破滅の魔王は逆行した世界で幽霊聖女に憑りつかれる!

遙かなた

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第一章

5話 笑顔は難しい2

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「聖女式、人との接し方……だと?」

『そうよ、私が聖女の時にやっていた方法よ。これなら目つきの悪いアンタでも人に好かれるようになるわ!』


 何?そんな方法があるというのか!……って誰の目つきが悪いかっ!……ちょっと釣り目なだけだ。


『まずはその愛想のない表情ね。人を笑顔にさせたいのなら先ず、貴方が笑顔を身につけなさい!』

「なに!?」


 笑顔を身に着ける……俺がか!?


『笑顔ってのはね、人を安心させる効果があるもんよ。』

「安心……俺とは程遠い言葉だと思うが……」

『そんなことないわよ。やる前から無理だと思うなんて男が廃るんじゃない?』

「ぐっ……一体どうしたらいい?」

『簡単よ、目を細めて相手のことを思いやって子供を見る時みたいに優しく微笑むの。』


 目を細める……相手のことを思いやるというのはよく解らんが微笑めばいいのだな。

 俺は聖女の言うように目を細め微笑んで聖女を見てみた。


『は?ケンカ売ってるの?』

「売っとらんわ!微笑んだのだろうが!!!」

『今ののどこが微笑んでるのよ。キレ顔でガンつけられたようにしか見えないわよ!子供泣くわ!』

「だが、貴様の言う通りにやったではないか!」

『どこがじゃ!!……はあ、微笑めない?そんなはず無いんだけど』


 聖女がブツブツと独り言を言い始めた。
 だが、俺も精いっぱいやっているのだ……ホントだぞ。

『アンタ、婚約者の笑顔を覚えているって言ったわね』

「ああ」

『脳裏に焼き付いている?』

「脳裏にというか、まあ、すぐに思い出せる程度には」


 その時、何があって彼女が笑顔になったのかは覚えていないがあの笑顔だけは忘れない。
 俺の人生で一番の安らぎだった……そんな気がするのだ。


『いいわ、その笑顔を思い出してその婚約者が目の前にいると思ってみて』

「む、難しいな」


 婚約者……大人になった後の姿ではなく。あの時の少女の姿の彼女を思い出す。
 そうだ、俺はあの笑顔の為に頑張ろうと……破壊の力しかない呪われた王子であるこの俺でも彼女を笑顔に出来た。それが嬉しくて……あの時の笑顔が護れればいいと……そう、思ったはずだ。

 ふっ……子供の時とはいえ俺はあの時、彼女に救われていたのかもしれんな。


『あっ……出来るじゃない』

「ん?何のことだ?」


 少しはにかんだ、嬉しそうな顔で聖女は俺のことを見ていた。その顔を見て俺はドキリとしてしまう。
 まるであの時の婚約者の笑顔と重なって見えたのだ。


『今の優しい笑顔ならアンタを怖がったりしないわよ』

「そ、そうか……自分では分らんが婚約者の顔を思い浮かべながらしゃべりかければいいのだな?」

『ム……そうよ。解ったらさっさとメイドを追いかけなさい!』


 聖女はむくれながら言うと俺の背中をバシリと叩く……幽霊なので叩けてはいないが。


「いや、だがこれだけでは笑顔にはできんだろう!?ミッションは笑顔にさせることだぞ?」

『大丈夫よ、その都度私がアドバイスするわ!』

「そ、そうか……ん?というか貴様の姿はメイドには見えていないのか?」

『アンタねぇ、今頃気付いたの?そうに決まってるでしょ?そうじゃなかったら王子の寝室に幽霊がいたとあのメイドが騒いでるじゃない』


 た、確かにその通りだと思いながら俺はメイドを追いかけるため部屋から駆け出したのだった。

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5話目になります
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