葡萄の国から

一郎丸ゆう子

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3話 三男は語る

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三男はたくさんの人々に葡萄の国のことを教え、平和の素晴らしさを教えていった。



でも、三男ひとりでは世界中の人に伝えるには時間が少なく、力の限り叫んでも、世界の隅々まで声を届けるにはまだまだ声が小さかった。


だから、伝えた人にまた伝えてくれ、そして君が伝えた人に、ほかの人にも伝えてくれるように頼んでほしいと頼んだ。


でも、人から人へ伝えるうちにだんだん意味が伝わらなくなっていった。


そして、最後には嘘つきと言われ扉の向こうへ追い返されてしまった。




「お帰り」

「ただいま」

葡萄の家族に迎えられ、三男は元気を取り戻した。

「もっともっと僕の声でみんなに伝えたかったけど、扉の向こうの世界は広くて、せいいっぱい叫んでも世界中には聞こえなかった。もっと大きな声が出せるようになったら、世界中に僕の声を届けられたのかな」



それを聞いて歌の得意な四男が


「じゃあ、僕の歌でみんなに伝えよう」


と言いました。


それは、今まで誰もやったことがないことだったので、誰も想像がつきませんでした。


でも、誰も試したことがないからこそ、今度こそうまくいくかも。葡萄の国のみんなの期待が集まります。

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