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プロローグ~見合い婆、現れる
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それは急に訪れた。
「ねえ?クリストファー王子?」
まだ稚い少女の声音。
水の王族の世継ぎの君である自分の部屋に入れる者など居ない。
「衛兵!どこだ!」
「ああ、駄目よ。ここ風の神器使いが結界張っているから」
「風の神器使い?今の世にはいない筈!」
寝台からクリストファーが身を起こすと二人の五歳位の幼い少女と風の神器を構えている十代後半位の少女が立っていた。
いや正しくは一人は天空族の翼を使って羽ばたかせている。
とてもその姿には思えない大人びた双眸の少女である。
もう一人の少女が構える風の神器から恐ろしい程の狂気が漂う。
いや、あれは間違いない、神器だ。
「誰だ……」
ようやっとクリストファーが警戒するように声を出す。
それもやっとである。水の王族の王太子である自分が、だ。
「私は天空界の予言の姫。でこっちは私に仕える風の神器使い」
予言の姫と名乗った少女がくすくすと笑う。
そこには一度王城で見た事のある少女が居た。
風の神器を構える少女、予言の姫を守るかの如く殺気を放つ。
天空界の対魔族組織「ウィザード」のリン=パッカード警視。
だが、身に纏う空気が普段と全く違う。その双眸が白く染まっていて、今にも射殺されそうなオーラを放っている。
「ねえ?あなたウィル王の留学の話断ったんでしょ?」
クリストファーはその少女の瞳に王である証を認めた。
水の王族の王太子の自分が一歩も動けない。
圧倒されるその少女が醸し出す空気に。
「あなたの運命に出逢いたくない?」
「はあ?」
「氷の王子、クリストファー王子。本当は苛烈なのに、氷の王子と呼ばれている。なーんでも出来ちゃうのね。だから面白くないでしょ?自分の感情を押し殺して適当な相手と結婚して適当な王様になってくそ面白くない人生を送るのと、運命の相手に振り回されるのとどっちが楽しい?ああ、断っても平気よ。一応確認だけしたかったの」
ふふっと予言の姫と名乗った少女は一転愛くるしく微笑む。
「さあ、どうする?運命を取るか平凡な面白くない人生を取るか」
その手に選択は委ねられた。
「僕は……」
クリストファーは口を開く。
そうして運命は回りだす。
「ねえ?クリストファー王子?」
まだ稚い少女の声音。
水の王族の世継ぎの君である自分の部屋に入れる者など居ない。
「衛兵!どこだ!」
「ああ、駄目よ。ここ風の神器使いが結界張っているから」
「風の神器使い?今の世にはいない筈!」
寝台からクリストファーが身を起こすと二人の五歳位の幼い少女と風の神器を構えている十代後半位の少女が立っていた。
いや正しくは一人は天空族の翼を使って羽ばたかせている。
とてもその姿には思えない大人びた双眸の少女である。
もう一人の少女が構える風の神器から恐ろしい程の狂気が漂う。
いや、あれは間違いない、神器だ。
「誰だ……」
ようやっとクリストファーが警戒するように声を出す。
それもやっとである。水の王族の王太子である自分が、だ。
「私は天空界の予言の姫。でこっちは私に仕える風の神器使い」
予言の姫と名乗った少女がくすくすと笑う。
そこには一度王城で見た事のある少女が居た。
風の神器を構える少女、予言の姫を守るかの如く殺気を放つ。
天空界の対魔族組織「ウィザード」のリン=パッカード警視。
だが、身に纏う空気が普段と全く違う。その双眸が白く染まっていて、今にも射殺されそうなオーラを放っている。
「ねえ?あなたウィル王の留学の話断ったんでしょ?」
クリストファーはその少女の瞳に王である証を認めた。
水の王族の王太子の自分が一歩も動けない。
圧倒されるその少女が醸し出す空気に。
「あなたの運命に出逢いたくない?」
「はあ?」
「氷の王子、クリストファー王子。本当は苛烈なのに、氷の王子と呼ばれている。なーんでも出来ちゃうのね。だから面白くないでしょ?自分の感情を押し殺して適当な相手と結婚して適当な王様になってくそ面白くない人生を送るのと、運命の相手に振り回されるのとどっちが楽しい?ああ、断っても平気よ。一応確認だけしたかったの」
ふふっと予言の姫と名乗った少女は一転愛くるしく微笑む。
「さあ、どうする?運命を取るか平凡な面白くない人生を取るか」
その手に選択は委ねられた。
「僕は……」
クリストファーは口を開く。
そうして運命は回りだす。
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