97 / 100
第97話
しおりを挟む
拠点に到着した私たちの目に飛び込んできたのはいくつものテーブルとその上に用意された様々な料理だった。
料理……?
その内容は実に様々だ、おにぎりだったりサンドイッチだったり鶏の唐揚げだったりと割と調理スキルが低めでも用意出来るのが多いな。
まっそこは作った子たちが予想出来るので良しとしよう。
他にはお菓子やクッキーなど皿に盛り付けたいりとこの辺りは少々子供らしい一面だと伺える。
何と言うか発想が自由だよね。
おそらくビュッフェ形式をイメージしたのだろう、適当に小皿を手にして食べたい物を皿に取っていくスタイルだ。
私たちが到着すると先にいたのは女子校生探索者の響、さゆり、アズサの3人と高見さん、工藤さん、そしてアンジェさんの3人も待っていた。
このダンジョンと関係ある人間が勢揃いである。
そう思っていたら別の人たちも『瞬間移動』で現れる。
ネシアと付き人のメイドさんが数名現れた、あのミスラって言うドラゴンメイドさんも一緒だ。
「呼ばれたので来たぞ、ヒロキ!」
「ようこそ、ネシア」
ネシアにはこの前の黒山との一件で少し力を借りたからね、いずれはお礼をと考えていたがまさかこの場に呼ぶとは。
ハルカあたりが動いたのかな。
そんなことを考えていると女子高生探索者たちとアンジェさんがこちらに来た、まずはアズサたちが挨拶をしてくる。
「来たわね一河さん、どう? これが私たち皆で用意したお礼の料理パーティーよ!」
「大したものだね赤城さん」
私の言葉に響は上機嫌である。
「お疲れ様です、一河さん」
「お疲れ様」
「一河さんにはこの前アズサを助けてもらったからそのお礼を必ずしようと思っていたんです」
アズサそしてさゆりの言葉に私は返事をする。
「そんな事、気にする必要なかったのに。むしろ矢野さんを巻き込んでしまったことが申し訳ないよ」
「そんなことはありません、僕も探索者としてもう少し出来る事があったはずなのに、あっさり捕まってしまって情けない限りです…」
「私も何も出来ませんでした…」
「ああいう危険な人たちを相手に危険な真似をしてはいけないよ、今後も必要な時は大人を…私たちは頼ってくれていいからね」
「「「……はい」」」
3人が揃って返事をする。
その姿を見てもう心配はないかなと思う私だ。
そしてその次に話をしに向かったのはアンジェさんである。
彼女の姿は以前とはだいぶ変わった。
長く美しい金髪の痛みやほつれ具合は治り今は艶がある、青白かった肌も元の健康的な白さになっていた。
しかし以前と違い少し化粧を丁寧にしているような印象を受けた、いわゆる自然なメイクとかそういった感じで盛りすぎなんて印象はないな。
服装は以前の職員さんのスーツ姿から もう少しカジュアルな感じになっている、白を基調としたワンピース姿だ。
全体的な印象として以前よりも綺麗になったという感想が出てくるね、私も男だからかな。
「お疲れ様ですアンジェさん、貴女も今回のパーティーの準備を手伝ったんですか?」
「はいっそうです、私も広樹さんに大変お世話になりましたから」
お互いに下の名前で呼び合う、月城さん改めアンジェさんになったのだ。
黒川の一件後にアンジェさんからお互いにそう呼び合わないかと言われたのだ。
私としても距離感が近くなる感じがして好ましいのでもちろんと返事をしたよ。
あとアンジェさんはそう言うがお世話になったのはむしろこっちの方だったりする。
彼女が我がダンジョンの専属バイヤーとなって少し経った。
アンジェさんはまず専用のホームページを立ち上げそこで私が売るのめんどくさがって在庫になっていた様々なダンジョン資源を商品として売り出したのだ。
その売り上げは好調らしく在庫は次々と売り切れた。
最初の頃は売れた物を出荷する為の慣れない梱包作業でヒーヒー言っていた私やアヤメあとは女子高生探索者の3人である。
もうねハルカの『瞬間移動』とかで全て速達にしてしまおうかと思ったくらいである、たださすがにそんな理由でハルカのスキルが世間に露呈するのは色々とよろしくない。
なのでしぶしぶ私たちで梱包して運搬業の人たちのお世話になっているわけである。
ちなみに販売しているのがダンジョンの資源であり完成された商品なのではないので梱包だとか何だとかに文句を言ってくる相手というのはまずいなかった。
そんな感じでとにかくアンジェさんの専属バイヤーとしての活動は結構な成果を出しているのだ。
「アンジェさんのおかげでこれまでダンジョンで遊ばせていた資源もなくなってスッキリしました」
「そう言ってもらえてよかったです、しかし商品の再入荷はまだ先でいいんですか?」
「はい、大丈夫ですよ…」
ホームページにて新しいダンジョン資源あるいは既存の在庫の再入荷は月の頭と決めている。
売り切れた場合はどんなに欲しいという要望があっても追加で入荷はしない。
だってそうしないとこっちの労働のノルマが見えなくなるからね。
そうなると女子高生探索者である3人は毎日これるわけではないから仕事量が増えすぎる。
毎日ダンジョンにいる私たちにしたってノルマに追われて仕事をするなんて冗談じゃないのが素直な気持ちだよ。
私たちが仕事するのはあくまでも自分たちが生活するのに必要な資金プラス工藤さんたちやアンジェさんたちに払う給料などを得るために過ぎないのだから。
お金は生活にプラスアルファで豊かにする分だけあればいいのだ。
ちなみにダンジョンセンターを辞めたアンジェさんのお給料とボーナスに関してはそれまで貰っていた額の1.5倍をそれぞれ提示した。
それ以降は働きとかに応じて昇給をという感じである。
まっその時は近いだろうけどね。
アンジェさんのおかげで専属契約をするノウハウについて多少は学ぶことが出来たし今後は工藤さんや高見さんともそういう契約を結ぶかもとか考えている。
まあそれはそれとして。
「それではアンジェさん」
「はい、広樹さん」
私たちはお互いに飲み物を入れた紙コップで乾杯をした。
さすがにお酒は飲まないよ?
料理……?
その内容は実に様々だ、おにぎりだったりサンドイッチだったり鶏の唐揚げだったりと割と調理スキルが低めでも用意出来るのが多いな。
まっそこは作った子たちが予想出来るので良しとしよう。
他にはお菓子やクッキーなど皿に盛り付けたいりとこの辺りは少々子供らしい一面だと伺える。
何と言うか発想が自由だよね。
おそらくビュッフェ形式をイメージしたのだろう、適当に小皿を手にして食べたい物を皿に取っていくスタイルだ。
私たちが到着すると先にいたのは女子校生探索者の響、さゆり、アズサの3人と高見さん、工藤さん、そしてアンジェさんの3人も待っていた。
このダンジョンと関係ある人間が勢揃いである。
そう思っていたら別の人たちも『瞬間移動』で現れる。
ネシアと付き人のメイドさんが数名現れた、あのミスラって言うドラゴンメイドさんも一緒だ。
「呼ばれたので来たぞ、ヒロキ!」
「ようこそ、ネシア」
ネシアにはこの前の黒山との一件で少し力を借りたからね、いずれはお礼をと考えていたがまさかこの場に呼ぶとは。
ハルカあたりが動いたのかな。
そんなことを考えていると女子高生探索者たちとアンジェさんがこちらに来た、まずはアズサたちが挨拶をしてくる。
「来たわね一河さん、どう? これが私たち皆で用意したお礼の料理パーティーよ!」
「大したものだね赤城さん」
私の言葉に響は上機嫌である。
「お疲れ様です、一河さん」
「お疲れ様」
「一河さんにはこの前アズサを助けてもらったからそのお礼を必ずしようと思っていたんです」
アズサそしてさゆりの言葉に私は返事をする。
「そんな事、気にする必要なかったのに。むしろ矢野さんを巻き込んでしまったことが申し訳ないよ」
「そんなことはありません、僕も探索者としてもう少し出来る事があったはずなのに、あっさり捕まってしまって情けない限りです…」
「私も何も出来ませんでした…」
「ああいう危険な人たちを相手に危険な真似をしてはいけないよ、今後も必要な時は大人を…私たちは頼ってくれていいからね」
「「「……はい」」」
3人が揃って返事をする。
その姿を見てもう心配はないかなと思う私だ。
そしてその次に話をしに向かったのはアンジェさんである。
彼女の姿は以前とはだいぶ変わった。
長く美しい金髪の痛みやほつれ具合は治り今は艶がある、青白かった肌も元の健康的な白さになっていた。
しかし以前と違い少し化粧を丁寧にしているような印象を受けた、いわゆる自然なメイクとかそういった感じで盛りすぎなんて印象はないな。
服装は以前の職員さんのスーツ姿から もう少しカジュアルな感じになっている、白を基調としたワンピース姿だ。
全体的な印象として以前よりも綺麗になったという感想が出てくるね、私も男だからかな。
「お疲れ様ですアンジェさん、貴女も今回のパーティーの準備を手伝ったんですか?」
「はいっそうです、私も広樹さんに大変お世話になりましたから」
お互いに下の名前で呼び合う、月城さん改めアンジェさんになったのだ。
黒川の一件後にアンジェさんからお互いにそう呼び合わないかと言われたのだ。
私としても距離感が近くなる感じがして好ましいのでもちろんと返事をしたよ。
あとアンジェさんはそう言うがお世話になったのはむしろこっちの方だったりする。
彼女が我がダンジョンの専属バイヤーとなって少し経った。
アンジェさんはまず専用のホームページを立ち上げそこで私が売るのめんどくさがって在庫になっていた様々なダンジョン資源を商品として売り出したのだ。
その売り上げは好調らしく在庫は次々と売り切れた。
最初の頃は売れた物を出荷する為の慣れない梱包作業でヒーヒー言っていた私やアヤメあとは女子高生探索者の3人である。
もうねハルカの『瞬間移動』とかで全て速達にしてしまおうかと思ったくらいである、たださすがにそんな理由でハルカのスキルが世間に露呈するのは色々とよろしくない。
なのでしぶしぶ私たちで梱包して運搬業の人たちのお世話になっているわけである。
ちなみに販売しているのがダンジョンの資源であり完成された商品なのではないので梱包だとか何だとかに文句を言ってくる相手というのはまずいなかった。
そんな感じでとにかくアンジェさんの専属バイヤーとしての活動は結構な成果を出しているのだ。
「アンジェさんのおかげでこれまでダンジョンで遊ばせていた資源もなくなってスッキリしました」
「そう言ってもらえてよかったです、しかし商品の再入荷はまだ先でいいんですか?」
「はい、大丈夫ですよ…」
ホームページにて新しいダンジョン資源あるいは既存の在庫の再入荷は月の頭と決めている。
売り切れた場合はどんなに欲しいという要望があっても追加で入荷はしない。
だってそうしないとこっちの労働のノルマが見えなくなるからね。
そうなると女子高生探索者である3人は毎日これるわけではないから仕事量が増えすぎる。
毎日ダンジョンにいる私たちにしたってノルマに追われて仕事をするなんて冗談じゃないのが素直な気持ちだよ。
私たちが仕事するのはあくまでも自分たちが生活するのに必要な資金プラス工藤さんたちやアンジェさんたちに払う給料などを得るために過ぎないのだから。
お金は生活にプラスアルファで豊かにする分だけあればいいのだ。
ちなみにダンジョンセンターを辞めたアンジェさんのお給料とボーナスに関してはそれまで貰っていた額の1.5倍をそれぞれ提示した。
それ以降は働きとかに応じて昇給をという感じである。
まっその時は近いだろうけどね。
アンジェさんのおかげで専属契約をするノウハウについて多少は学ぶことが出来たし今後は工藤さんや高見さんともそういう契約を結ぶかもとか考えている。
まあそれはそれとして。
「それではアンジェさん」
「はい、広樹さん」
私たちはお互いに飲み物を入れた紙コップで乾杯をした。
さすがにお酒は飲まないよ?
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる