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7章
ボルトル
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「ここはどこかしらぁん?」
「レディさん!」
薄暗い部屋に巨漢のおばちゃんと小さい男の子の姿がある。
レディとコロである。
「コロちゃん、ここが何処かわかるかしらぁん?」
「恐らく、異空間にあるヴァルネッサ城のどこかだと思います。あの時僕たちの下に現れたのは転移の魔法陣です……なので、僕らは皆、バラバラにされてしまったと思います」
「なるほどぉん、ということは、ここには敵が待ち受けているのかしらぁん?」
「あう……多分」
レディは背中に背負っていたウォーアクスを抜くとまだ見えない敵に備えて構える。
「見た目と違って、なかなか賢いのう……」
「誰かしらぁん?」
「ふぉっふぉっふぉ……これは失礼したの若いの……ワシはボルトル……十二神将を務めさせてもらっているジジイじゃよ」
「あらぁん、おじいちゃんにしてはお世辞がうまいわねぇん♪ピチピチギャルだなんてぇん♪」
「そこまで言うとらんわい」
「やっぱり、敵がいました……」
「当然じゃのう、お主等は魔王様のいるこのヴァルネッサ城に足を踏み入れたのじゃからのう」
怯えるコロを見て、笑うボルトル。
「しかし、拍子抜けじゃのう……闇の子の一味が来るというから期待しておったが……」
「あらぁん、私達じゃおじいちゃんの相手にもならないって言うのかしらぁん?」
「お主は魔法を使えない戦士タイプ……それも武器も普通の武器じゃな……そしてそっちの童は戦いに向いていないようじゃ……お主等では魔族にダメージを与えることも出来ないじゃろうて」
「……」
確かにその通りである。
レディは魔剣や聖武具の類を持っていない。その為、魔族に対してダメージを与える方法を持っていないのだ。そして、コロの得意分野は回復魔法である。自ら戦う戦闘向きの魔法ではない。
「慧眼ねぇん……年の功ってやつかしらぁん」
「ふぉっふぉっふぉ、かもしれぬのう……して、その役立たずの二人がどうやってワシと戦うのかの?」
「決まってるわぁん」
「ほう、方法があるのかの?」
「もちろんよぉん……私の愛のパワーでお爺さんにダメージを与えてあげるわぁん!」
そう言い、ボルトルに向かって奔り出すレデイ。
「ほう、本当に突っ込んでくるとは無謀よのう……ぬ?」
向かってくるレディの身体が淡く光る。
そして、ダメージを受けないからと、そのまま受けるつもりでいたボルトルは、その攻撃を慌てて躱すが、僅かにウォーアクスが掠る。
「むぅ……どういうことじゃ?」
「愛のパワーよぉん♪」
「たわけ、今のは光の魔法じゃな……魔法を使えるタイプには見えんかったが……いや、そうか、後ろの童の支援魔法かのう」
「ノーコメントよぉん!」
ボルトルの言う通り、レディの身体に掛けられているのはコロの支援魔法であった。
ミャアと組んでいる時であれば歌を使い、身体能力向上と共に魔族にダメージを与えられるようにできるのだが、あの根性パワーはミャアだけのものである。
その為、レディや他の兵士たちと組んだ時の為に真面目なコロは独学で支援魔法を習得していたのである。
「ふむ……ならば先に童を狙うかの」
ボルトルが持っていた杖を掲げると杖の先から黒い稲妻のようなものが迸る。
そして、それがコロ目掛けて奔りだした。
あわや、コロに当たるというところでその稲妻とコロの間にレディが割り込む。
そして……。
「いやぁああん!」
稲妻の直撃を受けるのであった。
「レディさん!!」
「ふぉっふぉっふぉ、自らダメージを受けに行くか……お主の愛とやら見せて貰ったぞい」
「あらぁん、私の愛はこんなもんじゃないわよぉん」
「その強がりはいつまで続くかのう……それ、避けると後ろの童にあたるぞ?」
再び、襲い掛かる稲妻をレディは避けずに受け止める。
数発……十数発の稲妻がレディを襲った。
「レディさん、避けてください!」
「もう、遅いわい、そ~れ、今度のは強烈じゃぞ!!」
先ほどまでとは違い、規模の大きい稲妻がレディを襲う。
レディはそれも避けずに自らの肉体で防いだ。
「レディさん!!」
「うっふうううううううううん!!!」
「なんじゃと!?」
巨大な稲妻の群れを受け、もう動けもしないのではないかと思われたレディであったが、独特な咆哮をあげ、再びボルトルへと突進をした。
レディのウォーアクスがボルトルに襲い掛かる。
ボルトルはウォーアクスを杖で受け止めるが、その威力に押し敗け、体ごと地面に叩きつけられた。
「ぐぬ……」
「あらぁん、お爺ちゃんには私の愛は強烈過ぎたかしらねぇん?」
「言うてくれるわい……それ!」
再び、稲妻を放つが、それをまともに喰らいながらも涼しい顔をしているレディ。
そして、稲妻を身体に受けながら再びウォーアクスを持ち上げた。
「なんと……効いとらんのかい?」
「あらぁん、効いてはいるわよぉん……我慢してるだけよん!!」
そして振り下ろされるウォーアクス……が、それはボルトルに届く前にレディは強烈な風の魔法を受け吹き飛ばされてしまった。
「なるほどのう……とんでもなく頑丈な奴じゃったか……お主、本当に人間かの?」
「あらぁん、そう言えば、指輪の力で人間の姿のままだったわねぇん……」
「……何じゃと?」
レディは指輪を自分の指から外し、ポケットへと治める…。
「なんじゃと……お主……魔物か?」
「そうよぉん……やっぱりこっちの姿の方が動きやすいわねぇん」
「なるほど異常種か……なぜ、魔物が人間の味方をするのじゃ?」
「あらぁん、そんなの当然じゃない……カモメちゃんたちとはお友達だからよぉん♪」
「友達じゃと?……ふざけているのう」
「大真面目よぉん」
魔物の姿に戻ったレディは再び構え、ボルトルを見るのであった。
「レディさん!」
薄暗い部屋に巨漢のおばちゃんと小さい男の子の姿がある。
レディとコロである。
「コロちゃん、ここが何処かわかるかしらぁん?」
「恐らく、異空間にあるヴァルネッサ城のどこかだと思います。あの時僕たちの下に現れたのは転移の魔法陣です……なので、僕らは皆、バラバラにされてしまったと思います」
「なるほどぉん、ということは、ここには敵が待ち受けているのかしらぁん?」
「あう……多分」
レディは背中に背負っていたウォーアクスを抜くとまだ見えない敵に備えて構える。
「見た目と違って、なかなか賢いのう……」
「誰かしらぁん?」
「ふぉっふぉっふぉ……これは失礼したの若いの……ワシはボルトル……十二神将を務めさせてもらっているジジイじゃよ」
「あらぁん、おじいちゃんにしてはお世辞がうまいわねぇん♪ピチピチギャルだなんてぇん♪」
「そこまで言うとらんわい」
「やっぱり、敵がいました……」
「当然じゃのう、お主等は魔王様のいるこのヴァルネッサ城に足を踏み入れたのじゃからのう」
怯えるコロを見て、笑うボルトル。
「しかし、拍子抜けじゃのう……闇の子の一味が来るというから期待しておったが……」
「あらぁん、私達じゃおじいちゃんの相手にもならないって言うのかしらぁん?」
「お主は魔法を使えない戦士タイプ……それも武器も普通の武器じゃな……そしてそっちの童は戦いに向いていないようじゃ……お主等では魔族にダメージを与えることも出来ないじゃろうて」
「……」
確かにその通りである。
レディは魔剣や聖武具の類を持っていない。その為、魔族に対してダメージを与える方法を持っていないのだ。そして、コロの得意分野は回復魔法である。自ら戦う戦闘向きの魔法ではない。
「慧眼ねぇん……年の功ってやつかしらぁん」
「ふぉっふぉっふぉ、かもしれぬのう……して、その役立たずの二人がどうやってワシと戦うのかの?」
「決まってるわぁん」
「ほう、方法があるのかの?」
「もちろんよぉん……私の愛のパワーでお爺さんにダメージを与えてあげるわぁん!」
そう言い、ボルトルに向かって奔り出すレデイ。
「ほう、本当に突っ込んでくるとは無謀よのう……ぬ?」
向かってくるレディの身体が淡く光る。
そして、ダメージを受けないからと、そのまま受けるつもりでいたボルトルは、その攻撃を慌てて躱すが、僅かにウォーアクスが掠る。
「むぅ……どういうことじゃ?」
「愛のパワーよぉん♪」
「たわけ、今のは光の魔法じゃな……魔法を使えるタイプには見えんかったが……いや、そうか、後ろの童の支援魔法かのう」
「ノーコメントよぉん!」
ボルトルの言う通り、レディの身体に掛けられているのはコロの支援魔法であった。
ミャアと組んでいる時であれば歌を使い、身体能力向上と共に魔族にダメージを与えられるようにできるのだが、あの根性パワーはミャアだけのものである。
その為、レディや他の兵士たちと組んだ時の為に真面目なコロは独学で支援魔法を習得していたのである。
「ふむ……ならば先に童を狙うかの」
ボルトルが持っていた杖を掲げると杖の先から黒い稲妻のようなものが迸る。
そして、それがコロ目掛けて奔りだした。
あわや、コロに当たるというところでその稲妻とコロの間にレディが割り込む。
そして……。
「いやぁああん!」
稲妻の直撃を受けるのであった。
「レディさん!!」
「ふぉっふぉっふぉ、自らダメージを受けに行くか……お主の愛とやら見せて貰ったぞい」
「あらぁん、私の愛はこんなもんじゃないわよぉん」
「その強がりはいつまで続くかのう……それ、避けると後ろの童にあたるぞ?」
再び、襲い掛かる稲妻をレディは避けずに受け止める。
数発……十数発の稲妻がレディを襲った。
「レディさん、避けてください!」
「もう、遅いわい、そ~れ、今度のは強烈じゃぞ!!」
先ほどまでとは違い、規模の大きい稲妻がレディを襲う。
レディはそれも避けずに自らの肉体で防いだ。
「レディさん!!」
「うっふうううううううううん!!!」
「なんじゃと!?」
巨大な稲妻の群れを受け、もう動けもしないのではないかと思われたレディであったが、独特な咆哮をあげ、再びボルトルへと突進をした。
レディのウォーアクスがボルトルに襲い掛かる。
ボルトルはウォーアクスを杖で受け止めるが、その威力に押し敗け、体ごと地面に叩きつけられた。
「ぐぬ……」
「あらぁん、お爺ちゃんには私の愛は強烈過ぎたかしらねぇん?」
「言うてくれるわい……それ!」
再び、稲妻を放つが、それをまともに喰らいながらも涼しい顔をしているレディ。
そして、稲妻を身体に受けながら再びウォーアクスを持ち上げた。
「なんと……効いとらんのかい?」
「あらぁん、効いてはいるわよぉん……我慢してるだけよん!!」
そして振り下ろされるウォーアクス……が、それはボルトルに届く前にレディは強烈な風の魔法を受け吹き飛ばされてしまった。
「なるほどのう……とんでもなく頑丈な奴じゃったか……お主、本当に人間かの?」
「あらぁん、そう言えば、指輪の力で人間の姿のままだったわねぇん……」
「……何じゃと?」
レディは指輪を自分の指から外し、ポケットへと治める…。
「なんじゃと……お主……魔物か?」
「そうよぉん……やっぱりこっちの姿の方が動きやすいわねぇん」
「なるほど異常種か……なぜ、魔物が人間の味方をするのじゃ?」
「あらぁん、そんなの当然じゃない……カモメちゃんたちとはお友達だからよぉん♪」
「友達じゃと?……ふざけているのう」
「大真面目よぉん」
魔物の姿に戻ったレディは再び構え、ボルトルを見るのであった。
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