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2部 2章
運命
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「おはよー」
私は、背伸びをし、ベッドで凝り固まった体を伸ばす。
「おはよう、カモメ」
「ふぁあ~、皆は?」
「ディータは冒険者ギルドに良い依頼がないか探しに行って、エリンシアとレンは昨日貰った武器の練習に行ったよ」
おお、皆早起きだねぇ……。
「あ、おばちゃん、朝食セット一人前おねがーい」
「何言ってんだい、もう昼の時間だよ。」
「ありゃ、そうなの?じゃあ、ランチで」
「まったく、闇の魔女様は朝に弱いんだねぇ。待っときな、すぐに目が覚めるほど美味しいランチを用意してやるから」
「わーい♪」
私は、おばちゃんの美味しいランチを待ちながら、クオンと他愛のない話をする。
その時、ふと外を見てみると、一人の男に目が留まった。
「ん?どうしたのカモメ?」
「あの人……」
「あれは……昨日の」
男は冷たい目をし、時折、目線だけをキョロキョロと動かしている。
「誰か探してる?」
「みたいだね……」
私は、ランチを食べながら、その男の様子を見る……すると、男は路地裏へと歩いていった。
「何者だろう……」
「やっぱり、クオンも気になるよね」
「うん、あの眼はまともな人間に出来る眼じゃないからね……」
「………うん」
人の生き死にに興味のない冷血な眼と言えばいいのだろうか……その眼を見るだけで私の背筋がゾッとする……。
「駄目だ、気になる!」
「まったく、君って子は……絶対、碌なことにならないよ?」
「かもね……でも、それで誰かが不幸になっちゃったら嫌だもん」
私の勘違いならあの男の人にごめんなさいをすればいい。
でも、もし私の勘が当たっているのであれば見過ごすわけにはいかないよね。
昨日と違い、あの男が何かを探している風に見えたのも気になる。
まるで獲物を探すハンターのような感じだった。
「仕方ない、行ってみようか」
「ありがと、クオン♪」
私達は、おばちゃんにご馳走様を言い。
男が入っていった路地裏へと駆け出したのだった。
================================
私、メリッサは路地裏の物陰に隠れていた。
昨日、冷たい眼を持つ男に大事な護衛を殺され、私は逃げ出した。
ここの領主の館に闇の魔女に会うために行ったのだが、私一人では門番の人に信じてもらえず追い返されてしまったのだ。
子供が英雄になった闇の魔女に会うために嘘をついていると思われたのだろう。
私の歳は14歳、子供と言われるほど幼くはないのだが、私の身長はあまり高くない……いや、見栄を張っても仕方がないので正直に言おう。私はものすごくちっちゃい。
この背丈のせいで、私は大人にみられることなどほとんどないし、年相応に思われることもない。
それが、今回悪い方向に働いたのだ。
私は必死に門番を説得した。
だが、門番もおいそれとそれを信用しては仕事を全うしているとは言えないのだろう。
私の言葉に耳を貸そうともしなかったのだ。
このままではいずれ奴に追いつかれる……そうなれば、門番の人も館にいる人間も殺されてしまう。
それは避けたかった。
だから私は、館に入ることを諦め、必死に逃げていた。
私はまだ14歳だ……王族が社交場に出るのは15歳からとなっている。その為、私はまだそれほど顔を知られてはいない。だから門番の人が私の顔を知らなくて姫だと信じてもらえなくても仕方がない……仕方がないのだ……。
…………でも。
「お父様、お母様……ジュダ……アンバー」
………大切な人がいなくなった。
私の周りの大切な人が……。
どうして、どうしてこうなるの……。
「安心しろ、すぐにお前もあいつらに会える」
「っ!?」
背筋がゾッとする。
ジュダをアンバーをそしてお母様を殺した男が目の前にいた。
見つかった……闇の魔女に出会う前に……そんな……ジュダ……アンバー……ごめんなさい。
===================================
「うーん、確かこっちの方に行ったんだけどなぁ」
「手分けをして探そうか?」
「そうだね、じゃあ、私はこっちを探すよ」
「了解、じゃあ僕は向こうだね」
先ほどの男を見失ってしまった私達は、手分けをして探すことにした。
見失ったとはいえ、それ程遠くには行っていないだろう。
空から探せばすぐ見つかるかな……私はそう考えて風の魔法で空を飛ぶ。
「うーん、いないなぁ……あ」
空から探しても見つからないなぁと思っていたその時、路地裏の物の陰にそれらしき男を発見した。
「見つけた……こんなところで何をしてるんだろう……やっぱり怪しいよね」
人を見かけで判断するのは良いことではない……が、あの人の放つ異様な殺気……押し殺しているんだろうけど微妙に感じるその殺気は私を不安にさせる。
そして……、その不安は当たっていた。
「いけないっ!」
男の前には路地裏に置かれた物で隠れていたが、少女が一人座っていた。
その少女に向かって男は持っていたショートソードのような剣を抜く。
「風弾!」
私は咄嗟に男に向かって風の魔法を放った。
完全に不意打ちになったはずなのだが、男はそれに気づき、大きく後ろにジャンプし躱した。
「アンタ、一体何やってるの!」
私はバトーネを抜き、少女と男の間に割って入る。
「大丈夫?」
「………え?」
少女は眼に涙を浮かべていた。
その子の涙を見た瞬間私の頭に血が上る。
その子の涙はとても悲しい……なぜかそう思える涙であった。
ううん、その子の泣いている姿に自分の泣いている姿が重なったような気がした。
「アンタ、なんでこの子を殺そうとしたの?」
「仕事だ……邪魔をするならお前も殺す」
「やれるものならやってみなさい!」
「駄目、逃げて!貴方まで死んじゃう!!」
「死なないよ、それに逃げない……私は冒険者だもん!」
そう言って、私は構えたバトーネに力を入れる。
あいつが強いのは私にも解る……けど、負けるもんか!
私は、背伸びをし、ベッドで凝り固まった体を伸ばす。
「おはよう、カモメ」
「ふぁあ~、皆は?」
「ディータは冒険者ギルドに良い依頼がないか探しに行って、エリンシアとレンは昨日貰った武器の練習に行ったよ」
おお、皆早起きだねぇ……。
「あ、おばちゃん、朝食セット一人前おねがーい」
「何言ってんだい、もう昼の時間だよ。」
「ありゃ、そうなの?じゃあ、ランチで」
「まったく、闇の魔女様は朝に弱いんだねぇ。待っときな、すぐに目が覚めるほど美味しいランチを用意してやるから」
「わーい♪」
私は、おばちゃんの美味しいランチを待ちながら、クオンと他愛のない話をする。
その時、ふと外を見てみると、一人の男に目が留まった。
「ん?どうしたのカモメ?」
「あの人……」
「あれは……昨日の」
男は冷たい目をし、時折、目線だけをキョロキョロと動かしている。
「誰か探してる?」
「みたいだね……」
私は、ランチを食べながら、その男の様子を見る……すると、男は路地裏へと歩いていった。
「何者だろう……」
「やっぱり、クオンも気になるよね」
「うん、あの眼はまともな人間に出来る眼じゃないからね……」
「………うん」
人の生き死にに興味のない冷血な眼と言えばいいのだろうか……その眼を見るだけで私の背筋がゾッとする……。
「駄目だ、気になる!」
「まったく、君って子は……絶対、碌なことにならないよ?」
「かもね……でも、それで誰かが不幸になっちゃったら嫌だもん」
私の勘違いならあの男の人にごめんなさいをすればいい。
でも、もし私の勘が当たっているのであれば見過ごすわけにはいかないよね。
昨日と違い、あの男が何かを探している風に見えたのも気になる。
まるで獲物を探すハンターのような感じだった。
「仕方ない、行ってみようか」
「ありがと、クオン♪」
私達は、おばちゃんにご馳走様を言い。
男が入っていった路地裏へと駆け出したのだった。
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私、メリッサは路地裏の物陰に隠れていた。
昨日、冷たい眼を持つ男に大事な護衛を殺され、私は逃げ出した。
ここの領主の館に闇の魔女に会うために行ったのだが、私一人では門番の人に信じてもらえず追い返されてしまったのだ。
子供が英雄になった闇の魔女に会うために嘘をついていると思われたのだろう。
私の歳は14歳、子供と言われるほど幼くはないのだが、私の身長はあまり高くない……いや、見栄を張っても仕方がないので正直に言おう。私はものすごくちっちゃい。
この背丈のせいで、私は大人にみられることなどほとんどないし、年相応に思われることもない。
それが、今回悪い方向に働いたのだ。
私は必死に門番を説得した。
だが、門番もおいそれとそれを信用しては仕事を全うしているとは言えないのだろう。
私の言葉に耳を貸そうともしなかったのだ。
このままではいずれ奴に追いつかれる……そうなれば、門番の人も館にいる人間も殺されてしまう。
それは避けたかった。
だから私は、館に入ることを諦め、必死に逃げていた。
私はまだ14歳だ……王族が社交場に出るのは15歳からとなっている。その為、私はまだそれほど顔を知られてはいない。だから門番の人が私の顔を知らなくて姫だと信じてもらえなくても仕方がない……仕方がないのだ……。
…………でも。
「お父様、お母様……ジュダ……アンバー」
………大切な人がいなくなった。
私の周りの大切な人が……。
どうして、どうしてこうなるの……。
「安心しろ、すぐにお前もあいつらに会える」
「っ!?」
背筋がゾッとする。
ジュダをアンバーをそしてお母様を殺した男が目の前にいた。
見つかった……闇の魔女に出会う前に……そんな……ジュダ……アンバー……ごめんなさい。
===================================
「うーん、確かこっちの方に行ったんだけどなぁ」
「手分けをして探そうか?」
「そうだね、じゃあ、私はこっちを探すよ」
「了解、じゃあ僕は向こうだね」
先ほどの男を見失ってしまった私達は、手分けをして探すことにした。
見失ったとはいえ、それ程遠くには行っていないだろう。
空から探せばすぐ見つかるかな……私はそう考えて風の魔法で空を飛ぶ。
「うーん、いないなぁ……あ」
空から探しても見つからないなぁと思っていたその時、路地裏の物の陰にそれらしき男を発見した。
「見つけた……こんなところで何をしてるんだろう……やっぱり怪しいよね」
人を見かけで判断するのは良いことではない……が、あの人の放つ異様な殺気……押し殺しているんだろうけど微妙に感じるその殺気は私を不安にさせる。
そして……、その不安は当たっていた。
「いけないっ!」
男の前には路地裏に置かれた物で隠れていたが、少女が一人座っていた。
その少女に向かって男は持っていたショートソードのような剣を抜く。
「風弾!」
私は咄嗟に男に向かって風の魔法を放った。
完全に不意打ちになったはずなのだが、男はそれに気づき、大きく後ろにジャンプし躱した。
「アンタ、一体何やってるの!」
私はバトーネを抜き、少女と男の間に割って入る。
「大丈夫?」
「………え?」
少女は眼に涙を浮かべていた。
その子の涙を見た瞬間私の頭に血が上る。
その子の涙はとても悲しい……なぜかそう思える涙であった。
ううん、その子の泣いている姿に自分の泣いている姿が重なったような気がした。
「アンタ、なんでこの子を殺そうとしたの?」
「仕事だ……邪魔をするならお前も殺す」
「やれるものならやってみなさい!」
「駄目、逃げて!貴方まで死んじゃう!!」
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