世界一の魔術鍛治師〜どんな剣も名剣へ〜

海月 結城

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side〜ルーク〜 無双

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 魔物の軍勢が到来して2時間が経った。こちらは、死者が数十人出ているが、魔物は減ることを知らない。

「ちっくしょー!! まだ終わらないのかよ!?」

 そんな叫び声がいたるところから聞こえてくる。ルークは既に3000年の時を生きてきた。その中で、人の死には、幾度となく触れてきただろう。友人や大切な人、家族。その全てが時の流れによってルークから離れていった。もう、たった数十の命が消えたところでルークは何も感じなかった。
 そして、今は、マリーとともにいる。

「ねぇ、パパ。なんで、こっちに、魔物、来ないの?」

 さっきから、ルークたちの方に来る魔物が全部、違う方向に逃げたりし、ルークたちは一体の魔物も倒していない。

「多分、俺の魔力を感じ取ったんだろうな。魔物は、魔力に敏感だからな」
「パパ、すごい。けど、みんな被害受けてる。倒そ?」
「それじゃ、そろそろ、無双しますか。みてろ」
「うん!」

 ルークが動き出した。かつての英雄。世界の守護者が、街を守護するために、一歩、また一歩と魔物の群生に向かって歩き出した。

「結界」

 ルークが、街を全て覆うことができる結界を張った。

「透視」「気配探知」

 相手が今、どこまでの距離で、どのくらいの強さか、数を詳細に感じた。

「残りは、五万って言ったところか」
「それは、大変」

 最後に。

「神言」
「全員下がれ」

 ルークが前線にいる冒険者全員に告げる。誰も抵抗せずに、下がっていく。

「な、なにが、起きてるんだ?」
「身体が、言うこと聞かねぇ」

 今のルークには誰も逆らえない。それが神言だ。

「さて」
重力変更グラビティ

 ルークが魔法を放つ。すると、魔物が全て空に浮いた。

「すげ~。神様みたい」
「あれは、神のみわざだぜ」

 ルークが魔物を空に浮かべたのは理由がある。それは、次に使う魔術が強すぎるからだ。全てを分解する古代の力。

「粒子分解」

 そう、粒子魔術だ。この魔法は、粒子を自由に操作できる魔術だ。粒子を固定して相手を固定したり、粒子まで分解したり、粒子から構築したり、色々できる。
 今回は、分解だ。魔物を粒子の状態まで分解したのだ。地面でやれば、木々が粒子状になってしまう。それで、魔物を空に浮かべさせたのだ。

「魔石が粒子分解されないようにしないとな。構築するのは面倒だからな」

 それから、数秒後。全ての魔物が魔石を残して、霧状になって消えていった。

「す、すげ~」
「なんじゃありゃ?」
「神だ! 神が降臨したぞ!」

 などなど、脅威が去って、みんな喜んでいるようだ。

「どうだった?」

 マリーに聞くと

「強すぎて、参考に、なら、ない」
「うっ、すまん」

 ま、これからちゃんと教えていけばいいか。

 こうして、魔物の群生の脅威は去っていき、残ったのは、空に浮いた様々な色の魔石が太陽の光によって乱反射した幻想的な景色だけだった。
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