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キスしたの?
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翌朝。
「あー眠い…那月、コーヒ淹れてー」
あっ…そうだ。那月は昨日の夜、出て行ったんだよな。
自分が追い出したようなもんなのに、俺も酷いやつだ。
「はい。夏輝、コーヒー淹れます。自分でやります」
うわぁ。なんか独り言増えそう。
俺らのチャンネルにアップする動画は、事務所で撮ることが増えた。
仕事はなんだかんだ2人でちゃんとやっている。
曲も出しているし、最近はラジオのレギュラーが決まり、さらに忙しくなりそうだ。
そうこうしているうちに、俺たちは大学を卒業した。
だんだんと那月の物が減っていくのが、少し寂しい気もした。
家の更新まで、あと2ヶ月か。
それで那月の鍵を俺が貰ったら、完全にこの空間から那月がいなくなる。
数日後。
「もしもし。崇さん?今日うち来ません?美味しい日本酒もらったんです」
「おー!行く行くー!」
崇さんは映画の撮影が落ち着いて、やっと飲めるようになった。
夜、部屋のインターホンが鳴る。
「はーい。どうぞー」
「日本酒、日本酒ー!ビールもシャンパンも持って来た!家なら飲んで潰れても安心だろ?」
「崇さん。酒ならなんでも飲めるんですねー。すごー」
「お前ビールがダメだもんな」
「そーなんですよー。こないだ飲みつぶれたの、崇さんのビール飲んだからですよー」
「夏輝が飲んでみたいって言うからだろ?」
「おかげでほとんど記憶がないです」
「でしょうね」
「送ってくれてありがとうございました」
「いえいえ。これでもう夏輝には、ビール飲ませちゃダメだってわかったから良かったよ」
「あ、でもほとんど記憶はないんですけど…崇さん!俺にキスしたの?」
「は!?してねーよ」
「嘘だ!感触あったもん!あん時、那月は出て行った後だから、部屋には俺たちしかいなかったでしょ!?」
「…してないって!」
「何すか、その間はー?」
「本当にしてないよ!夏輝のことは好きだけど、そんなんじゃないから!それはたぶん…」
「たぶんなんですか?」
「なんでもない。たぶん気のせいだろ!」
「えー。なんか感触残ってたけどなー?」
「うるさいぞ。とりあえず飲め飲め」
調子に乗って飲んだ俺たちは、そのままソファで寝てしまった。
朝、話し声がして目が覚めた。
崇さんと、那月?
てか崇さんも俺も、なんでパンイチなの?
あー。そっか。
日本酒飲んだ後、シャンパン飲んで、開ける時吹きこぼしたんだ。
暑いからもうパンイチでいいやってなって、結局そのまま寝ちゃったんだな。
慌ててまた目を閉じる。
「…どうしたんだ?」
「まだ少し荷物残ってるんで、それ取りに…」
「そっか」
「崇さん、昨日泊まったんですか?」
「うん。夏輝が美味しい日本酒もらったって言うから、一緒に飲んでたんだ」
「本当に仲良いですね…あいつのこと好きなんですか?」
「好きだよ。ドラマで共演してからずっと。夏輝に会うたび好きになっていった。いやもっと前から好きだったかな。しかも夏輝って酔うと可愛いだろ?結構大胆になるし…あ、ごめん。俺たち2人ともこんな格好で…ちょっと昨日激し過ぎたからさ…あれ?結局何回したかなー?」
崇さん、何言ってんの?
「やめてください…聞きたくないです」
「なんだ?妬いてんのか?」
「何言ってるんですか?妬いてなんか…」
「この間潰れた夏輝を俺が運んだ日。お前、夏輝にキスしただろ?俺の夏輝にちょっかい出すのやめてくれる?」
え?どういうこと?
「なんで…?」
「なんでって…昨日、聞かれたんだよ、夏輝に。あの日、俺にキスしたの?って。うっすらと記憶の中に、感触が残ってたんだって。俺たちが帰って来た時、丁度お前、入れ違いに出て行こうとしてるとこだったよな?」
「そうですけど?」
「俺が夏輝運んだ後、俺が鍵閉めて出るんで、もう大丈夫ですよって言ったよな?」
「はい…」
「ってことは、俺がいなくなった後、部屋にはお前と夏輝しかいなかったわけだ。キスしたのが俺じゃないなら、お前しかいないもんな?」
「だったらなんなんですか?」
「もうさ。この状況見たらわかるだろ?俺たちがどういう関係か。だからこれからは、そういうことしないでっていうこと。OK?」
「俺…失礼します」
那月が足早に部屋を出て行った。
「もう、いいぞ!」
俺の方を向いて崇さんが言った。
「何ですか?あれ!」
「嘘は言ってないぞ。俺は夏輝が好きだ。そう言っただろ?」
「それは弟みたいにって言ってたじゃん」
「まあそうだな。でも好きの種類は聞かれなかったから…」
「こんな格好でごめんて?」
「パンイチは人と会う格好ではないだろ?」
「そうですけど…じゃあ昨日激し過ぎたからっていうのは!?」
「激しく酔っ払って、酒吹きこぼしたんじゃねーか」
「結局何回したかなって何ですか!」
「乾杯?なんかめっちゃ乾杯したじゃん?俺たち」
はー。確かに嘘はついてない。それより…
「キスしたの、那月だって知ってたんですね?」
「最初気のせいだって思ったんだけど、お前があまりにも言うもんだからもしかしてって。でも俺から言うのも違うかなーって」
「……」
「で?キスした犯人がわかったけど、これからどうする?」
「どうするって言われても…」
俺はどうするべきか悩んだ。
「あー眠い…那月、コーヒ淹れてー」
あっ…そうだ。那月は昨日の夜、出て行ったんだよな。
自分が追い出したようなもんなのに、俺も酷いやつだ。
「はい。夏輝、コーヒー淹れます。自分でやります」
うわぁ。なんか独り言増えそう。
俺らのチャンネルにアップする動画は、事務所で撮ることが増えた。
仕事はなんだかんだ2人でちゃんとやっている。
曲も出しているし、最近はラジオのレギュラーが決まり、さらに忙しくなりそうだ。
そうこうしているうちに、俺たちは大学を卒業した。
だんだんと那月の物が減っていくのが、少し寂しい気もした。
家の更新まで、あと2ヶ月か。
それで那月の鍵を俺が貰ったら、完全にこの空間から那月がいなくなる。
数日後。
「もしもし。崇さん?今日うち来ません?美味しい日本酒もらったんです」
「おー!行く行くー!」
崇さんは映画の撮影が落ち着いて、やっと飲めるようになった。
夜、部屋のインターホンが鳴る。
「はーい。どうぞー」
「日本酒、日本酒ー!ビールもシャンパンも持って来た!家なら飲んで潰れても安心だろ?」
「崇さん。酒ならなんでも飲めるんですねー。すごー」
「お前ビールがダメだもんな」
「そーなんですよー。こないだ飲みつぶれたの、崇さんのビール飲んだからですよー」
「夏輝が飲んでみたいって言うからだろ?」
「おかげでほとんど記憶がないです」
「でしょうね」
「送ってくれてありがとうございました」
「いえいえ。これでもう夏輝には、ビール飲ませちゃダメだってわかったから良かったよ」
「あ、でもほとんど記憶はないんですけど…崇さん!俺にキスしたの?」
「は!?してねーよ」
「嘘だ!感触あったもん!あん時、那月は出て行った後だから、部屋には俺たちしかいなかったでしょ!?」
「…してないって!」
「何すか、その間はー?」
「本当にしてないよ!夏輝のことは好きだけど、そんなんじゃないから!それはたぶん…」
「たぶんなんですか?」
「なんでもない。たぶん気のせいだろ!」
「えー。なんか感触残ってたけどなー?」
「うるさいぞ。とりあえず飲め飲め」
調子に乗って飲んだ俺たちは、そのままソファで寝てしまった。
朝、話し声がして目が覚めた。
崇さんと、那月?
てか崇さんも俺も、なんでパンイチなの?
あー。そっか。
日本酒飲んだ後、シャンパン飲んで、開ける時吹きこぼしたんだ。
暑いからもうパンイチでいいやってなって、結局そのまま寝ちゃったんだな。
慌ててまた目を閉じる。
「…どうしたんだ?」
「まだ少し荷物残ってるんで、それ取りに…」
「そっか」
「崇さん、昨日泊まったんですか?」
「うん。夏輝が美味しい日本酒もらったって言うから、一緒に飲んでたんだ」
「本当に仲良いですね…あいつのこと好きなんですか?」
「好きだよ。ドラマで共演してからずっと。夏輝に会うたび好きになっていった。いやもっと前から好きだったかな。しかも夏輝って酔うと可愛いだろ?結構大胆になるし…あ、ごめん。俺たち2人ともこんな格好で…ちょっと昨日激し過ぎたからさ…あれ?結局何回したかなー?」
崇さん、何言ってんの?
「やめてください…聞きたくないです」
「なんだ?妬いてんのか?」
「何言ってるんですか?妬いてなんか…」
「この間潰れた夏輝を俺が運んだ日。お前、夏輝にキスしただろ?俺の夏輝にちょっかい出すのやめてくれる?」
え?どういうこと?
「なんで…?」
「なんでって…昨日、聞かれたんだよ、夏輝に。あの日、俺にキスしたの?って。うっすらと記憶の中に、感触が残ってたんだって。俺たちが帰って来た時、丁度お前、入れ違いに出て行こうとしてるとこだったよな?」
「そうですけど?」
「俺が夏輝運んだ後、俺が鍵閉めて出るんで、もう大丈夫ですよって言ったよな?」
「はい…」
「ってことは、俺がいなくなった後、部屋にはお前と夏輝しかいなかったわけだ。キスしたのが俺じゃないなら、お前しかいないもんな?」
「だったらなんなんですか?」
「もうさ。この状況見たらわかるだろ?俺たちがどういう関係か。だからこれからは、そういうことしないでっていうこと。OK?」
「俺…失礼します」
那月が足早に部屋を出て行った。
「もう、いいぞ!」
俺の方を向いて崇さんが言った。
「何ですか?あれ!」
「嘘は言ってないぞ。俺は夏輝が好きだ。そう言っただろ?」
「それは弟みたいにって言ってたじゃん」
「まあそうだな。でも好きの種類は聞かれなかったから…」
「こんな格好でごめんて?」
「パンイチは人と会う格好ではないだろ?」
「そうですけど…じゃあ昨日激し過ぎたからっていうのは!?」
「激しく酔っ払って、酒吹きこぼしたんじゃねーか」
「結局何回したかなって何ですか!」
「乾杯?なんかめっちゃ乾杯したじゃん?俺たち」
はー。確かに嘘はついてない。それより…
「キスしたの、那月だって知ってたんですね?」
「最初気のせいだって思ったんだけど、お前があまりにも言うもんだからもしかしてって。でも俺から言うのも違うかなーって」
「……」
「で?キスした犯人がわかったけど、これからどうする?」
「どうするって言われても…」
俺はどうするべきか悩んだ。
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