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2部 3章
救援者
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「王女ちゃん!!」
「きゃあ!!」
エルフの集落の東側でも戦いは続けられている。
ローラとメリッサは次々と湧き出てくる骸骨達を片っ端から倒していくが、倒した瞬間次の骸骨が現れる。
そんな状況に二人の疲労は溜まっていく一方であった。
そして、とうとうその疲労がピークにきたのか、メリッサの集中力が乱れ始める。
背後に近づいた骸骨に気づかず、その手に持っていたショートソードで背中を斬り裂かれた。
直前にローラが危険を知らせた為、深手にはならずに済んだのだが、回避することは出来ず、背中から赤い血を流すこととなった。
「王女ちゃん大丈夫!」
ローラはメリッサに手傷を負わせた骸骨を持っている鞭で粉砕し、メリッサに駆け寄る。
「大丈夫です……ごめんなさい油断しました」
「仕方ないわ……この数だもの……」
何匹も何十匹も倒しているはずであるのに、敵の数は一向に減らない。
その状況に、ローラたちの心はどんどんと沈んで行っていた。
ただでさえ、ローブの骸骨との戦いで全力を出し切ってしまったというのに敵はまだ現れるのだ……ローラの心にはあきらめの言葉が浮かび始めていた。
「王女ちゃん……逃げなさい……ここは私が食い止めるから」
「っ!……嫌です」
「意地を張っている場合じゃないわよ……あなたが死んだら魔女ちゃんが悲しむわよ」
「ローラさんが死んだら私が悲しいです」
「っ!!」
「私はローラさんを見捨てたり出来ません……だから一人で逃げたりしません」
「………ああん、もうっ……勝手にしなさい!」
「はい、勝手にします」
怒るような口調で言うローラであったが、その口元は緩んでいた。
そして、諦め始めていたローラの心は奮い立つ……絶対にメリッサを生かすために……そう思って、鞭を構えた瞬間……目の前にいた骸骨達が何かに貫かれてばらばらとなった。
「な、何!?」
「強気射!」
再び、横から声が聞こえ、何かが放たれる。
放たれたソレは骸骨達を貫き粉砕していった。
「大丈夫ですか!」
何かを放った者とは別の者がこちらに近づいてきて声を掛けてくる。
「……エルフ?」
ローラはその近寄ってきた少女の耳を見て、そう呟いた。
「まだ、生き残りがいたのね」
ローラは周りで石像になっているエルフたちが元には戻っていないことを確認して、言葉を呟く。
もしかしたら、カモメが災厄の魔女を倒し、石化を解いたのかもしれないと思ったからだ。
だが、石像はそのままである……まだ、魔女の呪いは解けていないようだ……ということは今目の前にいるエルフの少女は石化を逃れた者なのだろうか?
「いえ、私はこの村のエルフではありません……ローラさんと、メリッサさんですよね」
「そうよ……なぜ名前を知っているのかしら?」
ローラは警戒する。
そんな都合よく助けが来るとは思えないからだ……いや、来るのだとしても誰ともわからないエルフが来るというのはおかしな話である……もしかしたら、レンシアの手先かもしれない。
「大丈夫、私はクオンさんやカモメさんの知り合いです……集落の入り口でクオンさんに会って貴方達の事を聞きました。リーナと申します……あっちで弓を射っているのがコハク兄さまです……そして」
「グオオオオオオオオオオ!!」
「モンスター!?」
「あ、大丈夫です。私の相棒のヒスイ……ガルディアンヴォルフというモンスターですが、私の友達です」
「友達……あの魔物が?」
ペット召喚と言うスキルを持つローラであるが、ローラのスキルではあれほど強力な魔物を使役できるとは思えない……なぜなら、強い魔物はそれだけプライドもあるのだ。だから人間の下にはつかない……その為、ローラのペットにはならないだろう……だが、目の前の少女は魔物が友達と言った……そうか、下につけると考えるからいけないのだ……心を通わせれば自分のスキルももっと活用できるのではないだろうか……そう思ったローラだが、今はそれよりもこのピンチを切り抜けねばならない……目の前の少女たちを信用していいのだろうか……解らないが、それしかこの場を切り抜ける方法が無いのも確かだ……。
「ローラさん、この方たちは嘘を言っておりません……大丈夫です」
「王女ちゃん……そう、貴方が言うのなら大丈夫ね……」
「信用していただけたみたいですね、ではそちらの方の治療をさせていただきます」
そう言うと、リーナはメリッサに近づき、治療の魔法を使う。
みるみると回復していくメリッサの背中を見ながら、ローラはホッと安堵した。
「クオンちゃんの知り合いだって言っていたけどどうしてそんな子がこの森に来たのかしら?」
「私達はある国の王様と共にこの大陸の方たちと友好を結ぶためにやってきました、そして、最初に着いた街でカモメさんたちの噂を聞き、領主さまとお会いしたのです。その時、カモメさん達がこの森のエルフたちに協力を要請しに来ていると聞き、それなら、エルフである私達が役に立てるかもしれないとやってきまのですが……」
まさかこんなことになっているとはとリーナは言った。
確かに筋は通っている……だが……ある国の王様とはいったい誰の事だろう……いや、決まっているか。
確か闇の魔女であるカモメちゃんは結界の中から来たと聞いたことがある……つまりこの子たちも……。
だとすれば、あの弓を扱う少年とヒスイと呼ばれたガルディアンヴォルフがみるみると骸骨達を葬っていくのもうなずけるというものだ……結界の中の人間は皆、あんなに強いのだろうか……まあいいか、とりあえず、今回も生き延びることが出来そうだと、ローラを一息つくことが出来た。
「きゃあ!!」
エルフの集落の東側でも戦いは続けられている。
ローラとメリッサは次々と湧き出てくる骸骨達を片っ端から倒していくが、倒した瞬間次の骸骨が現れる。
そんな状況に二人の疲労は溜まっていく一方であった。
そして、とうとうその疲労がピークにきたのか、メリッサの集中力が乱れ始める。
背後に近づいた骸骨に気づかず、その手に持っていたショートソードで背中を斬り裂かれた。
直前にローラが危険を知らせた為、深手にはならずに済んだのだが、回避することは出来ず、背中から赤い血を流すこととなった。
「王女ちゃん大丈夫!」
ローラはメリッサに手傷を負わせた骸骨を持っている鞭で粉砕し、メリッサに駆け寄る。
「大丈夫です……ごめんなさい油断しました」
「仕方ないわ……この数だもの……」
何匹も何十匹も倒しているはずであるのに、敵の数は一向に減らない。
その状況に、ローラたちの心はどんどんと沈んで行っていた。
ただでさえ、ローブの骸骨との戦いで全力を出し切ってしまったというのに敵はまだ現れるのだ……ローラの心にはあきらめの言葉が浮かび始めていた。
「王女ちゃん……逃げなさい……ここは私が食い止めるから」
「っ!……嫌です」
「意地を張っている場合じゃないわよ……あなたが死んだら魔女ちゃんが悲しむわよ」
「ローラさんが死んだら私が悲しいです」
「っ!!」
「私はローラさんを見捨てたり出来ません……だから一人で逃げたりしません」
「………ああん、もうっ……勝手にしなさい!」
「はい、勝手にします」
怒るような口調で言うローラであったが、その口元は緩んでいた。
そして、諦め始めていたローラの心は奮い立つ……絶対にメリッサを生かすために……そう思って、鞭を構えた瞬間……目の前にいた骸骨達が何かに貫かれてばらばらとなった。
「な、何!?」
「強気射!」
再び、横から声が聞こえ、何かが放たれる。
放たれたソレは骸骨達を貫き粉砕していった。
「大丈夫ですか!」
何かを放った者とは別の者がこちらに近づいてきて声を掛けてくる。
「……エルフ?」
ローラはその近寄ってきた少女の耳を見て、そう呟いた。
「まだ、生き残りがいたのね」
ローラは周りで石像になっているエルフたちが元には戻っていないことを確認して、言葉を呟く。
もしかしたら、カモメが災厄の魔女を倒し、石化を解いたのかもしれないと思ったからだ。
だが、石像はそのままである……まだ、魔女の呪いは解けていないようだ……ということは今目の前にいるエルフの少女は石化を逃れた者なのだろうか?
「いえ、私はこの村のエルフではありません……ローラさんと、メリッサさんですよね」
「そうよ……なぜ名前を知っているのかしら?」
ローラは警戒する。
そんな都合よく助けが来るとは思えないからだ……いや、来るのだとしても誰ともわからないエルフが来るというのはおかしな話である……もしかしたら、レンシアの手先かもしれない。
「大丈夫、私はクオンさんやカモメさんの知り合いです……集落の入り口でクオンさんに会って貴方達の事を聞きました。リーナと申します……あっちで弓を射っているのがコハク兄さまです……そして」
「グオオオオオオオオオオ!!」
「モンスター!?」
「あ、大丈夫です。私の相棒のヒスイ……ガルディアンヴォルフというモンスターですが、私の友達です」
「友達……あの魔物が?」
ペット召喚と言うスキルを持つローラであるが、ローラのスキルではあれほど強力な魔物を使役できるとは思えない……なぜなら、強い魔物はそれだけプライドもあるのだ。だから人間の下にはつかない……その為、ローラのペットにはならないだろう……だが、目の前の少女は魔物が友達と言った……そうか、下につけると考えるからいけないのだ……心を通わせれば自分のスキルももっと活用できるのではないだろうか……そう思ったローラだが、今はそれよりもこのピンチを切り抜けねばならない……目の前の少女たちを信用していいのだろうか……解らないが、それしかこの場を切り抜ける方法が無いのも確かだ……。
「ローラさん、この方たちは嘘を言っておりません……大丈夫です」
「王女ちゃん……そう、貴方が言うのなら大丈夫ね……」
「信用していただけたみたいですね、ではそちらの方の治療をさせていただきます」
そう言うと、リーナはメリッサに近づき、治療の魔法を使う。
みるみると回復していくメリッサの背中を見ながら、ローラはホッと安堵した。
「クオンちゃんの知り合いだって言っていたけどどうしてそんな子がこの森に来たのかしら?」
「私達はある国の王様と共にこの大陸の方たちと友好を結ぶためにやってきました、そして、最初に着いた街でカモメさんたちの噂を聞き、領主さまとお会いしたのです。その時、カモメさん達がこの森のエルフたちに協力を要請しに来ていると聞き、それなら、エルフである私達が役に立てるかもしれないとやってきまのですが……」
まさかこんなことになっているとはとリーナは言った。
確かに筋は通っている……だが……ある国の王様とはいったい誰の事だろう……いや、決まっているか。
確か闇の魔女であるカモメちゃんは結界の中から来たと聞いたことがある……つまりこの子たちも……。
だとすれば、あの弓を扱う少年とヒスイと呼ばれたガルディアンヴォルフがみるみると骸骨達を葬っていくのもうなずけるというものだ……結界の中の人間は皆、あんなに強いのだろうか……まあいいか、とりあえず、今回も生き延びることが出来そうだと、ローラを一息つくことが出来た。
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