幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月 結城

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世界大戦~院長の過去~①

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 俺が勇者に選ばれたのは、まだ若い頃十五歳の時だった。この頃、世界は魔王の軍勢になす術なく打ちのめされていた。
 そんな時、この世界の神から神託が降りてきたの。

『今より十五年前、魔王に唯一対抗できる力、勇者の力をその世界に送った。十五歳の子供の中に勇者がいる。育て、魔王にぶつけなさい。さすれば、人類は再び繁栄するだろう』

 どうやって勇者を探すのか。それは簡単、瞳に勇者の紋章が描かれている子供を探せば良いのだ。

 王国は血眼になって勇者を探し出した。勇者は、王国からかなり離れた位置に存在している海に面している村で暮らしていた。そんな村には、神託など届いているはずもなくーー

「君が、勇者だな」

 俺が暮らしている村に騎士様たちが来て村は大騒ぎになり、それはそれはみんなパニックになっていた。

「あ、あの、騎士様……ゆうしゃって何ですか?」
「何? そうか、ここには神託が届かなかったのか。十五年前、勇者と呼ばれる魔王に唯一対抗できる力を神様がこの世界に送ったらしい。そして、その勇者の瞳には紋章が描かれている。そう、君の瞳に描かれているその紋章だ」
「これが、ゆうしゃの紋章?」
「そうだ。そして、君には魔王討伐に赴いて欲しい。これは国王命令だ」

 国王命令。これは、十五歳の俺でも理解できた。けれど、騎士様も極悪非道ではない。二日の猶予をくれた。その間にみんなとのお別れを済ませて俺は国王の待つ王都に向かった。

「王国は初めてかね? 少年」
「はい!」

 騎士様に話しかけられ、俺の背筋はビシッ! っとまっすぐになった。

「そんなに緊張しないでくれ。もっと肩の力を抜いて話そうじゃないか」
「わ、分かりました」
「肩の力を抜くのはどんな時でも大事だから覚えておくといい」
「は、はい?」
「君にはまだ早かったかな」

 そんなこんなで数日掛けて王都に到着して、国王様との謁見が終わり俺は魔王討伐の旅に出た。

 魔王討伐に旅立った俺は、人族の聖女、オーガ族の聖騎士、エルフの聖弓士、竜人族の聖魔士を仲間にして五年の月日が経過していた。その間も魔王による侵攻は続いていたが、世界もそう簡単にはいかない。今は勇者という希望もあり今まで以上に侵攻を防いでいる。

「ゲンドラ、なにやってるんだ?」
「? ナオレインではないですか。今は、武器と鎧の調整をやっていたところですよ」
「律儀だな」
「そういうナオレインは何をしていたんです?」
「俺は今起きたところだ。ってか、ナオレインじゃなくて、レインって呼んでくれ。長いだろ」
「それは出来ないですよ。こういう性格ってこともあるかもしれないですが、私たちの英雄なんですから敬語は抜けないですよ」

 オーガ族のゲンドラは聖騎士で全身をオリハルコンの鎧で固め、オリハルコンの剣と盾を装備している。ゲンドラは俺の初めての仲間で、オーガの村に向かった時、大量の魔物が襲っていた、それを押さえていたゲンドラを手助けする形で共闘し、魔物を追い払うことに成功した。
 その魔物たちは魔王の命令で襲っていたことが分かり、魔王討伐の旅に同行してくれた。それからは五年、ずっと一緒にいる。それなのに敬語だから、なんだかなぁって感じだ。

「そうだ、あの三人は?」
「彼女たちは、まだ寝てますよ」
「そうか、なら俺は朝ごはんの準備してるから、少し経ったら彼女たち起こしてくれ」
「分かりました」

 朝ごはんを作っていると、続々と彼女たちが起きてきた。最初に起きたのは竜人族で聖魔士のルーレイだった。既に着替えていたようで、赤と黒の着物のようなものに着替えていた。

「ルーレイ、おはよう」
「うむ、おはよう。レインはいつ起きたんだ?」
「俺もさっき起きたばっかりだよ」
「そうか、何か手伝うか?」
「そうだな、いや、大丈夫だよ。そこで座って待っててよ」
「では、お言葉に甘えて待っているとしよう」

 次に起きたのはエルフで聖弓士のシュナイだった。寝起きのようで、綺麗な銀色の髪はぼさぼさしていた。

「ぉぁょ」
「おはよう。今朝ごはん作ってるから、顔洗って、ルーレイに髪を梳かしてもらいな」
「ぅん」

 顔を洗って戻ってきたシュナイはルーレイに髪を梳かしてもらいながら二人で話していた。

「にしても、シュナイの髪の毛は梳かし甲斐があるな」
「えへへ、お姉ちゃんに言われると嬉しいな」

 シュナイはまだ幼く、まだ二百年ほどしか生きていない。エルフなどの長命種は体などの発達が遅く、二百歳で人間で言う十三歳~十六歳ぐらいらしい。そんなシュナイはルーレイや他のみんなをお姉ちゃんやお兄ちゃんと呼んでいる。

 そんな幼さ残るシュナイだが、戦いになると性格が変わってかのような豹変ぶりを見せる。まるで、他の人がシュナイに乗り移っているかのような、そんな印象を受ける。

 最後にここに来たのは、聖女であるメルトだった。メルトは、神様からの神託を受けたその人で、再び神託を受けるかもしれないと、途中から魔王討伐の旅に付いてきた。

「メルト、あれから神託は下されたのか?」
「それが、全然なのよね。全く、神様は何をやっているんだか」
「お前が、そんな言葉使いに変わって、性格がちょっとがさつになったからお前に神託を下すのやめたんじゃないか?」
「な、最初っからどっちも変わってないわよ。ただ、あいつらの前で猫かぶってただけだし」
「はぁ、最初の頃のお前には二度と会えないんだな」
「会えます。貴方がそう望むのなら、私は、貴女の前に何度でも……」

 メルトの口調が突然変わり俺の背筋がゾクゾクと震えた。

「き、気持ち悪いから、その話し方やめろ!」
「うちも、久しぶりにやって気持ち悪くなったよ」

 この頃の世界はひどく荒れていたが、まだましな状況だった。それは、魔王軍が魔物のみで攻め込んでいたからだろう。魔物を指揮するための魔族は居たが、魔物たちが倒されたら魔族は何もせずに引いていた。けれどもここ最近、魔王軍幹部と呼ばれる魔王に次いで強い奴らが動き出したと情報を掴んだ。

 そして、世界はさらなる地獄を見ることになる。
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