ナツキ

SHIZU

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2人がいい

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俺は酔っ払って家に帰った。
「ただいまー!」
「遅かったな。ってお前酔ってる?」
「うん!やっとハタチになったから飲んだー!」
「…1人で?」
「まさか!今日でドラマの撮影が終わりだったから、崇さんと一足先に、2人だけの打ち上げして来た!」
「どうやって帰って来た?電車もう無かっただろ?」
「ん。崇さんがマネージャーさんにタクシーで帰るって電話したら、迎えに行くしついでに俺のことも送ってくれるっていうから甘えちゃった♪那月も誕生日来たら、一緒に飲みに行こうね!」
「…かわいすぎるだろ」
那月が小声で何か呟いた。
「ん?何?」
「いや…お前もう外で飲むなよ。あと、俺の誕生日は2人で過ごしたいと思ってるんだけど…いい?」
「え?いいよ!」
俺はとりあえずシャワー浴びたくて、そのままバスルームに向かった。
翌日、机の上には、俺より早く家を出た那月から、"誕生日おめでとう"という置き手紙と共に、ジンベイザメのペアの箸置きとブランドのキーケースのプレゼントが置いてあった。

ドラマ全話の配信が終わり、周りからの反響がたくさんあったことに驚く。
俺も那月もドラマに出演したことをきっかけに、ソロの仕事も増えた。
那月はしなやかなダンスを活かして、ミュージカルや舞台の仕事、俺はドラマやバラエティ、お互いに忙しいけど、充実した日々を過ごしていた。


「明日、どっか行くの?」
春陽さんが聞いて来る。
実はお互い忙しくなってから、それぞれにマネージャーさんがついた。
それをまとめるのが春陽さん。
俺には25歳の田中景子さん。
那月には23歳の土屋塔子さん。
2人とも、話しやすくて感じの良い人だ。
「どうしてですか?」
「いや、誕生日の日は2人とも仕事入れないでって、前からずっと那月が言ってたから…」
「あー。なんか誕生日だから2人でお祝いしよって。那月もやっと酒飲めるようになるし、次の日休みなら前の夜から飲んでも家なら大丈夫かなーって、前にチラッと話してたことあって。そんな前から休みにしてもらうほど、あいつ本気だったんだな」
「…夏は、なっちゃんのこと、どう思う?」
「どう思うって?」
「あ、いや。最初はイメージ悪かっただろ?」
「まぁ…」
「今はどう思ってる?今も話しにくいとか、逆に感じ良くなったとか。あとはぶっちゃけ、好きとか嫌いとか?」
「何でそんなこと聞くんですか?あいつ、もしかして…俺と解散したがってるとか!?それで春陽さんに探りを入れさせてるんじゃ…」
「違う、違う!あいつ最近なんか表情が変わったというか、前には見せなかった顔するようになったから、なんかそれって夏がもたらした変化なのかなーって」
「それはいろんな仕事経験して、たくさんの人と関わって、それで現れた変化じゃないですか?俺とは関係ないと思いますよ!」
「そ、そっか…で、ぶっちゃけ夏はどう思う?」
「いいやつだなーって思いますよ!人と関わるの好きじゃないのかなって最初は思ってたけど、結構よく周りの人のこと見てるし、あと仕事に対するストイックさとか、すごいなーって。何か本人に言ってるわけじゃないのに照れますね」
「そっか。最近1人の仕事も増えたから、なかなか話出来てないと思うけど、大丈夫?」
「大丈夫ですよ!確かに同じ家に住んでても、会う時間が前より少なくはなりましたけどね。でもたまに話したりしますから」
春陽さんは何を心配しているんだろう。

その夜。
久しぶりに2人で家で食事をした。
俺たちはワインで乾杯した。
生まれ年のワインを、春陽さんが那月へのプレゼントとして用意していた。
「那月、おめでとう」
「ありがとう」
「俺からは、コレ」
0時を跨いだ瞬間、プレゼントを渡した。
「開けていい?」
「うん」
「…万年筆?」
「そう。知り合いの俳優さんに、プレゼント何がいいかなって相談したら、自分はネーム入りの万年筆もらったのが、結構嬉しかったって言ってて。それいいなって思って…ほら、俺とお揃い」
俺は自分の万年筆を見せた。
俺たちのイメージカラー。
俺は白。那月は黒。
「ありがとう」
そう言ってメモ帳に試し書きをしている。
"ナツキ"
「どっちの?」
「ん?」
「どっちのナツキ?」
「お前…」
「なんでよ!自分の名前書きなよ…」
「まぁ…それより明日、実家で一緒に飯食わない?」
「え?那月と春陽の実家?」
「そう。お前のこと、まだ家族に紹介してなかったなって思って…」
「え?俺なんか行っていいの?家族水入らずなんじゃ…」
「いいよ。もうお前も家族みたいなもんだろ?母さんも父さんも会いたいって言ってたし、春陽もみんなと話したいって言ってたから」
「わかった」
俺は那月の誕生日に、宮部家に行くことになった。





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