1 / 16
ダイジェスト版
しおりを挟む
「リーリエ、婚約を破棄させてほしい」
今朝、街の孤児院に視察に行く前に、態々私の家にまで来て愛を囁いてから出かけていった私の婚約者であるリーバスが、何でもないことかのようにするりと婚約破棄を申し出た。
「え?婚約破棄!?本気!?」
単語でしか話せなくなっても仕方のない事態だろう。
この結婚は、伯爵家である彼の家の方から縁談を持ちかけてきて、ただの子爵令嬢だった私は、父親に何か聞かれる事もなく、家の判断で婚約を了承することになったが、彼は私に対してとても甘く愛を囁いてくれる人だったし、私にべったりとくっついて、恥ずかしいことに、あまりの溺愛に学園でも有名になる程だったのだ。
「あぁ。リーリエには悪いけど、私は運命と出逢ってしまったのだ」
そう言われれば、私も仕方ないと折れるしかなかった。
だって、彼にとって私への愛は一日考える必要も無いほど薄っぺらいものだったのだから。
慰謝料をもらって持参金を積めば、嫁にもらってくれるところもあるだろう。
そう思って了承したのだが、リーバスは婚約破棄の話が進む中、翌日に前触れもなく家にやって来た。
「リーバス様が何故か今日もいらっしゃいました」
うちのメイドも驚く行動だった。
「君に紹介したい人がいてね」
ーーまさか、運命とやらを連れてきたのではあるまいな??
あまりに滑稽に思って、それはそれで見てみたいものだと、連れてくることを了承したのだが、彼が連れてきたのは、どこからどう見ても男性だった。
背はスラリと高いし、身なりからしても平民ではなく貴族だろう。
ーーなるほど、性別を超えた運命とは恐れ入ったわ。
常識外のお相手だから、運命だと!!そう解釈すれば、婚約破棄も納得がいった。
それは仕方がないのかもしれない。
私への薄っぺらい愛なんか風で吹き飛んで、性別の壁もあっさりと超えてしまうような躍動的な愛が芽生えてしまったなら、もうそれは婚約破棄を言い出すことも仕方がなかったのだろう。
「彼は?」
私も性別の壁さえも超えてこれからの苦難を乗り越えていこうとしている2人を攻撃する気にはなれなかった。
しらばっくれて、彼を紹介させる。
「興味を持った?彼はシーセル・マーカー卿。僕の秘書官になったダンネル伯爵の息子さ」
新人の秘書官と出掛けた先で、芽生えた恋…
なるほど。興味はあります。
そうしてお茶まで出して歓迎してしまったのだが、それは間違いだった。
リーバスはなんと、婚約破棄をする私の新しい婚約者にどうかとシーセル・マーサーを差し出してきて、慰謝料の減額を求めたのだ。
シーセル・マーサーは、同じアカデミーの騎士科トップ成績の将来期待されている男だった。
しかし、彼の大ファンが親友にいるため、婚約だなんて了承出来るわけがなかった。
もちろん子爵家はあらゆる手を使って抗議し、世間の味方もつけた。
アホな事に、リーバスの言う運命の相手というのは隣国の次期女王が内定している姫だった。
もちろん彼はコテンパンにふられ、世間から大バッシングをされ、伯爵家としてのメンツを保つ為に多額の慰謝料を払う事になった伯爵家は、領地の郊外にリーバスを引っ込ませる事にした。
世間のほとぼりが覚めた頃に結婚させるつもりなのだろうが、婚約破棄と隣国の姫にフラれたことが公に知られてしまい、多額の慰謝料を払う事になり財政的にも不安定になってしまった伯爵家に良い縁が都合よく訪れるなんてことは難しいだろう。
一方、リーリエも困惑していた。
「そろそろ、諦めて結婚したら?」
いくつもの騎士団から勧誘を受けると言われるシーセル・マーサー卿は、伯爵家の秘書になる事を選んだ変わり者だとリーリエは思っていたのだが、リーバスとの婚約破棄後、すぐに伯爵家の秘書を辞退して、熱心にリーリエを口説いている。
シーセル・マーサー卿を見たいが為に留学までしてきたリーリエの友人は、てっきりシーセルにガチ恋勢だと思っていたのだが、早く彼と結婚しろと圧力すらかけてくるのである。
「うぅっ…ちょっと暫く一人旅して考えてくるわ」
そうしてアカデミー卒業後に侍女と護衛付きのプチ旅行に出たのだが……
「ええっ!?そこまでして付いてきたの!?」
旅先でシーセル・マーサー卿の熱烈な求婚を受けてしまう。
え?結婚?したくないから旅に出たんですけど!?
そんなリーリエが絆されちゃうお話。
今朝、街の孤児院に視察に行く前に、態々私の家にまで来て愛を囁いてから出かけていった私の婚約者であるリーバスが、何でもないことかのようにするりと婚約破棄を申し出た。
「え?婚約破棄!?本気!?」
単語でしか話せなくなっても仕方のない事態だろう。
この結婚は、伯爵家である彼の家の方から縁談を持ちかけてきて、ただの子爵令嬢だった私は、父親に何か聞かれる事もなく、家の判断で婚約を了承することになったが、彼は私に対してとても甘く愛を囁いてくれる人だったし、私にべったりとくっついて、恥ずかしいことに、あまりの溺愛に学園でも有名になる程だったのだ。
「あぁ。リーリエには悪いけど、私は運命と出逢ってしまったのだ」
そう言われれば、私も仕方ないと折れるしかなかった。
だって、彼にとって私への愛は一日考える必要も無いほど薄っぺらいものだったのだから。
慰謝料をもらって持参金を積めば、嫁にもらってくれるところもあるだろう。
そう思って了承したのだが、リーバスは婚約破棄の話が進む中、翌日に前触れもなく家にやって来た。
「リーバス様が何故か今日もいらっしゃいました」
うちのメイドも驚く行動だった。
「君に紹介したい人がいてね」
ーーまさか、運命とやらを連れてきたのではあるまいな??
あまりに滑稽に思って、それはそれで見てみたいものだと、連れてくることを了承したのだが、彼が連れてきたのは、どこからどう見ても男性だった。
背はスラリと高いし、身なりからしても平民ではなく貴族だろう。
ーーなるほど、性別を超えた運命とは恐れ入ったわ。
常識外のお相手だから、運命だと!!そう解釈すれば、婚約破棄も納得がいった。
それは仕方がないのかもしれない。
私への薄っぺらい愛なんか風で吹き飛んで、性別の壁もあっさりと超えてしまうような躍動的な愛が芽生えてしまったなら、もうそれは婚約破棄を言い出すことも仕方がなかったのだろう。
「彼は?」
私も性別の壁さえも超えてこれからの苦難を乗り越えていこうとしている2人を攻撃する気にはなれなかった。
しらばっくれて、彼を紹介させる。
「興味を持った?彼はシーセル・マーカー卿。僕の秘書官になったダンネル伯爵の息子さ」
新人の秘書官と出掛けた先で、芽生えた恋…
なるほど。興味はあります。
そうしてお茶まで出して歓迎してしまったのだが、それは間違いだった。
リーバスはなんと、婚約破棄をする私の新しい婚約者にどうかとシーセル・マーサーを差し出してきて、慰謝料の減額を求めたのだ。
シーセル・マーサーは、同じアカデミーの騎士科トップ成績の将来期待されている男だった。
しかし、彼の大ファンが親友にいるため、婚約だなんて了承出来るわけがなかった。
もちろん子爵家はあらゆる手を使って抗議し、世間の味方もつけた。
アホな事に、リーバスの言う運命の相手というのは隣国の次期女王が内定している姫だった。
もちろん彼はコテンパンにふられ、世間から大バッシングをされ、伯爵家としてのメンツを保つ為に多額の慰謝料を払う事になった伯爵家は、領地の郊外にリーバスを引っ込ませる事にした。
世間のほとぼりが覚めた頃に結婚させるつもりなのだろうが、婚約破棄と隣国の姫にフラれたことが公に知られてしまい、多額の慰謝料を払う事になり財政的にも不安定になってしまった伯爵家に良い縁が都合よく訪れるなんてことは難しいだろう。
一方、リーリエも困惑していた。
「そろそろ、諦めて結婚したら?」
いくつもの騎士団から勧誘を受けると言われるシーセル・マーサー卿は、伯爵家の秘書になる事を選んだ変わり者だとリーリエは思っていたのだが、リーバスとの婚約破棄後、すぐに伯爵家の秘書を辞退して、熱心にリーリエを口説いている。
シーセル・マーサー卿を見たいが為に留学までしてきたリーリエの友人は、てっきりシーセルにガチ恋勢だと思っていたのだが、早く彼と結婚しろと圧力すらかけてくるのである。
「うぅっ…ちょっと暫く一人旅して考えてくるわ」
そうしてアカデミー卒業後に侍女と護衛付きのプチ旅行に出たのだが……
「ええっ!?そこまでして付いてきたの!?」
旅先でシーセル・マーサー卿の熱烈な求婚を受けてしまう。
え?結婚?したくないから旅に出たんですけど!?
そんなリーリエが絆されちゃうお話。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
「犯人は追放!」無実の彼女は国に絶対に必要な能力者で“価値の高い女性”だった
佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・エレガント公爵令嬢とフレッド・ユーステルム王太子殿下は婚約成立を祝した。
その数週間後、ヴァレンティノ王立学園50周年の創立記念パーティー会場で、信じられない事態が起こった。
フレッド殿下がセリーヌ令嬢に婚約破棄を宣言した。様々な分野で活躍する著名な招待客たちは、激しい動揺と衝撃を受けてざわつき始めて、人々の目が一斉に注がれる。
フレッドの横にはステファニー男爵令嬢がいた。二人は恋人のような雰囲気を醸し出す。ステファニーは少し前に正式に聖女に選ばれた女性であった。
ステファニーの策略でセリーヌは罪を被せられてしまう。信じていた幼馴染のアランからも冷たい視線を向けられる。
セリーヌはいわれのない無実の罪で国を追放された。悔しくてたまりませんでした。だが彼女には秘められた能力があって、それは聖女の力をはるかに上回るものであった。
彼女はヴァレンティノ王国にとって絶対的に必要で貴重な女性でした。セリーヌがいなくなるとステファニーは聖女の力を失って、国は急速に衰退へと向かう事となる……。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる