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13話 不思議な魔女と妖精の瞳5
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シエナは金色の瞳から涙の雫を数滴零すと、涙を拭った。自分は塔の幹部で、四大魔女の内のひとりだ。弱音を吐いてはいけない。
「でも、初めて好きになった人から、冷淡な言葉をぶつけられると堪えるなあ」
勿論、ハリーの言葉が正しい。シエナは、ハリーのあの澄んだ瞳に一目映りたくて、無茶を承知で『愛の囁き』を使ったのだ。それでも、ハリーの生真面目で、魔女や妖精たちを幼い頃の友人として扱ってくれる不器用な優しさを知ってしまった。前よりもハリーに惹かれている自分がいる。
(ハリーともっと言葉を交わしたい、あの瞳に永遠に映っていたい。そして、愛されたい……)
シエナは、ハリーの優しさに甘えていた。ハリーは、シエナに冷たく振舞っているが、拒絶しきれてない。そのわずかな優しさにシエナは縋っているのだ。
「私は馬鹿だわ。ハリーが私を見てくれる日は永遠に来ないのに……」
シエナの瞳から透明な雫が落ちた。誰にも見られないようにシエナは声を殺して嗚咽した。普段であれば、ラブが寄り添ってくれるが、今ラブはハリーの傍にいる。それを命じたのはシエナだ。自分を殺そうとした父親は人間で、救ったのは同じ人間の母親だった。そして今、恋焦がれるのも人間。決して叶わない恋をしている自分は愚かだと、シエナは泣きながら思った。
◇
ハリーは固まっていた。シエナが使い魔のラブを貸してくれたのはいいが、ハリーは猫が大の苦手なのだ。ラブは猫の姿を取る使い魔だ。冷や汗が止まらない。シエナに想いを寄せられてからハリーの生活は通常の人間とは異なる物に変わってしまった。朝から鳥に風の精霊に絡まれて、挙句の果てに大の苦手な猫をつけられてしまった。何の罰ゲームだと頭を抱えていた。
『ラッセル男爵?』
ラブの声がして、ハリーは思わず口にしてしまう。
「ラブ、済まないがシエナの所に戻ってくれないか? これから仲間との約束があるから猫の姿を取る君は連れていけない。それとも君も保護魔法をかけられているのか?」
ラブははっとして、固まっていた。
『いいえ。私たち使い魔は人間の目に映るの。会話は出来ないけど』
「なら悪いが君は連れていけない。なので、シエナの所に戻っていてくれ」
ハリーは好都合だとばかりにラブに命令する。ハリーにしては強い口調で言ったつもりだった。
『でも……他の精霊に絡まれた時の場合に』
「いや、行き先はクラブなんだ。猫である君は連れていけない」
あくまで建前で通そうとハリーは頑張る。本音がばれない為にも。ハリーは何よりも猫が嫌いなのだ。
『……。わかったわ。シエナの所に戻るわ。私もシエナが心配なの。あの子、人間界にきてから様子がおかしくて』
ラブは、主人のシエナが心配らしく、ハリーの言葉に素直に頷く。良かったとハリーは安堵した。だが、ハリーはラブを連れて行った方が良かったと、後に深く反省することとなる。
「でも、初めて好きになった人から、冷淡な言葉をぶつけられると堪えるなあ」
勿論、ハリーの言葉が正しい。シエナは、ハリーのあの澄んだ瞳に一目映りたくて、無茶を承知で『愛の囁き』を使ったのだ。それでも、ハリーの生真面目で、魔女や妖精たちを幼い頃の友人として扱ってくれる不器用な優しさを知ってしまった。前よりもハリーに惹かれている自分がいる。
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シエナは、ハリーの優しさに甘えていた。ハリーは、シエナに冷たく振舞っているが、拒絶しきれてない。そのわずかな優しさにシエナは縋っているのだ。
「私は馬鹿だわ。ハリーが私を見てくれる日は永遠に来ないのに……」
シエナの瞳から透明な雫が落ちた。誰にも見られないようにシエナは声を殺して嗚咽した。普段であれば、ラブが寄り添ってくれるが、今ラブはハリーの傍にいる。それを命じたのはシエナだ。自分を殺そうとした父親は人間で、救ったのは同じ人間の母親だった。そして今、恋焦がれるのも人間。決して叶わない恋をしている自分は愚かだと、シエナは泣きながら思った。
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ハリーは固まっていた。シエナが使い魔のラブを貸してくれたのはいいが、ハリーは猫が大の苦手なのだ。ラブは猫の姿を取る使い魔だ。冷や汗が止まらない。シエナに想いを寄せられてからハリーの生活は通常の人間とは異なる物に変わってしまった。朝から鳥に風の精霊に絡まれて、挙句の果てに大の苦手な猫をつけられてしまった。何の罰ゲームだと頭を抱えていた。
『ラッセル男爵?』
ラブの声がして、ハリーは思わず口にしてしまう。
「ラブ、済まないがシエナの所に戻ってくれないか? これから仲間との約束があるから猫の姿を取る君は連れていけない。それとも君も保護魔法をかけられているのか?」
ラブははっとして、固まっていた。
『いいえ。私たち使い魔は人間の目に映るの。会話は出来ないけど』
「なら悪いが君は連れていけない。なので、シエナの所に戻っていてくれ」
ハリーは好都合だとばかりにラブに命令する。ハリーにしては強い口調で言ったつもりだった。
『でも……他の精霊に絡まれた時の場合に』
「いや、行き先はクラブなんだ。猫である君は連れていけない」
あくまで建前で通そうとハリーは頑張る。本音がばれない為にも。ハリーは何よりも猫が嫌いなのだ。
『……。わかったわ。シエナの所に戻るわ。私もシエナが心配なの。あの子、人間界にきてから様子がおかしくて』
ラブは、主人のシエナが心配らしく、ハリーの言葉に素直に頷く。良かったとハリーは安堵した。だが、ハリーはラブを連れて行った方が良かったと、後に深く反省することとなる。
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