ナツキ

SHIZU

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あいつの好きと俺の好き

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朝まで崇さんと飲むつもりだったけど、2軒目に行った後、ホテルに帰ることにした。

タクシーの中で、今日のことを思い返す。
ただの友達だと言ってはいたけど、だとしても知り合ってすぐなのに、2人っきりで会うなんて…
しばらくすると、運転手さんが声をかけて来た。
「あの…間違っていたらごめんなさい。アイドルのN2のナツキさんですよね?」
「あ、そうです!知ってくださってるんですか?ありがとうございます」
「いやー、娘がファンでねー!高校生と大学生なんだけど、家にグッズとかあるし、あとは携帯で君たちの音楽聴きながら踊ったりして、話を延々とするもんだから、つい僕も覚えてしまって…」
「えー!めっちゃ嬉しいです!」
「君、大阪出身の方の夏輝くんだよね?」
「そうです」
「おねぇちゃんの方が君のファンだよ!」
「ありがとうございます!じゃあ妹さんはもう1人の方ですか?」
「そうなんだよー。だから2人で踊ってるよ」
「嬉しいです」
「今日DVDの会見やってたよね?ちょうど仕事に出かける前で、娘たちと観たよ」
「ありがとうございます。お見苦しいところ見せちゃってすみません。なんかわちゃわちゃしてたでしょ?あんなはずじゃなかったんですけど…」
「いいんじゃないかなー?他のファンの子がどう思ってたかはわからないけど、うちの子たちは納得してたみたいよ?」
「そうなんですか?」
「うん。お友達の女優さんのこと、悪く言う人がいるから、ちゃんと夏輝くんは自分で説明したかったんじゃないかって」
あー。ちゃんとわかってくれた子がいるんだな。
それだけでも俺は救われる。
「それに2人が声を揃えて言うんだ。なっちゃんは夏くんのことが好きだから、三角関係で揉めて仲違いとかは絶対ないって」
「え?好き?ですか…?」
「そう!なんかそう言ってたよ」
「んー。仕事仲間というか大事な相方としてってことですかね?」
「んー、たぶん。でも、最初にアイドルの子とスクープ撮られた時も、なんか変なこと言ってたなー」
「え?」
「なっちゃんは田所美琴さんより、絶対夏くんの方が好きなのに!って」
「どういうことですかね?それ…」
「どういうことだろうね?」
そうこうしていると、ホテルの前に着いた。
「3,980円になります。迷惑じゃなかったら、娘たちに夏輝くんと会えたこと、自慢してもいいかな?」
「もちろんです。いつも応援してくれてありがとうって伝えてください!あと…よろしければこれも渡してください」
俺はお金を渡して領収書を貰った後、持っていた俺たちのミニポスターに、自分のサインをして渡した。
「え!?いいの?こんなの娘が見たら、気絶しちゃうよ」
「僕のサインだけでごめんなさい!あ、娘さん、お名前は?」
「えっと、つばきとさくらです。平仮名で」
俺はもう一度受け取り、名前を書き足して渡した。
「彼女たちにとって宝物になるよ。ありがとう!」
「こちらこそ。僕の気持ちが届いてる人がいるって、知ることが出来て救われました」
「頑張ってね!これからも応援してます」
「はい!ありがとうございました」

俺は部屋に戻り、さっきの話を思い返す。
さくらちゃんとつばきちゃんの言う、那月が俺を好きっていうのはどういう意味なんだろう…
俺にも好きな人や大切な人はいる。
やっくん、けーた、あっきー、真理恵。
みんな大好きな友達。
沙織さん、春陽さん、景子さんや会社の人たち。
みんな俺たちを支えてくれる大切な人。
崇さんや他の芸能人の友達や先輩だって、俺に刺激をくれるライバルで頼れる仲間だし。
離れていても、きっと応援してくれている母さん。
みんな大切な人で、大好きな人だ。
那月のことも同じだよ。
那月だってきっと俺のことをそう思ってる。
大事な友達で信頼できる相方だって。
それだけだよ。






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