星狩る人

仙崎 楓

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献金パーティ

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献金パーティ当日になった。 
叶多とはあれからまともに話し合うことができなかった。
一緒に生活する上で必要最低限のぎこちない会話程度だ。
ひょっとすると今日の献金パーティも別に行くことになるかと思っていたけど、叶多からメールで美容院を待ち合わせ場所に指定された。
何が行われるのかも分からず恐る恐る出向くと、用意周到の美容師と叶多がオレを待ち構えていた。
あれよあれよ、という間にセットと着替えが終えられて、おまけに軽くメイクまで施された。
最終的に毛先をくるんとカールして艶々のワックスで固められたヘアスタイルになった自分は、さしずめ即席のビジュアル系だった。
仕上がった自分の顔を鏡で繁々と眺めた。
「何でオレだけ着物なんだ?」
「そのままだと見つかるからカモフラージュ」
オレは叶多からの紹介ということで大門の講演会に潜入するという打ち合わせになっていた。
本名だと滝と大門にバレて警戒されるので、偽の個人情報を使った。
 叶多は表上、大門の支援者ということになっていて、事務所が叶多の給料から天引きで寄付
金を叶多の名義で大門に送っているらしい。
今回の講演会ももちろん叶多が自分とオレの分の会費を支払っていた。
知り合いで紹介したい人がいると言えば直前にもかかわらずオレの分のチケットも容易く入手
できた。
自分のチケット代くらい払うって言っても自分の実力で稼いでない金に執着はないからって受
けとろうとしなかった。
食いもんにされて、寄付金まで吸い取られてるんだから、叶多こそオレのことなんかよりもっ
と自分のことで怒ればいいのに叶多ときたら、「自分のせいだ」なんて淡々としていた。
会場に入るやいなや叶多は色々な人から声を掛けられた。
叶多に群がる人込みに紛れてオレは叶多から離れた。
叶多はオレに何か言おうとしたけど、たくさんの人に囲まれて身動きがとれなくなっていた。
目立つ叶多と行動するよりオレ一人で証拠を探したほうが早そうだし、何より今は一緒にいないほうが気も軽かった。
怪しそうな部屋を探すため会場を出ようとしたら人にぶつかった。
「うわ! すみません」
「・・・神原?」
ぎょっとして顔を上げると、ぶつかった相手は奇しくも滝だった。
「変装なんかして、相変わらずコソコソ嗅ぎまわってるようだね」
まずい。滝に見つかるなんて。
警戒したオレが何も言わずにつっ立っていると、滝はオレに顔を寄せて囁いた。
「仕事仲間から聞いたんだけどさあ、まだ賞とか狙ってるんだって?
 内定したって聞いて急いで大門先生にストップをかけてもらったよ。
 僕がこの業界にいる限り君が表に出ることはない」
どんな手を使ってでも滝はオレを消したいと思っているんだ。
またダメになるのかと思うと、体が強張った。
「そんな怖い顔するなよ。
 この前のスタジオでのことは水に流してあげる。
 それだけじゃなくて、今日はいいことを教えてあげる」
滝がオレの応募を嗅ぎつけて持ち掛けてくる話なんて、いいものであるわけがなかった。
「君の写真で大門先生が捕まれば、僕が知っていることをすべて警察に話すことになる。
 例えば、叶多君の枕営業とか」
目の前が歪んで見えて吐き気がした。
大門を失脚させれば叶多は自由になれると思っていたのが、戯言だったなんて。
「スクープは諦めたほうが賢明だね。
 そして、写真家としての夢も」
「何言って・・・」
「君がスクープとカメラを諦めるなら、叶多君の枕営業のことは秘密にしよう」
 滝は口元だけの気味悪い笑顔をオレに向けた。
このままだと叶多が触れられたくない過去を、好奇の目に晒すことになる。
・・・また叶多は暗闇の海岸で苦しむことになるんだろうか。
そんなの、絶対に嫌だ。
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