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2章
73話「闘神の斧」
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*カイル*
一方、溶岩の川へと飛び込んだカイルとアリアと言うと。
「何も見えないですね」
俺の問いかけに対し、アリアさんは黙って頷くだけだった。
魔法の力で地上と変わらない感覚で居られるし、溶岩の流れに逆らう事もとどまる事も出来る。
ただ、水の中とは違い透度が全く無いので先を全く見る事が出来ない。
上も下も右も左も灼熱の溶岩しか無い。
ただ、誰かが部下を殺した事に対して許せないと言っていた事は聞こえる。
誰の声だろうか? 間違いなくヴァイス・リッターの人達では無いし、聞こえた限りルッセルさん達と激しい怒りと共に敵対しているみたいだ。
ルッセルさんが言っていた闘気の主だろうか? ルッセルさんが彼を討伐するまで俺達はここで待ってるしかなさそうだ。
それにしても、アリアさんの手は温かい気がする。
なんだろう? 不思議とこのままこうして居たい気持ちになって来る。
こういうのを、デビッドやエリクさんは求めていたのだろうか?
「カイルさん」
俺が感傷に浸っている所、アリアさんが俺の名前を呟いた。
「どうしました?」
「不思議な力を感じない?」
俺はアリアさんに言われ感覚を研ぎ澄ましてみるが、
「いや、何も感じませんよ?」
「誰かが何か言ってる」
「叫び声上げてる人じゃなくて?」
「そう」
アリアさんは目を閉じ意識を集中させたみたいだ。
どうせやる事も無いし、と俺もアリアさんに続けて目を閉じ意識を集中させた。
溶岩の流れる音、それだけが耳に入り続ける。
アリアさんは誰かの声が聞こえると言ったが、俺には何も聞こえてこない、保有魔力量の問題なのだろうか?
いや、待て、何か、何か聞こえて来る、この声は?
『ハァハァ、もっと、もっとじゃ、こんなもんじゃ足りぬ』
「聞こえた!」
俺はアリアさんを見、同じく聞こえたかの確認を取る。
やはり、アリアさんは静かに頷き自分も聞こえたとの意思表示をした。
しかし、何とも怪しいというか気持ち悪い声なんだが、一体誰の声なんだ?
下の方から聞こえて来るんだけど。
俺はもう一度アリアさんに合図をし、溶岩の川の底へ向け移動を始めた。
『ワシに、もっと、もっと漢気を寄こすのじゃッ』
「漢気?」
聞きなれない言葉に対しアリアさんに尋ねるも、私も分からないとリアクションが返って来た。
『惚れる肉体美ッ美しく輝く筋肉ッワシに漢気を寄こすのじゃーーーーっ』
誰だろうこの人? もしかしてファイターでも望んでる? 困ったな、心当たり無い、後でルッセルさんに聞いてみるか?
おっと、この川の地面に到達したみたいだ、結構深かったな。
「カイルさん」
アリアさんが俺の身体をツンツンと指でつついた。
「どうかしました?」
「アレ」
とアリアさんが指差すが俺の視界には溶岩しか映らない。
この状況で何かが見えるってのは神聖魔力の影響なのだろうか? それとも別の力が?
『漢じゃ、燃えたぎる漢をよこすのじゃあああっ、冷徹などいらぬぅぅぅッ女子(おなご)などいらぬっッ』
どうやら声の主はアリアさんに気が付いてるみたいだ。
しっかし、この声質聞く限りおじいさんと思うんだけど、おじいさんなのに女に興味無いのも珍しい。
だからってデビッドやらエリクさんみたいに女大好き魔人なおじいさんってのも引くけど。
「俺には見えないけど、その辺探してみるよ」
俺はアリアさんが指差す先を手探りで探し出す。
『ふぬぅっ、貴様、ワシは漢が欲しいと言っておるじゃろ! なんじゃ、その貧弱で覇気の無い輩わっ! ついてるモノが付いてれば良い訳じゃないゾ!』
何だよこのじいさん、すっげー無礼じゃないか! 確かに俺はファイター専攻の奴等に比べたら筋肉量は落ちるけど、これはあくまでナイトとして機動性を確保する為仕方ないんだぞッ!
「的を得てる」
と俺が内心文句を言ってると、アリアさんがグサッと鋭い一言を言い放つ。
もしかしてアリアさん、筋肉質の男に興味がおありで?
と思いたいが、ムキムキマッチョマンなファイターから依頼に誘われても他の男と同じ扱いしてたな。
『貴様はナイトであるか、フム、そう言われてみればお主の肉体も美しいのぉ、むきむきまっちょまんとやらが良いが、ワシもこの溶岩の底に居続けるのも飽きたわい、新しい道に目覚めるのも悪くないのぉ~ぐえっへっへっへ』
いきなり俺に興味を示して何だよこの気持ち悪い爺さん!! てか、この爺さん俺の心読んでる!?
「貴方、女性に興味無いでしょ? なら良いんじゃない?」
珍しく(暗黒)微笑を浮かべるアリアさん。
いや、この人が笑ってるところ見たのは初めてかもしれない。
って、アリアさん? 貴女はもしかしなくて男同士でアレコレするのを見る事が好きな訳?
いや、冷静になれ、俺で例えれば女同士でアレコレしてるのを、そう言えば新しく入って来たカミラさんはルッカさんにべったりしている。
つまりはルッカさんとカミラさんがあんな事やそんな事をしているのを見ている訳で、それが好きかどうかと言われると。
ルッカさん、あんまり胸無いんだよな。 じゃあ、リンカさん辺りで、
『フン、不純じゃわい、この女子(おなご)の考えと同じ様、漢と漢が裸でぶつかり合うのが美しいのじゃッ!』
俺が少しばかり想像を働かせていて、段々とアリアさんの発想も悪くないという結論が出掛けた所で、じいさんから大声で突っ込みが入る。
やっぱりこのじいさん心が読めるみたいだ。
だが、男の俺からしたら男と男が裸でぶつかり合うなど断じて美しいとは思わないッ。
想像をしてみろっ! デビッドとエリクさんがッ、エリクさんがワンワン言いながらデビッドとアレコレしてる姿など断じてッ。
い、いや? 見てる分にはそれはそれで面白いような? エリクさんがワンワン言いながら、セリカさんみたくデビッドをあーしたりこーしてる姿見るのは面白いかもしれない。
一方、溶岩の川へと飛び込んだカイルとアリアと言うと。
「何も見えないですね」
俺の問いかけに対し、アリアさんは黙って頷くだけだった。
魔法の力で地上と変わらない感覚で居られるし、溶岩の流れに逆らう事もとどまる事も出来る。
ただ、水の中とは違い透度が全く無いので先を全く見る事が出来ない。
上も下も右も左も灼熱の溶岩しか無い。
ただ、誰かが部下を殺した事に対して許せないと言っていた事は聞こえる。
誰の声だろうか? 間違いなくヴァイス・リッターの人達では無いし、聞こえた限りルッセルさん達と激しい怒りと共に敵対しているみたいだ。
ルッセルさんが言っていた闘気の主だろうか? ルッセルさんが彼を討伐するまで俺達はここで待ってるしかなさそうだ。
それにしても、アリアさんの手は温かい気がする。
なんだろう? 不思議とこのままこうして居たい気持ちになって来る。
こういうのを、デビッドやエリクさんは求めていたのだろうか?
「カイルさん」
俺が感傷に浸っている所、アリアさんが俺の名前を呟いた。
「どうしました?」
「不思議な力を感じない?」
俺はアリアさんに言われ感覚を研ぎ澄ましてみるが、
「いや、何も感じませんよ?」
「誰かが何か言ってる」
「叫び声上げてる人じゃなくて?」
「そう」
アリアさんは目を閉じ意識を集中させたみたいだ。
どうせやる事も無いし、と俺もアリアさんに続けて目を閉じ意識を集中させた。
溶岩の流れる音、それだけが耳に入り続ける。
アリアさんは誰かの声が聞こえると言ったが、俺には何も聞こえてこない、保有魔力量の問題なのだろうか?
いや、待て、何か、何か聞こえて来る、この声は?
『ハァハァ、もっと、もっとじゃ、こんなもんじゃ足りぬ』
「聞こえた!」
俺はアリアさんを見、同じく聞こえたかの確認を取る。
やはり、アリアさんは静かに頷き自分も聞こえたとの意思表示をした。
しかし、何とも怪しいというか気持ち悪い声なんだが、一体誰の声なんだ?
下の方から聞こえて来るんだけど。
俺はもう一度アリアさんに合図をし、溶岩の川の底へ向け移動を始めた。
『ワシに、もっと、もっと漢気を寄こすのじゃッ』
「漢気?」
聞きなれない言葉に対しアリアさんに尋ねるも、私も分からないとリアクションが返って来た。
『惚れる肉体美ッ美しく輝く筋肉ッワシに漢気を寄こすのじゃーーーーっ』
誰だろうこの人? もしかしてファイターでも望んでる? 困ったな、心当たり無い、後でルッセルさんに聞いてみるか?
おっと、この川の地面に到達したみたいだ、結構深かったな。
「カイルさん」
アリアさんが俺の身体をツンツンと指でつついた。
「どうかしました?」
「アレ」
とアリアさんが指差すが俺の視界には溶岩しか映らない。
この状況で何かが見えるってのは神聖魔力の影響なのだろうか? それとも別の力が?
『漢じゃ、燃えたぎる漢をよこすのじゃあああっ、冷徹などいらぬぅぅぅッ女子(おなご)などいらぬっッ』
どうやら声の主はアリアさんに気が付いてるみたいだ。
しっかし、この声質聞く限りおじいさんと思うんだけど、おじいさんなのに女に興味無いのも珍しい。
だからってデビッドやらエリクさんみたいに女大好き魔人なおじいさんってのも引くけど。
「俺には見えないけど、その辺探してみるよ」
俺はアリアさんが指差す先を手探りで探し出す。
『ふぬぅっ、貴様、ワシは漢が欲しいと言っておるじゃろ! なんじゃ、その貧弱で覇気の無い輩わっ! ついてるモノが付いてれば良い訳じゃないゾ!』
何だよこのじいさん、すっげー無礼じゃないか! 確かに俺はファイター専攻の奴等に比べたら筋肉量は落ちるけど、これはあくまでナイトとして機動性を確保する為仕方ないんだぞッ!
「的を得てる」
と俺が内心文句を言ってると、アリアさんがグサッと鋭い一言を言い放つ。
もしかしてアリアさん、筋肉質の男に興味がおありで?
と思いたいが、ムキムキマッチョマンなファイターから依頼に誘われても他の男と同じ扱いしてたな。
『貴様はナイトであるか、フム、そう言われてみればお主の肉体も美しいのぉ、むきむきまっちょまんとやらが良いが、ワシもこの溶岩の底に居続けるのも飽きたわい、新しい道に目覚めるのも悪くないのぉ~ぐえっへっへっへ』
いきなり俺に興味を示して何だよこの気持ち悪い爺さん!! てか、この爺さん俺の心読んでる!?
「貴方、女性に興味無いでしょ? なら良いんじゃない?」
珍しく(暗黒)微笑を浮かべるアリアさん。
いや、この人が笑ってるところ見たのは初めてかもしれない。
って、アリアさん? 貴女はもしかしなくて男同士でアレコレするのを見る事が好きな訳?
いや、冷静になれ、俺で例えれば女同士でアレコレしてるのを、そう言えば新しく入って来たカミラさんはルッカさんにべったりしている。
つまりはルッカさんとカミラさんがあんな事やそんな事をしているのを見ている訳で、それが好きかどうかと言われると。
ルッカさん、あんまり胸無いんだよな。 じゃあ、リンカさん辺りで、
『フン、不純じゃわい、この女子(おなご)の考えと同じ様、漢と漢が裸でぶつかり合うのが美しいのじゃッ!』
俺が少しばかり想像を働かせていて、段々とアリアさんの発想も悪くないという結論が出掛けた所で、じいさんから大声で突っ込みが入る。
やっぱりこのじいさん心が読めるみたいだ。
だが、男の俺からしたら男と男が裸でぶつかり合うなど断じて美しいとは思わないッ。
想像をしてみろっ! デビッドとエリクさんがッ、エリクさんがワンワン言いながらデビッドとアレコレしてる姿など断じてッ。
い、いや? 見てる分にはそれはそれで面白いような? エリクさんがワンワン言いながら、セリカさんみたくデビッドをあーしたりこーしてる姿見るのは面白いかもしれない。
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