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17話 レヴィの怒り1
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水の精霊は呼び出せなくても、魔法は使える。
エリンは男たちの隙を見て、水魔法で攻撃しようと試みた。
「清浄なる水の精霊の女王よ。愛し子であるエリンが願う。水龍よ、飛べ!」
エリンの手から水が現れて、水が龍の形を取り、男たちを攻撃する。凄まじい水の勢いと共に龍が飛翔した。エリンたちが居た羊飼いの小屋が水の勢いと同時に破壊される。
エリンを誘拐した一味の男たちが逃げ惑う中、水の魔法院へ逃げようとした。
だけど。
主犯格である右の頬に傷がある男がエリンの腕を掴んだ。
「やってくれたな……。その可愛らしい見た目に騙されるところだったぜ」
男はエリンの腹部を手で強く打った。
エリンは失神し、男の腕の中へと落ちた。
エリンは覚醒する。
黒い視界にすえた匂い。
地下牢のような暗い壁しかない部屋に簡易で置かれたベッドの上に寝かされていた。
両腕はロープで固定され、両腕に魔封じの腕輪がはめられていた。
恐らく精霊使いの力を封じるものと魔法を封じる腕輪だろう。
両腕を固定しているロープを外そうとしてみるが、強固に縛られていて外れない。
「水の魔法院へ助けを呼びに行かないと……」
エリンは、ロープを外すことを諦めないで続ける。
動いていて、腹部が痛む。
「痛っ……。あの男……。やってくれたわね……」
腹部を殴られたの迄の記憶があるエリンは男に毒づく。
ぶつぶつと独り言を呟いていないと真っ暗な空間に一人でいる恐怖に負けそうだ。
古い建物なのであろう、水が漏れてちゃぽんと音がする。
水の音に混じり、コツコツと人の足音がした。
はっとエリンは身構える。
右の頬に傷跡の残る男ではなかった。
羊飼いの小屋で会った誘拐犯の一味の数人だった。
鍵のかかった地下牢の鍵を開けて中に入ってきた。
男たちはニヤニヤしながらエリンに近づいてくる。
エリンは嫌な予感がした。
「こいつが羊飼いの小屋を破壊しただって?」
「こんなに可愛い顔をしているのにか? 何かの間違いだろう」
値踏みするように上から幾つもの顔がエリンを見てくる。
何故だろうか、エリンはぞっとする。
「全く、セオはお堅いんだよ。人質に手を出すなと禁止するなんて」
「こんなお奇麗な顔立ちの精霊の愛し子なんぞ、俺達には縁がないのにな」
男たちの一人がエリンに手を伸ばした。
エリンは悪寒がして、水の精霊の女王に救いを求めるが、精霊を呼ぶ力を封じられている今、誰も来ない。
エリンの服がびりっと破られて、服の下から豊かな胸がふるりと零れ落ちた。
男たちはごくりと唾をのんだ。
自分に男たちの厭らしい視線が注がれていることにエリンは嫌悪感を抱く。
「すげえ……。愛し子様は随分と厭らしい身体つきだな」
「やるか?」
「勿論だ」
男の一人がエリンの上に乗る姿勢を取り、服をびりびりに破る。
男たちに自分は犯されるのかと想像して、エリンは悲鳴を上げた。
「いやあ~!」
自分の悲鳴すら男たちを煽る道具でしかないのに。
男の一人がエリンの胸に手を触れて、上下させる。
男の手が胸を愛撫するが、気持ち悪くて仕方ない。
エリンは泣き出したい気持ちを必死に堪えた。
下卑た男たちの笑い声が耳に響く。
「レヴィ様……」
青の瞳から涙が数滴零れ落ちた。
愛しい男性の名前をエリンは呟くが、絶望しかエリンの胸にはなかった。
ここで自分は男たちに犯される。
純潔を重んじるスペンサー王国では、最早純潔でないエリンは無用の長物。
レヴィに婚約を破棄されるだろう。
その未来を創造して、エリンの青の瞳から涙が溢れてくる。
ぱんと音がして、紅の炎の色がエリンの視界を掠めた。
その音と同じくして、炎が男たちを襲った。
エリンを襲っていた主犯格の男が炎に包まれた。
赤い炎の魔方陣の中からレヴィが現れた。
レヴィは紅の炎に包まれている。
「うわああ~!!」
男たちが地下牢の部屋を逃げ惑う。
「レヴィ様……」
エリンは信じられないと呟く。
自分の想いを拒絶したレヴィが自分を助けに来てくれたことに。
エリンは男たちの隙を見て、水魔法で攻撃しようと試みた。
「清浄なる水の精霊の女王よ。愛し子であるエリンが願う。水龍よ、飛べ!」
エリンの手から水が現れて、水が龍の形を取り、男たちを攻撃する。凄まじい水の勢いと共に龍が飛翔した。エリンたちが居た羊飼いの小屋が水の勢いと同時に破壊される。
エリンを誘拐した一味の男たちが逃げ惑う中、水の魔法院へ逃げようとした。
だけど。
主犯格である右の頬に傷がある男がエリンの腕を掴んだ。
「やってくれたな……。その可愛らしい見た目に騙されるところだったぜ」
男はエリンの腹部を手で強く打った。
エリンは失神し、男の腕の中へと落ちた。
エリンは覚醒する。
黒い視界にすえた匂い。
地下牢のような暗い壁しかない部屋に簡易で置かれたベッドの上に寝かされていた。
両腕はロープで固定され、両腕に魔封じの腕輪がはめられていた。
恐らく精霊使いの力を封じるものと魔法を封じる腕輪だろう。
両腕を固定しているロープを外そうとしてみるが、強固に縛られていて外れない。
「水の魔法院へ助けを呼びに行かないと……」
エリンは、ロープを外すことを諦めないで続ける。
動いていて、腹部が痛む。
「痛っ……。あの男……。やってくれたわね……」
腹部を殴られたの迄の記憶があるエリンは男に毒づく。
ぶつぶつと独り言を呟いていないと真っ暗な空間に一人でいる恐怖に負けそうだ。
古い建物なのであろう、水が漏れてちゃぽんと音がする。
水の音に混じり、コツコツと人の足音がした。
はっとエリンは身構える。
右の頬に傷跡の残る男ではなかった。
羊飼いの小屋で会った誘拐犯の一味の数人だった。
鍵のかかった地下牢の鍵を開けて中に入ってきた。
男たちはニヤニヤしながらエリンに近づいてくる。
エリンは嫌な予感がした。
「こいつが羊飼いの小屋を破壊しただって?」
「こんなに可愛い顔をしているのにか? 何かの間違いだろう」
値踏みするように上から幾つもの顔がエリンを見てくる。
何故だろうか、エリンはぞっとする。
「全く、セオはお堅いんだよ。人質に手を出すなと禁止するなんて」
「こんなお奇麗な顔立ちの精霊の愛し子なんぞ、俺達には縁がないのにな」
男たちの一人がエリンに手を伸ばした。
エリンは悪寒がして、水の精霊の女王に救いを求めるが、精霊を呼ぶ力を封じられている今、誰も来ない。
エリンの服がびりっと破られて、服の下から豊かな胸がふるりと零れ落ちた。
男たちはごくりと唾をのんだ。
自分に男たちの厭らしい視線が注がれていることにエリンは嫌悪感を抱く。
「すげえ……。愛し子様は随分と厭らしい身体つきだな」
「やるか?」
「勿論だ」
男の一人がエリンの上に乗る姿勢を取り、服をびりびりに破る。
男たちに自分は犯されるのかと想像して、エリンは悲鳴を上げた。
「いやあ~!」
自分の悲鳴すら男たちを煽る道具でしかないのに。
男の一人がエリンの胸に手を触れて、上下させる。
男の手が胸を愛撫するが、気持ち悪くて仕方ない。
エリンは泣き出したい気持ちを必死に堪えた。
下卑た男たちの笑い声が耳に響く。
「レヴィ様……」
青の瞳から涙が数滴零れ落ちた。
愛しい男性の名前をエリンは呟くが、絶望しかエリンの胸にはなかった。
ここで自分は男たちに犯される。
純潔を重んじるスペンサー王国では、最早純潔でないエリンは無用の長物。
レヴィに婚約を破棄されるだろう。
その未来を創造して、エリンの青の瞳から涙が溢れてくる。
ぱんと音がして、紅の炎の色がエリンの視界を掠めた。
その音と同じくして、炎が男たちを襲った。
エリンを襲っていた主犯格の男が炎に包まれた。
赤い炎の魔方陣の中からレヴィが現れた。
レヴィは紅の炎に包まれている。
「うわああ~!!」
男たちが地下牢の部屋を逃げ惑う。
「レヴィ様……」
エリンは信じられないと呟く。
自分の想いを拒絶したレヴィが自分を助けに来てくれたことに。
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