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カタクリ
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「カリーナ嬢、もしかして私を疑っていらっしゃる?これは無実を証明しなければいけないな。教室へ行かれるのでしょう。私もお供いたします。もちろん、その招待状には触れませんので、その細い腕できちんと抱えていてください」
ははははと少し高く笑った彼は、そのまま躊躇なくカリーナの手を取り、足早に一般クラスの方へ歩み始める。
状況を把握できない。
突然現れたアルベルトに、先ほどから振り回されてばかりだ。
「ちょ、ちょっと!アルベルト様、何をなさるのです!」
抵抗してみたが、構わず楽しそうに歩き続ける彼の少し後ろを大人しくついていく事にした。彼の言った通り、紙袋を片腕だがしっかり抱えてることになったのだ。
目まぐるしく動いていたはずの頭はオーバーヒートしてしまったかのように考える事をやめていた。
はずかしい
アルベルトの大きな手がカリーナの手を包み込んでいたし、少し早い歩みと緊張で息があがる。
いささか手のひらがしっとりとしている気がして気になる。
彼のブルーグレーの髪はふんわりと固められて揺られる事もないのに、カリーナの髪は一歩歩くごとにふわふわと揺らされ後ろへと流されてく。
このまま連れ去られたい。
警戒していた心が早くも絆されかけていた。
教室へ着くと、カリーナは急かされるようにクラスメイトの鍵付きのボックスへ招待状を入れていった。
ここで間違えてはいけないと、2度も3度も確認していた。
生徒会室では、アルベルトが隣にいるから捗った仕事が、アルベルトがいるから集中できない。
後ろからアルベルトがずっとみている視線を感じて冷や汗が出ていた。
「暑いわ…」
最後の一枚を入れ終わるとカリーナは扇を出しパタパタと仰ぎ、熱った頬を抜ける風に身を任せるように目を閉じた。
アルベルトからは見えないように、後ろを向いたままだったのだが、髪が合わせてふわりふわりと靡くので当然カリーナを視界に入れていればバレているだろう。
それでも火照りを冷まさないことにはアルベルトと対面できそうもなかった。
「カリーナ嬢、私の無実は証明されましたか?」
声をかけられると同時に扇を閉じ、アルベルトのほうへ向き返った。
少し意地の悪い顔をしたアルベルトに呆れた。
彼は意地悪な人だったんだなと、初めて彼へ持っていた印象を改めることとなった。
「まぁ!アルベルト様がこんなに意地悪な方だなんて思ってもいませんでしたわ。紛らわしいことをおっしゃったアルベルト様にも責任はありましてよ?」
思っていたよりもアルベルトは可愛い性格をしていたのだなと思っていた。
もっと大人びていて、近寄り難い人だと思っていたのだが、初めて言葉をかけられたあの瞬間から、彼はフランクであったし、存外に親しみやすい印象を受けた。
「責任が私にもあるということでしたら、喜んで償わせていただきたいものです。カリーナ嬢、私と結婚してくださいませんか?一生かけて償わせていただきたいのですが」
彼の行動は早かった。流れるようにカリーナに近づき、光を反射したように輝く髪を一束取ると、そこへ口付けた。
あまりのことにカリーナは動けなかった。
火照っていた頬はますます熱くなり、扇を広げて隠したくても、近過ぎて広げられない。
夜空のようだと思った瞳は近くで見ると宝石のようでもある。深い色味なのに透徹した、不思議な色だ。
「カリーナ嬢、私の一目惚れです。伯爵家の私ですが、領地は豊かで苦労をさせる事はありません。ここからより一層発展する見込みです。どうかお受けいただけませんか?」
夢でもみているのだろうと思っても顔は沸騰しそうな程熱く、汗をかく身体は不快だった。
現実だと嫌でも分かる。
「両親が許せば…お受けいたします」
やっと言葉を紡ぎ出したカリーナは扇を持ったまま両手で顔を覆う。
何事にも冷静に対応することが求められる貴族である。
こんな姿を見られることは慙愧に堪えないことだった。
ははははと少し高く笑った彼は、そのまま躊躇なくカリーナの手を取り、足早に一般クラスの方へ歩み始める。
状況を把握できない。
突然現れたアルベルトに、先ほどから振り回されてばかりだ。
「ちょ、ちょっと!アルベルト様、何をなさるのです!」
抵抗してみたが、構わず楽しそうに歩き続ける彼の少し後ろを大人しくついていく事にした。彼の言った通り、紙袋を片腕だがしっかり抱えてることになったのだ。
目まぐるしく動いていたはずの頭はオーバーヒートしてしまったかのように考える事をやめていた。
はずかしい
アルベルトの大きな手がカリーナの手を包み込んでいたし、少し早い歩みと緊張で息があがる。
いささか手のひらがしっとりとしている気がして気になる。
彼のブルーグレーの髪はふんわりと固められて揺られる事もないのに、カリーナの髪は一歩歩くごとにふわふわと揺らされ後ろへと流されてく。
このまま連れ去られたい。
警戒していた心が早くも絆されかけていた。
教室へ着くと、カリーナは急かされるようにクラスメイトの鍵付きのボックスへ招待状を入れていった。
ここで間違えてはいけないと、2度も3度も確認していた。
生徒会室では、アルベルトが隣にいるから捗った仕事が、アルベルトがいるから集中できない。
後ろからアルベルトがずっとみている視線を感じて冷や汗が出ていた。
「暑いわ…」
最後の一枚を入れ終わるとカリーナは扇を出しパタパタと仰ぎ、熱った頬を抜ける風に身を任せるように目を閉じた。
アルベルトからは見えないように、後ろを向いたままだったのだが、髪が合わせてふわりふわりと靡くので当然カリーナを視界に入れていればバレているだろう。
それでも火照りを冷まさないことにはアルベルトと対面できそうもなかった。
「カリーナ嬢、私の無実は証明されましたか?」
声をかけられると同時に扇を閉じ、アルベルトのほうへ向き返った。
少し意地の悪い顔をしたアルベルトに呆れた。
彼は意地悪な人だったんだなと、初めて彼へ持っていた印象を改めることとなった。
「まぁ!アルベルト様がこんなに意地悪な方だなんて思ってもいませんでしたわ。紛らわしいことをおっしゃったアルベルト様にも責任はありましてよ?」
思っていたよりもアルベルトは可愛い性格をしていたのだなと思っていた。
もっと大人びていて、近寄り難い人だと思っていたのだが、初めて言葉をかけられたあの瞬間から、彼はフランクであったし、存外に親しみやすい印象を受けた。
「責任が私にもあるということでしたら、喜んで償わせていただきたいものです。カリーナ嬢、私と結婚してくださいませんか?一生かけて償わせていただきたいのですが」
彼の行動は早かった。流れるようにカリーナに近づき、光を反射したように輝く髪を一束取ると、そこへ口付けた。
あまりのことにカリーナは動けなかった。
火照っていた頬はますます熱くなり、扇を広げて隠したくても、近過ぎて広げられない。
夜空のようだと思った瞳は近くで見ると宝石のようでもある。深い色味なのに透徹した、不思議な色だ。
「カリーナ嬢、私の一目惚れです。伯爵家の私ですが、領地は豊かで苦労をさせる事はありません。ここからより一層発展する見込みです。どうかお受けいただけませんか?」
夢でもみているのだろうと思っても顔は沸騰しそうな程熱く、汗をかく身体は不快だった。
現実だと嫌でも分かる。
「両親が許せば…お受けいたします」
やっと言葉を紡ぎ出したカリーナは扇を持ったまま両手で顔を覆う。
何事にも冷静に対応することが求められる貴族である。
こんな姿を見られることは慙愧に堪えないことだった。
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