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第15話:黄泉平坂
第62章:不知不識(ふちふしき)
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【不知不識】知らない内に物事が進んでいる様。
知らなかったよ~♪みたいな。
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【2年前:長野県石隠市】
季節は春。石隠市立加賀屋中学校も新学期にあたってのクラス替えを終え、ようやくクラスが落ち着き出した。落ち着いたのは良いのだが、今度は居眠りが多発している。春眠暁を覚えず、とはよく言ったもので、男女問わずあちらこちらでうつらうつらと船を漕いでいた。
「おい!お前ら!ちょっとたるんでるぞ!」
数学教師の荻野は生徒たちを一喝する。一瞬ぱっと跳ね起きる生徒はまだ可愛い方で、図太いやつはそれでもコックリコックリしている。
『全く・・・』
荻野は心中で毒づく。こいつら3年生で今年は受験だってのに、こんな様子で大丈夫かよと思ってしまう。ただ、こうしてうつらうつらしている生徒の中には、塾の宿題で夜ふかしせざるを得なくて、という者が少なからずいることは重々承知だ。なので、それほど強くも言えない。
『それにしたって、学校での勉強が基礎だろうが』
そう思うのだが、昨今はその点が逆転しがちだ。学校よりも塾を優先する親が多いし、学校側も『塾を上手に活用しましょう』とそれに拍車をかけているきらいもある。
そんな状態は教師一筋30年を超える荻野にとって、やはり異常だろうと感じてしまう。
俺の若い頃とは大違いだ・・・、そう思っていた。
荻野にとって、このクラスは教師生活で最後に担任するクラスでもあった。少しでもよい進路に進ませてやりたいと思っている。なので、自然と指導にも熱が入ってしまうのだが・・・。
『まあ、これも時代か・・・』
昔は教師が厳しく指導しても、それに反発して食いついてくる気骨のある学生が多かった気がするが、昨今はそうすると、その場で泣き出すならまだ良い方で、下手したらそれを原因にして不登校になった挙げ句、親が学校に怒鳴り込んできたり、子ども自身が教育委員会に投書するなんてことすらある。なかなかにやりにくい時代だ。
まあ、俺は俺で、やるべきことをやるしかないか・・・
思い直して、板書を進めていく。今日取り上げているのは高校受験でよく出る図形の求積問題だった。
「いいか、ここの長さとここが一緒になるから・・・」
「おい!何だあれ?」
「え?なに、なに?」
説明をし始めると途端に教室がざわめき始めた。
全く気を取り直した矢先に・・・
荻野が振り返ると、クラスの半分近くが教室の窓に張り付くようにして外を見ていた。
「おい!お前ら!勝手に立ち歩くな!」
荻野が声を掛けるが、生徒の視線は校庭に釘付けになっているようだった。
一体何だ?不審に思って荻野も外を見てみると、そこには一人の男が立っていた。
男は上半身が裸で、そして、異様に筋肉が発達していた。
そして、その身長は・・・
「なんだ!?あれは!!」
荻野が声を上げたのも無理はなかった。その男は異常にデカかったのである。普段、校庭を見下ろしているときに見える生徒の身長はだいたい頭に入ってる。それから比べると、あの男は、2メートル近くある計算になる。
とにかく、不審者だ!通報しなければ・・・!!
そう荻野が思った瞬間、男がギロリとこちらを・・・正確に言えば、荻野たちが授業をしていた3年A組のクラスを見上げた。その目に怨嗟の炎が燃え上がっているのが遠目にもわかった。
「ひぃ!」
その溢れんばかりの殺気を感じたのか、女生徒のひとりが悲鳴を上げて後ずさった。それを皮切りに教室が一気にパニックになる。
「ば・・・バケモンだああ!!」
「逃げろ!!逃げろ!!!」
我先にと教室の狭い出口に殺到した生徒たちは互いを押し合い、ぶつかり合ってしまう。
「み・・・みんな落ち着け!」
荻野が声を掛けるも、全くパニックが収まる気配はなかった。教室はさながら阿鼻叫喚の地獄であった。隣の教室からも悲鳴が聞こえてきているところを見ると、同じようにパニックを起こしているようだ。
な・・・なんとかしないと・・・
とにかく不審者の動きを確認しなくては、ともう一度校庭を見下ろすと、大男がゆっくりとこちらに向かって歩き出しているところだった。そして・・・
ドン!と大地を揺るがすような鈍い音が響き、一瞬校舎が揺れる。
何が?と思った瞬間、荻野の眼の前に宙を舞う大男がいた。
嘘だろ・・・ここは、校舎の3か・・・
荻野が、驚愕の中、そう思いかけた時、大男ニヤリと笑った。
「おらよっ!!」
そのまま足を横薙ぎに一閃すると、その強烈な膂力を持った蹴り風圧でバリン!と、3階の教室、全ての窓ガラスが内側に弾け飛んだ。
がああっ!
その風圧は荻野や窓ガラスの近くにいた生徒もろとも廊下側の壁まで吹き飛ばしてしまう。荻野がはっきりと覚えているのはここまでだった。壁に全身を強く打ち付けられ、そのまま気を失ってしまった。
「はっはー!てめえらまとめて後悔させてやる・・・男は殺す、女は犯してやる!!」
薄れゆく意識の中、大男の高笑いだけが響いていた。
☆☆☆
【現在:石川県堺返市】
はあ・・・。
事務室で、竹内可奈子がため息をつく。
「どうしたんですか?可奈子さん」
エプロンを付けた管理栄養士の光恵がその様子を心配して声をかけた。可奈子はこの施設の中でもとびきり元気な方で、入所者からも好かれている職員だ。その可奈子が浮かない顔をしているのは珍しいことだった。
「うん・・・麻衣ちゃんのことなんだけどね・・・ちょっとどうしていいかわからなくて」
「ああ、私もちょっと見てて・・・胸が痛いですよね」
可奈子の言葉に、光恵も得心する。
「ん?この間入ってきた片霧麻衣のことかい?」
事務所の奥にいる施設長の緒方が顔を上げた。50過ぎで、頭に大分白いものが混じっている男性だった。この施設で30年以上、子どもたちの面倒を見ている超ベテランである。
話題になっている片霧麻衣とは、この児童養護施設『なのはな園』に最近入所してきた10歳の少女だった。
「まあ、あんなことがあったら・・・誰だってねえ・・・」
麻衣は、この施設に入所する数か月前までは、何不自由ない暮らしをしていた普通の女児だった。しかし、ある出来事が彼女の生活を一変させてしまったのだ。
能登半島地震
麻衣が住んでいた地域は一番被害がひどい場所だった。家屋が倒壊し、土砂災害、火災・・・地震直後は町中が焼け野原のようになってしまっていた。
そして、彼女は、一瞬の内に両親を含めた家族、親戚、友人、知人・・・あらゆる人の縁を失ってしまったのだ。
「まだ、話さないのかい?」
麻衣は、倒壊した家屋の隙間にぴったりとはまるような形で奇跡的に大した怪我もなく救出された。しかし、自分の家族が全員この世を去ったことを知り、そのショックから、言葉を発しなくなってしまったのだ。
数週間の入院を経て、脳や神経に異常がないことは確認されている。大学病院での心理治療も数週間受けた。しかし、あの日から、彼女は全く言葉を発することがなくなってしまったのだ。
彼女がこの施設に来て、もう1年以上が経っていた。彼女の担当をしている可奈子は、そのことを気に病んでいるのだ。
「ええ・・・週に2回のプレイセラピーは続けています。でも、ほとんど遊びらしい遊びもしないんです。この間は、こんな絵を描いていました」
可奈子はこの施設のスタッフとしては『心理担当』である。子どもたちの生活の世話をするのはもとより、それぞれの子どもとカウンセリングや心理治療面接を行ってもいた。言葉が話せない麻衣に対しては、言葉を使う通常の『カウンセリング』は無効である。なので、遊びを通した心理治療法である『プレイセラピー』を用いていたのだ。
可奈子が差し出してきたのは、画用紙にぐるぐると赤と黒のクレヨンでたくさんの線が乱雑に描かれている・・・そんな絵だった。
「なんか、ひどい絵だな・・・」
「ええ、トラウマを抱えた子供の絵っていう感じです・・・すごく救いがなくて、見ているだけで苦しくなります」
ん?と緒方が声を上げる。
「竹内さん、この真ん中のこれ・・・なんでしょうか?」
絵の中央を指差す。赤と黒のクレヨンでぐるぐると乱雑に描かれた線。その線を台風に例えると、その丁度、目の部分に当たるところに、黄色と緑の小さな何かが描かれていた。
「さあ・・・なんでしょう」
「全部が全部、赤と黒、ではないというのは良いことなんじゃないか?」
「そう・・・ですね」
可奈子の返事は歯切れが悪かった。
緒方はその部分になにかの希望を感じたようだが、可奈子としてはどうにも禍々しいような印象しか持てなかったからだ。
「ちょっとこの辺が不気味な感じがして・・・」
見れば見るほど、何か背筋が寒くなるような気がして、可奈子はブルッと震えた。緒方は考えすぎだと請け合った。
「まあ、それでも可奈子さんの前で絵を描いた、ということは確かなのでしょう?少しずつ心をひらいているってことだと思いますよ」
まあ、そうなのかも知れない。
可奈子はもう一度絵を眺めてみた。
やっぱりこの中央の部分は、まるで、地獄の底からこちらを覗いている異形の目のように見える。そして、不思議なことに、昔の人が作った勾玉のようにも、見える気がした。
「とにかく、今日の当直、お願いしますよ。可奈子さんと、武田くんですよね?」
「ええ・・・」
なのはな園の職員は基本通いであるが、生活支援スタッフ2人と、事務方2人体制で当直をしている。本日の事務方の当直に可奈子は当たっていた。
つい1ヶ月ほど前にはそんなことを思わなかった可奈子であるが、一言も喋らず、無表情でひたすら不気味な絵を描き続ける麻衣のことを思うと、なんとなく夜、ここに残されるのが薄気味悪く感じてしまうのであった。
☆☆☆
やっぱり、昼間にあんな話をしたせいだろうか、胸が騒いでよく眠れない。
夜半の女性用宿直室の中で、可奈子は何度も寝返りを打った。どうにもあの絵のことが頭を離れない。時計を見ると、あと30分ほどで見回りの時間になってしまうことがわかる。
結局、全然仮眠ができなかった。
しょうがないと思い、身体を起こす。当直のときに身につけているジャージを羽織ると、水でも飲むかと起き出した。冷蔵庫に冷えていたミネラルウォーターをコップに注ぎ、一息に飲み干すと、身体の変な熱が取れていくような気がする。
バキ・・・
何か、妙な音がした気がして、可奈子が辺りをうかがう。何かが折れたような、そんな音だった。
なんだろう?
もしかしたら、備品がなにかの拍子に倒れて破損した、とかかもしれない。念の為とデスクにある懐中電灯を手に取り、宿直室を出た。左右を見るが、特に変わったものは見えなかった。
しかし、可奈子は異変を感じていた。
風・・・?
宿直室の右手から、風を感じるのだ。もしかしたら前回見回りをした武田くんか誰かが窓を開けて、そのままにしてしまったのかもしれない。そう思った可奈子はそちらの方に歩いていく。宿直室の右手を進むと、丁度施設の出入り口だった。
暗い廊下を懐中電灯の明かりを頼りに歩いていく。特に物音がするわけではないが、自分の歩く足音が古いリノリウム張りの廊下に響いて若干怖い。
懐中電灯で窓を照らしてみるが、どこも閉まっているようだ。だが、風はまだ正面から吹いてくる。この先だろうか?そう思いながら、更に歩いていくと、パタパタと何かが風にはためく音が聞こえた。
この先はもう玄関である。まさか玄関を開けて誰かが出ていったのか、そう思い、ちょっとゾッとする。もし、施設の子どもがこんな夜中に脱走をしたら、それはとんでもない大騒ぎである。
そうならないように、施設の玄関は表からはもちろん、中から出るのにもナンバーロックを解除しなければいけないようになっている。そして、外から不審者が入ってくることを防ぐとともに、かつて素行が悪かった子どもが椅子で玄関扉のガラスを割って外に出てしまった経験があったこともあり、金属製のかなり頑丈な扉になっている。
ナンバーがバレない限り、外に出ることなんかできない・・・
はず、と思いながら廊下を折れ、玄関の方を明かりで照らした。
「嘘・・・」
そこにはナンバーロックのところがすっぽりと穴が空き、半開きになった扉があった。穴の部分は機械のようなもので切り取った、というよりは、なにかとてつもない力で引きちぎった、みたいに見える。壊れたロック装置が電線にぶら下がり、風に煽られて揺れていた。
誰かが出ていったんじゃない!
誰か・・・いや、何かが入ってきた!!
とにかく子どもたちを安全なところに逃さなければ・・・その思いで可奈子は子どもたちが
就寝している居室棟に向かって走った。現在、なのはな園には30人ほどの子どもが収容されている。その生命を守らなければならない。
事務棟を抜け、居室棟に走る。居室棟の入口もまた、扉の取手が乱暴に引きちぎられていた。とにかくなにか尋常じゃない者がいるのは確かだ。
しかし・・・。
はたと可奈子は立ち止まる。金属の扉をいとも容易く引きちぎるようなモノ・・・それは果たして人間だろうか?仮に人間だったとしたら、複数の、しかも男性であろうことは容易に想像できた。
そう考えると、ここにいる事自体、ゾッとした。
ここまで突っ走ってきたけれども、先に男性である武田くんを起こすとか、110番をするべきではないだろうかと思い始めたのだ。
そうしよう、と、踵を返そうとすると、居室棟の中からボソボソとした声が聞こえた。
「なあ・・・お兄ちゃん達といっしょに行こうよ・・・」
「君ならできるんだよ?」
男の声だった。それも二人。やっぱり、誰かが居室棟に侵入している。
大声を出そうとしたが恐ろしくてできなかった。でも、二人の声の様子からして、子どもの中の誰かと話しているということは想像に固くなかった。
一体誰と・・・?
怖いが、確かめねばならないという使命感が勝った。可奈子は扉に近づくと、そこからそっと中を覗いた。居室棟の廊下の暗がりに細身の男がひとり、うずくまったような姿勢の男がひとりいた。うずくまっている男の影になって、子供の姿は見えないが、窓から差す該当の明かりが子どもの影を作っていた。
「取り戻せるんだぜ?な?悪い話じゃないだろう?」
立っている男が言った。
「さあ、行こう・・・お兄ちゃんたちは、味方だよ・・・」
うずくまっている男が妙な猫なで声で言う。
なあ・・・麻衣ちゃん・・・。
「!?」
男が読んだ名に、可奈子はびっくりしてしまった。その拍子に手が扉にぶつかり音を立てる。
「誰だ!?」
立っている男がこちらを見た。その目が可奈子をしっかりと捉える。
「んだよ・・・気付かれじゃねえかよ、クチナワ!だから最初から俺は嫌だったんだ、こんなちまちましたこと!さっさとかっさらえばよかったんだよ!」
うずくまっていた男が立ち上がる。その姿を見て、可奈子は驚愕した。
な・・・何あれ・・・!?
立ち上がった男の頭は廊下の天井に届かんばかりだった。2メートル以上はある!
そして、先程までは暗がりでよく見えなかったが、その両の腕は幼い子どもの胴体ほどの太さがあった。
「見つかっちまったんだ・・・もう、予定変更でいいよな?クチナワ!」
「ああ、しょうがない・・・お館様も許してくださるだろう」
皆殺しコースと行こうか・・・
そう言って、クチナワと呼ばれた男が廊下の壁に手をつくと、壁から、天井から大量の蛇が湧き出してきた。
「ひいぃ!!」
可奈子は悲鳴を上げる。あまりの異常な光景に腰が抜けて動けなくなっていた。蛇が廊下に溢れかえる前に、麻衣のことをクチナワが抱きかかえた。恐怖故か、わけがわかっていないのか、麻衣は大人しくクチナワに抱かれるままになっていた。
「おっと、クチナワ!女は殺すなよ?ガキにゃあ興味ないが、あの女はいただくぜ」
「ん?なんだ、またかよカダマシ・・・。お楽しみも大概にしとけよ」
そう言っている間に、湧き出した大量の蛇が子どもたちの眠っている居室に入っていく。たちまち、あちらこちらで子どもたちの悲鳴が聞こえてきた。
「ああ・・・安心して安心して・・・噛まれてもすぐは死なないからさ。身体動かなくなるだけ。それで3時間位で呼吸困難で死ぬ・・・だけだからさ」
くっくっく・・・とクチナワが笑う。
「さあ、お前は俺の相手をしてもらおうか・・・計画の邪魔したお礼だよ」
カダマシと呼ばれた大柄な男が可奈子に迫ってきた。近くで見るとなおさら大きい。その大きさに圧倒され、可奈子は震えが止まらなくなる。
何!?この人たち・・・一体何なの!?
「おい!どうした!?」
子どもたちの悲鳴が聞こえたのか、事務棟から武田くんが走ってきた。その後ろにはもうひとりの女性支援スタッフである木村さんの姿も見える。
「た・・・助けて!!」
武田くんが可奈子と、それを襲わんとするカダマシに気づき、目を剥いた。
「何だ!?お前ら!」
「け、警察を・・・!」
木村が踵を返して事務室に向かおうとする。
「ちっ・・・面倒だなあ」
一言、言うと、カダマシが思いっきり地面を蹴った。蹴られた廊下がミシリときしみを上げてひび割れるほどの力だった。その力で蹴り上げられた力が、カダマシの100キロを越える巨体を軽々と中空に舞い上げるだけの運動量をもたらす。
「ひぃ!!」
腰を抜かした可奈子を飛び越え、カダマシは一瞬の内に武田の元までジャンプしてきた。そして、無造作に裏拳で武田の横面を張る。その力で武田は3メートルほど飛ばされ、立木にぶつかって、倒れた。
「おらああっ!!」
そして、一声恐ろしいほどの咆哮を上げると、開いた右手を横薙ぎにする。たったそれだけの動きで、風圧による衝撃波を生み出す。衝撃波は事務室に向かう木村の背中から襲いかかり、彼女を壁に強烈に押し付けた。
「あ・・・あああ・・・・」
一瞬だった。カダマシと呼ばれた怪人が腕を二、三回振っただけで、あっという間に3人の大人が吹き飛ばされてしまった。3人共、ピクリとも動かない。
し・・・死んでしまったの?
可奈子の目に恐怖のあまり涙が滲む。動けない可奈子を尻目に、カダマシは木村の方に寄っていき、しゃがみ込んだ。
「なんでぇ、ババアかよ・・・こいつはいらねえや」
そう言って、可奈子の方に向き直る。
「いただくのはお前だけでいいや・・・、ま、時間もねえしな」
おおい!早く済ませろよ、というクチナワの呑気な声が居室棟から聞こえてくる。
カダマシの大きな手が可奈子に襲いかかってきた。
「ひぃああ!」
カダマシが可奈子の着ていたジャージを無造作に引き裂いた。まるで紙でできているのかと思うほど、それはあっさりと引きちぎられていく。
「いやあ!やあっ!!!」
形ばかりの抵抗をしようとするが、大男のものすごい膂力の前には何をしようが無意味だった。
「お、ちょうどいい具合に芝生があるな」
あらかた服を剥ぎ取ると、カダマシは大きな手で可奈子の頭を鷲掴みにして、居室棟近くにある芝生にぼんと投げ込んだ。
「がはっ!」
Tシャツと下着のみの姿にさせられた可奈子は背中を強く打ち付けられて、一瞬息ができなくなっていた。
「クチナワもああ言ってるし、さっさと済ませようか・・・
って、なんだ・・・お前、なかなかいい女じゃねえか」
そう言うと大きく太い指でゆっくりと可奈子の顎を撫でてきた。そのまま指を首元に下ろすと、Tシャツの襟元に指を引っ掛けて一気にそれを引き裂く。ぷるんと、可奈子の形のよい乳房があらわになってしまった。
「いいいっ・・・や・・・やめて!!」
「へえ・・・意外とおっぱいでけえな・・・。あんたいくつだ?」
カダマシの問に可奈子は涙をにじませ首を振るばかりだった。その表情に嗜虐心を刺激されたのか、カダマシが更に下卑た笑みをにじませる。
「ねえ・・・いくつなのぉ?」
「・・・にじゅう・・・なな・・・です・・・」
「いいねえ!食べ頃だ・・・」
ベロン、と可奈子の頬を舐め上げる。そのあまりの悍ましさに可奈子の背筋に寒気が走った。
「さて・・・犯してやるから・・・な?」
言うや、大男がズボンと下着を一気に下ろす。すでに猛りきった逸物が顕になる。
「い・・・や・・・ぁ・・・」
可奈子も処女ではない。高校生時分に初体験を迎えて後、3人ほどの男性経験がある。しかし、カダマシのペニスのサイズは、これまでにあったどの男のそれよりも巨大だった。
「脱げよ」
声を低めてカダマシが言う。その声には強い殺気が込められていた。視界の端には先ほど腕のたった一振りで弾き飛ばされて動かなくなったままの武田がいる。逆らえばどうなるかは火を見るより明らかだった。
「い・・・ひぅ・・・く・・・こ・・殺さないで・・・」
涙をこぼし、首を振って懇願することしかできない。カダマシは、満足気に、そんな可奈子の頭を子どもをあやすようにグリグリと撫でる。
「ああ、もちろんさ・・・俺はかわいい女にゃ優しんだぜ?」
だから、脱げ
もう一言。もう、可奈子に逆らう気力などなかった。
自らの手で自分の操を守るはずの最後の服を脱ぐ。
「股、開けよ」
座ったまま、M字に股を開く。秘所が丸見えになるが、羞恥心よりも恐怖のほうが勝っていた。カダマシが近づいてきて、右手の人差し指をひと舐めすると、おもむろに可奈子の陰裂に押し付ける。
「いぃっ・・ひぃ!」
ガタガタと全身が震え、涙は頬を伝って顎からポタポタと垂れていた。男の指は何往復か陰裂をなぞると、そのままずぶりと挿入される。指、とは言え、大男のそれである。普通の人間のそれより遥かに太い。そんなものが急に挿入されてきたのだ。もちろん、膣は濡れているわけもないので、ただただ痛みと違和感があるだけだった。可奈子はたまらず悲鳴を上げる。
「痛い・・・、いやあ!や・・・やめてぇ!!」
泣き叫ぶ可奈子を押し倒すと、カダマシは膣内に挿入した指をグリグリと動かし続け、左手の指でクリトリスを弄び始める。
「まあまあ、すぐに良くなるからよっ・・っと」
じんじんと腟内に鈍い痛みが走るが、クリトリスを執拗にこすられ、嬲られ続けて、次第に感覚が変わってきてしまう。カダマシは分かっていたのだ、執拗な肉体的刺激が、女を狂わしていくことを。そして、可奈子が狂い始めたことは、膣内に挿入した指が感じる秘肉がこなれ、じっとりとぬめりを帯びてくることからも分かっていた。ニヤニヤと笑いながら、ただただ可奈子を性的に高めるためだけに単調な刺激をし続ける。
脳が錯覚を起こす。恐怖による鼓動が興奮によるそれと入り混じり、嫌悪感による身体的変化が性的快感に無理やり連結されていく。それが証拠に可奈子の叫び声は次第に女の湿り気を帯び、腰はくねくねと妖しく動き始める。
カダマシの思うツボだった。
「はあ・・・あ・・・いやあ・・・っ・・・あ♡」
可奈子の唇から漏れる吐息が熱を帯び、全身の肌がバラ色に紅潮していく。
「ほら・・・イケよ!」
頃合いをみて、カダマシがその太い人差し指を可奈子のぐちゃぐちゃになり始めた膣内に押し込んだ。指がGスポットをくすぐり、ついに可奈子は最初の絶頂を迎えてしまう。
「い・・・嫌ああ!!」
ビクンと腰が跳ね、びゅっびゅっと二回、淫液が陰裂から迸る。可奈子自身、これまでのどの性体験でも感じることがなかったほどの絶頂だった。
「イッたな?・・・じゃあ、今度はこいつで泣かせてやる」
カダマシがぐいと可奈子の両足を押し広げて、自身のペニスをその陰裂にあてがう。涙目の可奈子がその太さに目を剥いた。
あんなの挿れられたら、裂けちゃう!
それもそのはず、カダマシのペニスは直径が6センチほどある。最も張り出しているカリの部分は7センチに迫ろうという大きさだった。
「い・・・や・・・それはぁ!!」
黒く太いペニスは、先っぽからタラタラと大量の先走り汁をたらしていた。つるりとした亀頭が可奈子の陰唇に触れ、互いの粘液が混ざり合い、ぐちゅうっといやらしい水音がする。
「大丈夫だ・・・って・・よ!」
「いぎいいぃ!!」
大きすぎるぅ!!
陰唇を割って入ってきたペニスのあまりの圧倒的な存在感に可奈子はのけぞる。無意識に腰を引こうとするが、カダマシがペニスを半分ほど突き刺したまま、可奈子を両手でひょいと抱き上げたことで、逃げることも叶わない。
今や可奈子は、カダマシの極太ペニスを半分膣にめり込まされた状態で、子どものように抱きかかえられている状態だった。
「いや・・・や・・・やめてぇ・・・」
まだカダマシのそれが全て身体の中に入り込んでいないことは可奈子自身も分かっていた。半分、いや、三分の一かも知れない。しかしそれでも、かつてないほどに、自身の身体が押し広げられ、苦痛に似た快感に体が震えていた。
「へっへー・・・俺のをイッちゃん深くまで味わったら最後、もう、普通のちんぽじゃイケねえ身体になっちまうよ」
やめて、やめて!
そんなこと・・・ダメ・・・ダメェ!!
心の中で可奈子は叫ぶが、お腹を圧迫する違和感が苦しすぎて声も出せない。
「さてと、んじゃ・・・いつつ数えたら、この手を離すぜ?そしたら、姉ちゃんは最高の快楽とともに、人間じゃあいられなくなっちまうかもなあ」
「ひぃい!!や・・・やめぇ・・・・」
これ以上、この極太ペニスで刺し貫かれたら・・・私は!
ああ・・・ダメ、ダメ、ダメ!!
「じゃあ、人間辞める、5秒前・・・4・・・3・・・」
いやあ・・・ダメ、狂う、狂っちゃう!!
「2・・・1・・・」
「いやああ!!!!!」
可奈子は渾身の叫び声を上げた。
「ゼロ」
叫び声も虚しく、カダマシが両手を離す。そのまま、重力にしたがって、ストン、と可奈子の身体は沈んだ。
「い・・・ぎいいいいぃぃぃっ!」
喉の奥まで一気に突き上げられるような恐ろしいほどの異物感。あまりの衝撃に呼吸ができなくなる。あまりの興奮のせいか、痛みを感じることこそなかったが、串刺しにされてしまったかのような感覚を覚えた。
「おっ?入ったな?」
ニヤニヤと笑うとカダマシは可奈子を再び抱きかかえると、いわゆる駅弁と言われている体位のまま、下から突き上げた。突き上げられるたびに全身を揺さぶられ、身体の中をかき回され、子宮が押しつぶされるような圧迫感を与えられる。
それは、可奈子が受け入れることができる性感の許容量をはるかに超えるものだった。
「いっ・・いぐ・・・くう・・あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡・・あ・・あぐ・・うあああっ!」
「おほお・・・いいぞいいぞ・・・だんだん、俺のデカチンになじんできたじゃあねえか、おら!おら!おら!!」
ひときわ強く突き上げられると、あっけなく可奈子は絶頂に達した。顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになり、膣口からは愛液が幾度も吹き出していた。
「ぐう・・・いぐぅう!・・・いっちゃうぅう!!」
もう一度、おらあ!とカダマシが突き上げると、可奈子は自己の胎内で何かが弾けるのを感じた。ブルブルとカダマシのペニスが震え、強烈な快感が背筋を突き上げた。
「いやああ!!!」
胎内を叩く精液の奔流に、可奈子が白目を剥く。それは常人ではありえないほどの量だったのだ。大量の精液が行き場を失い、ブシュッと膣口から吹き出す。
「がぁあ・・・」
「おっと、まだまだ!」
可奈子を仰向けに寝かせると、その足を高く持ち上げて、一気にペニスを最奥に突き入れる。
「いぎぃい・・・っひぃいい!!」
「ははっ!ヒイヒイ言ってるよ・・・オラオラ!」
ずんずんと腰を叩きつけるように振る。そのまま何度もピストンを繰り返すうちに、とうとう可奈子は失神してしまった。それでも尚、カダマシは可奈子を犯し続けていた。
「おい!カダマシ!いい加減にしろ・・・そろそろいくぞ」
「まあ待てよ、もっかい、コイツに種付けしてからよ!」
また一番奥深くまで突き入れると、ドクドクと精液を注ぎ入れる。結合部から溢れた精液が再び漏れ出していた。
「早くしろ!」
「んだよ・・・分かったよ!あーあ、結構いい具合だったのにな」
ズルリとカダマシがペニスを抜くと、可奈子が気絶したままビクリと身体を震わした。その後、彼女の身体は痙攣するようにビクン、ビクンと2~3回跳ねている。
「また、壊しちまってるじゃねえかよ」
「まあ、そう言うなって・・・多分、コイツ、最高の天国見たんだからよ」
カダマシはズボンを上げ、ガチャガチャとベルトを締めた。
「そっちは?麻衣とか言うガキは?」
「眠らせてある」
「便利だな、お前の能力」
「他のガキは?」
「ああ?あらかた静かになったところを見ると、全員蛇たちの餌食じゃねえの?」
「ん?死んだの?」
「いや、まだ。動けない中、あと30分くらいでだんだん身体しびれて呼吸できなくなって、小さいやつから死ぬかな」
「なんだよ、速攻で死なねえの?毒弱いんじゃね?」
「馬鹿だな・・・じわじわ毒が効いてくるのがいいんじゃねえか。それで顔真っ青になって死ぬんだぜ?それが美学ってやつよ」
美学ね・・・
ま、俺はこっちのほうが好きだけどね。
そう言って、カダマシが小指を立てると、二人で笑い合う。
カダマシが居室棟の廊下に寝かされていた麻衣を軽々と担ぎ上げると、二人はまるで部活を終えた高校生が学校から帰っていくかのように、これからどこ行く?ああ、そうだな・・・などと、雑談をしながらなのはな園を出ていった。
☆☆☆
な・・・何だアイツらは・・・
ことの一部始終を建物の影から見ていた者がいた。男は名を倉持という。今夜、木村とともになのはな園の当直に当たっている生活支援員であった。
木村が居室棟の異音に気づき、支援員の詰め所を飛び出していった時、倉持も一緒に出たのだが、鍵を持ち出し忘れたのに気づき、戻ったのだ。再び居室棟に向かったときに、ものすごい音がしたのに驚き、そこを曲がれば居室棟が見える、という位置で立ち止まった、というわけだ。
倉持は臆病で良かったかもしれない。もし、勇敢にもそのまま角を曲がっていたらあっという間にカダマシに発見され、命を奪われるほどのダメージを受けたかも知れないからだ。
臆病者の倉持は、そのままその場で頭を抱えてしゃがみ込んでいたのである。そして、犯されている可奈子の悲鳴を、居室棟で子どもたちが蛇に噛まれて泣き叫ぶ様子を、そして、カダマシとクチナワの会話の一部始終を、ただ震えながら聞いていることしかできなかったのである。
ようやく二人がいなくなったのを見計らって、今動き出すことができた。
け・・・警察を・・・
それから、きゅ、救急車!
震える足にムチを打ち、倉持は転がるように詰め所に戻り、受話器を取る。何度も押し間違えそうになりながら、なんとか110番にかけることに成功した。
【不知不識】知らない内に物事が進んでいる様。
知らなかったよ~♪みたいな。
♡ーーーーー♡
【2年前:長野県石隠市】
季節は春。石隠市立加賀屋中学校も新学期にあたってのクラス替えを終え、ようやくクラスが落ち着き出した。落ち着いたのは良いのだが、今度は居眠りが多発している。春眠暁を覚えず、とはよく言ったもので、男女問わずあちらこちらでうつらうつらと船を漕いでいた。
「おい!お前ら!ちょっとたるんでるぞ!」
数学教師の荻野は生徒たちを一喝する。一瞬ぱっと跳ね起きる生徒はまだ可愛い方で、図太いやつはそれでもコックリコックリしている。
『全く・・・』
荻野は心中で毒づく。こいつら3年生で今年は受験だってのに、こんな様子で大丈夫かよと思ってしまう。ただ、こうしてうつらうつらしている生徒の中には、塾の宿題で夜ふかしせざるを得なくて、という者が少なからずいることは重々承知だ。なので、それほど強くも言えない。
『それにしたって、学校での勉強が基礎だろうが』
そう思うのだが、昨今はその点が逆転しがちだ。学校よりも塾を優先する親が多いし、学校側も『塾を上手に活用しましょう』とそれに拍車をかけているきらいもある。
そんな状態は教師一筋30年を超える荻野にとって、やはり異常だろうと感じてしまう。
俺の若い頃とは大違いだ・・・、そう思っていた。
荻野にとって、このクラスは教師生活で最後に担任するクラスでもあった。少しでもよい進路に進ませてやりたいと思っている。なので、自然と指導にも熱が入ってしまうのだが・・・。
『まあ、これも時代か・・・』
昔は教師が厳しく指導しても、それに反発して食いついてくる気骨のある学生が多かった気がするが、昨今はそうすると、その場で泣き出すならまだ良い方で、下手したらそれを原因にして不登校になった挙げ句、親が学校に怒鳴り込んできたり、子ども自身が教育委員会に投書するなんてことすらある。なかなかにやりにくい時代だ。
まあ、俺は俺で、やるべきことをやるしかないか・・・
思い直して、板書を進めていく。今日取り上げているのは高校受験でよく出る図形の求積問題だった。
「いいか、ここの長さとここが一緒になるから・・・」
「おい!何だあれ?」
「え?なに、なに?」
説明をし始めると途端に教室がざわめき始めた。
全く気を取り直した矢先に・・・
荻野が振り返ると、クラスの半分近くが教室の窓に張り付くようにして外を見ていた。
「おい!お前ら!勝手に立ち歩くな!」
荻野が声を掛けるが、生徒の視線は校庭に釘付けになっているようだった。
一体何だ?不審に思って荻野も外を見てみると、そこには一人の男が立っていた。
男は上半身が裸で、そして、異様に筋肉が発達していた。
そして、その身長は・・・
「なんだ!?あれは!!」
荻野が声を上げたのも無理はなかった。その男は異常にデカかったのである。普段、校庭を見下ろしているときに見える生徒の身長はだいたい頭に入ってる。それから比べると、あの男は、2メートル近くある計算になる。
とにかく、不審者だ!通報しなければ・・・!!
そう荻野が思った瞬間、男がギロリとこちらを・・・正確に言えば、荻野たちが授業をしていた3年A組のクラスを見上げた。その目に怨嗟の炎が燃え上がっているのが遠目にもわかった。
「ひぃ!」
その溢れんばかりの殺気を感じたのか、女生徒のひとりが悲鳴を上げて後ずさった。それを皮切りに教室が一気にパニックになる。
「ば・・・バケモンだああ!!」
「逃げろ!!逃げろ!!!」
我先にと教室の狭い出口に殺到した生徒たちは互いを押し合い、ぶつかり合ってしまう。
「み・・・みんな落ち着け!」
荻野が声を掛けるも、全くパニックが収まる気配はなかった。教室はさながら阿鼻叫喚の地獄であった。隣の教室からも悲鳴が聞こえてきているところを見ると、同じようにパニックを起こしているようだ。
な・・・なんとかしないと・・・
とにかく不審者の動きを確認しなくては、ともう一度校庭を見下ろすと、大男がゆっくりとこちらに向かって歩き出しているところだった。そして・・・
ドン!と大地を揺るがすような鈍い音が響き、一瞬校舎が揺れる。
何が?と思った瞬間、荻野の眼の前に宙を舞う大男がいた。
嘘だろ・・・ここは、校舎の3か・・・
荻野が、驚愕の中、そう思いかけた時、大男ニヤリと笑った。
「おらよっ!!」
そのまま足を横薙ぎに一閃すると、その強烈な膂力を持った蹴り風圧でバリン!と、3階の教室、全ての窓ガラスが内側に弾け飛んだ。
がああっ!
その風圧は荻野や窓ガラスの近くにいた生徒もろとも廊下側の壁まで吹き飛ばしてしまう。荻野がはっきりと覚えているのはここまでだった。壁に全身を強く打ち付けられ、そのまま気を失ってしまった。
「はっはー!てめえらまとめて後悔させてやる・・・男は殺す、女は犯してやる!!」
薄れゆく意識の中、大男の高笑いだけが響いていた。
☆☆☆
【現在:石川県堺返市】
はあ・・・。
事務室で、竹内可奈子がため息をつく。
「どうしたんですか?可奈子さん」
エプロンを付けた管理栄養士の光恵がその様子を心配して声をかけた。可奈子はこの施設の中でもとびきり元気な方で、入所者からも好かれている職員だ。その可奈子が浮かない顔をしているのは珍しいことだった。
「うん・・・麻衣ちゃんのことなんだけどね・・・ちょっとどうしていいかわからなくて」
「ああ、私もちょっと見てて・・・胸が痛いですよね」
可奈子の言葉に、光恵も得心する。
「ん?この間入ってきた片霧麻衣のことかい?」
事務所の奥にいる施設長の緒方が顔を上げた。50過ぎで、頭に大分白いものが混じっている男性だった。この施設で30年以上、子どもたちの面倒を見ている超ベテランである。
話題になっている片霧麻衣とは、この児童養護施設『なのはな園』に最近入所してきた10歳の少女だった。
「まあ、あんなことがあったら・・・誰だってねえ・・・」
麻衣は、この施設に入所する数か月前までは、何不自由ない暮らしをしていた普通の女児だった。しかし、ある出来事が彼女の生活を一変させてしまったのだ。
能登半島地震
麻衣が住んでいた地域は一番被害がひどい場所だった。家屋が倒壊し、土砂災害、火災・・・地震直後は町中が焼け野原のようになってしまっていた。
そして、彼女は、一瞬の内に両親を含めた家族、親戚、友人、知人・・・あらゆる人の縁を失ってしまったのだ。
「まだ、話さないのかい?」
麻衣は、倒壊した家屋の隙間にぴったりとはまるような形で奇跡的に大した怪我もなく救出された。しかし、自分の家族が全員この世を去ったことを知り、そのショックから、言葉を発しなくなってしまったのだ。
数週間の入院を経て、脳や神経に異常がないことは確認されている。大学病院での心理治療も数週間受けた。しかし、あの日から、彼女は全く言葉を発することがなくなってしまったのだ。
彼女がこの施設に来て、もう1年以上が経っていた。彼女の担当をしている可奈子は、そのことを気に病んでいるのだ。
「ええ・・・週に2回のプレイセラピーは続けています。でも、ほとんど遊びらしい遊びもしないんです。この間は、こんな絵を描いていました」
可奈子はこの施設のスタッフとしては『心理担当』である。子どもたちの生活の世話をするのはもとより、それぞれの子どもとカウンセリングや心理治療面接を行ってもいた。言葉が話せない麻衣に対しては、言葉を使う通常の『カウンセリング』は無効である。なので、遊びを通した心理治療法である『プレイセラピー』を用いていたのだ。
可奈子が差し出してきたのは、画用紙にぐるぐると赤と黒のクレヨンでたくさんの線が乱雑に描かれている・・・そんな絵だった。
「なんか、ひどい絵だな・・・」
「ええ、トラウマを抱えた子供の絵っていう感じです・・・すごく救いがなくて、見ているだけで苦しくなります」
ん?と緒方が声を上げる。
「竹内さん、この真ん中のこれ・・・なんでしょうか?」
絵の中央を指差す。赤と黒のクレヨンでぐるぐると乱雑に描かれた線。その線を台風に例えると、その丁度、目の部分に当たるところに、黄色と緑の小さな何かが描かれていた。
「さあ・・・なんでしょう」
「全部が全部、赤と黒、ではないというのは良いことなんじゃないか?」
「そう・・・ですね」
可奈子の返事は歯切れが悪かった。
緒方はその部分になにかの希望を感じたようだが、可奈子としてはどうにも禍々しいような印象しか持てなかったからだ。
「ちょっとこの辺が不気味な感じがして・・・」
見れば見るほど、何か背筋が寒くなるような気がして、可奈子はブルッと震えた。緒方は考えすぎだと請け合った。
「まあ、それでも可奈子さんの前で絵を描いた、ということは確かなのでしょう?少しずつ心をひらいているってことだと思いますよ」
まあ、そうなのかも知れない。
可奈子はもう一度絵を眺めてみた。
やっぱりこの中央の部分は、まるで、地獄の底からこちらを覗いている異形の目のように見える。そして、不思議なことに、昔の人が作った勾玉のようにも、見える気がした。
「とにかく、今日の当直、お願いしますよ。可奈子さんと、武田くんですよね?」
「ええ・・・」
なのはな園の職員は基本通いであるが、生活支援スタッフ2人と、事務方2人体制で当直をしている。本日の事務方の当直に可奈子は当たっていた。
つい1ヶ月ほど前にはそんなことを思わなかった可奈子であるが、一言も喋らず、無表情でひたすら不気味な絵を描き続ける麻衣のことを思うと、なんとなく夜、ここに残されるのが薄気味悪く感じてしまうのであった。
☆☆☆
やっぱり、昼間にあんな話をしたせいだろうか、胸が騒いでよく眠れない。
夜半の女性用宿直室の中で、可奈子は何度も寝返りを打った。どうにもあの絵のことが頭を離れない。時計を見ると、あと30分ほどで見回りの時間になってしまうことがわかる。
結局、全然仮眠ができなかった。
しょうがないと思い、身体を起こす。当直のときに身につけているジャージを羽織ると、水でも飲むかと起き出した。冷蔵庫に冷えていたミネラルウォーターをコップに注ぎ、一息に飲み干すと、身体の変な熱が取れていくような気がする。
バキ・・・
何か、妙な音がした気がして、可奈子が辺りをうかがう。何かが折れたような、そんな音だった。
なんだろう?
もしかしたら、備品がなにかの拍子に倒れて破損した、とかかもしれない。念の為とデスクにある懐中電灯を手に取り、宿直室を出た。左右を見るが、特に変わったものは見えなかった。
しかし、可奈子は異変を感じていた。
風・・・?
宿直室の右手から、風を感じるのだ。もしかしたら前回見回りをした武田くんか誰かが窓を開けて、そのままにしてしまったのかもしれない。そう思った可奈子はそちらの方に歩いていく。宿直室の右手を進むと、丁度施設の出入り口だった。
暗い廊下を懐中電灯の明かりを頼りに歩いていく。特に物音がするわけではないが、自分の歩く足音が古いリノリウム張りの廊下に響いて若干怖い。
懐中電灯で窓を照らしてみるが、どこも閉まっているようだ。だが、風はまだ正面から吹いてくる。この先だろうか?そう思いながら、更に歩いていくと、パタパタと何かが風にはためく音が聞こえた。
この先はもう玄関である。まさか玄関を開けて誰かが出ていったのか、そう思い、ちょっとゾッとする。もし、施設の子どもがこんな夜中に脱走をしたら、それはとんでもない大騒ぎである。
そうならないように、施設の玄関は表からはもちろん、中から出るのにもナンバーロックを解除しなければいけないようになっている。そして、外から不審者が入ってくることを防ぐとともに、かつて素行が悪かった子どもが椅子で玄関扉のガラスを割って外に出てしまった経験があったこともあり、金属製のかなり頑丈な扉になっている。
ナンバーがバレない限り、外に出ることなんかできない・・・
はず、と思いながら廊下を折れ、玄関の方を明かりで照らした。
「嘘・・・」
そこにはナンバーロックのところがすっぽりと穴が空き、半開きになった扉があった。穴の部分は機械のようなもので切り取った、というよりは、なにかとてつもない力で引きちぎった、みたいに見える。壊れたロック装置が電線にぶら下がり、風に煽られて揺れていた。
誰かが出ていったんじゃない!
誰か・・・いや、何かが入ってきた!!
とにかく子どもたちを安全なところに逃さなければ・・・その思いで可奈子は子どもたちが
就寝している居室棟に向かって走った。現在、なのはな園には30人ほどの子どもが収容されている。その生命を守らなければならない。
事務棟を抜け、居室棟に走る。居室棟の入口もまた、扉の取手が乱暴に引きちぎられていた。とにかくなにか尋常じゃない者がいるのは確かだ。
しかし・・・。
はたと可奈子は立ち止まる。金属の扉をいとも容易く引きちぎるようなモノ・・・それは果たして人間だろうか?仮に人間だったとしたら、複数の、しかも男性であろうことは容易に想像できた。
そう考えると、ここにいる事自体、ゾッとした。
ここまで突っ走ってきたけれども、先に男性である武田くんを起こすとか、110番をするべきではないだろうかと思い始めたのだ。
そうしよう、と、踵を返そうとすると、居室棟の中からボソボソとした声が聞こえた。
「なあ・・・お兄ちゃん達といっしょに行こうよ・・・」
「君ならできるんだよ?」
男の声だった。それも二人。やっぱり、誰かが居室棟に侵入している。
大声を出そうとしたが恐ろしくてできなかった。でも、二人の声の様子からして、子どもの中の誰かと話しているということは想像に固くなかった。
一体誰と・・・?
怖いが、確かめねばならないという使命感が勝った。可奈子は扉に近づくと、そこからそっと中を覗いた。居室棟の廊下の暗がりに細身の男がひとり、うずくまったような姿勢の男がひとりいた。うずくまっている男の影になって、子供の姿は見えないが、窓から差す該当の明かりが子どもの影を作っていた。
「取り戻せるんだぜ?な?悪い話じゃないだろう?」
立っている男が言った。
「さあ、行こう・・・お兄ちゃんたちは、味方だよ・・・」
うずくまっている男が妙な猫なで声で言う。
なあ・・・麻衣ちゃん・・・。
「!?」
男が読んだ名に、可奈子はびっくりしてしまった。その拍子に手が扉にぶつかり音を立てる。
「誰だ!?」
立っている男がこちらを見た。その目が可奈子をしっかりと捉える。
「んだよ・・・気付かれじゃねえかよ、クチナワ!だから最初から俺は嫌だったんだ、こんなちまちましたこと!さっさとかっさらえばよかったんだよ!」
うずくまっていた男が立ち上がる。その姿を見て、可奈子は驚愕した。
な・・・何あれ・・・!?
立ち上がった男の頭は廊下の天井に届かんばかりだった。2メートル以上はある!
そして、先程までは暗がりでよく見えなかったが、その両の腕は幼い子どもの胴体ほどの太さがあった。
「見つかっちまったんだ・・・もう、予定変更でいいよな?クチナワ!」
「ああ、しょうがない・・・お館様も許してくださるだろう」
皆殺しコースと行こうか・・・
そう言って、クチナワと呼ばれた男が廊下の壁に手をつくと、壁から、天井から大量の蛇が湧き出してきた。
「ひいぃ!!」
可奈子は悲鳴を上げる。あまりの異常な光景に腰が抜けて動けなくなっていた。蛇が廊下に溢れかえる前に、麻衣のことをクチナワが抱きかかえた。恐怖故か、わけがわかっていないのか、麻衣は大人しくクチナワに抱かれるままになっていた。
「おっと、クチナワ!女は殺すなよ?ガキにゃあ興味ないが、あの女はいただくぜ」
「ん?なんだ、またかよカダマシ・・・。お楽しみも大概にしとけよ」
そう言っている間に、湧き出した大量の蛇が子どもたちの眠っている居室に入っていく。たちまち、あちらこちらで子どもたちの悲鳴が聞こえてきた。
「ああ・・・安心して安心して・・・噛まれてもすぐは死なないからさ。身体動かなくなるだけ。それで3時間位で呼吸困難で死ぬ・・・だけだからさ」
くっくっく・・・とクチナワが笑う。
「さあ、お前は俺の相手をしてもらおうか・・・計画の邪魔したお礼だよ」
カダマシと呼ばれた大柄な男が可奈子に迫ってきた。近くで見るとなおさら大きい。その大きさに圧倒され、可奈子は震えが止まらなくなる。
何!?この人たち・・・一体何なの!?
「おい!どうした!?」
子どもたちの悲鳴が聞こえたのか、事務棟から武田くんが走ってきた。その後ろにはもうひとりの女性支援スタッフである木村さんの姿も見える。
「た・・・助けて!!」
武田くんが可奈子と、それを襲わんとするカダマシに気づき、目を剥いた。
「何だ!?お前ら!」
「け、警察を・・・!」
木村が踵を返して事務室に向かおうとする。
「ちっ・・・面倒だなあ」
一言、言うと、カダマシが思いっきり地面を蹴った。蹴られた廊下がミシリときしみを上げてひび割れるほどの力だった。その力で蹴り上げられた力が、カダマシの100キロを越える巨体を軽々と中空に舞い上げるだけの運動量をもたらす。
「ひぃ!!」
腰を抜かした可奈子を飛び越え、カダマシは一瞬の内に武田の元までジャンプしてきた。そして、無造作に裏拳で武田の横面を張る。その力で武田は3メートルほど飛ばされ、立木にぶつかって、倒れた。
「おらああっ!!」
そして、一声恐ろしいほどの咆哮を上げると、開いた右手を横薙ぎにする。たったそれだけの動きで、風圧による衝撃波を生み出す。衝撃波は事務室に向かう木村の背中から襲いかかり、彼女を壁に強烈に押し付けた。
「あ・・・あああ・・・・」
一瞬だった。カダマシと呼ばれた怪人が腕を二、三回振っただけで、あっという間に3人の大人が吹き飛ばされてしまった。3人共、ピクリとも動かない。
し・・・死んでしまったの?
可奈子の目に恐怖のあまり涙が滲む。動けない可奈子を尻目に、カダマシは木村の方に寄っていき、しゃがみ込んだ。
「なんでぇ、ババアかよ・・・こいつはいらねえや」
そう言って、可奈子の方に向き直る。
「いただくのはお前だけでいいや・・・、ま、時間もねえしな」
おおい!早く済ませろよ、というクチナワの呑気な声が居室棟から聞こえてくる。
カダマシの大きな手が可奈子に襲いかかってきた。
「ひぃああ!」
カダマシが可奈子の着ていたジャージを無造作に引き裂いた。まるで紙でできているのかと思うほど、それはあっさりと引きちぎられていく。
「いやあ!やあっ!!!」
形ばかりの抵抗をしようとするが、大男のものすごい膂力の前には何をしようが無意味だった。
「お、ちょうどいい具合に芝生があるな」
あらかた服を剥ぎ取ると、カダマシは大きな手で可奈子の頭を鷲掴みにして、居室棟近くにある芝生にぼんと投げ込んだ。
「がはっ!」
Tシャツと下着のみの姿にさせられた可奈子は背中を強く打ち付けられて、一瞬息ができなくなっていた。
「クチナワもああ言ってるし、さっさと済ませようか・・・
って、なんだ・・・お前、なかなかいい女じゃねえか」
そう言うと大きく太い指でゆっくりと可奈子の顎を撫でてきた。そのまま指を首元に下ろすと、Tシャツの襟元に指を引っ掛けて一気にそれを引き裂く。ぷるんと、可奈子の形のよい乳房があらわになってしまった。
「いいいっ・・・や・・・やめて!!」
「へえ・・・意外とおっぱいでけえな・・・。あんたいくつだ?」
カダマシの問に可奈子は涙をにじませ首を振るばかりだった。その表情に嗜虐心を刺激されたのか、カダマシが更に下卑た笑みをにじませる。
「ねえ・・・いくつなのぉ?」
「・・・にじゅう・・・なな・・・です・・・」
「いいねえ!食べ頃だ・・・」
ベロン、と可奈子の頬を舐め上げる。そのあまりの悍ましさに可奈子の背筋に寒気が走った。
「さて・・・犯してやるから・・・な?」
言うや、大男がズボンと下着を一気に下ろす。すでに猛りきった逸物が顕になる。
「い・・・や・・・ぁ・・・」
可奈子も処女ではない。高校生時分に初体験を迎えて後、3人ほどの男性経験がある。しかし、カダマシのペニスのサイズは、これまでにあったどの男のそれよりも巨大だった。
「脱げよ」
声を低めてカダマシが言う。その声には強い殺気が込められていた。視界の端には先ほど腕のたった一振りで弾き飛ばされて動かなくなったままの武田がいる。逆らえばどうなるかは火を見るより明らかだった。
「い・・・ひぅ・・・く・・・こ・・殺さないで・・・」
涙をこぼし、首を振って懇願することしかできない。カダマシは、満足気に、そんな可奈子の頭を子どもをあやすようにグリグリと撫でる。
「ああ、もちろんさ・・・俺はかわいい女にゃ優しんだぜ?」
だから、脱げ
もう一言。もう、可奈子に逆らう気力などなかった。
自らの手で自分の操を守るはずの最後の服を脱ぐ。
「股、開けよ」
座ったまま、M字に股を開く。秘所が丸見えになるが、羞恥心よりも恐怖のほうが勝っていた。カダマシが近づいてきて、右手の人差し指をひと舐めすると、おもむろに可奈子の陰裂に押し付ける。
「いぃっ・・ひぃ!」
ガタガタと全身が震え、涙は頬を伝って顎からポタポタと垂れていた。男の指は何往復か陰裂をなぞると、そのままずぶりと挿入される。指、とは言え、大男のそれである。普通の人間のそれより遥かに太い。そんなものが急に挿入されてきたのだ。もちろん、膣は濡れているわけもないので、ただただ痛みと違和感があるだけだった。可奈子はたまらず悲鳴を上げる。
「痛い・・・、いやあ!や・・・やめてぇ!!」
泣き叫ぶ可奈子を押し倒すと、カダマシは膣内に挿入した指をグリグリと動かし続け、左手の指でクリトリスを弄び始める。
「まあまあ、すぐに良くなるからよっ・・っと」
じんじんと腟内に鈍い痛みが走るが、クリトリスを執拗にこすられ、嬲られ続けて、次第に感覚が変わってきてしまう。カダマシは分かっていたのだ、執拗な肉体的刺激が、女を狂わしていくことを。そして、可奈子が狂い始めたことは、膣内に挿入した指が感じる秘肉がこなれ、じっとりとぬめりを帯びてくることからも分かっていた。ニヤニヤと笑いながら、ただただ可奈子を性的に高めるためだけに単調な刺激をし続ける。
脳が錯覚を起こす。恐怖による鼓動が興奮によるそれと入り混じり、嫌悪感による身体的変化が性的快感に無理やり連結されていく。それが証拠に可奈子の叫び声は次第に女の湿り気を帯び、腰はくねくねと妖しく動き始める。
カダマシの思うツボだった。
「はあ・・・あ・・・いやあ・・・っ・・・あ♡」
可奈子の唇から漏れる吐息が熱を帯び、全身の肌がバラ色に紅潮していく。
「ほら・・・イケよ!」
頃合いをみて、カダマシがその太い人差し指を可奈子のぐちゃぐちゃになり始めた膣内に押し込んだ。指がGスポットをくすぐり、ついに可奈子は最初の絶頂を迎えてしまう。
「い・・・嫌ああ!!」
ビクンと腰が跳ね、びゅっびゅっと二回、淫液が陰裂から迸る。可奈子自身、これまでのどの性体験でも感じることがなかったほどの絶頂だった。
「イッたな?・・・じゃあ、今度はこいつで泣かせてやる」
カダマシがぐいと可奈子の両足を押し広げて、自身のペニスをその陰裂にあてがう。涙目の可奈子がその太さに目を剥いた。
あんなの挿れられたら、裂けちゃう!
それもそのはず、カダマシのペニスは直径が6センチほどある。最も張り出しているカリの部分は7センチに迫ろうという大きさだった。
「い・・・や・・・それはぁ!!」
黒く太いペニスは、先っぽからタラタラと大量の先走り汁をたらしていた。つるりとした亀頭が可奈子の陰唇に触れ、互いの粘液が混ざり合い、ぐちゅうっといやらしい水音がする。
「大丈夫だ・・・って・・よ!」
「いぎいいぃ!!」
大きすぎるぅ!!
陰唇を割って入ってきたペニスのあまりの圧倒的な存在感に可奈子はのけぞる。無意識に腰を引こうとするが、カダマシがペニスを半分ほど突き刺したまま、可奈子を両手でひょいと抱き上げたことで、逃げることも叶わない。
今や可奈子は、カダマシの極太ペニスを半分膣にめり込まされた状態で、子どものように抱きかかえられている状態だった。
「いや・・・や・・・やめてぇ・・・」
まだカダマシのそれが全て身体の中に入り込んでいないことは可奈子自身も分かっていた。半分、いや、三分の一かも知れない。しかしそれでも、かつてないほどに、自身の身体が押し広げられ、苦痛に似た快感に体が震えていた。
「へっへー・・・俺のをイッちゃん深くまで味わったら最後、もう、普通のちんぽじゃイケねえ身体になっちまうよ」
やめて、やめて!
そんなこと・・・ダメ・・・ダメェ!!
心の中で可奈子は叫ぶが、お腹を圧迫する違和感が苦しすぎて声も出せない。
「さてと、んじゃ・・・いつつ数えたら、この手を離すぜ?そしたら、姉ちゃんは最高の快楽とともに、人間じゃあいられなくなっちまうかもなあ」
「ひぃい!!や・・・やめぇ・・・・」
これ以上、この極太ペニスで刺し貫かれたら・・・私は!
ああ・・・ダメ、ダメ、ダメ!!
「じゃあ、人間辞める、5秒前・・・4・・・3・・・」
いやあ・・・ダメ、狂う、狂っちゃう!!
「2・・・1・・・」
「いやああ!!!!!」
可奈子は渾身の叫び声を上げた。
「ゼロ」
叫び声も虚しく、カダマシが両手を離す。そのまま、重力にしたがって、ストン、と可奈子の身体は沈んだ。
「い・・・ぎいいいいぃぃぃっ!」
喉の奥まで一気に突き上げられるような恐ろしいほどの異物感。あまりの衝撃に呼吸ができなくなる。あまりの興奮のせいか、痛みを感じることこそなかったが、串刺しにされてしまったかのような感覚を覚えた。
「おっ?入ったな?」
ニヤニヤと笑うとカダマシは可奈子を再び抱きかかえると、いわゆる駅弁と言われている体位のまま、下から突き上げた。突き上げられるたびに全身を揺さぶられ、身体の中をかき回され、子宮が押しつぶされるような圧迫感を与えられる。
それは、可奈子が受け入れることができる性感の許容量をはるかに超えるものだった。
「いっ・・いぐ・・・くう・・あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡・・あ・・あぐ・・うあああっ!」
「おほお・・・いいぞいいぞ・・・だんだん、俺のデカチンになじんできたじゃあねえか、おら!おら!おら!!」
ひときわ強く突き上げられると、あっけなく可奈子は絶頂に達した。顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになり、膣口からは愛液が幾度も吹き出していた。
「ぐう・・・いぐぅう!・・・いっちゃうぅう!!」
もう一度、おらあ!とカダマシが突き上げると、可奈子は自己の胎内で何かが弾けるのを感じた。ブルブルとカダマシのペニスが震え、強烈な快感が背筋を突き上げた。
「いやああ!!!」
胎内を叩く精液の奔流に、可奈子が白目を剥く。それは常人ではありえないほどの量だったのだ。大量の精液が行き場を失い、ブシュッと膣口から吹き出す。
「がぁあ・・・」
「おっと、まだまだ!」
可奈子を仰向けに寝かせると、その足を高く持ち上げて、一気にペニスを最奥に突き入れる。
「いぎぃい・・・っひぃいい!!」
「ははっ!ヒイヒイ言ってるよ・・・オラオラ!」
ずんずんと腰を叩きつけるように振る。そのまま何度もピストンを繰り返すうちに、とうとう可奈子は失神してしまった。それでも尚、カダマシは可奈子を犯し続けていた。
「おい!カダマシ!いい加減にしろ・・・そろそろいくぞ」
「まあ待てよ、もっかい、コイツに種付けしてからよ!」
また一番奥深くまで突き入れると、ドクドクと精液を注ぎ入れる。結合部から溢れた精液が再び漏れ出していた。
「早くしろ!」
「んだよ・・・分かったよ!あーあ、結構いい具合だったのにな」
ズルリとカダマシがペニスを抜くと、可奈子が気絶したままビクリと身体を震わした。その後、彼女の身体は痙攣するようにビクン、ビクンと2~3回跳ねている。
「また、壊しちまってるじゃねえかよ」
「まあ、そう言うなって・・・多分、コイツ、最高の天国見たんだからよ」
カダマシはズボンを上げ、ガチャガチャとベルトを締めた。
「そっちは?麻衣とか言うガキは?」
「眠らせてある」
「便利だな、お前の能力」
「他のガキは?」
「ああ?あらかた静かになったところを見ると、全員蛇たちの餌食じゃねえの?」
「ん?死んだの?」
「いや、まだ。動けない中、あと30分くらいでだんだん身体しびれて呼吸できなくなって、小さいやつから死ぬかな」
「なんだよ、速攻で死なねえの?毒弱いんじゃね?」
「馬鹿だな・・・じわじわ毒が効いてくるのがいいんじゃねえか。それで顔真っ青になって死ぬんだぜ?それが美学ってやつよ」
美学ね・・・
ま、俺はこっちのほうが好きだけどね。
そう言って、カダマシが小指を立てると、二人で笑い合う。
カダマシが居室棟の廊下に寝かされていた麻衣を軽々と担ぎ上げると、二人はまるで部活を終えた高校生が学校から帰っていくかのように、これからどこ行く?ああ、そうだな・・・などと、雑談をしながらなのはな園を出ていった。
☆☆☆
な・・・何だアイツらは・・・
ことの一部始終を建物の影から見ていた者がいた。男は名を倉持という。今夜、木村とともになのはな園の当直に当たっている生活支援員であった。
木村が居室棟の異音に気づき、支援員の詰め所を飛び出していった時、倉持も一緒に出たのだが、鍵を持ち出し忘れたのに気づき、戻ったのだ。再び居室棟に向かったときに、ものすごい音がしたのに驚き、そこを曲がれば居室棟が見える、という位置で立ち止まった、というわけだ。
倉持は臆病で良かったかもしれない。もし、勇敢にもそのまま角を曲がっていたらあっという間にカダマシに発見され、命を奪われるほどのダメージを受けたかも知れないからだ。
臆病者の倉持は、そのままその場で頭を抱えてしゃがみ込んでいたのである。そして、犯されている可奈子の悲鳴を、居室棟で子どもたちが蛇に噛まれて泣き叫ぶ様子を、そして、カダマシとクチナワの会話の一部始終を、ただ震えながら聞いていることしかできなかったのである。
ようやく二人がいなくなったのを見計らって、今動き出すことができた。
け・・・警察を・・・
それから、きゅ、救急車!
震える足にムチを打ち、倉持は転がるように詰め所に戻り、受話器を取る。何度も押し間違えそうになりながら、なんとか110番にかけることに成功した。
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