ナツキ

SHIZU

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イライラの理由

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会見の後、会場近くに迎えに来てくれていた、春陽さんの車に俺と那月は乗り込んだ。
「お疲れ様。今日はもう仕事は終わりだから、予定がなければこのまま送るけど?」
「春陽さん。このまま新宿に向かってください。この後、崇さんと約束があるんで…」
「…わかった」

駅前まで送ってもらって、車を降りる時、
「夏!話がしたい。今日は家に帰って来て!」
そう言って那月が俺の腕を掴んだ。
「帰りは何時になるかわからないから、期待しないで。じゃあ崇さん待たせてるから、行くわ」
俺は那月の手を振り解いて車を降りた。

とある焼肉屋さんの前に、崇さんが立っているのが見えた。
「お待たせしました!」
「俺も今来たところだから大丈夫。行こうか」
「はい」
個室のあるこの焼肉屋さんは、芸能人も利用する人が多いんだとか。
値段も高すぎないのに質はいいと評判が良い。
昔、崇さんがまだまだ駆け出しの頃。
春陽さんが崇さんのマネージャーをしていた頃に、沙織さんに連れてきてもらったらしい。
俺は崇さんと同じ部屋に同居していた頃から、ほかの先輩と一緒によく連れてきてもらったお店だ。
「お疲れー!」
「お疲れ様です!」
崇さんはビール、俺はハイボールで乾杯した。
「早速だけど、今日の発表会見、ほとんどお前らの三角関係がどうのこうのって話ばっかだったな!」
「み、見てたんですか?」
「まあ一応な。マネージャーさんも止めに入んないし、まぁ…なんか凄かったなって」
「実は、真理恵に対する、世間からの誹謗中傷が凄すぎて、このまま逃げるわけにもいかないなって景子さんと話したんです。お互い恋愛禁止ではないし、2人が好きになって付き合ってるのなら仕方ないじゃないですか?なのに、売名行為だとか、那月と近付く為に俺を利用したとか、散々なこと言われてて、それってどうなんかなって思ったから、そのことについての質問が来ても、素直に俺の気持ちとか答えよって思ったんです」
「そっか。真理恵ちゃんも会見見てたらいいな」
「見てましたよ。さっきメッセージ来てたんで」
「そっか。んで?結局のところお前たちはどうなってんの?」
「どうもなってないです!あの会見で言ったことそのまんまですよ。俺は真理恵とは付き合ってないし、友達としてって意味で那月にも紹介したんです。那月も誤解されやすいとこあるから、友達になって理解してくれる人が増えたら良いなって思って。それだけです」
「お前はそれで本当にいいの?」
「どういうことですか?」
「まあ那月も真理恵ちゃんは友達だって言ってたけど、これから先は、どんな関係に発展するかはわからないわけだろ?もし今は友達でも、この先2人が付き合い出したりしたら、お前はそれを祝福できるのかって話」
「どうしてですか?それならそれで良いと思いますよ!どうしてそんなこと…」
「最近、お前は家にも帰らず、ホテルと職場を往復して、飯も那月や春陽とは食べずに、景子さんや俺とか他の人とばっか食べに行ったりしてたから、なんか機嫌悪いというか、イライラしてるかなって思ったんだよ」
「それ、景子さんにも言われました…夏くんが気に入らないのは何かって。初恋の人をとってしまったかもしれない那月なのか、自分を選ばなかった真理恵さんなのか。それとも…なんて言ってたかな?あー…途中で春陽さんから電話が来たから、その先が聞けなかったんだけど、何を言いかけたんだろ…」
「んー。俺、その言葉の続きわかるよ」
「何ですか?」
「嫉妬して腹を立てて、あいつを遠ざけてしまっている自分なのか…じゃない?」
「だからー!真理恵を好きだったのは小学生の時で、もう10年以上も前の話なんですよー?今更嫉妬とかないですって」
「いや、そっちじゃなくて」
「え?」
「那月の方」
崇さん、なんて言った?
那月に?そんなことあるわけない。
「何言ってるんですか?」
「俺たちさ。BLのドラマとか一緒にしたじゃん?」
「はい」
「でも最近そういうの、よく耳にするようになったけど、やっぱり俺たちが一緒に歩いてるの見たって、みんなただの先輩後輩か、友達くらいにしか思わないんだよ」
「まあ事実そうですし…ってまさか!?崇さん…俺に気があるんじゃ…」
「アホゥ!俺は違うけどさ。お前はどう?夏にとってのなっちゃんは、仲の良い友達?それとも仕事仲間?ちょっとでもそれ以外の気持ち、頭に浮かんだことない?」
「……ないと思います」
俺はそう呟いた。















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