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27 愛と金
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「本当の気持ちを知りたいがために…そんな酷いことしたの?コーラル、あんた恐いわね。」
会食の翌日、仲直りのお茶(チェーン店)を誘ってきたアリアナに昨日の流れを話した。
チョコレートファッジフラペチーノ(チョコチップ追加のエルサイズ)を堪能しながら意気揚々と話す私に、アリアナは少し引いているようにも見えたが、構わない。
「その場凌ぎでのプロポーズだったのなら嫌だし、白百合の称号を守るために結婚するのも嫌だわ。私を好きで、私と結婚したくてプロポーズしてくれなきゃ。」
「でも権田原(ドッカリー様とは言わないのか)の、お父様の話ではそう言ってたかもしれないけど、権田原は家のためにプロポーズしたかもしれないじゃない?」
「それはないわ。だって二回目よ?それに両家が揃っている前で、よ?」
コーラルの友達の前と、家族の前で無理矢理プロポーズを強要されているヲタクの権田原が…不憫。どんな拷問より恐怖だわ。
「コーラルは、権田原と結婚する、のね?」
「うん。」
「…で、コーラルがお嫁にいくの?それとも権田原が婿にくるの?」
「蜂太郎が婿にくるのよ。」
「え?だ、だって権田原が婿にいったらその件(くだん)のお兄さんは蒲公英になっちゃうんじゃないの?」
「そうね…。ご両親は薔薇の称号を与えられても、兄弟までは与えられないものね…。」
「パールお姉様がレオ様と本当に結婚するなら、コーラルがお嫁にいけばいいじゃない。」
「嫌よ。」
「なんで。」
「ドレスが買えなくなるわ。」
「………それは嫌ね。」
ずずぅーっと音を鳴らして飲み物を飲んだ後、二人はウェディングドレスの話に盛り上がった。
(一方、)
「コーラル様はうちにお嫁にきてくれるのかしら。」
「そうしてもらわないとキアヌが蒲公英だ。コーラル様をお嫁に迎えてもあちらはお姉様がいらっしゃる。婚約者もいる(らしい)ようだし、問題ないだろう。」
普通、五花同士の結婚の場合、お嫁、婿にいった先の花の称号を親兄弟が受け継ぐ。それか今のままの称号で構わないとなった場合はそのままでも良い、となっているのだが…。権田原家長男キアヌの場合、父親が逝去後は向日葵王の制裁により白百合(銀)も引き継げないし、(銅)の格下げも認められていない。そうなると弟の蜂太郎の結婚相手に賭けるしかないのだ。
「キアヌのバカが…。」
「も、申し訳ございません。」
「マリサ、言っておくが…キアヌも私の息子だよ。だから五花を継承したいんだ。蜂太郎もキアヌもふたり、私がいなくなった後も心配なく暮らして欲しいからね。」
「あなた…(涙)」
「…しかし。この手紙、やはりキアヌの(父親)であろう?」
ソファテーブルにある白い封筒を手に取り眺める。その封筒には差出人の名前がない。
「中には何と?」
「キアヌの心配と…き、金銭の要求が。」
「金銭の要求?差出人の明記もないのにどうやって払えと?言いたくないが、こいつは本当にとんでもない奴だなぁ。」
「振り込み用紙が同封されていて、そこに振り込んで欲しいと…。」
封筒を開け振り込み用紙を取り出すと、振込先はナンバーしかないがどうやら会社のようであった。
「起業でもしたのか?その資金か何かの要求か?」
「いえ…起業したのはだいぶ前のようです。借金が膨らんで、だと思われます。」
「何をしている会社なんだ…。」
使い慣れないパソコンを開いて、振り込み用紙に書かれているナンバーを検索した。検索結果に、ライオネルとマリサはパソコンモニターを凝視する。
「輸入葡萄酒販売会社(ジャック・ローズ)」
「お酒の会社、ですね。」
「ジャック・ローズ…。聞いたことあるな。」
「確か、先日ご長男が生まれたディゴリー様の会社では…?」
「あぁ…片手間に、趣味程度にやっていたな。大方、片手間事業は娘婿に引き継がせたと聞いているが…。」
「え。でぃ、ディゴリー様のお嬢様と再婚したの…かしら?」
「聞いてないのか。」
「…はい。」
「…ディゴリー家なら私どもに頼らなくとも、もっと有力で金のある者と繋がっているだろうに。」
「そう…ですね。」
「何か、胸騒ぎがするなぁ…。」
ジャック・ローズ、放置したら沈没してしまうのか。
会食の翌日、仲直りのお茶(チェーン店)を誘ってきたアリアナに昨日の流れを話した。
チョコレートファッジフラペチーノ(チョコチップ追加のエルサイズ)を堪能しながら意気揚々と話す私に、アリアナは少し引いているようにも見えたが、構わない。
「その場凌ぎでのプロポーズだったのなら嫌だし、白百合の称号を守るために結婚するのも嫌だわ。私を好きで、私と結婚したくてプロポーズしてくれなきゃ。」
「でも権田原(ドッカリー様とは言わないのか)の、お父様の話ではそう言ってたかもしれないけど、権田原は家のためにプロポーズしたかもしれないじゃない?」
「それはないわ。だって二回目よ?それに両家が揃っている前で、よ?」
コーラルの友達の前と、家族の前で無理矢理プロポーズを強要されているヲタクの権田原が…不憫。どんな拷問より恐怖だわ。
「コーラルは、権田原と結婚する、のね?」
「うん。」
「…で、コーラルがお嫁にいくの?それとも権田原が婿にくるの?」
「蜂太郎が婿にくるのよ。」
「え?だ、だって権田原が婿にいったらその件(くだん)のお兄さんは蒲公英になっちゃうんじゃないの?」
「そうね…。ご両親は薔薇の称号を与えられても、兄弟までは与えられないものね…。」
「パールお姉様がレオ様と本当に結婚するなら、コーラルがお嫁にいけばいいじゃない。」
「嫌よ。」
「なんで。」
「ドレスが買えなくなるわ。」
「………それは嫌ね。」
ずずぅーっと音を鳴らして飲み物を飲んだ後、二人はウェディングドレスの話に盛り上がった。
(一方、)
「コーラル様はうちにお嫁にきてくれるのかしら。」
「そうしてもらわないとキアヌが蒲公英だ。コーラル様をお嫁に迎えてもあちらはお姉様がいらっしゃる。婚約者もいる(らしい)ようだし、問題ないだろう。」
普通、五花同士の結婚の場合、お嫁、婿にいった先の花の称号を親兄弟が受け継ぐ。それか今のままの称号で構わないとなった場合はそのままでも良い、となっているのだが…。権田原家長男キアヌの場合、父親が逝去後は向日葵王の制裁により白百合(銀)も引き継げないし、(銅)の格下げも認められていない。そうなると弟の蜂太郎の結婚相手に賭けるしかないのだ。
「キアヌのバカが…。」
「も、申し訳ございません。」
「マリサ、言っておくが…キアヌも私の息子だよ。だから五花を継承したいんだ。蜂太郎もキアヌもふたり、私がいなくなった後も心配なく暮らして欲しいからね。」
「あなた…(涙)」
「…しかし。この手紙、やはりキアヌの(父親)であろう?」
ソファテーブルにある白い封筒を手に取り眺める。その封筒には差出人の名前がない。
「中には何と?」
「キアヌの心配と…き、金銭の要求が。」
「金銭の要求?差出人の明記もないのにどうやって払えと?言いたくないが、こいつは本当にとんでもない奴だなぁ。」
「振り込み用紙が同封されていて、そこに振り込んで欲しいと…。」
封筒を開け振り込み用紙を取り出すと、振込先はナンバーしかないがどうやら会社のようであった。
「起業でもしたのか?その資金か何かの要求か?」
「いえ…起業したのはだいぶ前のようです。借金が膨らんで、だと思われます。」
「何をしている会社なんだ…。」
使い慣れないパソコンを開いて、振り込み用紙に書かれているナンバーを検索した。検索結果に、ライオネルとマリサはパソコンモニターを凝視する。
「輸入葡萄酒販売会社(ジャック・ローズ)」
「お酒の会社、ですね。」
「ジャック・ローズ…。聞いたことあるな。」
「確か、先日ご長男が生まれたディゴリー様の会社では…?」
「あぁ…片手間に、趣味程度にやっていたな。大方、片手間事業は娘婿に引き継がせたと聞いているが…。」
「え。でぃ、ディゴリー様のお嬢様と再婚したの…かしら?」
「聞いてないのか。」
「…はい。」
「…ディゴリー家なら私どもに頼らなくとも、もっと有力で金のある者と繋がっているだろうに。」
「そう…ですね。」
「何か、胸騒ぎがするなぁ…。」
ジャック・ローズ、放置したら沈没してしまうのか。
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