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14話 不思議な魔女と妖精の瞳6
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ハリーはクラブに顔を出そうとダドリー伯爵家の箱馬車で王都の中心にあるクラブへと向かう。貴族向けの店舗が並ぶ街並みは瀟洒であった。帽子を被り、日傘を差した女性や今流行のラウンジジャケットを身に着けた男性が高級な品物を飾っているショーウィンドーの前を行き来している。ハリーの目指すクラブはその街並みの中に並んでいた。
ハリーが会員となっているクラブは、中流貴族の若い男性たちが組織した会員制のクラブで宝石店の隣にあった。木と硝子でできている扉は中が見えるように作られている。そこを開くと中は広い。青い壁に高価な絵画が飾られている。天井にはシンプルな作りのシャンデリアが吊るされていた。中には3つ程ローテブルと青のソファが置かれていて、男性たちがカードをして遊んだり、会話を楽しんでいた。脇に使用人が立っていて、お酒を注文できるようになってもいる。
ハリーがクラブの中に入ると約束をしていたレイモンドが手を振った。ハリーはソファに腰を下ろした。
「ハリー、この前の舞踏会以来だな」
お酒を手にして、レイモンドが笑う。
「ああ」
ハリーは疲れ果てた顔をしていたが、魔女も使い魔もいない空間に安堵している。本来、忍耐強いハリーもシエナの起こす騒動と『妖精の瞳』の力に振り回される日々に限界が来ていた。
ハリーは、憔悴しきった表情でお酒を注文する。
「おい、ハリー。疲れ切った顔をしているが、どうした?」
レイモンドが問いかけてくる。
「今、屋敷に遠い親戚が来ているんだが、少々厄介でな。いつも騒動を巻き起こすんだ」
はあとため息を吐いて、額を手で押さえた。
「それは女性か?」
「ああ」
レイモンドは甘い顔ににやりとした笑みを浮かべて、笑い声をあげた。
「レイモンド、笑い事ではないんだが」
「おおかたくそ真面目なお前が若い女性との見合いを軒並み駄目にするから、ご両親が結婚相手に親戚の女性を呼び寄せたんじゃないのか?」
当たらずとも遠からずの言葉にハリーは酒を噴き出した。
「おい。汚いぞ。なんだ、お前婚約でもしたのか?」
「してない。だが、両親が認めた自称婚約者はいる」
うんざりした声でハリーは小さく頷く。
「おおっ! 外堀から埋める作戦か! それで相手は美人か?」
完璧他人事で面白がっているレイモンドにハリーはかちんときた。レイモンドは子爵の位を持つ家の次男である。気楽な立場だから家の存続のかかった見合いを持ちかけられるハリーの苦労を、面白がっているのだ。
「……美人だ。だが、貴族としては少々破天荒な性格だ。まず、ダドリー伯爵家の当主の妻は務まらない」
ハリーは不機嫌丸出しの顔でお酒の入ったグラスをグイッと仰いだ。
「やけ酒だな」
「うるさい! その女性に日々振り回されて、疲れているんだ!」
ハリーが叫ぶと、クラブの仲間たちの視線がハリーに集中する。仲間たちがハリーの周囲に集まった。
「ハリー、大丈夫か? いつもは冷静なお前が怒るとはな、相当婚約者候補に振り回されているんだな。どうだ、葉巻でも吸うか? 少しは気分転換できるぞ」
レイモンドとハリーの会話は筒抜けだったらしい。しっかりと聞き耳を立てていた仲間たちは、ハリーを労わってくれた。
「葉巻か、吸おうか」
ハリーがマッチを擦り、口にした葉巻を吸おうとした瞬間葉巻が火を上げて、爆発したのだ。ハリーの周囲に煙が巻き起こり、げほごほとハリーは咳をする。
(やられた!)
ハリーの周囲にいる火の精霊が厭味ったらしくくすくすと笑っている。ハリーがクラブで零したシエナに対する愚痴を聞いていたのであろう。
(くそっ! どいつもこいつもシエナ! シエナ! 私は、シエナに振り回されているんだぞ!)
ハリーは精霊たちに罵声を浴びせたかったが、仲間たちの手前諦めた。誰もいない所へ叫んだところで自分がおかしい人間扱いされるだけである。
後書き
ハリーが会員となっているクラブは、中流貴族の若い男性たちが組織した会員制のクラブで宝石店の隣にあった。木と硝子でできている扉は中が見えるように作られている。そこを開くと中は広い。青い壁に高価な絵画が飾られている。天井にはシンプルな作りのシャンデリアが吊るされていた。中には3つ程ローテブルと青のソファが置かれていて、男性たちがカードをして遊んだり、会話を楽しんでいた。脇に使用人が立っていて、お酒を注文できるようになってもいる。
ハリーがクラブの中に入ると約束をしていたレイモンドが手を振った。ハリーはソファに腰を下ろした。
「ハリー、この前の舞踏会以来だな」
お酒を手にして、レイモンドが笑う。
「ああ」
ハリーは疲れ果てた顔をしていたが、魔女も使い魔もいない空間に安堵している。本来、忍耐強いハリーもシエナの起こす騒動と『妖精の瞳』の力に振り回される日々に限界が来ていた。
ハリーは、憔悴しきった表情でお酒を注文する。
「おい、ハリー。疲れ切った顔をしているが、どうした?」
レイモンドが問いかけてくる。
「今、屋敷に遠い親戚が来ているんだが、少々厄介でな。いつも騒動を巻き起こすんだ」
はあとため息を吐いて、額を手で押さえた。
「それは女性か?」
「ああ」
レイモンドは甘い顔ににやりとした笑みを浮かべて、笑い声をあげた。
「レイモンド、笑い事ではないんだが」
「おおかたくそ真面目なお前が若い女性との見合いを軒並み駄目にするから、ご両親が結婚相手に親戚の女性を呼び寄せたんじゃないのか?」
当たらずとも遠からずの言葉にハリーは酒を噴き出した。
「おい。汚いぞ。なんだ、お前婚約でもしたのか?」
「してない。だが、両親が認めた自称婚約者はいる」
うんざりした声でハリーは小さく頷く。
「おおっ! 外堀から埋める作戦か! それで相手は美人か?」
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「……美人だ。だが、貴族としては少々破天荒な性格だ。まず、ダドリー伯爵家の当主の妻は務まらない」
ハリーは不機嫌丸出しの顔でお酒の入ったグラスをグイッと仰いだ。
「やけ酒だな」
「うるさい! その女性に日々振り回されて、疲れているんだ!」
ハリーが叫ぶと、クラブの仲間たちの視線がハリーに集中する。仲間たちがハリーの周囲に集まった。
「ハリー、大丈夫か? いつもは冷静なお前が怒るとはな、相当婚約者候補に振り回されているんだな。どうだ、葉巻でも吸うか? 少しは気分転換できるぞ」
レイモンドとハリーの会話は筒抜けだったらしい。しっかりと聞き耳を立てていた仲間たちは、ハリーを労わってくれた。
「葉巻か、吸おうか」
ハリーがマッチを擦り、口にした葉巻を吸おうとした瞬間葉巻が火を上げて、爆発したのだ。ハリーの周囲に煙が巻き起こり、げほごほとハリーは咳をする。
(やられた!)
ハリーの周囲にいる火の精霊が厭味ったらしくくすくすと笑っている。ハリーがクラブで零したシエナに対する愚痴を聞いていたのであろう。
(くそっ! どいつもこいつもシエナ! シエナ! 私は、シエナに振り回されているんだぞ!)
ハリーは精霊たちに罵声を浴びせたかったが、仲間たちの手前諦めた。誰もいない所へ叫んだところで自分がおかしい人間扱いされるだけである。
後書き
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