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1章
41話「カミラはボクっ娘」
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―ヴァイスリッター―
ダストにより【賢神の石】を奪われて数日後、ヴァイスリッターは元の活気を取り戻していた。
中でも、最近新しく入ったセリカさんとウィザード3人娘は強い主に男性冒険者たちの間で話題性を保っている。
「へっへっへ、カイルさ~ん、新しく入ったウィザードの女の子可愛くて仕方ないですよね!」
勿論、女好きなら僕に任せろ! と自信を持って言えるが見るも無残に振られ続けるエリクさんもその話題にノリノリなのは言うまでもない。
「可愛いか可愛いくないって言われたら可愛いんじゃないのかなぁ?」
残念ながら、女好き大魔神エリク氏の様に彼女達に対する興味が湧かない俺は適当な返事をする。
ちなみに、今いる場所はいつもの場所で、エリクさんの隣には読書をしているアリアさんがいる。
よくもまぁ、日ごろ普通にアプローチしている女の子の前でそう言う事を言えるって思えるが。
「それでそれでカイルさん、カイルさんはどの女の子が良いですか? 僕はあの娘が良いんですよねー」
どうもエリクさんからしたら俺もあの3人の女の子全てにめろめろだと思っているみたいだ。
つまり、エリクさんは自分があの娘を狙うから俺はそれ以外にしてくれって言いたいのだろう。
この辺り、エリクさんが持つ先輩としての威厳とやらを見せていると思うんだけど。
ごめん、エリクさん、俺はあの3人の誰にも興味が無い。
いや、ちょっと待て、エリクさん? セリカさんはどうしたのですか?
確か貴方はセリカさんに夢中だったのでは?
しかし、セリカさんは美しい外見とは裏腹に女王様チックでドSなんだよな。
あんな姿を見せ付けられたら100年の恋が一瞬で冷めてしまい、他の女の子に行ってしまうのは仕方がないかもしれない。
でも、エリクさんはそんなセリカさんの姿を見てニヤニヤしていた様な気がするが、俺の思い違いだっただろうか?
「エリクさん? 俺はあの中の3人どころか誰にも興味無いです」
と言った瞬間、アリアさんから視線を向けられる。
「そう。思っていたよりも貴方、信用出来るのね」
「信用って? なんでまた?」
「新しい女性と出会えたからと自分の意思を変えない事は重要」
「そんなもんですか?」
「エリクさんが良い例。けれど、運命の出会いも否定出来ない」
アリアさんが、読んでいる本をパタンと閉じる。
「運命の出会い?」
「貴方の場合不要と思う」
何処か意味深に言うアリアさんだが。
しかし、これから先俺が鍛錬したい気持ちを忘れる程魅力的な女性と出会う可能性が不要と言うのはどういう事だろうか?
「ふっふっふ、カイルさん、僕が説明してあげますよ!」
メガネをクイッと上げながら得意気に言うエリクさんだ。
今のやり取りで一体何が分かるのか気になる所であるが。
「ずばり、今のカイルさんには新たな出会いが必要無い位モテているのですよ!」
俺に向けビシッと指を差しながら、ドヤッと言うエリクさんである。
「見当違い」
だが、アリアさんはエリクさんに冷ややかな視線を送りながらバッサリと斬り捨てる。
「むぐぐ、惜しい線を付いてると思ったのですが」
これではエリクさんに対し、適当に言っただけかとつっこみたくなってしまうが。
「既に貴方には貴方を大切に思う女性が居る、それだけの事」
淡々と告げたアリアさんは再び読書に戻った。
一体誰の事だろう? 今まで出会って来た女性を思い返してみるがイマイチピンと来ない。
具体的に誰の事か聞こうと思うが、何やら後方から騒がしい声が聞える。
「ルッカ様~お会いしとうございました~☆」
声にのする方に視線を向けると、そこには例のウィザード3人娘の1人で背の低いカミラさんがルッカさんに抱き付いていた。
「私、女の子に興味無いけど」
「うふふふふ、ボクはルッカ様に興味深々なのだぁ~」
ルッカさんの言葉を無視し、カミラさんはルッカさんの肩辺りに頬を寄せ擦り寄せる。
「あなたねぇ」
ルッカさんは大きなため息を付くが、面倒だと判断したのかカミラさんを振りほどこうとせず好きにさせていた。
「あわわわ、ル、ルッカさんに抱き着けるなんてあの子羨ましいです! なんなら二人共抱き付いてしまいたいっ!」
エリクさんがその様子を羨ましそうに眺めているが、実際そんな事したら雷魔法を食らうだけで済むか怪しい所だ。
「なら、一度やってみたら? 魔法防御力上げれば雷魔法なんて痛く無いと思うよ」
最も、物理攻撃に対しての保証はしないけど。
「えへへ、そうですよね? 減るもんじゃないですしね、カイルさんが言ったんですからね?」
何があっても俺のせいに出来るという免罪符を手に入れたからか分からないが、にへにへ笑顔をしたままエリクさんは二人が居る所へ向かった。
「意外ね」
アリアさんが視線を手に持つ本に向けたまま呟く。
「そうですか?」
「止めるとは思うけど勧めるとは思って無い」
「そう言われるとそうかもしれないですね」
「プロテクション掛けたら?」
アリアさんが本のページを捲る音がやけに耳に残る。
俺はアリアさんが言う通りエリクさんに『防御障壁(プロテクション)』を掛けた。
「ルッカさ~~~ん、僕も混ぜて下さーーーい♪」
カミラさんみたく、エリクさんがルッカさん目掛けて飛び込もうとする。
「む、ボクのルッカ様に近付くとは何事ですか!」
エリクさんの気配を感じたカミラさんはさっと身を翻す。
「私、お尻の軽い男は嫌いって言わなかった?」
ルッカさんは軽くバックステップを踏み少しばかり後ろに下がる。
ばったーーーん!!!!
二人に向かって飛び込んだエリクさんは、誰も居なくなった地面に向かって見事なまでのダイブを行った。
「おい、犬っころ! あたしの仲間に何しようとしてやがる!」
今の騒動で、大人しく可憐で美しいブラックウィザードになれるであろうセリカ女王様がエリクさんの元へやって来た。
地面に突っ伏して痛みのあまり起き上がれないエリクさんの背中を『ゲシッ!』と鈍い音を立てながら踏みつける。
「ぎゃああああ、痛いです、痛いですけど」
エリクさんは悶え叫ぶが、セリカさんはそんなのお構いなしにエリクさんの背中を足でぐりぐりと踏みにじる。
「あら? 犬っころが何人間の言葉しゃべってるのかしら? 犬っころは大人しくわんわん吠えなさい?
ダストにより【賢神の石】を奪われて数日後、ヴァイスリッターは元の活気を取り戻していた。
中でも、最近新しく入ったセリカさんとウィザード3人娘は強い主に男性冒険者たちの間で話題性を保っている。
「へっへっへ、カイルさ~ん、新しく入ったウィザードの女の子可愛くて仕方ないですよね!」
勿論、女好きなら僕に任せろ! と自信を持って言えるが見るも無残に振られ続けるエリクさんもその話題にノリノリなのは言うまでもない。
「可愛いか可愛いくないって言われたら可愛いんじゃないのかなぁ?」
残念ながら、女好き大魔神エリク氏の様に彼女達に対する興味が湧かない俺は適当な返事をする。
ちなみに、今いる場所はいつもの場所で、エリクさんの隣には読書をしているアリアさんがいる。
よくもまぁ、日ごろ普通にアプローチしている女の子の前でそう言う事を言えるって思えるが。
「それでそれでカイルさん、カイルさんはどの女の子が良いですか? 僕はあの娘が良いんですよねー」
どうもエリクさんからしたら俺もあの3人の女の子全てにめろめろだと思っているみたいだ。
つまり、エリクさんは自分があの娘を狙うから俺はそれ以外にしてくれって言いたいのだろう。
この辺り、エリクさんが持つ先輩としての威厳とやらを見せていると思うんだけど。
ごめん、エリクさん、俺はあの3人の誰にも興味が無い。
いや、ちょっと待て、エリクさん? セリカさんはどうしたのですか?
確か貴方はセリカさんに夢中だったのでは?
しかし、セリカさんは美しい外見とは裏腹に女王様チックでドSなんだよな。
あんな姿を見せ付けられたら100年の恋が一瞬で冷めてしまい、他の女の子に行ってしまうのは仕方がないかもしれない。
でも、エリクさんはそんなセリカさんの姿を見てニヤニヤしていた様な気がするが、俺の思い違いだっただろうか?
「エリクさん? 俺はあの中の3人どころか誰にも興味無いです」
と言った瞬間、アリアさんから視線を向けられる。
「そう。思っていたよりも貴方、信用出来るのね」
「信用って? なんでまた?」
「新しい女性と出会えたからと自分の意思を変えない事は重要」
「そんなもんですか?」
「エリクさんが良い例。けれど、運命の出会いも否定出来ない」
アリアさんが、読んでいる本をパタンと閉じる。
「運命の出会い?」
「貴方の場合不要と思う」
何処か意味深に言うアリアさんだが。
しかし、これから先俺が鍛錬したい気持ちを忘れる程魅力的な女性と出会う可能性が不要と言うのはどういう事だろうか?
「ふっふっふ、カイルさん、僕が説明してあげますよ!」
メガネをクイッと上げながら得意気に言うエリクさんだ。
今のやり取りで一体何が分かるのか気になる所であるが。
「ずばり、今のカイルさんには新たな出会いが必要無い位モテているのですよ!」
俺に向けビシッと指を差しながら、ドヤッと言うエリクさんである。
「見当違い」
だが、アリアさんはエリクさんに冷ややかな視線を送りながらバッサリと斬り捨てる。
「むぐぐ、惜しい線を付いてると思ったのですが」
これではエリクさんに対し、適当に言っただけかとつっこみたくなってしまうが。
「既に貴方には貴方を大切に思う女性が居る、それだけの事」
淡々と告げたアリアさんは再び読書に戻った。
一体誰の事だろう? 今まで出会って来た女性を思い返してみるがイマイチピンと来ない。
具体的に誰の事か聞こうと思うが、何やら後方から騒がしい声が聞える。
「ルッカ様~お会いしとうございました~☆」
声にのする方に視線を向けると、そこには例のウィザード3人娘の1人で背の低いカミラさんがルッカさんに抱き付いていた。
「私、女の子に興味無いけど」
「うふふふふ、ボクはルッカ様に興味深々なのだぁ~」
ルッカさんの言葉を無視し、カミラさんはルッカさんの肩辺りに頬を寄せ擦り寄せる。
「あなたねぇ」
ルッカさんは大きなため息を付くが、面倒だと判断したのかカミラさんを振りほどこうとせず好きにさせていた。
「あわわわ、ル、ルッカさんに抱き着けるなんてあの子羨ましいです! なんなら二人共抱き付いてしまいたいっ!」
エリクさんがその様子を羨ましそうに眺めているが、実際そんな事したら雷魔法を食らうだけで済むか怪しい所だ。
「なら、一度やってみたら? 魔法防御力上げれば雷魔法なんて痛く無いと思うよ」
最も、物理攻撃に対しての保証はしないけど。
「えへへ、そうですよね? 減るもんじゃないですしね、カイルさんが言ったんですからね?」
何があっても俺のせいに出来るという免罪符を手に入れたからか分からないが、にへにへ笑顔をしたままエリクさんは二人が居る所へ向かった。
「意外ね」
アリアさんが視線を手に持つ本に向けたまま呟く。
「そうですか?」
「止めるとは思うけど勧めるとは思って無い」
「そう言われるとそうかもしれないですね」
「プロテクション掛けたら?」
アリアさんが本のページを捲る音がやけに耳に残る。
俺はアリアさんが言う通りエリクさんに『防御障壁(プロテクション)』を掛けた。
「ルッカさ~~~ん、僕も混ぜて下さーーーい♪」
カミラさんみたく、エリクさんがルッカさん目掛けて飛び込もうとする。
「む、ボクのルッカ様に近付くとは何事ですか!」
エリクさんの気配を感じたカミラさんはさっと身を翻す。
「私、お尻の軽い男は嫌いって言わなかった?」
ルッカさんは軽くバックステップを踏み少しばかり後ろに下がる。
ばったーーーん!!!!
二人に向かって飛び込んだエリクさんは、誰も居なくなった地面に向かって見事なまでのダイブを行った。
「おい、犬っころ! あたしの仲間に何しようとしてやがる!」
今の騒動で、大人しく可憐で美しいブラックウィザードになれるであろうセリカ女王様がエリクさんの元へやって来た。
地面に突っ伏して痛みのあまり起き上がれないエリクさんの背中を『ゲシッ!』と鈍い音を立てながら踏みつける。
「ぎゃああああ、痛いです、痛いですけど」
エリクさんは悶え叫ぶが、セリカさんはそんなのお構いなしにエリクさんの背中を足でぐりぐりと踏みにじる。
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