忍者刀に転生した現代忍者と追放された黒狐の貴族令嬢

遙かなた

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序章

プロローグ~初めての戦闘2~

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(それで、隣領の街というのはどれくらいかかるでござる?)


 アウラ殿は拙者を抱えながら周りを警戒し歩いている。
 これは役得でござる!
 背中に柔らかさを感じていると返事がきた。


「徒歩ですと、二日ほどかかりますわ」


 二日というと150キロくらいでござろうか?
 拙者の元の姿であれば4,5時間で着く距離でござるな。
 しからば、歩くのはアウラ殿に任せて、拙者はステータスの確認でござる。

 LV  1
 種類 忍者刀
 名前 カゲトラ
 攻撃力 15
 装備者使用可能スキル 木遁の術Lv1
 使用可能スキルポイント 1


 やはり種類は忍者刀でござるな。
 攻撃力15というのは強いのでござろうか?
 他の武器を見てみないと解らないでござるが・・・どう見ればいいのでござろう?
 そうでござる、転生と言えばアレというものがあるでござるな。
 もしかしたら、この使用可能スキルポイントで・・・。
 使用可能スキルポントを凝視してみると新たな項目が現れる。
 そこには色々なスキルがあった。


 ユニークスキル
 火遁の術、水遁の術、土遁の術、金遁の術、煙遁の術、苦無投げ、手裏剣投げ、縮地、空蝉、刀術etc

 通常スキル
 身体強化、毒耐性、炎魔法、鑑定、etc


 なるほど、ユニークスキルというのもあるのでござるな?
 見たところ忍術の類はユニークスキルに分類されるみたいでござる。
 これは拙者が忍者刀だからでござろうな。
 通常スキルのところには読むのも大変そうな量のスキルが書いてあるでござる。
 これは後々、見ておかないといけないでござるな。
 とりあえず、どうするでござるか・・・狙っていたのは『鑑定』のスキルでござったが
 これを取ってしまうと木の葉隠れ以外使えない状態なのでござるよな。
 2日もあるのであればまた魔物に見つかるでござろう。
 いざというときに戦闘スキルが無いのは心もとないでござるよな。
 

「カゲトラ様?先ほどから何をうーんうーん唸っておりますの?」


 おや、しまったでござるな。アウラ殿とは街に着いたら別れるでござろうし
 あまり、拙者のことを言うべきではないでござるよな?
 喋る武器がこの世界にどれくらいあるか解らないでござるし・・・ふむ、確認してみるでござるか。


(この世界に喋る武器はあるでござろうか?)
「そんなものあったら不気味ですわよ?」


 お主が抱きしめているのがその不気味なものなんでござるが・・・
 そういえば、棒切れと言われてたでござる。
 

「なんでそんなことを聞くんですの?」
(拙者がその不気味なものでござるようで・・・)
「そうなんですの!?・・・カゲトラ様は変わっておりますのね?」


 変わっているで受け入れちゃったでござる・・・不気味とは。
 まあ、変に怖がられるよりはいいでござるか。
 一瞬隠すべきかと迷ったでござるが、この先魔物に出くわした時にちゃんと武器として認識してもらっていた方がいいでござるしな。


(次に魔物に出会う前に拙者の使い方を・・・)
「ゲギャー!」


 アウラ殿、変わった返事をするでござるな??
 女子おなごがゲギャーなどとはしたないでござるよ?
 

(ちゃんと、話を聞くでござる。拙者の使い方は・・・)
「ゲギャギャー!!」


 だから、話を聞くでござ・・・うん?
 気が付くと目の前にゴブリンが襲い掛かってきている。
 何故、こんなことに!?


「ま、魔物ですわー!」
(見れば解るでござる!アウラ殿、拙者を抜き放つでござる!だいぶ汚れているでござるが拙者の先端部分は鞘でござる!拙者は刀でござるよ!)
「わ、わかりましたわ!!」


 アウラ殿が慌てて拙者を鞘から抜き放つ。
 抜き放たれた拙者の刀身は見事な直刀で刃渡りは短いがその美しさは業物のようでござった。
 自分で言うのも恥ずかしいでござるがなかなかの名刀と見える。
 そんな拙者を抜き放ったアウラ殿はあろうことかめちゃくちゃに振り回し始めた。


「来ないでくださいまし!!!」
(お、おおおお落ち着くでござるアウラ殿!!)


 しっちゃかめっちゃかに振られた拙者の切っ先がゴブリンの頬を掠める。
 掠ったゴブリンの頬から緑の液体が垂れた。


「グギャアアアアアア!」
「(めっちゃ怒ったでござる!?)ましたわ!?」


 怒りに任せて持っていた棍棒を振るとアウラ殿の右腕に鈍痛を与える。
 これはいかん!刀を持っていても今のアウラ殿では勝負にならないでござる。
 仕方ないでござるな・・・。
 拙者はステータスを開けると一つのスキルを取得した。


(アウラ殿、火遁・火吹きでござる!)
「か、火遁火吹き!!」


 拙者の声に反応してアウラ殿は言葉を繰り返す。
 すると、アウラ殿の口元から炎が巻き起こり、目の前に迫っていたゴブリンを包み込んだ。


「グ、グギャアアアアア!?」


 断末魔を上げながらゴブリンは黒焦げになりその場に倒れたのであった。
 倒せてよかったでござる・・・それにしてもやはりスキルは便利でござるな。
 本来であれば口に油を含んで指につけた火打石を利用して火を吹くのでござるが。
 口元から勝手に火が発生したでござるよ。あれなら間違えて口の中を大やけどしないでござるな。


「い、今のはなんですの?」
(火遁の術の初歩の技でござる)
「か、かとん?」
(忍者の技でござるな。これならばアウラ殿でも魔物を倒せるでござるよ)
「わ、ワタクシが魔物を?」


 何が起こったのか理解でき居ないのでござるな。
 アウラ殿は目を瞬きさせながら黒焦げになったゴブリンを見ていた。

『レベルが上がりました。』

 拙者の頭の中に機械的な声が再び鳴り響く。
 レベルが上がったでござる?
 急いでステータスを確認すると

 LV  2
 種類 忍者刀
 名前 カゲトラ
 攻撃力 17
 装備者使用可能スキル 木遁の術Lv1 火遁の術Lv1
 使用可能スキルポイント 1


 おおおおおお、攻撃力が上がっているでござる!
 それにレベルが上がるとスキルポイントも貰えるでござるな。
 これならば鑑定が取れるでござるよ!


「ワタクシが・・・魔物を・・・」


 おっと、まだ理解できていなかったでござるか?


(そうでござるよ、これならば隣領にもたどり着けるでござる)
「・・・・・・」
(え!?どうしたでござるか!?)


 ふと、アウラ殿の顔を見上げてみると驚くことにアウラ殿の頬には涙が伝っていた。
 一体、何を泣いているでござる!?


「ご、ごめんなさい・・・ワタクシが魔物を倒せるなんて・・・思っても・・・ひっく」
(あ、アウラ殿!?)
「うわあああああああああああああああんん!!」


 いったいなぜ?と思うでござるが。
 何かの理由でアウラ殿はタガが外れたかのように泣き出した。
 よく解らないが・・・なぜかこの涙を止めるのは憚れたでござる。
 なにか、この涙には拙者も覚えがあるような・・・。
 思い出せないが、今は泣いて泣いて泣きはらしてほしいと思ったでござるよ。
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