世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月 結城

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side~カナハルム~ 剣術

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 ゴブリンが、カナハルムに気づいて臨戦態勢をとった。

「やっちまったな」

 経験が全然足りてないカナハルムは、こういった小さなミスが命取りになることをまだよくわかっていなかった。

 ゴブリンが、棍棒を持ってうめき声をあげる。

 カナハルムが、剣を上段に構える。知性の無いゴブリンは、我先にとカナハルムに向かって走り出した。ゴブリンたちにとっては敵は一人しかおらず、そこに向かうと、ゴブリン同士が体を当てながら突っ込んでくる。ゴブリンは五体居るが、固まっているので、幅が広い敵と思えば簡単に避けられる。

(あんな攻撃の仕方初めて見たよ)

 そしてカナハルムは、右側によけた際、剣を横にして、一体の足を切り飛ばした。

(これで一体)

 ゴブリンたちは、やられたゴブリンを無視して、また突撃してきたが、今回は時間差での攻撃だった。今回は、ヤバイ。だが、探知スキルを常時発動しているカナハルムは、ゴブリンがどっから攻撃してくるか、いつ攻撃してくるかが、丸わかりだ。さっきも、これを使っていた。
 そして、ゴブリンの一体目が攻撃を仕掛けてくる。横の薙ぎ払いだ。カナハルムは、棍棒が自分に届かないぎりぎりのところを切り、攻撃を避けた。二体目は、上からの大振りの攻撃だ。それを左に移動して避け、そのまま通り過ぎて行った。三体目は、四体目と同じタイミングでの攻撃だった。左右からの挟み込むかのように棍棒を横から薙ぎ払って来る。それを後ろに跳んで、避ける。避けると同時に右にいるゴブリンの足を蹴って転ばし、命を刈り取った。

(これで、二体目)

 知性はないが、ほんの少しは学習したのか、ゴブリン三体は、カナハルムを囲むように陣取った。

(これやばいよ)

 ゴブリンが三方向に陣取って攻撃を仕掛けてくる。それを間一髪で避ける。一体を切り倒し、距離を取る。間髪入れずに二方向から同時に攻撃を仕掛けてくる。それを避けずに右から攻撃してきたゴブリンに接近して、斬る。

(これで最後だ!)

 そう思ったとき、初めに足を斬って動けなくしたゴブリンが棍棒を投げてきた。それが、カナハルムの左腕に直撃した。

「ぐぁっ!」

 左腕が、無様にぶら下がる。

 右腕だけで構えを取る。

「はぁ、はぁ、死ぬかもな。でも、絶対に諦めない」

「聖なる光よ、敵を貫け「ホリーランス」!」

 棍棒を投げてきたゴブリンに向かって魔術を放った。見事に命中して、息絶えた。

「さぁ、お前で最後だ。風よ、敵を打て「ウィンドボール」」

 カナハルムが放った、風魔術の初級魔術は、ゴブリンの右肩に直撃して、ノックバック効果と、ゴブリンの棍棒を落とさせるという、結果になった。
 そして、ゴブリンに切りかかり、ようやくゴブリン三体を倒すことに成功した。

 だが、カナハルムの左腕の出血がひどい。

「ポーションを買っておいてよかった」

 カナハルムがポーションを飲むと、左腕の傷が少しだけ収まり、止血だけできた。

 ゴブリンを燃やして、ハンゴナンに向かって歩き出した。
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