葡萄の国から

一郎丸ゆう子

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2話 次男は癒す

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そして、次男は扉の向こうへ行き、新しい薬を作り、たくさんの人の病気やけがを治し、たくさん感謝された。


でも、どんな薬でも治らない病気は無くすことはできず、恨まれることさえもあった。


それでも次男は、新しい薬や新しい方法をたくさん考え、たくさんの人を助けたけれど、とうとう時間切れになって葡萄の国へ帰らなければならなかった。


やり切った達成感もあったけど、救えなかったことへの無力感も大きかった。でも、ここではそんな心の傷も葡萄のしずくがすぐに癒してくれる。


「ドアの向こうの人も、この国のことを知れば、心が病むこともなくなって、病気になることもなくなって、不安が消えて争いもなくなるんじゃないかな」




次男の悲しそうな声を聞いて三男は


「じゃあ、今度は僕がそれをみんなに教えに行くよ」


「それは素晴らしいことだが、とても難しいことだよ。ドアの向こうからはこの国は見えないし、私たちの声も聞こえない。それをドアの外の言葉だけで伝えるのは想像を超える困難が待っているんだ」


「それでも行かなくちゃ」

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