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討伐
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その後も、生活圏を広げていったカレンは、ある事に気づいた。
「ここまで、走ってきたのに、全然疲れてない?」
カレンは、小屋から狼と鳥が戦っていたところまで走ってきた。それなのに、息切れは少ししかしていなかった。(距離は大体三千メートルぐらい)
「もしかして、今までのトレーニングが身を結んだのかな?」
カレンはそんなことを考えながら、森の中を走っている。
「ふぅ、ここが、今までの最高到達点だよね」
カレンは、木につけている印が切れているところまで、走ってきた。(島の端っこと小屋との中間ぐらい)
「さて、ここからどうしようかな。ね、ヒューは何処に行きたい?」
カレンは自分で考えることを放棄し、ヒューに任せる事にした。そして、ヒューは、翼をバサっと広げ、右翼を前に突き出した。
「よし、このまま真っ直ぐ進むぞ!」
カレンはこの時気づくべきだった。何故今までの道で魔物と遭遇しなかったのかを。
それから、数分後、カレンの目の前に大きな音と大きな砂埃を巻き上げて降り立ったのは、あの時の鳥だった。
「うわー。勝てるかな?」
カレンはあの時の戦いをほぼ全て覚えていたので、今回の戦いは避けて通れない道だという事を、直感で感じていた。
『キュエエエエエエエエ』
鳥が威嚇してきた。皮膚が悲鳴をあげるように鳥肌が立つ。カレンとヒューはその威嚇で身体が一瞬硬直してしまった。それを見逃さないのがこの島の魔物たちだ。
その鳥は、炎を纏って思いっきり突進してきた。
ヒューは上に飛んで、カレンは硬直した身体に鞭打って横に飛んだ。
「うっ!」
ヒューは避けることが出来た。カレンは、尋常じゃない速度で避けた。そして、木にぶつかった。
「痛っ! こんな動き今までしたことなかったのに、なんだろう」
鳥の魔物はカレンが瞬間移動したように見え、何処にいったか分からなくなっていた。
カレンは、双剣を取り出して、鳥の翼を刈り取ろうとする。それに気づいた鳥は、翼をたたみ身体を反転させた。すると、鳥の六十センチほどの尻尾が鞭のようにしなり、カレンに襲いかかった。
「っ! でりゃ!」
カレンは鳥に向かった勢いをジャンプ力に変換させ、鳥の頭上を通過した。
「やっぱり。脚の力が強化されてる!? もしかして!!??」
そこでカレンは辿り着いた。何故、自分がこんなに脚の力と体力のみが強化されているのかを。
この島にいる魔物には、食べるとその魔物の特徴を最大二つまで強化される特性を持っているのだ。
カレンが食べた狼は、走る為の脚力の強化と体力を強化された。これが、カレンの今の速さの元になっている。
「さぁ、トリ公! こっからは私の逆転劇の始まりだよ!! 行くよ、ヒュー!!」
「キュルル!!」
それからカレンの逆転が始まる。そう思っていた。しかし、そうならなかった。カレンは、自分の力に徐々に慣れていっていたが、カレンとヒューの戦いのタイミングが、全然合わなかった。その為、
「ちょ、ちょっと。ヒュー! 私を狙わないでよ!」
「キュ、キュゥゥゥ」
ヒューはいつも通りに戦っていたが、カレンの速さが凄まじく、狙った先にカレンがいる。そんなことが巻き起こっていた。それを見ていたトリ公は、なんとなく、呆れていた。
『キェエエエエエ!!』
「あっ」
トリ公は、カレンをこいつ今俺のこと忘れてただろ。って目で見ている。
「忘れてないし、言ってみただけだし」
気まずい空気が流れた。それを簡単に壊したのはヒューだった。今の空気をチャンスと捉えて、水のブレスを放った。しかして、量も勢いも足りないそれは、トリ公の炎で蒸発した。
「キュッ!」
「あちゃー。私だけが戦力だね。ヒューは、大人しくしててね」
「キュルー」
ヒューは元気をなくし、そこら辺の木の枝に止まった。
「ここからは、私とトリ公との戦いだよ!」
そして、カレンは速さを武器に未だ敵わないトリ公に挑んでいった。
トリ公の横を走り抜ける。それと同時にトリ公が飛べないように、翼を傷つけていく。それを何度も繰り返す。しかし、それでも傷は浅かった。
『キェッ!!』
トリ公は、飛んだ。
「まだ、あんなに元気なの!?」
トリ公は、炎を体に纏って突っ込んできた。まさに!! あれだね。ポケットなモンスターだね。
それを、横にステップで避ける。
「なにあの速さ、音が遅れてきたよ!」
音速を超えたトリ公は、勢い余って地面に頭を埋めていた。
「チャンス!!」
カレンは、双剣で羽を切る。トリ公は、動けずに両方の羽も切られた。その痛みで、やっと土から出てきた。
『ギェェェェ!!!!」
「うるさい!」
カレンは、油断することなく、トリ公の頭をめがけて、右手の剣をトリ公の頭に投げた。
やっとの思いでカレンはトリ公に勝利した。
「や、やった! 勝った!」
大声だと他の魔物がやってくる恐れがあるので、小声で喜んだ。
「よし、ヒュー! 小屋にこいつを持って帰るよ!!」
「キュル!!」
ヒューは嬉しそうにカレンの頭の上に戻った。
「ここまで、走ってきたのに、全然疲れてない?」
カレンは、小屋から狼と鳥が戦っていたところまで走ってきた。それなのに、息切れは少ししかしていなかった。(距離は大体三千メートルぐらい)
「もしかして、今までのトレーニングが身を結んだのかな?」
カレンはそんなことを考えながら、森の中を走っている。
「ふぅ、ここが、今までの最高到達点だよね」
カレンは、木につけている印が切れているところまで、走ってきた。(島の端っこと小屋との中間ぐらい)
「さて、ここからどうしようかな。ね、ヒューは何処に行きたい?」
カレンは自分で考えることを放棄し、ヒューに任せる事にした。そして、ヒューは、翼をバサっと広げ、右翼を前に突き出した。
「よし、このまま真っ直ぐ進むぞ!」
カレンはこの時気づくべきだった。何故今までの道で魔物と遭遇しなかったのかを。
それから、数分後、カレンの目の前に大きな音と大きな砂埃を巻き上げて降り立ったのは、あの時の鳥だった。
「うわー。勝てるかな?」
カレンはあの時の戦いをほぼ全て覚えていたので、今回の戦いは避けて通れない道だという事を、直感で感じていた。
『キュエエエエエエエエ』
鳥が威嚇してきた。皮膚が悲鳴をあげるように鳥肌が立つ。カレンとヒューはその威嚇で身体が一瞬硬直してしまった。それを見逃さないのがこの島の魔物たちだ。
その鳥は、炎を纏って思いっきり突進してきた。
ヒューは上に飛んで、カレンは硬直した身体に鞭打って横に飛んだ。
「うっ!」
ヒューは避けることが出来た。カレンは、尋常じゃない速度で避けた。そして、木にぶつかった。
「痛っ! こんな動き今までしたことなかったのに、なんだろう」
鳥の魔物はカレンが瞬間移動したように見え、何処にいったか分からなくなっていた。
カレンは、双剣を取り出して、鳥の翼を刈り取ろうとする。それに気づいた鳥は、翼をたたみ身体を反転させた。すると、鳥の六十センチほどの尻尾が鞭のようにしなり、カレンに襲いかかった。
「っ! でりゃ!」
カレンは鳥に向かった勢いをジャンプ力に変換させ、鳥の頭上を通過した。
「やっぱり。脚の力が強化されてる!? もしかして!!??」
そこでカレンは辿り着いた。何故、自分がこんなに脚の力と体力のみが強化されているのかを。
この島にいる魔物には、食べるとその魔物の特徴を最大二つまで強化される特性を持っているのだ。
カレンが食べた狼は、走る為の脚力の強化と体力を強化された。これが、カレンの今の速さの元になっている。
「さぁ、トリ公! こっからは私の逆転劇の始まりだよ!! 行くよ、ヒュー!!」
「キュルル!!」
それからカレンの逆転が始まる。そう思っていた。しかし、そうならなかった。カレンは、自分の力に徐々に慣れていっていたが、カレンとヒューの戦いのタイミングが、全然合わなかった。その為、
「ちょ、ちょっと。ヒュー! 私を狙わないでよ!」
「キュ、キュゥゥゥ」
ヒューはいつも通りに戦っていたが、カレンの速さが凄まじく、狙った先にカレンがいる。そんなことが巻き起こっていた。それを見ていたトリ公は、なんとなく、呆れていた。
『キェエエエエエ!!』
「あっ」
トリ公は、カレンをこいつ今俺のこと忘れてただろ。って目で見ている。
「忘れてないし、言ってみただけだし」
気まずい空気が流れた。それを簡単に壊したのはヒューだった。今の空気をチャンスと捉えて、水のブレスを放った。しかして、量も勢いも足りないそれは、トリ公の炎で蒸発した。
「キュッ!」
「あちゃー。私だけが戦力だね。ヒューは、大人しくしててね」
「キュルー」
ヒューは元気をなくし、そこら辺の木の枝に止まった。
「ここからは、私とトリ公との戦いだよ!」
そして、カレンは速さを武器に未だ敵わないトリ公に挑んでいった。
トリ公の横を走り抜ける。それと同時にトリ公が飛べないように、翼を傷つけていく。それを何度も繰り返す。しかし、それでも傷は浅かった。
『キェッ!!』
トリ公は、飛んだ。
「まだ、あんなに元気なの!?」
トリ公は、炎を体に纏って突っ込んできた。まさに!! あれだね。ポケットなモンスターだね。
それを、横にステップで避ける。
「なにあの速さ、音が遅れてきたよ!」
音速を超えたトリ公は、勢い余って地面に頭を埋めていた。
「チャンス!!」
カレンは、双剣で羽を切る。トリ公は、動けずに両方の羽も切られた。その痛みで、やっと土から出てきた。
『ギェェェェ!!!!」
「うるさい!」
カレンは、油断することなく、トリ公の頭をめがけて、右手の剣をトリ公の頭に投げた。
やっとの思いでカレンはトリ公に勝利した。
「や、やった! 勝った!」
大声だと他の魔物がやってくる恐れがあるので、小声で喜んだ。
「よし、ヒュー! 小屋にこいつを持って帰るよ!!」
「キュル!!」
ヒューは嬉しそうにカレンの頭の上に戻った。
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