天狐あやかし秘譚

Kalra

文字の大きさ
48 / 96
第10話:疱瘡神

第48章:月下氷人(げっかひょうじん)

しおりを挟む
♡ーーーーー♡
【月下氷人】縁結びの神。転じて、男女の縁の仲立ちをする人のこと。
氷の上から下を見下ろすと、そこに映るのは運命のあなた♡、みたいな。きゃっ♪
♡ーーーーー♡

なんやかや長かった疱瘡神との戦いが終わった。
私達は中類村から離れ、島根県の市街地の大きめのホテルに逗留することとなった。

本来、瀬良や土御門などは、一刻も早く京都支所に戻り、報告書の作成などをするべきなのだ、とのことだったが、松江市内に到着した時点ですでに21時を回っていたことと、『わい、疲れた』という土御門の発言とが相まって、取り合えずホテルで一泊し、休息を取ってから京都に向かうということになったのだった。

今回宿泊することになったホテルは、昨日、私とダリが京都で宿泊した高級旅館というほどではないものの、やはりハイクラスであることは間違いないようで、客室は落ち着いた広めの和室、内風呂の他に大浴場と露天風呂を併設しているという豪華ぶりだった。

陰陽寮の力なのか、土御門個人の力なのかわからないが、急な宿泊であるにも関わらず、部屋まで夕食を届けてくれるというサービス付きだった。

部屋割りは私とダリは同室(土御門がそうした)、土御門と瀬良はそれぞれ個室があてがわれていた。一番広いのが私達の部屋だったので、夕食はそこでみんなで食べることにした。配席は、部屋の奥側に私とダリ、入口に近い方に土御門と瀬良が並ぶ形だった。

支配人と思しき人がしきりに平身低頭、土御門におべっかを使っていたところを見ると、土御門はかなりの上客で、機嫌を取っておくのが吉であると判断されているようだった。

土御門も土御門で、そういう扱いに慣れているのか、片手を軽くあげ、『無理言ってすまへんなぁ。平田はん・・・感謝しとるで』などと余裕の表情を見せている。
一体何者なんだ。あんた・・・。

と、まあ、こういったわけで、私達はやっとのことで美味しい食事、温かい宿、そして温泉にありつくことができた。

そして、出された御膳はというと、カニを中心としていて、前菜、海鮮のぬた、カニ鍋、お造り、蟹の天ぷら、かき揚げ、ご飯、カニ味噌汁など、無理を言って出してもらったとは思えないほどの豪華っぷりだった。
「こんなものしか用意できませんで・・・」
平田と呼ばれていた支配人と思しき人物はまだ、ペコペコとしているが、このレベルで、『こんなもの』というのは謙遜である、と信じたい。相変わらず支払等は全て土御門まかせなので、値段などは全くわからなかった。

「今日は綾音はん、大活躍でしたな~」
食事も半ばを過ぎた頃、土御門が私をおだててくる。
大活躍なんて、とんでもない。私は最後の最後の場面で、疱瘡神と化した真白に無謀にも突っ込んでいっただけで、それ以外は瀬良に守られていたに過ぎない。
蟹は美味しいが、今日の自分の無力さを思うと、本当に嫌になる。
加えて、今回の事件の顛末が顛末だけに、豪華な食事には本当に申し訳ないが、それを素直に楽しむ気持ちにはなかなかなれないでいた。

私が少し俯いたのを見て取ったのか、瀬良が励まそうと、笑って見せる。
「綾音さん・・・そんな顔する必要はないです。疱瘡神に加え、神宝使いを二人も相手取って、なんとか生き延びる、それだけでも大した成果です。通常クラスの陰陽師では疱瘡神など、出会った瞬間に即死・・・ですから」
「せやで!あのとき綾音はんが突っ込んでいったからこそ、膠着した戦局が動いて封印できたんや。もし、綾音はんがいなかったら・・・」

そう、あの時、疱瘡神が封印できた理由、それについては、松江に向かう車中でも一度、話が出たのだ。
疱瘡神と化した真白に最後の攻撃を加えようとダリと土御門がそれぞれ必殺の一撃を放った。しかし、その瞬間、私は言いしれぬ悪寒を感じ、疱瘡神に突っ込んでいった・・・わけだ。そのせいで、私はガッツリ疱瘡神に触れることになってしまい、重度の病に冒され、死ぬところだったわけだ。
とても役に立ったとは思えない。何もしないほうがマシだったのでは、と思っていた。

しかし、意外なことに、土御門の評価は違ったのだ。
『もし、あのまま、わいと天狐はんの攻撃当たっとったら、場合によってはわいら全滅しとったかもしれん』
ダリも土御門も、彼らが謎の男『緋紅』に足玉を奪われた時点で、真白は完全に疱瘡神に取って代わられた、と誤解していたのだ。なので、あの時点で疱瘡神の放っていた神力が、出力のマックスだと考えて戦略を練っていたわけだ。
つまり、あの程度なら、なんとか自分たちの攻撃で倒せる、と見越した上で攻撃を放っていた。
しかし、実際は違ったのだ。あの時点では疱瘡神は、その力を全て発揮していなかったのである。なぜなら、真白の人間としての意識がまだ残っており、そのせいで、疱瘡神は完全覚醒していない状態だったのだ。
『危なかったで・・・。もしかしたら、わいらの攻撃が、かろうじて残っていた真白の部分を吹き飛ばしてしまって、結果的に疱瘡神を完全覚醒させてしまったかもしれへん。そしたら、潜在した全ての疱瘡真の力が一気に解放されてもうたかもしれん。そうなったら、わいと天狐はんの攻撃で、本当に倒せたか、わからんところやった』

もしかしたら、疱瘡神のフルパワーをダリと土御門の力が越えて、そのまま倒せたかもしれない。しかし、倒せなかったかもしれないのだ。
そして、倒せなければ、あの時点での土御門とダリの残りの呪力・妖力では、その後の攻撃で倒すどころか、封印すら出来なかっただろうというのだ。それは最悪の結末だ。私達は全滅し、リミッターが外れた疱瘡神の力が壊れた結界から漏れ出して、その影響で起きたパンデミックで日本壊滅・・・という筋書きも有り得たのだ。

では逆に、疱瘡神が覚醒していないことに気付いていたとしよう。
『仮に気づいとったら、様子見したり、あれこれ封印を試そうとするやろうな。でも、そんなことしよったら、颯馬を守ろうとする真白との間で戦況はますます膠着してまう。そして、時間が経てば、今度は颯馬が死ぬ。そうなったらアウト。眼の前で颯馬が死ねば、きっと真白の意識も死んでもうたやろな』
真白の意識が死ねば、以下同文・・・、やっぱり日本は壊滅、というわけだ。

結局、私が無謀に突っ込んだことが全ての転換点だった、と土御門は言うのだ。
「まあ、そうなのかもしれないですけど・・・」
ごにょごにょ・・・。私としては単に『真白さんと颯馬さんを助けたい』という、自分のわがままで勝手に突っ込んでいって、勝手に病気になり、ダリや土御門の足を引っ張った・・・という認識しかないのである。

おまけにダリにはものすごく心配をかけてしまった。
今も、無言でおちょこを傾けている。もちろん、不機嫌そう、とかそういうことはないのだが、なんとなくパッとしない表情をしている。

松江への車中から、ホテルに着いたあとに至っても、ダリは異常なまでに私の体調を気にかけていた。少しの段差があっても手を差し伸べたり、ちょっと考え込もうものなら『どうした・・・悪心か?』などと心配する。風呂に入る際には、大浴場の中にまでついてこようとするほどだった。(もちろん断った)
本当に、申し訳ない・・・と思っている。
私の目がダリを追い、すっと伏せたことで、心中がダダ漏れになっていたのだろう。土御門や瀬良がいつにも増してあれやこれやと話しかけてきた。
しかし、私もダリも最後まで浮かない様子で過ごしてしまう。

そんな感じで、なんとなく盛り上がらない夕食が終わると、すでに23時を過ぎていた。瀬良と土御門はそれぞれ部屋に戻っていく。瀬良が『私はもう一回お風呂に入るけど、綾音さんも・・・』と誘ってくれたが、私自身、大分身体が疲れている自覚があったので、そのまま休むことにした。
二人が出ていき、入れ替わりで仲居さんが入ってきて、お布団が敷かれる。その様子をぼんやりと見ていたのだが、ここでふと気づいた。

あれ?ダリは?

先程まで部屋にいたはずなのに、気づいたら消えていた。
ダリはトイレにいく必要もない。もしかして風呂か?とも思ったが、内風呂にはいなかった。一体どこに?
しばらく待っていたら帰ってくるかも、と思って待っていたが、10分ほどで限界に達してしまった。
ダリがふらりといなくなることはよくあることなのだが、先程までのあの尋常でない心配ぶりからの急な失踪は、私の不安を駆り立てるのに十分すぎるほどだった。
「どこに行ったの・・・?」
心配で居ても立ってもいられなくなった私は、部屋の内線に手を伸ばしていた。

☆☆☆
「・・・やっと見つけたよ・・・こんなところにいたの?」

あちこち探し回った挙げ句、やっと見つけた。
ダリがいたのは、ホテルの敷地の裏手にある小山の上の神社の境内、正確に言えば、神社の境内に植えられた松の木の枝の上だった。

神社は氏神でも祀っているものなのだろう。宮司さんとかがいるような立派なものではなく、境内こそそこそこの広さがあるものの、こじんまりとした社殿があるだけだった。

真冬の夜、空気はツンと澄んでいた。
境内には街灯などはなかったが、空に明るい月が昇っており、ダリと私を青く照らしていた。
枝に腰掛け幹に背を預けた狐神モードのダリは、空に目を向けていた。そのきれいな瞳に、月がまあるく落ちている。それは、本当に、一幅の絵のようで、見惚れそうなほど、美しい情景だった。

「土御門だな・・・?」

私の声に答えて、木の枝の上から私の方を見やる。
ご明察・・・私は、ダリがいなくなったことに気づいて、内線で土御門に連絡を取った。彼が簡便な占術でダリの居場所を探してくれたのだ。

少しの、沈黙。

なんか、距離が・・・遠いよ。
地面に立つ私と、木の枝に腰を掛け天を見つめるあなた。
とても、とても距離が遠い。

やっぱり、怒っているの?

「ダリ・・・」

どうしよう、あそこまで、私、登っていけるかな。
木登りをしようと本気で思いかけた時、ふわりとダリが飛び降りて来てくれた。

今度は、私の直ぐ側に。
まっすぐ顔を見つめてくる。
その瞳から目が逸らせなかった。

「あの・・・えっと・・・」
言葉が出てこない。

誰もいない夜の神社の境内。
青い月明かりに満たされた神聖な空間に、あなたがいる。
現実を超えた非現実に、私は息を呑む。

「すまなかった・・・」
一言だけ。思いがこもっている言葉だと感じた。

「ごめんなさい」
ダリの優しい言葉に、私の心のわだかまりがほろりと解ける。
言葉が自然と溢れる。ダリの胸に、コン、とおでこをぶつけるようにもたれかかった。
青い月明かりが、二人の影を地面に落とした。

泣くつもりなんてなかったのに、涙まで零れてしまう。

「綾音、まだ、どこか痛むのか?」
ダリの手がそっと肩にかかる。とても暖かい手。
もちろん、身体のどこかが痛むわけではない。

嬉しい、と、情けない、と、
苦しい、と、愛おしい、が、
ないまぜになったような感情が胸の奥から湧いてきて、涙になって止まらなくなった。

「ごめんなさい・・・心配かけて・・・ダリ・・・」
確かに私は、真白さんたちを助けたかった。
土御門が言うように、結果的には、あのときああしたのは正解だったのかもしれない。
でも、多分・・・いいや、絶対、私は、私を愛してくれるダリのためにも、自分を大事にしなきゃいけなかったのだ。

どこか、甘えていたのかもしれない。
ダリが、なんとかしてくれる、と。

でも、意識を取り戻した時、ぎゅっと抱きしめられて、その後も、たくさん心配そうな顔で見られて・・・私は自分がとてもいけないことをしたと思った。

私は、これまで生きていて、心のどこかで『人は自分のことなんてどうでもいいと思っている』と思ってきたと思う。
私がどうなろうと、他人の心には露ほどの影響もない、と。

でも、違う。
違うと、思い知らされた。
愛されるということは、こういうことなのだと、身に沁みて分かった。

わかつことができない、心のありよう。
それを、人は愛と言うんだ。

ダリの腕が私の身体を抱きしめる。
その身体から立ち上る香気が、温かさが、私を深く深く安心させた。
 
その顔を見上げる私の唇に、そっと彼の唇が重なる。
最初は軽く、すぐに強く。
私の存在を確かめるような強い抱擁、熱い口づけ。

唇を離し、耳元で囁く。
「綾音・・・、もう、あのような目には遭わせぬ
 必ず、守る」
「うん・・・」

私も、あなたの思いを大切にするよ・・・。

「だから・・・我の手から、零れないでくれ・・・」
「うん・・・」

そっと彼の背に手を回して、ぎゅっと抱きしめた。
ダリもまた、私の身体をその身に引き寄せるように抱きしめる。

月光の下、重なる身体、重なる思い。
長かった一日が、やっと本当に終わった気がした。

☆☆☆
「瀬良ちゃんも飲まへん?」
大きな窓の近くに置かれた籐の椅子に腰掛けて、土御門様がブランデーのグラスを傾けていた。『月が綺麗やで、一緒に見よう』と、部屋に押しかけてきて、勝手に電気を消して、腰掛けて・・・。

我が主ながら、本当に身勝手だ。

「飲みません」
「付き合い悪いな~」
「仕事中ですから」

私の意識としては、今は仕事中だ。
土御門様をフォローすること、そして、守ることが私に与えられた生まれながらの使命。主がいるところで、酒を飲むことなど、基本はしない。

「真面目やな、瀬良ちゃん」
「何があるか、わかりませんし・・・」

私は、今日、出会った者たちのことを思い出していた。
緋紅という謎の男。
颯馬を『イタツキ』と呼んでいた。シラクモ、という男もいた。ふたりは神宝を使い、緋紅もまた、神宝を使っていた。何かの組織、なのかもしれない。
結果的に、あいつはあの場にあった全ての神宝を奪っていった。

自らを『大和の民の殲滅者』と宣言した男。何かとんでもなく大きな悪意を感じる。
気を、抜くなんて出来ない。

はあ・・・と土御門様がため息をつく。
「今夜は大丈夫やと思うけどなあ・・・」
「油断大敵って、ご存知ですか?」

言ってやる。
多少は警戒心を持ってほしいものだ。

「ま、ええわ・・・じゃあ、せめて膝の上、乗って?」

なっ・・・!?

「何言ってるんですか!?」
不覚にも顔が赤くなる。室内は暗く、青い月明かりが窓に切り取られ、彼が座っているあたりにだけ、四角く落ちている。私の顔は陰になって見えていない、と信じたい。

「じゃあ、せめて、隣に」
しつこいな・・・。

「向かい合わせなら・・・」
あまりに主の言うことを無下にするのもと、ちょっと仏心が出た。隣に座ると変な気持ちになるような気がしたので、せめて向かいに座ろうと。

月明かりの中に、そっと足を踏み入れる。
私の身体も青く染まった。

「失礼します」
向かい合う籐の椅子に腰を掛ける。土御門様がふっと窓の外を見るので、釣られて私もそちらを見た。

窓の外に、冴えた月光。
暗く沈んだ町がまるで水底のようにも見える。

「きれいやな」

月明かりに照らされて、ゆっくりとグラスを傾ける土御門様に、見惚れそうになり、慌てて目を背ける。これだから、嫌なんだ・・・。

「今日、ありがとな、瀬良ちゃん」

不意の言葉に、ドキンと心臓が跳ねる。
土御門様が面と向かって私のことを褒めることなど滅多にない。冗談めかして言われたことはいくらもあるが、こんなに真剣に・・・。

「鉄研を青龍で追った時も、虫が突っ込んできて、蛇之麁正おろちのあらまさ使おうとした時も、完璧な動きやったわ。さすがやで」
細い目を更に細めて、笑う。
まずい・・・。また、顔が紅潮するのを感じる。青い月明かりのせいで顔色は見えないはずと思い、冷静を装う。
「土御門様にお仕えするのが、仕事ですから・・・」
「わいの考えてることくらいお見通しってか?」
「そうでないと、務まりません」

長い事、お仕えしているからこそ、わかる事がある。
あなたがどういうときに、どう考えて、どう動くか。何ができて、どこを補佐してほしいと思っているのか。

「んじゃ、今、わいが考えてること、当ててみ?」

今・・・?

何を考えて・・・と思い、顔を見た時、あまりにもあからさまに、彼の『意図』が伝わってきてしまい、今度こそ動揺した。

「そ・・・それは・・・」
「わからへん?」
「わ・・・わかりません!」

ぷいっとそっぽを向くことしかできない。我ながら、不器用すぎるし、うぶすぎる。
くっくっく・・・と土御門様の含み笑いが聞こえる。

「わい、今日、めっちゃ疲れてん。蛇之麁正・・・神剣あんだけ振り回したしなぁ・・・。それに、疱瘡神、封印めっちゃ大変やってん」
ちらっと右目だけを大きく見開き、口角が上がる。

「お勤め、してくれへんの?」

うう・・・。
その言葉が私に言い訳を与えようとしていることも、分かってしまう。分かってしまうだけに頷き難い。

「夕香が、ほしい」

だけど、そんな抵抗も、彼の言葉で、あっさりと打ち砕かれた。
本当に・・・ずるい・・・。

☆☆☆
「ん・・・♡あっ・・・あん♡」
和室に敷かれた布団の上で、私はあっという間に全裸に剥かれてしまう。真剣な目で見つめられて、下の名前で呼ばれた時点で、私のアソコはヌルヌルとした女の液をにじませてしまっていた。

乳首を口に含まれ、吸われ、弾かれる。
彼の右手が脇腹をくすぐり、太ももを撫でて、その指先が、あっという間に私の秘所をこじ開けていく。

「濡れてんで・・・夕香はやっぱりかわええなあ・・・」
ちゅくっと中指が陰裂に沈む。私の濡れそぼったアソコはふわふわに蕩けていて、ずぶずぶと彼の太い指を呑み込み、咥えこんでいく。

こんなに、あっという間にトロかされてしまう・・・。
これは、瀬良家の教育のせいだけではないということは、私自身が一番良く知っていた。

土御門様の指が私の秘所の中でくいと折れ曲がり、入口の少し奥、お腹の側をコリコリと刺激してくる。私の、一番弱い所・・・。

「ふ・・・ん、あ♡・・・んん♡・・・ダメ、・・・そこ、コリコリ・・・いや♡」
どんどん高められ、その興奮のままに、私の身体は素直に反応し、肉ひだは彼の指を物欲しそうに締め付け、陰裂は女の蜜をジュクジュクと吐き出す。もう、私の秘所はビチャビチャに濡れそぼっていた。

「お汁・・・たーくさんや・・・甘い蜜・・・ごちそうしてな・・・」
土御門様が私のアソコを舐めあげる。わざと舌の腹全体を使って、べろりと淫らに。
「んっ♡」
陰唇からクリトリスまで一気に舐め上げられ、ゾクリとした感触が背筋を走る。たったひと舐めで私は軽イキしていた。しかし、それで責めが終わるわけはない。彼は更に舌を何度も往復させ、私の花弁を、蕾をびちゃびちゃといやらしい音を立てて、舐め上げていく。その淫らな音をわざと聞かせようとしているかのようだった。

「ふわああっ♡・・いや!ダメ!・・・そんなに舐めちゃ♡・・・音・・・さ・・させないで!!」
舌をすぼめて陰裂に押入れ、グニグニと動かしたかと思うと、じゅるるると愛液を吸い上げる。その音と与えられ続ける性感で、私はびくんびくんと何度もイッてしまった。
「あっ!そんな・・・お口・・・お口だけで何度も・・・何度もイッちゃう♡」
腰を逃がそうにも、がっしりと両腕で足を押さえられて動かすこともままならない。クチクチといやらしい音を立てられ、私はいいように嬲られる。あっという間に彼の言いなりだ。

入口とクリトリスばかりを執拗に責められて、お腹の奥がジクジクと熱くなっていく。子宮が降りてきて腟内がキュウキュウと蠢いているのを感じる。

ほ・・・ほしい・・・ほしいよぉ・・・

手の甲を口に押し当て、必死に堪える。それでも淫らに腰が蠢くのを止めることができない。体の奥のメスの本能が、アソコに・・・オマンコに土御門様のおちんぽを求めているのがありありとわかる。

カリッとクリトリスを甘噛されて、また、私はビクンと身体を震わせてイッてしまう。
「ひやぁ!!」
「かわいいなあ・・・こっちも今日はかわいがったろな・・・」
愛液でぬるぬるになった土御門様の指が蟻の戸渡りを伝って・・・
「ひあやあ・・・そ・・・そこは!」
菊門にぬめりを帯びた指を感じて、私はなんとか腰を逃がそうとする。しかし、彼はそれを許さない。十分に濡れた指先は、ぬりゅんと私の菊門を犯していく。

「あ・・・ああ♡・・・ダメ、ダメ、ダメです!今、・・・お尻いじられたら私はっ・・・」

クリトリスをチュウチュウ吸われながら、アナルの中をクニクニと太い土御門様の指が擦り上げてくる。わざとペースを合わせて刺激してくるので、お腹の中がどんどんと熱くなっていってしまう。
「・・・・い・・・イクぅ!!」
ぶしゅっと愛液が吹き出すのがわかる。前も後ろもぐちゃぐちゃにされて、私はわけがわからなくなるほど高められていく。

も・・・もうダメ!

「・・・つ・・・ちみかどさま・・・もう、もう堪忍してください・・・」
「何?もういらんの?」

ち・・・違う!
違うからああ!

「ほしい・・・ほしいです!もう・・・前でも後ろでもいい!・・・夕香を・・・夕香を犯して!オチンポください!・・・もうダメ・・・私は・・・私、狂っちゃう!!」

我慢の限界だった。
高められた女の欲がさらなる刺激を求めてやまない。おちんぽ・・・おちんぽほしい・・・。

「ええなあ・・・可愛いで・・・夕香・・・」
うつ伏せにされ、腰を高々と上げられる。先走り液でぬるぬるになった土御門様の亀頭が陰裂に押し当てられるのを感じて、期待できゅうっと膣が閉まるのを感じる。

「早く!・・・早くぅ!・・・ください!お願い・・・」
頭を振り乱しておねだりしてしまう。恥ずかしい、淫靡な私・・・。
「いくで!夕香!」
ぐちゅううう・・・と熱い塊が私の中を貫いていく。腟内を押し広げられ、こすられ、一番深い所をグイグイと突き上げられる。
「ぐううう・・あっ♡」
四つん這いの姿勢で貫かれ、たまらず私はのけぞってしまう。そのまま両の手を後ろに引っ張られ、後背位の姿勢で腰をガンガンと突き入れられる。

いきなりの強烈なピストンに呼吸のタイミングが合わずに一瞬クラっとする。
「がはっ・・・ん・・・♡」
じゅぶじゅぶと突き上げられるタイミングがだんだんあってくると、それに応じて私の口から女の声が跳ねるように漏れ出す。
「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡ん・・ん・・・んあ♡あっ♡あっ♡・・」
愛液がしとどに漏れ、太ももを濡らしていく。
「あっ♡・・・いい・・・き・・・気持ちいい・・・ダメ、これ・・・すぐ、いっ・・・ぱい・・・イク・・イクイクイク!!」
ぎゅうっと私のオマンコがおちんちんを締め付け、そこからの精液を吸い上げようとする。ゾクゾクとした快感が立ち昇ってくる。

それでも、突き上げが止まることはなかった。ひと突きごとにイッている。イッてるのに、イッてもイッても腰を止めてくれないっ!
「いやああ!!ダメっ・・・イってる!イってる!・・・も・・・は・・ん・・・イグぅ!!」
ぐううっと最後に深く突き上げられ、私は金魚のように口をパクパクさせることしかできない。頭の中に真っ白な光が弾け、目の前がチカチカと瞬く。息を吸っているのか、履いてるのかもわからない。奥の奥を突かれすぎて身体のあちこちが勝手に痙攣して止まらなかった。

じわあああっと体の奥に温かいものが広がっていく。
それで、やっと中出しされたことがわかった。そっと土御門様が手を緩め、私はくたりと布団に倒れ込む。ビクン、と身体不随意に痙攣してしまう。顔が布団にのめり込むように沈み、ここにきて、やっと私は息をすることができた。

ん・・・はあ、はあ、はあ、・・・
すごい・・・すごいよお・・・
身体が・・・もう・・・もう・・・

ズルリ、とおちんちんが抜かれる。生暖かい精液がおまんこから溢れ出し、太ももを伝うのがわかるが、身動きすることもできない。そのまま腰を立てることも叶わず、糸の切れた人形のように、ぺたりとうつ伏せになってしまう。

するりと彼が私の横に滑り込んできた。イキ過ぎて、涙とよだれでぐちゃぐちゃになって呆けた顔を見せたくなくて、かろうじて私は顔を背ける。そんなことお構いなしに、彼は私を抱きしめてくる。裸で抱きしめられると、先程の激しい性感とは違う意味でとても気持ちよくて、私は泣きそうになった。

顔を胸に抱き寄せてくる。
よかった・・・これなら変な顔を見られなくて済む・・・。

私はできるだけ彼に顔が見えないように、俯いて、そして、抱かれるがままにされていた。土御門様がそっと、そっと、私の背を撫でてくれる。

それは言いようのない安心感と、幸福感を私にもたらす。
もたらしてしまう。

いけないのに・・・。こんな思い、抱いてはいけないのに。
勘違い、しないように。
これ以上、あなたを求めてしまわないように・・・。

私とあなたは、従者と主・・・
決して同じ地平には立てない。

月明かりが満ちる部屋の中
身体は交わっても、心は重ならないのだから・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

身体だけの関係です‐原田巴について‐

みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子) 彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。 ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。 その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。 毎日19時ごろ更新予定 「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。 良ければそちらもお読みください。 身体だけの関係です‐三崎早月について‐ https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060

【1分読書】意味が分かると怖いおとぎばなし

響ぴあの
ホラー
【1分読書】 意味が分かるとこわいおとぎ話。 意外な事実や知らなかった裏話。 浦島太郎は神になった。桃太郎の闇。本当に怖いかちかち山。かぐや姫は宇宙人。白雪姫の王子の誤算。舌切りすずめは三角関係の話。早く人間になりたい人魚姫。本当は怖い眠り姫、シンデレラ、さるかに合戦、はなさかじいさん、犬の呪いなどなど面白い雑学と創作短編をお楽しみください。 どこから読んでも大丈夫です。1話完結ショートショート。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2025/12/5:『ひとのえ』の章を追加。2025/12/12の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/4:『こうしゅうといれ』の章を追加。2025/12/11の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/3:『かがみのむこう』の章を追加。2025/12/10の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/2:『へびくび』の章を追加。2025/12/9の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/1:『はえ』の章を追加。2025/12/8の朝4時頃より公開開始予定。 2025/11/30:『かべにかおあり』の章を追加。2025/12/7の朝8時頃より公開開始予定。 2025/11/29:『けむり』の章を追加。2025/12/6の朝8時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

処理中です...