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3章
魔王復活
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「急いでギルドに避難をしてください!」
アイナが魔族の襲撃から逃げてきた住民をギルドの中に避難をさせる。
アイナに聞いた話によるとギルドの地下には避難シェルターのような大きな地下室があるらしく、避難してきた人々はそこへと誘導されているのだ。
「きゃああああ!」
「何!?」
悲鳴のした方を見ると、尻餅をついた女性の近くを目玉のようなものが浮いている。
その姿に魔物と認識した避難を手伝っていた冒険者たちが武器を手に襲い掛かった。大柄の男性冒険者が斧を目玉に向けて振り下ろすが―――――――――――目玉はその斧に当たるも傷一つ付かなかった。
「氷柱弾《アイシクルショット》!」
魔導士であろう冒険者が魔法を放つ。
氷の弾丸が目玉に襲い掛かるが、目玉の前に現れたバリアーのようなものが氷の弾丸を弾き返した。
「危ない!」
弾き返された氷の弾丸は尻餅をついていた女性の方へと向かったので私はそれを風の結界で防ぐ。
「立ちなさい!はやくギルドに!」
「は、はい!」
女性は立ち上がると、アイナが誘導する方へと向かう、私は目玉を見据え相手を観察する。一人目の冒険者の攻撃が効かなかったのでこの目玉も魔族の可能性があるが、先ほどの氷の魔法を跳ね返したところ見ると魔族ではない?だが、とするとこれはなんだ?
―――――――どこかで見覚えがあるような?
「ディータさん!」
「アイナ、あなたも避難していなさい!」
「は、はい!」
ギルドの受付嬢であるアイナを避難させると、私は目の前の目玉に風の魔法をぶっ放す。目玉はそれをまたバリアーのようなもので弾き返した。
やっぱり、普通の魔法を防ぐのなら魔族ではないのか・・・とすると物理防御は高いけど魔法防御は弱い?こんな魔物は見たことがないので魔法生物といったところだろうか?
「ディータとはな・・・忌々しい名前の小悪魔よ・・・」
私の名前のどこが忌々しいっていうのよ!・・・と、一瞬ツッコミを入れそうになるが・・・・はて?
「どこかで会った事があるかしら?」
「貴様のようなチンチクリンの魔物になど、会ったことも無いわ!」
「誰がチンチクリンよ!」
「忌々しい女神と同じ名をしおって・・・その名に生まれたことを後悔するがいい!」
「・・・なんですって?」
目玉はその眼から光線を放ってくる。私の後ろにはギルドや冒険者がいる為、それを避けるわけにはいかず、風の結界で光線を防いだ。
それにしても・・・思い出した・・・見覚えがあるはずよ、この目玉私を殺した相手じゃないか。
そう、千年前の古の戦いの時も魔王はこの世界を去る際に今のような目玉で負け惜しみを言ってきた、あの時の目玉だ。
(やっぱり、戻ってきていたのね)
そして、魔王は帝国にいる・・・いや、帝国は魔王の創った国というわけか・・・。しかし、なぜそんなまどろっこしいことをしたの?
魔王の所在が分かったことは収穫ではあるが、魔王が舞い戻ってきていたのにすぐにこの世界を乗っ取ろうとしなかったことに違和感を覚えた。
―――――――――――すこし、探りを入れてみるか。
「あなた達、魔族は何を考えているのかしら?」
「ほう、我が帝国の兵が魔族であることに気付いたか」
「当然ね、魔族とは何度か出会っているもの」
「他の国とは違って優秀だな」
「他の国?」
「そうとも、我が帝国に降った国、滅ぼされた国、未だに抵抗する国とあるがほとんどの国は我が兵が魔族であることすら気づかなんだ」
つまり、すでにほかの国にも攻め込んでいるということか。まあ、最果ての国と言われている、このツァインにも攻め込んできているのだ、その可能性は十分に考えていた。
「なぜ、魔族が国なんて作っているの?」
「質問の多いやつよ・・・まあいい、その名を持つ者を二度も殺せるのだ、気分が良いので話してやろう。と言いたいところだが、ただの気まぐれよ、面白そうだから作ってみたにすぎん」
「はあ?」
ただの気まぐれでこんな面倒くさいことを?
いくらなんでもそんなわけはないだろう、言えない理由でもあるのだろうか?
「嘘が下手ね」
「何とでも言うが言い・・・さて、そろそろ死んでもらおうか、後ろの建物に避難した人間諸共な」
「残念だけど、おしゃべりが過ぎたみたいね?」
「なに?」
「うっふうううううううううん!!!」
目玉が疑問の声を上げると同時にバトルアックスと呼ばれる武器が目玉を真っ二つにした。
「レディ!」
「おまたせぇん、ディータちゃん♪」
「ナイスタイミングよ!」
先程の大柄の男性の斧の攻撃には傷一つ付かなかった魔王の目玉であったが、レディの一撃の前には一刀両断されるのであった。レディ・・・とんでもないわね。
「ほう・・・時間稼ぎであったか、油断した。まあよい、後はグラネルザに任せるとしよう」
そう言い残し、魔王の目玉は跡形もなく崩れ落ちた。
この戦いが終わった後、どうなってしまうのかしらね・・・魔王のあの言い方だと他にもまだ抵抗している国があるはずだ、その国と協力してなんとしても魔王を滅ぼさねばならない。
カモメ、これからが本当の戦いよ。
アイナが魔族の襲撃から逃げてきた住民をギルドの中に避難をさせる。
アイナに聞いた話によるとギルドの地下には避難シェルターのような大きな地下室があるらしく、避難してきた人々はそこへと誘導されているのだ。
「きゃああああ!」
「何!?」
悲鳴のした方を見ると、尻餅をついた女性の近くを目玉のようなものが浮いている。
その姿に魔物と認識した避難を手伝っていた冒険者たちが武器を手に襲い掛かった。大柄の男性冒険者が斧を目玉に向けて振り下ろすが―――――――――――目玉はその斧に当たるも傷一つ付かなかった。
「氷柱弾《アイシクルショット》!」
魔導士であろう冒険者が魔法を放つ。
氷の弾丸が目玉に襲い掛かるが、目玉の前に現れたバリアーのようなものが氷の弾丸を弾き返した。
「危ない!」
弾き返された氷の弾丸は尻餅をついていた女性の方へと向かったので私はそれを風の結界で防ぐ。
「立ちなさい!はやくギルドに!」
「は、はい!」
女性は立ち上がると、アイナが誘導する方へと向かう、私は目玉を見据え相手を観察する。一人目の冒険者の攻撃が効かなかったのでこの目玉も魔族の可能性があるが、先ほどの氷の魔法を跳ね返したところ見ると魔族ではない?だが、とするとこれはなんだ?
―――――――どこかで見覚えがあるような?
「ディータさん!」
「アイナ、あなたも避難していなさい!」
「は、はい!」
ギルドの受付嬢であるアイナを避難させると、私は目の前の目玉に風の魔法をぶっ放す。目玉はそれをまたバリアーのようなもので弾き返した。
やっぱり、普通の魔法を防ぐのなら魔族ではないのか・・・とすると物理防御は高いけど魔法防御は弱い?こんな魔物は見たことがないので魔法生物といったところだろうか?
「ディータとはな・・・忌々しい名前の小悪魔よ・・・」
私の名前のどこが忌々しいっていうのよ!・・・と、一瞬ツッコミを入れそうになるが・・・・はて?
「どこかで会った事があるかしら?」
「貴様のようなチンチクリンの魔物になど、会ったことも無いわ!」
「誰がチンチクリンよ!」
「忌々しい女神と同じ名をしおって・・・その名に生まれたことを後悔するがいい!」
「・・・なんですって?」
目玉はその眼から光線を放ってくる。私の後ろにはギルドや冒険者がいる為、それを避けるわけにはいかず、風の結界で光線を防いだ。
それにしても・・・思い出した・・・見覚えがあるはずよ、この目玉私を殺した相手じゃないか。
そう、千年前の古の戦いの時も魔王はこの世界を去る際に今のような目玉で負け惜しみを言ってきた、あの時の目玉だ。
(やっぱり、戻ってきていたのね)
そして、魔王は帝国にいる・・・いや、帝国は魔王の創った国というわけか・・・。しかし、なぜそんなまどろっこしいことをしたの?
魔王の所在が分かったことは収穫ではあるが、魔王が舞い戻ってきていたのにすぐにこの世界を乗っ取ろうとしなかったことに違和感を覚えた。
―――――――――――すこし、探りを入れてみるか。
「あなた達、魔族は何を考えているのかしら?」
「ほう、我が帝国の兵が魔族であることに気付いたか」
「当然ね、魔族とは何度か出会っているもの」
「他の国とは違って優秀だな」
「他の国?」
「そうとも、我が帝国に降った国、滅ぼされた国、未だに抵抗する国とあるがほとんどの国は我が兵が魔族であることすら気づかなんだ」
つまり、すでにほかの国にも攻め込んでいるということか。まあ、最果ての国と言われている、このツァインにも攻め込んできているのだ、その可能性は十分に考えていた。
「なぜ、魔族が国なんて作っているの?」
「質問の多いやつよ・・・まあいい、その名を持つ者を二度も殺せるのだ、気分が良いので話してやろう。と言いたいところだが、ただの気まぐれよ、面白そうだから作ってみたにすぎん」
「はあ?」
ただの気まぐれでこんな面倒くさいことを?
いくらなんでもそんなわけはないだろう、言えない理由でもあるのだろうか?
「嘘が下手ね」
「何とでも言うが言い・・・さて、そろそろ死んでもらおうか、後ろの建物に避難した人間諸共な」
「残念だけど、おしゃべりが過ぎたみたいね?」
「なに?」
「うっふうううううううううん!!!」
目玉が疑問の声を上げると同時にバトルアックスと呼ばれる武器が目玉を真っ二つにした。
「レディ!」
「おまたせぇん、ディータちゃん♪」
「ナイスタイミングよ!」
先程の大柄の男性の斧の攻撃には傷一つ付かなかった魔王の目玉であったが、レディの一撃の前には一刀両断されるのであった。レディ・・・とんでもないわね。
「ほう・・・時間稼ぎであったか、油断した。まあよい、後はグラネルザに任せるとしよう」
そう言い残し、魔王の目玉は跡形もなく崩れ落ちた。
この戦いが終わった後、どうなってしまうのかしらね・・・魔王のあの言い方だと他にもまだ抵抗している国があるはずだ、その国と協力してなんとしても魔王を滅ぼさねばならない。
カモメ、これからが本当の戦いよ。
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