忍者刀に転生した現代忍者と追放された黒狐の貴族令嬢

遙かなた

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1章

20話

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 廃虚の扉を主殿が開けると錆びた金属の音が木霊する。


「ふ、雰囲気ありますわね」
(そ、そうでござるな)


 廃虚の中に入る足取りは重い。
 

「た、確かこの館の中で見た人影の調査でしたわよね?」
(そ、そうでござるな。魔物の可能性もあるでござるから気を付けるでござるよ)
「そうですわね、魔物!魔物ですわよね!」


 この依頼を出した人間は一体何の用事でここ来たんでござるか!
 屋敷の中は見るからに何年も放置されているのが解る。
 蜘蛛の巣がところどころに張っており、壁もボロボロ。
 こんなところに人がいるとは思えないでござるし、やはり魔物でござるよな。


「カ、カゲトラ様?」
(どうしたでござる?)
「あんなところに人形なんてありましたっけですわ?」


 主殿が指をさした先には洋風のお人形が可愛らしく座っている。
 ……拙者は必死に記憶を探る、あった筈でござるちょーっと記憶してないだけで、あそこには人形がいたはずでござる。金髪がキラキラと輝いていてこの暗闇でも解るし、見たら忘れるなんてことは無い。なんてことは無いでござる。拙者の記憶能力が悪いだけでござるよ。


(アハ、アハハハ。嫌だなぁ主殿あったでござるよ♪)
「そ、そうですわよねー、おほほほほほ」
(さあ、人影なんてなかったでござるし帰りましょうでござる)
「そうですわね!」


 まだ玄関から入って最初のフロアを見ただけだが、拙者には解るここはヤバイ…じゃなかった、問題ないでござる。


「ひぇえええええええええ?!!!」
(主殿どうしたでござ、うぎゃああああああああああああ!?)


 主殿が振り返ると玄関口に人形がおにぎりのように積み重なっており外に出られなくなっている。
 そして、その人形たちの目は赤く輝いていた。


「おばけですわあああああああああああああ!!!!」
(鑑定!鑑定!鑑定!)


 拙者は必死になって人形に鑑定をするが……

 種族 人形
 ただの人形人形人形人形人形ぎょぎょぎょぎょぎょ


 なんで鑑定内容までホラーになっているでござるかああああああああ!!!
 主殿は人形から逃げるように二階の階段を上がる。
 ステータスが戻ったおかげか、それとも恐怖からかものすごい逃げ足でござる。


「カゲトラ様!燃やしましょう!この館灰にしてしまいましょう!!!」
(わああああ!駄目でござる!拙者たちもこんがり焼けてしまうでござるよ!!!!)
「じゃあ、どうしますのーーーー!!!」
(解らんでござるううううう!!!)
「カゲトラ様のばかああああああ!!!!」


 悲鳴を上げながら拙者たちは二階の一室に逃げ込む。
 もちろん、主殿の運の悪さは健在でござる。


「ここにもいますわあああああ!!!」
(逃げるでござるうう!!!)


 入る部屋入る部屋全てに人形がいる。
 気味の悪いことに人形たちは笑い出していた。
 鑑定殿!ただの人形ではなかったのでござるか!!!


 種族 人形
 ただの人形、ただのニンギョウギョギョギョギョギョギョギョギョ


 勝手に出てくるなでござるううううううう!!!!!
 一体どうなっているでござる、いくらなんでもおかしいでござるよ!
 鑑定殿まで壊れるなんて!


「カゲトラ様!おかしいですわ!」
(どうしたでござる!?)
「すでに100階くらい階段を駆け上がっているのに疲れませんの!!ワタクシ超人になっちゃいましたですの?」
(もっと早く言うでござるうううううう!?)


 100階!?100階はおかしいでござる!!!


「ワタクシ、超人ではないんですの?」


 しょんぼりしながら言うでないでござる!!!


(主殿の体力の話ではないでござる!この館、外で見たときはあっても3階まででござった!100階はありえないでござるよ!!)
「おお、確かにですわ!」


 もっと早くに気づいてほしいでござるよ……いや、拙者もだが。
 しかし、物理的におかしいとなればここはもしや……。


(幻術でござるか!)
「幻ですの?幽霊さんが作った不思議空間ではなくて?」


 うぐっ、その可能性もあるでござる…いや、幽霊なんていない幽霊なんていない!
 きっと何者かが我らを欺いているでござる!


(試してみるでござる!主殿人形を1体斬りさくでござる!)
「はいですわ!!!」


 主殿は拙者で人形を真っ二つに切り裂く。
 すると人形は幻のように消え……ないでござる。


「しっかりと綿の詰まった、いい人形ですわ」
(あっっるえぇえええ??)


 幻であれば消えるでござるよな。
 それなのにちゃんと真っ二つの人形が地面に転がっていて綿も飛び出しているでござる。
 こうしてみるとただの人形でござるが……あっるぇえええ?


「なかなか精巧な幻ですわね!それならこれでいかが!火遁:紅蓮花!」
(ちょ、待つでござる主殿!)


 拙者の制止は間に合わず、主殿の紅蓮花が人形を焼く。
 もちろん、燃えた人形は床に落ち、そして床やカーテンに燃え移る。


(主殿おおおおお!!!全力で下の階に逃げるでござるううううううう!!!!!)


 火事でござる!焼け死ぬでござるうううううう!!!!!


「うおおおおおおですわ!!!!!!」


 ここで火遁なんて使ったら燃えるに決まっているでござるよ主殿!!
 主殿は謝りながら100階下まで降りると、玄関を塞いでいた人形に向かって勢いよくタックルをかまし館の外にでようとする……が、扉はまるでビクともせず、外に出られない。


「焼け死にますわああああああ!!!」
『あんた!何てことしてくれてんのよ!!!!』


 主殿が慌てていると、館全体に響くような声が聞こえてきた。


『私の家に火なんてつけて!いったいどういうつもり!!!』


 少女の姿をした半透明の何かが天井をすり抜けながら出現した。


「幽霊ですわああああああああ!!!」
(幽霊でござるうううううううう!!)


 拙者と主殿は特大の悲鳴を上げるのだった。
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