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別れ
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予定より遅れて始まった告別式には、国王陛下をはじめ、王都が空になるのではないかというほど、王族貴族が参列した。
遠くの領地のものは来られずにいると思われるが、教会への道にはずらりと馬車が並んで渋滞を起こしていた。
アルベルトの伯爵の地位と、復興庁長官という官位の為もあるが、元々が侯爵であったカリーナの家柄と、友人の多さも大きく影響していることは誰の目から見ても明らかだった。
教会の内外はアルベルトの当初の計画よりも警備が固められ、カリーナの告別式は厳かに進められた。
誰もがカリーナの死を惜しんでいたし、あまりの突然のことに受け止め切れないでいた。
教会には、カリーナを抱きしめて泣いていたアルベルトの姿はなかった。
家族を亡くした貴族なら、誰もが彼の気持ちを理解できるだろう。哀しみに溺れてしまえない身分が憎いと。
この場へ立った瞬間から、彼は故人の夫ではなくワーデン家の当主なのである。
告別式が終わり、棺が墓地へと移されることになると、告別式から参加していた親族以外のものがシオンの花を持って棺の後ろへ続いた。
教会への道と同じように棺の上から溢れた想いを、参列者が丁寧に拾い上げていった。
カリーナが埋葬されるのは教会の裏手の小さな丘の上だった。一つだけ穴の掘られた場所に一同が迷いなく進む。
そこは木陰がほんの少しかすめるほど木々から近いところだった。
陰になるところはあまり良しとされない風潮ではあるが、木陰で本を読むのが好きだったカリーナなら、ここが気にいるのではないかとアルベルトは考えていた。
穴の中へ丁寧にカリーナを運び込むと、コンラトからシオンの花束を受け取る。
これがカリーナへの最後のプレゼントになる。
君を忘れない
故人に送る最後の花にシオンが定着した理由はよく分かる。
淡い紫の花は華美でなくとも美しく魅了し、小さな花がいくつも集まる様はたくさんの思い出を詰め込んだように見えた。
続いてシュゼインも穴の中へ降り、背伸びしてコンラトからシオンの花束を受け取ると、棺の上に丁寧に置いた。
シュゼインはここまで一度も泣くことはなかった。死というものを知らないわけではないが、アルベルトに言われた長い旅に出るという言葉通りに受け取っていた。
アルベルトは、まずは親族からシオンの花と道すがら棺から落ちた花や封筒を受け取って棺へ乗せていく。
それを手伝うようにシュゼインも自然と受け取っていた。
親族が終わると、親族が見守る中参列者達も同じようにアルベルトとシュゼインにそれぞれ渡していく。
通常本当に近しい間柄でなければ遠慮してその後それぞれが帰路に着く。
参列者が多く、とても長い時間がかかった。
腕を何度も上げては下げ、さぞ腕が痛かったことだろう。シュゼインもそれはよく頑張った。
アルベルトは後ろ髪を引かれるようにラタンをひと撫でし、腰を折って棺の隅に唇を落とした。
棺の周りまで花で溢れかえっており、目の前の梯子を登る頃には日が傾きはじめていた。
遠くの領地のものは来られずにいると思われるが、教会への道にはずらりと馬車が並んで渋滞を起こしていた。
アルベルトの伯爵の地位と、復興庁長官という官位の為もあるが、元々が侯爵であったカリーナの家柄と、友人の多さも大きく影響していることは誰の目から見ても明らかだった。
教会の内外はアルベルトの当初の計画よりも警備が固められ、カリーナの告別式は厳かに進められた。
誰もがカリーナの死を惜しんでいたし、あまりの突然のことに受け止め切れないでいた。
教会には、カリーナを抱きしめて泣いていたアルベルトの姿はなかった。
家族を亡くした貴族なら、誰もが彼の気持ちを理解できるだろう。哀しみに溺れてしまえない身分が憎いと。
この場へ立った瞬間から、彼は故人の夫ではなくワーデン家の当主なのである。
告別式が終わり、棺が墓地へと移されることになると、告別式から参加していた親族以外のものがシオンの花を持って棺の後ろへ続いた。
教会への道と同じように棺の上から溢れた想いを、参列者が丁寧に拾い上げていった。
カリーナが埋葬されるのは教会の裏手の小さな丘の上だった。一つだけ穴の掘られた場所に一同が迷いなく進む。
そこは木陰がほんの少しかすめるほど木々から近いところだった。
陰になるところはあまり良しとされない風潮ではあるが、木陰で本を読むのが好きだったカリーナなら、ここが気にいるのではないかとアルベルトは考えていた。
穴の中へ丁寧にカリーナを運び込むと、コンラトからシオンの花束を受け取る。
これがカリーナへの最後のプレゼントになる。
君を忘れない
故人に送る最後の花にシオンが定着した理由はよく分かる。
淡い紫の花は華美でなくとも美しく魅了し、小さな花がいくつも集まる様はたくさんの思い出を詰め込んだように見えた。
続いてシュゼインも穴の中へ降り、背伸びしてコンラトからシオンの花束を受け取ると、棺の上に丁寧に置いた。
シュゼインはここまで一度も泣くことはなかった。死というものを知らないわけではないが、アルベルトに言われた長い旅に出るという言葉通りに受け取っていた。
アルベルトは、まずは親族からシオンの花と道すがら棺から落ちた花や封筒を受け取って棺へ乗せていく。
それを手伝うようにシュゼインも自然と受け取っていた。
親族が終わると、親族が見守る中参列者達も同じようにアルベルトとシュゼインにそれぞれ渡していく。
通常本当に近しい間柄でなければ遠慮してその後それぞれが帰路に着く。
参列者が多く、とても長い時間がかかった。
腕を何度も上げては下げ、さぞ腕が痛かったことだろう。シュゼインもそれはよく頑張った。
アルベルトは後ろ髪を引かれるようにラタンをひと撫でし、腰を折って棺の隅に唇を落とした。
棺の周りまで花で溢れかえっており、目の前の梯子を登る頃には日が傾きはじめていた。
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