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5章
出発
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「カモメ、ドラグ山脈へ行くわよ!」
唐突に扉が開かれ、ディータの声がカモメの部屋に響く。
その声に、ベッドに寝ていたカモメも、その隣でリンゴを向いていたクオンも驚いた表情をする。
「い、いきなりどうしたのディータ?」
「どうしたも何もないわよ、カモメを治すためにドラグ山脈へ行くわよ!」
「カモメの目が治るのか!?」
真っ先い反応したのはリンゴを向いていたクオンであった。
「んと……治るのは目?」
「それにその暴れている魔力よ!」
「え、本当に!?」
「ま、待つのじゃディータよ、余は治る可能性があるとしか……」
「ラガナが約束したわ!もし治らなければ今後カモメのペットになるそうよ!」
「言ってないのじゃあああああ!!」
珍しく、ラガナの叫びが木霊する。
そんな状況に困惑しながらもカモメは落ち着いて尋ねる。
「えっと、とりあえず、詳しく教えてよ……」
「だね」
クオンもそれに同意し、ディータは『仕方ないわね』と言いながらカモメの近くへと飛んで行く。
無論、ディータが唯々傍若無人なわけでも、空気が読めない訳でも、頭がおかしわけでもない。落ち込んでしまっているカモメを元気づける為にもワザと大袈裟に言っているのだ……多分。
「つまり、その竜の秘法ならカモメの魔力が暴れている原因を突き止められるかもしれないってことかい?」
「そう言う事よ、真実を知らせる魔導具ってくらいだし、過去まで見せることが出来るというのだから少なくても原因くらいは解ると思うわ」
「ええ、それにここで唯々時間を過ごしていても解決は出来ないもの、カモメちゃんの為にも行動しなきゃね♪」
ディータとアネルがそう言うと、カモメは少し考える。
目の見えない状況で、ドラグ山脈まで行けるのか?もし魔物に襲われたらカモメは足を引っ張ることになるだろう。それで誰かが怪我をすることになったら…。そう考えると二つ返事で行こうとは言えなかった。
「道中を心配しているのね?でも今回は私もついて行くから安心して頂戴」
「え、アネルさんも来てくれるの?」
ヴィクトールと同じ英雄のパーティに所属していたアネルが来てくれるのであれば心強いことこれ以上ない。
「もちろん、私も行くわよ」
「うむ、この話を持ち掛けた余もいくのじゃ」
アネルにディータ、そしてラガナも一緒に来てくれるという。
これにクオンとエリンシアを加えれば、そんじょそこらの魔物では危険にはならないだろう。
いや、魔族が来ても大丈夫な気がする。
「カモメ、僕も行った方がいいと思う。このままこうしていてもカモメが良くなるとは思えない……それなら多少きけんでもその竜の秘法に賭けたほうがいいと思う」
「そうだね……うん、わかった。ドラグ山脈に行ってみる……皆、迷惑かけると思うけどお願い」
「当然よ!」
カモメのその言葉に全員が大きくうなずいた。
話がまとまった頃、カモメに食べさせるために袋一杯のリンゴを買ってきたエリンシアがキョトンとした顔で部屋の中に入ってきたエリンシアをディータが捕まえると、説明もせずそのまま部屋を出た。
王様へはアネルが近くにいた女中に言伝を頼む。
そして、道すがら未だ状況を掴めていないエリンシアに説明をしながらドラグ山脈へと向かうのだった。
唐突に扉が開かれ、ディータの声がカモメの部屋に響く。
その声に、ベッドに寝ていたカモメも、その隣でリンゴを向いていたクオンも驚いた表情をする。
「い、いきなりどうしたのディータ?」
「どうしたも何もないわよ、カモメを治すためにドラグ山脈へ行くわよ!」
「カモメの目が治るのか!?」
真っ先い反応したのはリンゴを向いていたクオンであった。
「んと……治るのは目?」
「それにその暴れている魔力よ!」
「え、本当に!?」
「ま、待つのじゃディータよ、余は治る可能性があるとしか……」
「ラガナが約束したわ!もし治らなければ今後カモメのペットになるそうよ!」
「言ってないのじゃあああああ!!」
珍しく、ラガナの叫びが木霊する。
そんな状況に困惑しながらもカモメは落ち着いて尋ねる。
「えっと、とりあえず、詳しく教えてよ……」
「だね」
クオンもそれに同意し、ディータは『仕方ないわね』と言いながらカモメの近くへと飛んで行く。
無論、ディータが唯々傍若無人なわけでも、空気が読めない訳でも、頭がおかしわけでもない。落ち込んでしまっているカモメを元気づける為にもワザと大袈裟に言っているのだ……多分。
「つまり、その竜の秘法ならカモメの魔力が暴れている原因を突き止められるかもしれないってことかい?」
「そう言う事よ、真実を知らせる魔導具ってくらいだし、過去まで見せることが出来るというのだから少なくても原因くらいは解ると思うわ」
「ええ、それにここで唯々時間を過ごしていても解決は出来ないもの、カモメちゃんの為にも行動しなきゃね♪」
ディータとアネルがそう言うと、カモメは少し考える。
目の見えない状況で、ドラグ山脈まで行けるのか?もし魔物に襲われたらカモメは足を引っ張ることになるだろう。それで誰かが怪我をすることになったら…。そう考えると二つ返事で行こうとは言えなかった。
「道中を心配しているのね?でも今回は私もついて行くから安心して頂戴」
「え、アネルさんも来てくれるの?」
ヴィクトールと同じ英雄のパーティに所属していたアネルが来てくれるのであれば心強いことこれ以上ない。
「もちろん、私も行くわよ」
「うむ、この話を持ち掛けた余もいくのじゃ」
アネルにディータ、そしてラガナも一緒に来てくれるという。
これにクオンとエリンシアを加えれば、そんじょそこらの魔物では危険にはならないだろう。
いや、魔族が来ても大丈夫な気がする。
「カモメ、僕も行った方がいいと思う。このままこうしていてもカモメが良くなるとは思えない……それなら多少きけんでもその竜の秘法に賭けたほうがいいと思う」
「そうだね……うん、わかった。ドラグ山脈に行ってみる……皆、迷惑かけると思うけどお願い」
「当然よ!」
カモメのその言葉に全員が大きくうなずいた。
話がまとまった頃、カモメに食べさせるために袋一杯のリンゴを買ってきたエリンシアがキョトンとした顔で部屋の中に入ってきたエリンシアをディータが捕まえると、説明もせずそのまま部屋を出た。
王様へはアネルが近くにいた女中に言伝を頼む。
そして、道すがら未だ状況を掴めていないエリンシアに説明をしながらドラグ山脈へと向かうのだった。
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