星狩る人

仙崎 楓

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エピローグ

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 元気かな、アイツ。
今度こそ本当の成功を掴むために、どんどん変わっていればいいな。
どんな風に化けても、あの時のアイツなら今も絶対に輝いているはずだから。
忘れるなよ、と言われて渡された時計を覗く。
少し傷はついたけど、壊れることなく正確に時を教えてくれている。
世界を飛び回っている間は、いい写真を撮ることに躍起になっていて、寂しいとか日本を懐かしむ暇なんてなかったのに。
日本行きの飛行機に乗ってから待ち遠しくて仕方がない。
もちろん忘れたことなんて一度もない。
アイツより心を震わせるものには出会えそうにもない。
お前のところに戻るから。


 会いたい。


「南叶多さん、舞台で初座長ということで、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
 空港のロビーの一角で、叶多の記者会見が行われていた。
 初座長を記念した公開会見で、叶多のファンだけでなく空港を訪れた人たちもたくさん目を留めていた。
「今回は恋愛の要素が少ないということで、ファンの方は寂しく思っているようですが、プライベートの恋愛はどうなんでしょう?」
 叶多のクールな表情は全く崩れないけど、レポーターもひるまない。
「プライベートでずっとつけられている時計がいつも違う時刻を指してますよね。どこか外国にいる恋人の時刻を指しているんじゃないか、なんて噂も」
 叶多は少し驚いた顔をした後、視線を腕に落とした。
「よく御存知ですね。
でも時間があっているかどうかは怪しいです。
世界を思い立つままに飛び回ってるはずですから」
 報道陣は熱愛発言を疑ってざわついている。
叶多は構わず続けた。
「空を眺めるたびに思うんです。
 この星をアイツも見てるんだろうか。
 もしかしたら昼で、青空でもみてるのかもしれないな、なんて。
 その可能性のほうが高いけど構わないんです。
 アイツがこの空をどこかで見てることに変わりはないから。
 薄汚れたこの世界でも、変わらないアイツがどこかで踏ん張ってるんだと思えば、俺は突っ伏さずに生きていける」

カシャ!
「叶多!」
 オレは叶多が気づくように二階から大きく手を振った。
叶多はオレを見つけて、目が合った瞬間まぶしそうに目を細めた。
「電話、ほとんど通じねえじゃん。
 最後に話したのいつだよ」
「さあ?
 だって行くとこほぼ圏外だし」
「あの、南さん。
 あの方は…」
リポーターが叶多に尋ねた。
「神原 空です」
 叶多からの紹介を聞いて、マスコミや観覧客が一層ざわつき始めた。
「ひょっとして、フォトグラファーの?
 先日国際コンペで入賞された方で、以前話題になった南さんの写真集の表紙を撮影されたんですよね」
「空、こっち来いよ。言いたいことがある。
 皆も映像界の期待の星をお待ちかねだ」
 一番待ってたのは、空港で会見なんかしてるお前だろ、とツッコみたい気持ちを後のお楽し
みに残して、オレは下りのエスカレーターに向かって走り出した。

オレは今日も星を追いかけてる。
これからもずっと。
追いかけて、捕まえて、写真の中に狩りとる。
だってオレは欲しがりやだから。

オレは、星狩る人。
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