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それほど
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「だからそんなことを言う奴は、私に対しても無礼な奴と言うことだ。私が許していることをとやかく言えるというなら私が例えこの国から離れようと始末してやる。リーリエは私の友人なのだからな」
「あ、ありがたい…です…」
ーーそうは言っても表に出ないだけで評価はされてしまうのよーー!
とは黙っておいた。
それは交友関係でのメリットがない場合のみ言える文句だからだ。
少なからず、シェーラは私の家とも交流はあるし、噂の盾になってくれている。
今現在『子爵家なんかと』という言葉を飲み込ませているのも、シェーラが私を懇意にしていると知れ渡っているからだ。
彼女は義務を果たしている。
「今日は家の用事で街に下っていたのだが、シーセル様がいらしていると聞いてね、慌てて抜け出してみれば、リーリエも一緒にいると言うじゃないか。つい自分で馬を走らせてしまったよ」
ドレス姿で馬に乗って街を走り抜けるのは、王都では彼女くらいしかいないだろう。
それはそれは目立ったはずだ。
「シェーラ様は乗馬も得意なのですね」
「えぇ。シーセル様には敵いませんが、我が国では当然に求められるスキルですから」
こうしていると、先ほどまで周りの女性を丸っと無視していたシーセルの面影すらない。
血の通わないような冷めた顔で目的の防具だけを見定めているように見えたのに、同じ席に着けば柔らかく表情を変える。
「シェーラ様はボウガンも得意ですものね」
トーマスがおすすめのシフォンケーキをシェーラに提案して、シェーラはトーマスの自信満々なおすすめのケーキを頼んだ。
その間も堅苦しい会話はなくて、仲のいい4人の友人のように話は弾んだ。
「そうだシェーラ様、シーセル様に剣術大会のプレミアムチケットをいただいたの。一緒に観に行きませんか?」
にこやかに微笑んでいた貴公子を目の前に、わたしはどう考えても剣術大会のプレミアム観覧席に誘うのはシェーラしかいないと思い至っていた。
「プレミアムチケット?」
「はい。シーセル様の勇姿を特等席で見れるチャンスです!」
「そうだな…一緒に行きたいのは山々なのだが」
喜んで行ってくれると思ったが、シェーラは残念そうに下を向いた。
「剣術大会には行くのですよね?まさか、ついに今年は参加される気になったとか!?」
「いや、そうじゃないんだ。実は剣術大会を見るために婚約者がこちらに来ていてね、今日はそれで休みをもらっていたんだ」
シェーラ様、もしかして、婚約者を放り出してここに来たの?
というか、婚約者がいたというのも初耳だ。
青ざめていく自分の顔の冷たさを感じてはいたが、目の前にいるのは熱烈ファンのシェーラだ。
何も不思議なことはない。
それよりも昼間の観察時間を潰してまで婚約者と会っていたことを褒めるべきなのかもしれない。
「やはり、私と一緒に剣術大会に行きましょう」
そう私に言ってきたのは、トーマスではなくシーセルだった。
トーマスは空気を読んでほしいが、積まれた賄賂で、いつの間にか私の死角に入っている。
完全にシーセルの味方についたと思って間違いない。
「シーセル様は剣術大会に出場されないのですか?」
「シュエトン嬢が観に来るのなら出場してもいいと思っていたのですが、一緒に観に行けるならそんな機会を棒に振るつもりはありません」
「あらあら、それはそれは大変なこと。カゲトラ、オロリン」
シェーラが右手を上げると、スーツの男2人がシェーラの後ろに突然現れた。
一体どこにいたというのだ。
「うわぁ…隣国の貴族は影の者を使うって本当だったんだ」
トーマスが口をあんぐりと開けて興味深そうにしているが、カゲトラとオロリンと呼ばれた2人はササっとシェーラの前に便箋をとペンを置き、再びシェーラの椅子の後ろに控えた。
「これを至急届け、その場で返事をもらって来なさい」
シェーラが手紙ともいえない一文を書き終わると、スーツの2人は消えるようにして店を出た。
早すぎて店の鈴が鳴ったことでしか退出を確認出来なかった。
夢でも観ていたのかもしれない。
「失礼。リーリエ、恐らく大丈夫だろう。一緒に剣術大会へ行こうか。シーセル様の勇姿を見届けねば」
シェーラはゆったりとティーカップに口をつける。
「え…えぇ。シェーラ様さえよければ是非」
「残念だ。ならば私は優勝を目指そう」
シーセルが引き下がったので、全てが丸く収まったとも言える。
「マーサー卿、応援しておりますわ」
引き攣った顔でそう伝えるのが私にできた精一杯だった。
無理矢理ゲットした積み上がったシフォンケーキの箱は、店の人が丁寧に馬車まで運んでくれた。
「次は是非私の馬車で送らせてください」
何故かシェーラも乗り込んだ伯爵家の馬車の前で、シーセルは引き下がった。
もっと強引にきても良さそうなのに、そこまでグイグイと来ないのよね。
「思ってたより私のこと好きじゃなさそうよね?シェーラ、そう思わない?」
「リーリエ、来週もそれを言えるか賭けでもしようか?」
「おぉ!いいね!」
「良くないわよ!勝手に賭け事を始めようとしないで!」
そんなこんなで、私はシェーラを連れて家に戻った。
どうやら今日はシェーラは家に泊まる気でいるようだ。
「あ、ありがたい…です…」
ーーそうは言っても表に出ないだけで評価はされてしまうのよーー!
とは黙っておいた。
それは交友関係でのメリットがない場合のみ言える文句だからだ。
少なからず、シェーラは私の家とも交流はあるし、噂の盾になってくれている。
今現在『子爵家なんかと』という言葉を飲み込ませているのも、シェーラが私を懇意にしていると知れ渡っているからだ。
彼女は義務を果たしている。
「今日は家の用事で街に下っていたのだが、シーセル様がいらしていると聞いてね、慌てて抜け出してみれば、リーリエも一緒にいると言うじゃないか。つい自分で馬を走らせてしまったよ」
ドレス姿で馬に乗って街を走り抜けるのは、王都では彼女くらいしかいないだろう。
それはそれは目立ったはずだ。
「シェーラ様は乗馬も得意なのですね」
「えぇ。シーセル様には敵いませんが、我が国では当然に求められるスキルですから」
こうしていると、先ほどまで周りの女性を丸っと無視していたシーセルの面影すらない。
血の通わないような冷めた顔で目的の防具だけを見定めているように見えたのに、同じ席に着けば柔らかく表情を変える。
「シェーラ様はボウガンも得意ですものね」
トーマスがおすすめのシフォンケーキをシェーラに提案して、シェーラはトーマスの自信満々なおすすめのケーキを頼んだ。
その間も堅苦しい会話はなくて、仲のいい4人の友人のように話は弾んだ。
「そうだシェーラ様、シーセル様に剣術大会のプレミアムチケットをいただいたの。一緒に観に行きませんか?」
にこやかに微笑んでいた貴公子を目の前に、わたしはどう考えても剣術大会のプレミアム観覧席に誘うのはシェーラしかいないと思い至っていた。
「プレミアムチケット?」
「はい。シーセル様の勇姿を特等席で見れるチャンスです!」
「そうだな…一緒に行きたいのは山々なのだが」
喜んで行ってくれると思ったが、シェーラは残念そうに下を向いた。
「剣術大会には行くのですよね?まさか、ついに今年は参加される気になったとか!?」
「いや、そうじゃないんだ。実は剣術大会を見るために婚約者がこちらに来ていてね、今日はそれで休みをもらっていたんだ」
シェーラ様、もしかして、婚約者を放り出してここに来たの?
というか、婚約者がいたというのも初耳だ。
青ざめていく自分の顔の冷たさを感じてはいたが、目の前にいるのは熱烈ファンのシェーラだ。
何も不思議なことはない。
それよりも昼間の観察時間を潰してまで婚約者と会っていたことを褒めるべきなのかもしれない。
「やはり、私と一緒に剣術大会に行きましょう」
そう私に言ってきたのは、トーマスではなくシーセルだった。
トーマスは空気を読んでほしいが、積まれた賄賂で、いつの間にか私の死角に入っている。
完全にシーセルの味方についたと思って間違いない。
「シーセル様は剣術大会に出場されないのですか?」
「シュエトン嬢が観に来るのなら出場してもいいと思っていたのですが、一緒に観に行けるならそんな機会を棒に振るつもりはありません」
「あらあら、それはそれは大変なこと。カゲトラ、オロリン」
シェーラが右手を上げると、スーツの男2人がシェーラの後ろに突然現れた。
一体どこにいたというのだ。
「うわぁ…隣国の貴族は影の者を使うって本当だったんだ」
トーマスが口をあんぐりと開けて興味深そうにしているが、カゲトラとオロリンと呼ばれた2人はササっとシェーラの前に便箋をとペンを置き、再びシェーラの椅子の後ろに控えた。
「これを至急届け、その場で返事をもらって来なさい」
シェーラが手紙ともいえない一文を書き終わると、スーツの2人は消えるようにして店を出た。
早すぎて店の鈴が鳴ったことでしか退出を確認出来なかった。
夢でも観ていたのかもしれない。
「失礼。リーリエ、恐らく大丈夫だろう。一緒に剣術大会へ行こうか。シーセル様の勇姿を見届けねば」
シェーラはゆったりとティーカップに口をつける。
「え…えぇ。シェーラ様さえよければ是非」
「残念だ。ならば私は優勝を目指そう」
シーセルが引き下がったので、全てが丸く収まったとも言える。
「マーサー卿、応援しておりますわ」
引き攣った顔でそう伝えるのが私にできた精一杯だった。
無理矢理ゲットした積み上がったシフォンケーキの箱は、店の人が丁寧に馬車まで運んでくれた。
「次は是非私の馬車で送らせてください」
何故かシェーラも乗り込んだ伯爵家の馬車の前で、シーセルは引き下がった。
もっと強引にきても良さそうなのに、そこまでグイグイと来ないのよね。
「思ってたより私のこと好きじゃなさそうよね?シェーラ、そう思わない?」
「リーリエ、来週もそれを言えるか賭けでもしようか?」
「おぉ!いいね!」
「良くないわよ!勝手に賭け事を始めようとしないで!」
そんなこんなで、私はシェーラを連れて家に戻った。
どうやら今日はシェーラは家に泊まる気でいるようだ。
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