咲き誇る陰で、

藤岡 志眞子

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⓯ 花の17歳

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「薔薇のコーラル様?…誰?」

春休みが終わり新学期がスタートした。(私立乱咲女子学園 高等科)の二年生になった、カンナ・美香・クロード・黒川は、クラスメイトと舞踏会の話をしていた。

「カンナ、舞踏会行ったのになんで知らないの?どこかのイケメン貴公子に連れ去られたって話よ!?きっとスペックも高い、牡丹か白百合の御曹司よ~。」

白百合…?ハチ…じゃないわよね。

「そのコーラル様って噂になるほど有名な方なの?」

「有名っていうか…美人で、我儘で、傲慢で、セレブぶってる崖っぷちお嬢様って感じ?」

悪口じゃん。

「崖っぷちってお家か何か?」

「そうそう。菊にお嫁に行ったお姉様が性格(だけかはわからんが)が悪くて離縁されちゃったんだって。お姉様が確か二十二歳とかだったから、コーラル様が結婚しなきゃまずいのよ。」

「薔薇は金だけだからねぇ。私も金だけど牡丹で良かったわぁ。もし結婚できなくても銀に落ちるだけだし?」

話に割って入ってきたこのクラスメイトこそ、(薔薇)といった性格だが、なぜか(牡丹)。五花の性格判断はあてにならない。言うだけ言って教室を後にする背中を見送りながら友達に向き直る。

「キムは白百合よね?白百合って…その、王様から特にどうこうとかってあるの?」

親友のキンバリー・紗緒里・白河と話していると言葉が砕け(素)になってしまう。キムもお嬢様に変わりはないが、ゴシップが好きでよく話す。

「どうこう?…あ、支援とか資金ってこと?」

「いや…なんというか、王様から厳しく見張られてる、とか、なんか他の花より嗅ぎ回られる…とか?」

「あぁ、そっち?そうね、白百合は弁護士とか検察官とか、政治家とか~医者とか、人を助ける、決まりを通さなきゃいけない職業の人が多いじゃない?私のお父様も裁判官だから厳しいわよ。」

「た、例えば特に、何に厳しい?」

「そうねぇ…お金とか、人間関係、スキャンダルとか?浮気とか隠し子とかあったら一発アウトよ!ま、お父様は絶対ないと思うけど。」

うちは、あったんだよなぁー。(絶望)

「ねぇ、逆に桜はなんかあったりするの?」

「うち?うちはね~、お父様は陶芸家だし、桜出身のお母様も声楽家でしょ?芸術を重んじるから、スキャンダルは寛容…とまではいかないけど、一発アウトってことはないかな。」

「じゃあ何がご法度なの?」

「政治活動とか、表立った宗教活動?人気のある芸術家や芸能人がこうした方がいい!とかって言っちゃうと偏るからね。」

「確かに~!言われてみれば桜にそういう人いないよね。陰で宗教活動してても、何の宗教かわからないしね。」

「そうそう。人の目を引く者は目立つ活動はするなってこと。…他の花はどうなんだろうね?」

「菊とか?それこそ宗教家とか慈善活動家とか、お坊さんとか神父さんが多いよね。でもさ、菊の金だと、「みんな平等、幸あれ。」とか言いながらブランド物のスーツ着てると説得力に欠けるよね…。」

「あぁ、そうね…隣のクラスのカイリー様のお母様、まさしくそれじゃない?」

「うちのクラスは菊はエイミーだけ?確か銅だよね。」

「銅だといきなり身なりも下がるわよね。桜は銅はないけれど、銀しかないし。銅に落ちる方がマシなのかな。」

「蒲公英も嫌だけど、銅は中途半端で嫌よね…。私もできるなら銀で留まるか、金に上がりたい!」

「なら牡丹か、薔薇、菊と結婚しなきゃだね。」

「だんぜん薔薇の金!あぁ、私も舞踏会行きたかったぁ!」

「キムは婚約者いるでしょ。」

「…嫌よ、白百合の銅なんて。しかも婿に来るのよ?はぁ…。」

いいじゃない、銅で。

「カンナはどんな人がいいの?」

「私は~…イケメンで優しい人!」

「そんな人、いるかっ!」

葉桜の季節。花の十七歳、恋バナとゴシップは蜜の味である。


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