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9話 不思議な魔女と妖精の瞳1
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ハリーが失神して、シエナはハリーの両親の所へ行き、助けを求めた。シエナは、ハリーの両親に責められると考えていたが、二人は苦笑するだけだった。子どもの頃、ハリーは猫に噛まれて失神したらしい。どうせまたラブに引っ付かれて、失神したのだろうと笑っていた。
ダドリー伯爵家の四階のシエナに宛がわれた部屋で、ラブを前に落ち込んでいた。
「ハリー。失神しちゃったわ。大丈夫かな……」
いつもの明るいおおらかなシエナとは違っていた。シエナは、魔法書の『愛の囁き』の部分全てに目を通さないでハリーに魔法をかけたのだ。あまりにそそっかしすぎた。肩を落として、しゅんとしている。そこへラブが傷口を広げるかのような台詞を口にした。
『そりゃあ、人間ならびっくりするわよ。いきなり妖精が見えて、人間以外の動物の声が聞こえたら。かわいそうに』
ラブの言葉にシエナの良心がちくりと痛む。
「そ……う……よね」
自分の想いだけをハリーに押しつけ気味だった自覚はあったシエナは、しょぼんと肩を落とした。
『でも、アイツ、けっこういい奴よね』
人間嫌いのラブが珍しく人間を誉めたものだから、シエナは嬉しくなる。
「え、人間嫌いのラブが」
『だって、アイツ、魔女や妖精を嫌いって言わなかったわ。むしろ好きだと言ってたわ。シエナ、あなたがハリーに恋したのが少しは理解できるわ。アイツ、純情で素直ないい奴そうだし』
「ラブ! そうなの! ハリーを初めて見た時、瞳が透明に澄んで見えたの! 魔女には人間の本質が視えるわ!」
相方である使い魔が理解を示してくれて、幸せ過ぎてシエナは言葉をまくしたてた。
興奮したシエナに圧倒されつつ、ラブは注意をするのを忘れない。
『シエナ、あなたがハリーをどれだけ好きなのかはわかったわ。でも最初から距離を詰め過ぎよ。少し距離を取ってあなたのいい所を知ってもらいなさい』
「そ、そうよね。反省したわ」
子どものようにしゅんとするシエナに、ふうとラブは苦笑した。
『シエナ。ハリーが目覚めるまでついていてあげたら。心配でしょう』
ラブは尻尾を振りながら、笑っている。それはラブが機嫌のいいときにする仕草だ。ラブもハリーが気に入ったらしい、それがわかったシエナは嬉しそうに頷いた。
「う、うん! ありがとう! ラブ!」
自分の部屋を勢いよく開けて、バタバタ出ていくシエナにラブが呆れたのは言うまでもない。シエナは違う階のハリーの部屋をそうっと開けた。中には侍女のエラがいた。
「まあ、シエナ様。どうしたのですか?」
笑顔で接してくれるエラに、シエナは申し訳なさそうに言葉を紡いだ。
「ハリー様、大丈夫かしら」
エラはぷっと噴き出す。
「大丈夫ですよ! それにしてもラブが近づいてのに驚いて、失神したとは、ハリー坊ちゃま。情けない……」
一応、シエナとラブで打ち合わせをした理由だったが、ハリーには悪い気がして、シエナは項垂れた。
「言わないで上げて。ラブに慣れて欲しくて、私が我が侭を言ったの」
しょぼんとする様に、エラは苦笑していた。
「う……」
ハリーの声に気が付いて、ぎゅっと手を握る。
「ハリー様! 大丈夫ですか?」
シエナが至近距離に顔を近づいていたものだから、ハリーはぎょっとしていた。
「はっ! シ、シエナ」
シエナは更にハリーの両手を握りしめていて者だから顔を真っ赤にしている。
「ハリー! ハリー様! ごめんなさい。私、あなたを驚かせてしまって……」
シエナも無意識に両手を握りしめていたことに気が付き、手を離した。
「……い、いや。私こそ、今日一日、あまりに色々ありすぎて、驚いてしまって失神するなど恥ずかしい」
うっすらと頬を朱色に赤らめているのは恥ずかしいのだろうかと思案していた。
「それじゃあ、看病はシエナお嬢様に任せて、私は席を外しますわ。お二人で仲良くお話して下さい」
二人は視線を合わせて、はっとする。男女が二人でひとつの部屋にいるなど、許されない。だが、シエナの魔法で二人は婚約者同士となっているから、エラはさっさと部屋を出ていく。
「エ、エラ! まっ……」
ハリーは、必死に声を上げていたが、エラはくすくす笑って部屋の扉を閉めていった。
ダドリー伯爵家の四階のシエナに宛がわれた部屋で、ラブを前に落ち込んでいた。
「ハリー。失神しちゃったわ。大丈夫かな……」
いつもの明るいおおらかなシエナとは違っていた。シエナは、魔法書の『愛の囁き』の部分全てに目を通さないでハリーに魔法をかけたのだ。あまりにそそっかしすぎた。肩を落として、しゅんとしている。そこへラブが傷口を広げるかのような台詞を口にした。
『そりゃあ、人間ならびっくりするわよ。いきなり妖精が見えて、人間以外の動物の声が聞こえたら。かわいそうに』
ラブの言葉にシエナの良心がちくりと痛む。
「そ……う……よね」
自分の想いだけをハリーに押しつけ気味だった自覚はあったシエナは、しょぼんと肩を落とした。
『でも、アイツ、けっこういい奴よね』
人間嫌いのラブが珍しく人間を誉めたものだから、シエナは嬉しくなる。
「え、人間嫌いのラブが」
『だって、アイツ、魔女や妖精を嫌いって言わなかったわ。むしろ好きだと言ってたわ。シエナ、あなたがハリーに恋したのが少しは理解できるわ。アイツ、純情で素直ないい奴そうだし』
「ラブ! そうなの! ハリーを初めて見た時、瞳が透明に澄んで見えたの! 魔女には人間の本質が視えるわ!」
相方である使い魔が理解を示してくれて、幸せ過ぎてシエナは言葉をまくしたてた。
興奮したシエナに圧倒されつつ、ラブは注意をするのを忘れない。
『シエナ、あなたがハリーをどれだけ好きなのかはわかったわ。でも最初から距離を詰め過ぎよ。少し距離を取ってあなたのいい所を知ってもらいなさい』
「そ、そうよね。反省したわ」
子どものようにしゅんとするシエナに、ふうとラブは苦笑した。
『シエナ。ハリーが目覚めるまでついていてあげたら。心配でしょう』
ラブは尻尾を振りながら、笑っている。それはラブが機嫌のいいときにする仕草だ。ラブもハリーが気に入ったらしい、それがわかったシエナは嬉しそうに頷いた。
「う、うん! ありがとう! ラブ!」
自分の部屋を勢いよく開けて、バタバタ出ていくシエナにラブが呆れたのは言うまでもない。シエナは違う階のハリーの部屋をそうっと開けた。中には侍女のエラがいた。
「まあ、シエナ様。どうしたのですか?」
笑顔で接してくれるエラに、シエナは申し訳なさそうに言葉を紡いだ。
「ハリー様、大丈夫かしら」
エラはぷっと噴き出す。
「大丈夫ですよ! それにしてもラブが近づいてのに驚いて、失神したとは、ハリー坊ちゃま。情けない……」
一応、シエナとラブで打ち合わせをした理由だったが、ハリーには悪い気がして、シエナは項垂れた。
「言わないで上げて。ラブに慣れて欲しくて、私が我が侭を言ったの」
しょぼんとする様に、エラは苦笑していた。
「う……」
ハリーの声に気が付いて、ぎゅっと手を握る。
「ハリー様! 大丈夫ですか?」
シエナが至近距離に顔を近づいていたものだから、ハリーはぎょっとしていた。
「はっ! シ、シエナ」
シエナは更にハリーの両手を握りしめていて者だから顔を真っ赤にしている。
「ハリー! ハリー様! ごめんなさい。私、あなたを驚かせてしまって……」
シエナも無意識に両手を握りしめていたことに気が付き、手を離した。
「……い、いや。私こそ、今日一日、あまりに色々ありすぎて、驚いてしまって失神するなど恥ずかしい」
うっすらと頬を朱色に赤らめているのは恥ずかしいのだろうかと思案していた。
「それじゃあ、看病はシエナお嬢様に任せて、私は席を外しますわ。お二人で仲良くお話して下さい」
二人は視線を合わせて、はっとする。男女が二人でひとつの部屋にいるなど、許されない。だが、シエナの魔法で二人は婚約者同士となっているから、エラはさっさと部屋を出ていく。
「エ、エラ! まっ……」
ハリーは、必死に声を上げていたが、エラはくすくす笑って部屋の扉を閉めていった。
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