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獣の祭り1
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「……本当に、この道で合ってるんでしょうか?」
「一応、こっちに道は続いてるな……だいぶ細くはなってきたが……」
レイが白い息を吐いて疑問を呟くと、ダズが次の村へ続く道を眺めようと、目を細めた。
銀の不死鳥と鉄竜の鱗メンバーは、獣の祭りが開催されているというガレッソ村へ向かっていた。
ガレッソ村は、山の麓の猟師の村らしく、一行は村へ続く細い道をたどり、森の奥へ奥へと進んでいた。
「ここら辺は、結構魔力が豊富だね」
「玉型の精霊も、いろんな種類がいますね」
「森が豊かな証拠だな」
雪降り積もる冬の森には、さまざまな種類の玉型の精霊がふわふわと浮かび、白銀の世界に、青、水色、黄色、オレンジ、緑とキラキラと淡い彩りを添えていた。
道端では氷蓮華が、その青白く冷たい花を咲かせていて、ちょうど見頃のようだ。
しばらく小道をたどって行くと、レイがぴくりと止まった。薄く展開していた探索魔術に、何かが引っかかったのだ。
「……何か異様に強い魔力が近づいて来てます」
「しーーっ! 静かに」
カタリーナはレイの腕を引っ張って、大木の影に身を隠すと、息を潜めた。
ズシン、ズシンと大きな何かが移動して来る足音が、遠くから響いて来た。
大地を揺らして、大岩のように巨大なうさぎ型の魔物が、こちらにやって来た——ジャッカロープだ。
額から生えた鹿角は、樹木のように育ち、りんっと鈴の音が鳴る小さな赤い実がなっていた。
大理石のように真っ白い毛皮で、お尻から背中にかけては、長く生きすぎたためか深緑色に苔むしている。ちょっとした大岩のような姿だ。
ジャッカロープがドシンと歩んだ跡からは、彼女の魔力にあてられた下草や小枝が、蛍のようにぼーっと魔力の光を放っていた。
玉型の精霊たちも、好んで彼女の周りを飛んでいるようで、チカチカと光り輝いて、より神秘的な雰囲気に拍車をかけている。
「わぁ……神秘的ですね」
「うさぎ系の魔物で、ここまで力があるのは彼女ぐらいじゃないかな。何万年も生きてるって噂だよ」
レイが小さく感嘆の声をあげると、ルーファスがその耳元で囁いた。
「わっ!? こっちを見ました!」
ジャッカロープの大きく長い耳がピクリと動き、顔をこちらに向けてきた。その黒い瞳でレイたちを見つめてきたかと思うと、ポンッと弾けるような軽い音がした。
「みゅっ?」
ふわふわの黒毛玉が、そこには落ちていた。
子猫特有のぽわぽわな毛並みで、ちょこんと小さな三角耳が付いている。瞳の色は、愛らしいキトゥンブルーだ。
その黒毛玉はちょこちょこと周りの様子を確かめるように歩いたかと思うと、ペタンと座り込んで、ルーファスを見上げた。
ルーファスの目が、ゆるゆると大きく見開かれる。
「かっ……かわいい!!」
ルーファスは、くらりとよろけた。
「ワフッ?」
ダズがいた所には、見知らぬ大型犬がいた。
スラリと細身の狩猟犬のようで、白地に赤褐色のブチがまだらに入った毛色だ。ウェーブがかった長毛が風にたなびく姿はとても優雅で、レイの元の世界でいうイングリッシュ・セターに似ている。
大型犬が首を傾げると、垂れた耳がふるりと揺れた。
「……わんこ……」
カタリーナが、いつにも増して瞳の中の星々を煌めかせた。
「随分かわいい姿になったな」
クリフもくすりと微笑んだ。
「みゅみゅ!?」
「バフッ!?」
二匹は驚いて飛び跳ねた。
***
「あっはっは! 何これ!? すっごく、かわいい!」
カタリーナは半分笑い転げながら、二匹をなでなでしようと手を伸ばしている。
二匹とも、人生初めての尻尾にびっくりして、「何コレ!?」とパニック状態だ。
尻尾をよく見ようと追いかけるが、その場でくるくると回って、自分の尻尾を追いかけて遊んでいるようにしか見えない。
二匹がぜいぜいと息を切らして、動きを止めると、ルーファスは手をかざして、何かを感じ取ろうとするかのように目を閉じた。
「う~ん、これは祝福だから、解呪というよりも、効果が切れるまで待つしかないかな……」
ルーファスは、二匹にかざしていた手を引っ込めると、ふるふると首を横に振った。
心なしか、その口角は少し嬉しそうに上がっている。
「みゅぅ……」
「クゥン……」
子猫はペタンと座り込み、大型犬はしょんぼりと肩を落とした。
「人間は人型しかないだろ。たまには獣型もいいんじゃないか……何だよ?」
(ルーファスが(カタリーナが)、やけに嬉しそうなんだけど……))
二匹は揃ってじと目で、クリフを見上げた。
「レイ、ずるいです。一人だけ猫になって……私も、何か動物になってみたかった……」
「みゅう!(それなら、代わって欲しいぐらいだよ!)」
レヴィは、珍しく非常にガッカリした様子で、両手で子猫のレイを抱き上げた。
その手の中で、レイは抗議するかのように、パタパタと小さな両手両足を動かした。
「ぐっ……かわいい……」
ルーファスが、またもやくらりとよろめいた。
「レヴィ、ダメだよ。子猫には冬の外気は寒すぎる」
ルーファスは、正気を取り戻すかのように軽く頭を振ると、レヴィから子猫を取り上げ、自身のコートのポケットにしまった。
「みゅー!?(もう、何てことするの!?)」
レイがポフンと、ぽわぽわな頭をポケットの口から出すと、かわいさのあまり、ルーファスは悶絶して倒れ込みそうになった。
レヴィがすかさず、ルーファスを支える。
「ルーファスもずるいです。私はご主人様をポケットに入れたことがないです」
「僕はそういうつもりで、レイをポケットに入れたんじゃないよ!」
レヴィが羨ましそうにルーファスを見つめると、ルーファスはすかさず、抗議の声をあげた。何やらやましい気持ちがありそうだ。
「ダズは大きすぎだね。ポケットに入らない……残念……」
カタリーナが非常に残念そうに、ダズを見つめた。
「バフッ!(俺はこのままでいい!)」
ダズはピョンと跳ねると、カタリーナから距離をとった。何やら嫌な予感がしたのか、毛がふんわりと立ち上がっている。
「……はぁ、とにかく、ガレッソの村に急ごう……」
唯一冷静なクリフは大きな溜め息を吐くと、頭痛がするかのように額を押さえて、小さく首を振った。
「一応、こっちに道は続いてるな……だいぶ細くはなってきたが……」
レイが白い息を吐いて疑問を呟くと、ダズが次の村へ続く道を眺めようと、目を細めた。
銀の不死鳥と鉄竜の鱗メンバーは、獣の祭りが開催されているというガレッソ村へ向かっていた。
ガレッソ村は、山の麓の猟師の村らしく、一行は村へ続く細い道をたどり、森の奥へ奥へと進んでいた。
「ここら辺は、結構魔力が豊富だね」
「玉型の精霊も、いろんな種類がいますね」
「森が豊かな証拠だな」
雪降り積もる冬の森には、さまざまな種類の玉型の精霊がふわふわと浮かび、白銀の世界に、青、水色、黄色、オレンジ、緑とキラキラと淡い彩りを添えていた。
道端では氷蓮華が、その青白く冷たい花を咲かせていて、ちょうど見頃のようだ。
しばらく小道をたどって行くと、レイがぴくりと止まった。薄く展開していた探索魔術に、何かが引っかかったのだ。
「……何か異様に強い魔力が近づいて来てます」
「しーーっ! 静かに」
カタリーナはレイの腕を引っ張って、大木の影に身を隠すと、息を潜めた。
ズシン、ズシンと大きな何かが移動して来る足音が、遠くから響いて来た。
大地を揺らして、大岩のように巨大なうさぎ型の魔物が、こちらにやって来た——ジャッカロープだ。
額から生えた鹿角は、樹木のように育ち、りんっと鈴の音が鳴る小さな赤い実がなっていた。
大理石のように真っ白い毛皮で、お尻から背中にかけては、長く生きすぎたためか深緑色に苔むしている。ちょっとした大岩のような姿だ。
ジャッカロープがドシンと歩んだ跡からは、彼女の魔力にあてられた下草や小枝が、蛍のようにぼーっと魔力の光を放っていた。
玉型の精霊たちも、好んで彼女の周りを飛んでいるようで、チカチカと光り輝いて、より神秘的な雰囲気に拍車をかけている。
「わぁ……神秘的ですね」
「うさぎ系の魔物で、ここまで力があるのは彼女ぐらいじゃないかな。何万年も生きてるって噂だよ」
レイが小さく感嘆の声をあげると、ルーファスがその耳元で囁いた。
「わっ!? こっちを見ました!」
ジャッカロープの大きく長い耳がピクリと動き、顔をこちらに向けてきた。その黒い瞳でレイたちを見つめてきたかと思うと、ポンッと弾けるような軽い音がした。
「みゅっ?」
ふわふわの黒毛玉が、そこには落ちていた。
子猫特有のぽわぽわな毛並みで、ちょこんと小さな三角耳が付いている。瞳の色は、愛らしいキトゥンブルーだ。
その黒毛玉はちょこちょこと周りの様子を確かめるように歩いたかと思うと、ペタンと座り込んで、ルーファスを見上げた。
ルーファスの目が、ゆるゆると大きく見開かれる。
「かっ……かわいい!!」
ルーファスは、くらりとよろけた。
「ワフッ?」
ダズがいた所には、見知らぬ大型犬がいた。
スラリと細身の狩猟犬のようで、白地に赤褐色のブチがまだらに入った毛色だ。ウェーブがかった長毛が風にたなびく姿はとても優雅で、レイの元の世界でいうイングリッシュ・セターに似ている。
大型犬が首を傾げると、垂れた耳がふるりと揺れた。
「……わんこ……」
カタリーナが、いつにも増して瞳の中の星々を煌めかせた。
「随分かわいい姿になったな」
クリフもくすりと微笑んだ。
「みゅみゅ!?」
「バフッ!?」
二匹は驚いて飛び跳ねた。
***
「あっはっは! 何これ!? すっごく、かわいい!」
カタリーナは半分笑い転げながら、二匹をなでなでしようと手を伸ばしている。
二匹とも、人生初めての尻尾にびっくりして、「何コレ!?」とパニック状態だ。
尻尾をよく見ようと追いかけるが、その場でくるくると回って、自分の尻尾を追いかけて遊んでいるようにしか見えない。
二匹がぜいぜいと息を切らして、動きを止めると、ルーファスは手をかざして、何かを感じ取ろうとするかのように目を閉じた。
「う~ん、これは祝福だから、解呪というよりも、効果が切れるまで待つしかないかな……」
ルーファスは、二匹にかざしていた手を引っ込めると、ふるふると首を横に振った。
心なしか、その口角は少し嬉しそうに上がっている。
「みゅぅ……」
「クゥン……」
子猫はペタンと座り込み、大型犬はしょんぼりと肩を落とした。
「人間は人型しかないだろ。たまには獣型もいいんじゃないか……何だよ?」
(ルーファスが(カタリーナが)、やけに嬉しそうなんだけど……))
二匹は揃ってじと目で、クリフを見上げた。
「レイ、ずるいです。一人だけ猫になって……私も、何か動物になってみたかった……」
「みゅう!(それなら、代わって欲しいぐらいだよ!)」
レヴィは、珍しく非常にガッカリした様子で、両手で子猫のレイを抱き上げた。
その手の中で、レイは抗議するかのように、パタパタと小さな両手両足を動かした。
「ぐっ……かわいい……」
ルーファスが、またもやくらりとよろめいた。
「レヴィ、ダメだよ。子猫には冬の外気は寒すぎる」
ルーファスは、正気を取り戻すかのように軽く頭を振ると、レヴィから子猫を取り上げ、自身のコートのポケットにしまった。
「みゅー!?(もう、何てことするの!?)」
レイがポフンと、ぽわぽわな頭をポケットの口から出すと、かわいさのあまり、ルーファスは悶絶して倒れ込みそうになった。
レヴィがすかさず、ルーファスを支える。
「ルーファスもずるいです。私はご主人様をポケットに入れたことがないです」
「僕はそういうつもりで、レイをポケットに入れたんじゃないよ!」
レヴィが羨ましそうにルーファスを見つめると、ルーファスはすかさず、抗議の声をあげた。何やらやましい気持ちがありそうだ。
「ダズは大きすぎだね。ポケットに入らない……残念……」
カタリーナが非常に残念そうに、ダズを見つめた。
「バフッ!(俺はこのままでいい!)」
ダズはピョンと跳ねると、カタリーナから距離をとった。何やら嫌な予感がしたのか、毛がふんわりと立ち上がっている。
「……はぁ、とにかく、ガレッソの村に急ごう……」
唯一冷静なクリフは大きな溜め息を吐くと、頭痛がするかのように額を押さえて、小さく首を振った。
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