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2部 4章
第二幕 4章 22話 作戦開始
しおりを挟むその後、個々のチームで綿密な作戦を練った私達は、隠れ家を出てそれぞれの襲撃場所へと移動した。
私が向かったのはお城、そしてメンバーは私とアンナとクダンだ。
部屋からほとんど出ないと言っていたクダンが来たのは正直意外であったが、どうやら彼も戦闘の心得があるようだ。と言っても、慣れていると言う訳ではないみたいだけど。
「それでここにいるのは3人なんだっけ?」
「ええ、白の傭兵団の男が二人……それとあなた方の言っていた人形が一体でしょう」
クダンたちの調べた情報によるとここには無表情な男が一人いたらしい。
前に戦ったギャーゴのような敵である。
ただ、外見からギャーゴではないようで別の個体になるのだろう。
とはいえ、特殊な能力を持っているだろうから気を付けないとね。
私達はお互いにはぐれないよう気を付けながら城へと侵入した。
敵の数も少ないので侵入は簡単である。
しばらく進むと、誰かの話し声が聞こえてきた。
私達は、壁に体を隠しながらその声の主を確認する。
男が二人、部屋の中を探索しながら話していた。
いや、どちらかというと一方的に一人の男が話している。
「ちっ……なんで天下の白の傭兵団がこんなことしなきゃいけねぇんだよ……俺は殺しを愉しみたいってのに……もの探しなんて雑魚のやることじゃねぇか……おいレオ!まだ見つからねぇのかよ!」
「検索結果……この部屋には何もありません」
「ちっ……また外れかよ……グラーゴの野郎はどこ行きやがった!さぼりやがって!」
「グラーゴ博士は頭脳担当です……代わりに私が働きます」
「あーあー、そうですかい!」
どうやら、この場にいるのは二人だけの様だ……出来れば、3人纏まっている時が良かったのだが……仕方ない。
「それじゃ、作戦通り行くよ……アンナ、任せていいんだね」
「……ええ」
私はアンナの方を見ると、そこには隠れ家で喚いていた女性の姿はなかった。
まるで感情が無くなったように目から光が消えている。
私はその眼を見たときに背筋が寒くなった……彼女の冷徹な目を怖いと思ったのだ。
「……行く」
そう呟いた瞬間、彼女はその場から消える。
足音もさせず、ぶつくさ文句を言っていた男の背後へと一瞬で移動したのだ。
「なっ!?……ぐあ!?」
いきなり背後に現れたアンナに驚き、相手の男は咄嗟にその場を飛びのく。
アンナの短剣は敵の二の腕を裂いた。
「お、おめぇ……アンナ!一体どういうつもりだ!!」
「……アンタを殺す」
「ちょっ、待て待て!俺らを裏切るってのか!?……それがどういう意味か分かってんのかよ!」
「……」
「ぐあ!?……ちょ、待てよ!レンの野郎がどうなってもいいってのか!?裏切ったら大将がアイツを狙うんだろ!?」
「……」
「ぐああああ!くそっ、意味が分からねぇ!だがよぉ!俺だってこのままやられるわけにはいかねぇ!殺し合いたいっていうんなら相手になってやるよ!」
アンナの攻撃は鋭く、躊躇いがない。
だが、相手もそれなりにやるのか寸でのところで致命傷を避けていた。
「おい、レオ!手を貸しやがれ!」
「了解」
「おっと、そうはいかないよ!」
アンナに向けて手をかざしたレオに私は風を纏ったバトーネを振り下ろした。
バトーネは見事に腕に当たり、レオの左腕を真っ二つに叩き折り破壊する。
「なっ、誰だ!?」
「へっへー、正義の魔女参上ってね♪」
「魔女?魔女ってあいつらが捜してる……いや、髪の色がちげぇ……コイツじゃねぇか……ってぐわっ!」
うん?魔女を探してる?
どういうことだろう、髪の色といえば、私は昔、栗色の髪の色をしていたけど、そう言うことじゃないよね?っと、今はそれどころじゃないね、レオと呼ばれた人形がこちらを向いて口を開けている……うん?なんで口をそんなにガバッと開けてるの?
私がその行動を疑問に思った瞬間、口が光だし、こちらに光線のようなものを放ってきた。
「って、ちょっ……か、風よ!」
慌てて風の結界を張り、私はその光線を防ぐ。
驚いた、そんな攻撃があるんだね……でも。
「今度はこっちの番だよ、闇の刃!」
私の放った闇の刃は正確に相手の首を狙う。
そして、相手の首を見事にとらえ、斬り裂いた。
「よし、一丁上がり!」
私がガッツポーズを取る。
だが、その行動を見てクダンが叫んだ。
「カモメさん、油断してはいけません!」
「ほえ?」
私がクダンの言葉で再びレオを見ると、首の無くなった体が動いている。
嘘、あれで死なないの!?
レオは残った右腕を私の方へ向けると、体の中に内蔵していた小型のミサイルのようなものを放ってきた。
「わっっと!」
私はそのミサイルをバトーネで叩き潰す。
小さな爆発起きたものの、私にダメージがある程ではなかった。
しかし、今度は落ちていた首のほうが動き、またも口から光線を放ってきた。
ちょっ、これじゃ敵が増えただけじゃん!
「ああ、もう!だったら動けなくなるくらい粉々にしてやる!氷束縛!」
私の唱えた氷の魔法がレオを拘束する。
氷で身動きの取れなくなったレオにもう一発、私は魔法を唱える。
「まずは体から!螺旋風槍 !」
螺旋状に飛んでいく風の槍がレオの身体を貫き、そして螺旋の力で粉々に引き裂いた。
機械で出来た彼の身体はバチバチと火花を散らしながら動かなくなる。
「これで終わりだね、風弾!」
レオの首に目掛けて放った風の弾が、彼の頭を粉々に粉砕した。
ふう……人形はそれ程強い敵と言う訳ではなさそうである……気を付けるのはその個体の持つ能力のほうかな?ギャーゴは空間を操っていたがこのレオはそう言うそぶりを見せていない。
となると、個体個体で得意なものが違うのか……最初に部屋に入る前にこの部屋を検索したと言っていた。それならば、彼は何かを探すのが得意な個体だったのかもしれない。
戦闘向きの個体じゃなかったのかな。
そう推察しながら、私はアンナ達の方をみるのだった。
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