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王国
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「あなたが彼女を愛せないというのなら、あなたから婚約を破棄するのが筋ではなくて?愛する人へ自ら婚約破棄することがどれだけ辛いことか分からない程、若造じゃないでしょう?」
「しかし…こちらから婚約破棄するよりハイランス家から婚約を破棄する方が周りの目は煩くないだろう」
イリアも婚約破棄をされるデメリットは理解していた。
しかしクロッカは2度目の婚約破棄。それも同じ家と2度目の。婚約破棄をしても婚約破棄をされても、もうどうしようも無いほどの醜聞だった。
「シュゼインとの婚約破棄だけで醜聞です。あの時まだ、あなたが婚約をしなければ、そんな醜聞を気にせず、大切にしてくれる男性と結ばれることもあったかもしれません。でもあなたは婚約したのです。この婚約を破棄しても破棄されても、貴族には彼女と婚姻を求めるものはいないでしょう。それはもう分かっているはずでは?修道院へ行くこともなくなった彼女と、婚約破棄しない理由があるのですか?」
アルベルトは自らクロッカを手放す事から逃げているだけだった。
修道院へ行かせなくないと思っていた頃とは状況も違う。
クロッカは戻ってきても官職として1人で立てる。
きっと爵位を持っていない官職たちなら、クロッカが2度の婚約破棄をしていようとも、そんなことは関係なく簡単に奪っていく事だろう。
自分の家を黙らせること位出来なければ、官職では生き残れないのだ。
「いや、ないな…」
時間があればクロッカに会いに行っていたアルベルトも、彼女との時間がなくなって何も思わなかった訳ではない。
燻る様な違和感をずっと抱えて過ごしていた。
派手なドレスをトレードマークの様に纏うイリアに、痛いところを突かれたと目を伏せる事になった。
「彼女が戻るまでに覚悟を決めておきなさい。ふってあげるのも優しさなのですよ」
イリアはこの目の前の自分の同級生が可憐なクロッカに果たして釣り合うのかと考えていた。
彼が息子と同い年の息子の元婚約者を娘としか思えないのも無理はないことだ。
それほど珍しい年齢差ではないが、きっと彼は女性に若さは求めないのだろう。
クロッカがそれでもいいと望むのなら彼は受け入れるのかもしれない。
それならば丸く収まるが、そうで無いのなら彼女をワーデン家から解放してあげたかった。
自分で選んだ官職の道で、自分の選択をして欲しい。
彼女の幸せは学園を卒業した後にきっとある。
イリアの言葉はアルベルトの燻る心を射抜く様に刺さり続けることになった。
「さて、この話はもう終わり。食事が終わりましたら本題に入りましょう」
暗い空気を払う様にニッコリと微笑んだイリアはグラスを手に取って口へ運び、料理に再び手を伸ばし、春を口に感じながら暖かい風を受けていた。
「しかし…こちらから婚約破棄するよりハイランス家から婚約を破棄する方が周りの目は煩くないだろう」
イリアも婚約破棄をされるデメリットは理解していた。
しかしクロッカは2度目の婚約破棄。それも同じ家と2度目の。婚約破棄をしても婚約破棄をされても、もうどうしようも無いほどの醜聞だった。
「シュゼインとの婚約破棄だけで醜聞です。あの時まだ、あなたが婚約をしなければ、そんな醜聞を気にせず、大切にしてくれる男性と結ばれることもあったかもしれません。でもあなたは婚約したのです。この婚約を破棄しても破棄されても、貴族には彼女と婚姻を求めるものはいないでしょう。それはもう分かっているはずでは?修道院へ行くこともなくなった彼女と、婚約破棄しない理由があるのですか?」
アルベルトは自らクロッカを手放す事から逃げているだけだった。
修道院へ行かせなくないと思っていた頃とは状況も違う。
クロッカは戻ってきても官職として1人で立てる。
きっと爵位を持っていない官職たちなら、クロッカが2度の婚約破棄をしていようとも、そんなことは関係なく簡単に奪っていく事だろう。
自分の家を黙らせること位出来なければ、官職では生き残れないのだ。
「いや、ないな…」
時間があればクロッカに会いに行っていたアルベルトも、彼女との時間がなくなって何も思わなかった訳ではない。
燻る様な違和感をずっと抱えて過ごしていた。
派手なドレスをトレードマークの様に纏うイリアに、痛いところを突かれたと目を伏せる事になった。
「彼女が戻るまでに覚悟を決めておきなさい。ふってあげるのも優しさなのですよ」
イリアはこの目の前の自分の同級生が可憐なクロッカに果たして釣り合うのかと考えていた。
彼が息子と同い年の息子の元婚約者を娘としか思えないのも無理はないことだ。
それほど珍しい年齢差ではないが、きっと彼は女性に若さは求めないのだろう。
クロッカがそれでもいいと望むのなら彼は受け入れるのかもしれない。
それならば丸く収まるが、そうで無いのなら彼女をワーデン家から解放してあげたかった。
自分で選んだ官職の道で、自分の選択をして欲しい。
彼女の幸せは学園を卒業した後にきっとある。
イリアの言葉はアルベルトの燻る心を射抜く様に刺さり続けることになった。
「さて、この話はもう終わり。食事が終わりましたら本題に入りましょう」
暗い空気を払う様にニッコリと微笑んだイリアはグラスを手に取って口へ運び、料理に再び手を伸ばし、春を口に感じながら暖かい風を受けていた。
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