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聞いて欲しい話
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俺は那月の家に招かれ、那月の家族と共に食卓を囲んでいる。
お母さんはとても美人で、陽気な人だった。
製薬会社に勤めてると言ってたお父さんも、お堅い人かと思っていたけど、すごくあっけらかんとしていて面白い人だ。
愛情のこもった料理と、和やかな空気、途切れることのない会話。
そうか。こういう家で那月は育ったんだな。
最初は愛想のない、嫌味なやつだと思ってたけど、本当は周りをよく見ていて、友達思いで、家族思いで、いいやつなのは、この環境を見れば納得がいく。
俺は少し感動して、ぽろっと涙をこぼした。
「夏くん?どうしたの?」
とお母さんが驚いて聞いてくる。
「あ、ごめんなさい。もうしばらくこういう一家団欒っていうの無かったんで、ちょっと感動しちゃって…」
「あら、そうよね。実家は大阪なんですもんね。高校生の時から親元を離れて、今の事務所に入ったって雑誌で読んだことある。偉いわー」
「いえ、そんなこと…」
「寂しくなったら、うちに来たらいいじゃない!ここを東京の家にすればいいのよ!ね?パパ?」
「そうだよ!ここを自分の家だと思って、遊びに来ればいいよ!春陽もいるし、なんなら部屋はまだあるから、2人で戻って来てもいいぞ!みんなで暮らしたら楽しいぞ!な?」
「何言ってんの?この前部屋の契約更新したとこなんだから無理だよ…」
と那月が冷静に言う。
お父さんたちはちぇっと言って拗ねていた。
きっと息子のことを心から愛していて、心配している。
しばらくして春陽さんが口を開いた。
「あの…みんなに聞いて欲しい話があるんだ」
「どうしたの?改まって」
というお母さんの問いかけに、
「俺、結婚する」
と春陽さんが言った。
一瞬流れた沈黙の後、きゃーっとお母さんは喜び、お父さんと一緒に小躍りしていた。
「沙織さんと?」
と俺が聞くと、
「もちろん」
と笑顔で答えた。
「おめでとう」
と那月が本当に嬉しそうに言うから、俺も嬉しかった。
それからお互いの家族に挨拶を済ませたり、トントン拍子に話は進み、翌年2人は結婚式を挙げた。
私たちはタレントじゃないからと、沙織さんは地味な式を望んだ。
ごくわずかな友人と、身内だけ。
沙織さんには父親がいない。
大学入ってすぐくらいの時に、病気で亡くしている。
その時から女優として活躍もしていた。
それからはお母さんと妹さんと3人で頑張ってきた。
実は妹さんは会社の副社長で、お母さんは経理だ。
3人はとても仲がいい。
時々喧嘩もするけど、信頼し合っているのが俺でもわかる。
妹さんは結婚されていて、旦那さんはギタリストだ。
ヴァージンロードはお母さんか妹さんと歩くと思っていた。
それが突然、
「夏。私と一緒に歩いてくれる?」
と沙織さんが俺に言った。
「なんで俺!?」
「あんたは弟というか息子というか、家族も同然だから…一緒に歩いて欲しいの」
と言われ、大役を仰せつかった。
俺は新郎新婦、その家族や友人、その誰よりも号泣していた。
「お前、泣き過ぎ…」
那月はそう言って、俺の頭をぽんぽんした。
「だって沙織さん…綺麗…俺も将来、こんな式、挙げたい…う、ぐす」
となかなか止まらない俺の涙を、ハンカチで抑えながら
「…そうだな。良い式だな」
と那月は言った。
式の後、沙織さんは俺たちを呼び出して、
「約半年後の、デビュー5周年で新曲を出すから。あと初の全国ツアーも決まってるから忙しくなるわよ」
と言った。
「はい」
俺たちは顔を見合わせて返事をする。
初の全国ツアーかー!
それにしても、自分の結婚式の日でも、仕事の話するなんて…
「あと、今回出す曲は作詞も作曲もあんたたちにやってもらうからね」
と言った。
「はっ!?」
と俺たちは声を揃えて聞き返す。
「分担は好きにしていいからね。2人で一緒に作っても、歌詞と曲に分けてもどっちでもいいから、なるはやでよろしく」
マジ…?
家に帰ると早速話し合いだ。
「どうする?どっちが良い?」
「一緒に作る?」
と那月は言ったけど
「時間がないから分担の方がいいんじゃない?」
話し合った結果、俺が曲を作って那月に渡す。
それに那月が歌詞をつけて体裁を整えて最終版、という方向でいくことになった。
お母さんはとても美人で、陽気な人だった。
製薬会社に勤めてると言ってたお父さんも、お堅い人かと思っていたけど、すごくあっけらかんとしていて面白い人だ。
愛情のこもった料理と、和やかな空気、途切れることのない会話。
そうか。こういう家で那月は育ったんだな。
最初は愛想のない、嫌味なやつだと思ってたけど、本当は周りをよく見ていて、友達思いで、家族思いで、いいやつなのは、この環境を見れば納得がいく。
俺は少し感動して、ぽろっと涙をこぼした。
「夏くん?どうしたの?」
とお母さんが驚いて聞いてくる。
「あ、ごめんなさい。もうしばらくこういう一家団欒っていうの無かったんで、ちょっと感動しちゃって…」
「あら、そうよね。実家は大阪なんですもんね。高校生の時から親元を離れて、今の事務所に入ったって雑誌で読んだことある。偉いわー」
「いえ、そんなこと…」
「寂しくなったら、うちに来たらいいじゃない!ここを東京の家にすればいいのよ!ね?パパ?」
「そうだよ!ここを自分の家だと思って、遊びに来ればいいよ!春陽もいるし、なんなら部屋はまだあるから、2人で戻って来てもいいぞ!みんなで暮らしたら楽しいぞ!な?」
「何言ってんの?この前部屋の契約更新したとこなんだから無理だよ…」
と那月が冷静に言う。
お父さんたちはちぇっと言って拗ねていた。
きっと息子のことを心から愛していて、心配している。
しばらくして春陽さんが口を開いた。
「あの…みんなに聞いて欲しい話があるんだ」
「どうしたの?改まって」
というお母さんの問いかけに、
「俺、結婚する」
と春陽さんが言った。
一瞬流れた沈黙の後、きゃーっとお母さんは喜び、お父さんと一緒に小躍りしていた。
「沙織さんと?」
と俺が聞くと、
「もちろん」
と笑顔で答えた。
「おめでとう」
と那月が本当に嬉しそうに言うから、俺も嬉しかった。
それからお互いの家族に挨拶を済ませたり、トントン拍子に話は進み、翌年2人は結婚式を挙げた。
私たちはタレントじゃないからと、沙織さんは地味な式を望んだ。
ごくわずかな友人と、身内だけ。
沙織さんには父親がいない。
大学入ってすぐくらいの時に、病気で亡くしている。
その時から女優として活躍もしていた。
それからはお母さんと妹さんと3人で頑張ってきた。
実は妹さんは会社の副社長で、お母さんは経理だ。
3人はとても仲がいい。
時々喧嘩もするけど、信頼し合っているのが俺でもわかる。
妹さんは結婚されていて、旦那さんはギタリストだ。
ヴァージンロードはお母さんか妹さんと歩くと思っていた。
それが突然、
「夏。私と一緒に歩いてくれる?」
と沙織さんが俺に言った。
「なんで俺!?」
「あんたは弟というか息子というか、家族も同然だから…一緒に歩いて欲しいの」
と言われ、大役を仰せつかった。
俺は新郎新婦、その家族や友人、その誰よりも号泣していた。
「お前、泣き過ぎ…」
那月はそう言って、俺の頭をぽんぽんした。
「だって沙織さん…綺麗…俺も将来、こんな式、挙げたい…う、ぐす」
となかなか止まらない俺の涙を、ハンカチで抑えながら
「…そうだな。良い式だな」
と那月は言った。
式の後、沙織さんは俺たちを呼び出して、
「約半年後の、デビュー5周年で新曲を出すから。あと初の全国ツアーも決まってるから忙しくなるわよ」
と言った。
「はい」
俺たちは顔を見合わせて返事をする。
初の全国ツアーかー!
それにしても、自分の結婚式の日でも、仕事の話するなんて…
「あと、今回出す曲は作詞も作曲もあんたたちにやってもらうからね」
と言った。
「はっ!?」
と俺たちは声を揃えて聞き返す。
「分担は好きにしていいからね。2人で一緒に作っても、歌詞と曲に分けてもどっちでもいいから、なるはやでよろしく」
マジ…?
家に帰ると早速話し合いだ。
「どうする?どっちが良い?」
「一緒に作る?」
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それに那月が歌詞をつけて体裁を整えて最終版、という方向でいくことになった。
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