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第98話
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私たちは料理パーティーを楽しんでいる、以前焼肉パーティーをした時は色々と食べ過ぎてしまったので今回はセーブする事を心がけるつもりだ。
アンジェさんと色々話しているとどうしても仕事の話になってしまうな。
無論、彼女は真面目だから仕方ないのだがもう少しくだけた話もしようと思う。
「アンジェさんもこのダンジョンに来る様になって、色々なところを見てきましたね」
「はい、このダンジョンはいつ来ても新しい発見があります。ダンジョン資源が豊富というだけでなく他のダンジョンとは全く空気が違う感じがしますね」
「よく言われます」
確かに、普通ダンジョンってこんな風に料理パーティーなんか出来ないからね。
「他にも広樹さんに案内してもらった先で見られたモフリンベアーや野菜の精霊…? たちというのを見させてもらいましたが、なんと言うか不思議な感じでした、あの子たちもモンスターなんですよね」
「ええっ立派なこのダンジョンの守護者たちです、この前も船に乗って現れた大量のスケルトンを海に沈めていましたよ?」
「ふふっ面白い冗談ですね…」
ふふのふ、冗談ではないのですよアンジェさん。
いずれ我がダンジョンのモンスター無双の現場をご覧にいれる時が楽しみだ。
それにしても、確かにネットの動画とかで見るモンスターとは見た感じもだいぶ違うのは事実だ。
我がダンジョンに現れるダンジョンモンスターはやたらとデフォルメされてる度合いが高い気がする。
まあネシアみたいに全然デフォルメされてないガチリアルなドラゴンもいるんだけどね。
そんなドラゴンさんはアヤメが出したお酒を次々と口にして若干顔を赤くしていた。
アヤメのやつめ、また勝手にお酒を取り出して~。
まあハルカもミスラ止めていないので問題はないのだろう。
高見さんと工藤さんは何か話をしながら料理を楽しんでいるな、私も適当にサンドイッチを食べてみる。
美味しいね。
「あっそれともちろん温泉火山…の温泉も大変素晴らしかったです」
ん?
私が命名した温泉火山の名前に異議があると申すのですかアンジェさん?
「それは良かった。今後は温泉に入った後に体を綺麗にする為の水も用意しておこうかと思います」
「ますます便利になりますね、お気遣い感謝します」
「どうせなら気持ちよく温泉にも入って欲しいですからね」
もはや私は黒山が言っていたダンジョンマスターなのか、健康ランドの責任者なのか分からなくなってきたな。
ちなみにそのダンジョンマスターとやらをネットで検索してみたら本当にダンジョンを所有する人間はそんな風に呼ばれていたのでビックリした。
漫画やラノベ関係の影響受けすぎじゃないかなって思った。
正直言って全然マスターなんて感じの立場にいる気がしないから名前負けしてる気配が半端じゃないよ。
「よぉ~しっもっと酒をじゃんじゃん持ってこーーい!」
「持ってこーーい!」
「ラグネシア様お酒はほどほどにしてください」
「アヤメもよ?」
「何……だと?」
「え~~~~っ」
あっミスラとハルカにお酒を取り上げられてしまった2人がとても悲しそうな顔をしている。
何と言うかパワーバランスが分かり易い絵図面ですな。
「あの~すいません、少しいいですか?」
「…矢野さん? どうかしたのかい?」
振り返るとアズサ1人がこちらに来ていた。
「いえっさっきお礼は言いましたけど……まだあまり食事に手をつけてなかったみたいだったから…」
見ると彼女は手にした皿の上に料理パーティーの料理が結構のせられていた。
「ああっごめんね、少し話をしてたからまだあまり食べてなかった。もちろん美味しくいただかせてもらってるよ」
私がそう言うとアズサも顔に笑顔を浮べる。
いつまでも申し訳なさそうにされるよりもこういう風に笑ってもらえる方が私としても嬉しい。
「そっそれならこれをどうぞ!」
「ありがとう、いただきます」
差し出さえたアズサの皿に乗っていたおにぎりを一ついただく。
「うんっ美味しいね」
「……それと一ついいですか?」
「んっ何だい?」
「先程から月城さんの事を…」
「ああっこの頃アンジェさんとは専属契約をしてね、ついでにお互いに下の名前で呼び合おうとなったんだ」
「…………そっそうですか」
「それがどうかしたのかい?」
するとアズサは過ごし躊躇しながらも話を続けた。
「あのっ今度からは矢野じゃなくてアズサと呼んでくれると……あっこれは響とさゆりさんもそう言っててですね!」
ふむっ下の名前でか…。
彼女たちも女性だ、そういう呼び方に対して思う所があるかもと思ったから話す時は苗字にさん付けをしていた。
けど本人が言うのなら私は別にそれでも構わない。
「…分かった、それじゃあこれからは名前でアズサと言わせてもらうよ。もちろん他の2人も名前で呼ぶことにする、本人から許可が出ればね」
「はいっそれと僕も今後は広樹さんと呼んでいいですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます!」
話を終えるとアズサはまた響やさゆりの元に戻って行った。
アンジェさんの方に視線を戻すと彼女はクスクスと 笑っていたよ。
「広樹さんは色んな人に好かれているんですね」
「そうなんですかね?」
「はい、きっと…」
どうなんだろうね。
もちろん嫌われないように努力はしてるつもりだがこれまで人から好意を向けられた経験というのがあまりもなさ過ぎて、そこら辺はさっぱりだ。
だけど。
こんな風に人と集まって話をしながら料理を食べるというのもやっぱりとても美味しいな。
そう思いながら私はアズサから受け取った料理を食べた。
アンジェさんと色々話しているとどうしても仕事の話になってしまうな。
無論、彼女は真面目だから仕方ないのだがもう少しくだけた話もしようと思う。
「アンジェさんもこのダンジョンに来る様になって、色々なところを見てきましたね」
「はい、このダンジョンはいつ来ても新しい発見があります。ダンジョン資源が豊富というだけでなく他のダンジョンとは全く空気が違う感じがしますね」
「よく言われます」
確かに、普通ダンジョンってこんな風に料理パーティーなんか出来ないからね。
「他にも広樹さんに案内してもらった先で見られたモフリンベアーや野菜の精霊…? たちというのを見させてもらいましたが、なんと言うか不思議な感じでした、あの子たちもモンスターなんですよね」
「ええっ立派なこのダンジョンの守護者たちです、この前も船に乗って現れた大量のスケルトンを海に沈めていましたよ?」
「ふふっ面白い冗談ですね…」
ふふのふ、冗談ではないのですよアンジェさん。
いずれ我がダンジョンのモンスター無双の現場をご覧にいれる時が楽しみだ。
それにしても、確かにネットの動画とかで見るモンスターとは見た感じもだいぶ違うのは事実だ。
我がダンジョンに現れるダンジョンモンスターはやたらとデフォルメされてる度合いが高い気がする。
まあネシアみたいに全然デフォルメされてないガチリアルなドラゴンもいるんだけどね。
そんなドラゴンさんはアヤメが出したお酒を次々と口にして若干顔を赤くしていた。
アヤメのやつめ、また勝手にお酒を取り出して~。
まあハルカもミスラ止めていないので問題はないのだろう。
高見さんと工藤さんは何か話をしながら料理を楽しんでいるな、私も適当にサンドイッチを食べてみる。
美味しいね。
「あっそれともちろん温泉火山…の温泉も大変素晴らしかったです」
ん?
私が命名した温泉火山の名前に異議があると申すのですかアンジェさん?
「それは良かった。今後は温泉に入った後に体を綺麗にする為の水も用意しておこうかと思います」
「ますます便利になりますね、お気遣い感謝します」
「どうせなら気持ちよく温泉にも入って欲しいですからね」
もはや私は黒山が言っていたダンジョンマスターなのか、健康ランドの責任者なのか分からなくなってきたな。
ちなみにそのダンジョンマスターとやらをネットで検索してみたら本当にダンジョンを所有する人間はそんな風に呼ばれていたのでビックリした。
漫画やラノベ関係の影響受けすぎじゃないかなって思った。
正直言って全然マスターなんて感じの立場にいる気がしないから名前負けしてる気配が半端じゃないよ。
「よぉ~しっもっと酒をじゃんじゃん持ってこーーい!」
「持ってこーーい!」
「ラグネシア様お酒はほどほどにしてください」
「アヤメもよ?」
「何……だと?」
「え~~~~っ」
あっミスラとハルカにお酒を取り上げられてしまった2人がとても悲しそうな顔をしている。
何と言うかパワーバランスが分かり易い絵図面ですな。
「あの~すいません、少しいいですか?」
「…矢野さん? どうかしたのかい?」
振り返るとアズサ1人がこちらに来ていた。
「いえっさっきお礼は言いましたけど……まだあまり食事に手をつけてなかったみたいだったから…」
見ると彼女は手にした皿の上に料理パーティーの料理が結構のせられていた。
「ああっごめんね、少し話をしてたからまだあまり食べてなかった。もちろん美味しくいただかせてもらってるよ」
私がそう言うとアズサも顔に笑顔を浮べる。
いつまでも申し訳なさそうにされるよりもこういう風に笑ってもらえる方が私としても嬉しい。
「そっそれならこれをどうぞ!」
「ありがとう、いただきます」
差し出さえたアズサの皿に乗っていたおにぎりを一ついただく。
「うんっ美味しいね」
「……それと一ついいですか?」
「んっ何だい?」
「先程から月城さんの事を…」
「ああっこの頃アンジェさんとは専属契約をしてね、ついでにお互いに下の名前で呼び合おうとなったんだ」
「…………そっそうですか」
「それがどうかしたのかい?」
するとアズサは過ごし躊躇しながらも話を続けた。
「あのっ今度からは矢野じゃなくてアズサと呼んでくれると……あっこれは響とさゆりさんもそう言っててですね!」
ふむっ下の名前でか…。
彼女たちも女性だ、そういう呼び方に対して思う所があるかもと思ったから話す時は苗字にさん付けをしていた。
けど本人が言うのなら私は別にそれでも構わない。
「…分かった、それじゃあこれからは名前でアズサと言わせてもらうよ。もちろん他の2人も名前で呼ぶことにする、本人から許可が出ればね」
「はいっそれと僕も今後は広樹さんと呼んでいいですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます!」
話を終えるとアズサはまた響やさゆりの元に戻って行った。
アンジェさんの方に視線を戻すと彼女はクスクスと 笑っていたよ。
「広樹さんは色んな人に好かれているんですね」
「そうなんですかね?」
「はい、きっと…」
どうなんだろうね。
もちろん嫌われないように努力はしてるつもりだがこれまで人から好意を向けられた経験というのがあまりもなさ過ぎて、そこら辺はさっぱりだ。
だけど。
こんな風に人と集まって話をしながら料理を食べるというのもやっぱりとても美味しいな。
そう思いながら私はアズサから受け取った料理を食べた。
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