン生活は過ぎていった。
明日から再び社会の一員として頑張る彼女の背中を見ながら私は心の中で頑張れと応援して見送ったのだ。
………私?
私は海ではしゃいで疲れたので明日は昼前まで寝とこうと思います。
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