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3章
82話「国境線の戦い2」
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「随分と数が居やがるな! コイツは腕の見せ所だぜ!」
「どうやらそうみたいだ、全くツイてねぇぜ!」
で、デビッド君はルッカさんの嘘にまんまと騙されるまで同じ、と。
かと言って、本当の事言ったら今度は俺がルッカさんの電撃を浴びる羽目になるからなー。
バリア張って相殺して反応を見ても良いけど、無駄な魔力消費するのは馬鹿馬鹿しいし止めておこう。
「ククク……ではカイル君、リーダーをお任せ致します……」
「分かった」
「ムッ、ルッド君が言うなら仕方ないわね!」
そりゃ、突撃しか言えない人間がリーダーなんて出来る訳無いだろう。
「それでは我々の担当区画へ向かいましょう……」
ルッド君に先導され俺達は目的の場所へ向かった。
国境とは言え、昔建造したと思われる石造りの壁と通行人を管理する砦がある程度。
それも、魔物達の襲撃により損傷が激しく今はあまり機能していないみたいだ。
たしか、魔族に支配される前の国家が建造したと聞いた記憶がある。
今は、魔族の地上部隊を迎撃する際に勝手の良い拠点として使っていると聞いたとかなんとか。
また、俺達が居る側は緑生い茂る草木に囲まれ、馬車が通行しやすいように石製の道路が舗装されていたりと豊かな一見となっているが、国境を隔てると一転し荒れ果てた荒野となって居る。
魔族には土地の整備と言う概念がないのだろう。
砦にある高所より魔物達を確認したデビッドが大きな声を上げた。
「おいおい、まさか突撃するつもりじゃないよな?」
「ハッハッハ! 何言っているカイル、男なら単騎無双して当然だぜ!」
自信満々に高笑いをするデビッド。
俺はルッド君に対して、コイツを麻痺にさせてくれと目で合図を送る。
「ククク……考える事は同じですね……」
デビッドが背を向けた瞬間、ルッド君は吹き矢をデビッドの首元に撃ち込んだ。
「ぐおっ! また雷かよ! クソッついてね、身体がしびれてうごけね、ぇ」
デビッドは口をあわあわさせながらその場に崩れ落ちた。
「ねぇ? カイル? デビッドに何かしたの?」
ルッカさんが気になり尋ねて来たが、
「さぁ? 俺は知らないよ? さっき当たった雷が今効いたんじゃない?」
「ふーん? そうかしら? 変ねぇ?」
「ククク……細かい事は気にしない方が精神的に良いですよ……」
「それもそうね、私も一緒に突撃しようと思ってたけど止めておくわ」
いや、ルッカさん? あなたウィザードでしょう? と言っても予想出来る返事だけどさ。
『なんじゃ、折角漢気があるのに勿体ないのぉ』
でもアイツ女好きだぜ?
『なんじゃと!? ムムムそれは不潔じゃのぉ、折角漢気が溢れるのに勿体ないのぉ、残念じゃがワシの力はかせんわい』
闘神の斧が物凄く落胆している。
『じゃが、そこの赤髪の坊ちゃんも漢気が溢れておるわい! ふぇっふぇっふぇ、ワシの力を貸してやらんでもないぞい、ほれほれほれ』
いや、本人に言ったら雷魔法食らうぞ?
『なんでじゃ? 多数の敵に対し単騎突入なんて漢気溢れる事言ってるんじゃ、どっからどう見ても漢じゃろう』
あーそれ、その事言うと物凄く怒り出すよ。
『難しい少年じゃのぅ』
いや、もっとよく見てみろよ。
『なんじゃ、幾らワシが漢好きじゃからって嫌らしい目でじろじろ見るのは気が引けるわい』
まだ気付かないのか?
『ぬぉっ! なんじゃと! 胸元がわずかながらに膨らんでるじゃないか! 女子(おなご)じゃないか! このっ、ワシを騙しおって!』
アンタが勘違いしただけで誰も騙してないが。
『ぐぬぬ、漢気溢れるウィザードに使われると思ったのにがっかりじゃぞい!』
でも、万が一の時は使わせたいと思うが。
『あまり気が進まんのぉ~お主の身動きが封じられてお嬢ちゃんしか動けない状況じゃったら渋々触らせるかのぉ』
闘神の斧は深いため息をついた。
しかし、ここから見る限り魔物の数は多い、地上部隊で50体位の小隊が複数あるな。
猪型の魔物の群れに狼型の魔物の群れ、ちょっとデカイゴブリンの群れが見える。
以前俺が戦ったゴブリンは小さいからどうにもならなかったが、あれ位の大きさだと怪我以上の危険はある。
けど、炎獄の谷で戦った魔物達に比べたら数が多いだけでどうって事は無さそう。
『その数は厄介なもんじゃぞ!』
分かってるよ、だから単身で突撃しようとするデビッドを麻痺させてでも止めたんだよ。
『なんじゃ、分かっておったか、つまらんのぉ』
闘神の斧からのくだらない問いかけが終わった所で俺は残りの部隊の索敵をした。
他には、ゴブリンが魔物に乗っている、ゴブリンライダーの小隊も居る。
で、空には翼竜の小隊か、あまり大きくなさそうだけどこれも数が厄介だな。
先に空中の敵を迎撃してから地上の敵を迎撃するかな。
「よしっ、行こう、ルッカさんは範囲魔法で殲滅を、ルッド君は遠距離攻撃と支援を、ルミリナさんは支援魔法と治療魔法をお願いします!」
俺も武器を弓に切り替え魔物部隊殲滅を開始した。
-聖魔将ルミナス-
ヴァイスリッター、ギルドハウス上空に辿り着いたルミナスは一度地上に舞い降り近くの裏路地へと潜り込んだ。
「例の建物の中から聖女の気配がするわね、けれど強い人間の気配もするのね」
ルミナスの言う強い人間の気配はルッセルやセフィア、エリクの気配だ。
「あたしが調べた限り聖女の候補は2人で、2人共この建物を拠点としている、つまりもう1人は出払ってるのかしら?」
ルミナスは腕組みをし思案する。
程無くして女にモテ無さそう、もしくは女が好きそうな男が通り掛かる事を目撃した。
ここで、何かを思いついたルミナスはフードをかぶり魔族である事をぱっと見で分からなくさせた上でヴァイスリッターの入り口にで待ち伏せをした。
暫くして、ヴァイスリッターからあまりモテ無さそうな容姿をしたファイターが出て来るのを確認したルミナスがそっと彼の目の前に立ちニコっと笑顔とウィンクを見せて、
「こんにちわ、今日出払ってる人って誰かいますか?」
「こ、こんにちわ! 出払ってるひ、人ですか? た、沢山居るんですけど」
女性に不慣れなファイターは、少々鼻の下を伸ばしながらニヤニヤしながら返事をしている。
それを見たルミナスは狙い通りと判断し言葉を続ける。
「どうやらそうみたいだ、全くツイてねぇぜ!」
で、デビッド君はルッカさんの嘘にまんまと騙されるまで同じ、と。
かと言って、本当の事言ったら今度は俺がルッカさんの電撃を浴びる羽目になるからなー。
バリア張って相殺して反応を見ても良いけど、無駄な魔力消費するのは馬鹿馬鹿しいし止めておこう。
「ククク……ではカイル君、リーダーをお任せ致します……」
「分かった」
「ムッ、ルッド君が言うなら仕方ないわね!」
そりゃ、突撃しか言えない人間がリーダーなんて出来る訳無いだろう。
「それでは我々の担当区画へ向かいましょう……」
ルッド君に先導され俺達は目的の場所へ向かった。
国境とは言え、昔建造したと思われる石造りの壁と通行人を管理する砦がある程度。
それも、魔物達の襲撃により損傷が激しく今はあまり機能していないみたいだ。
たしか、魔族に支配される前の国家が建造したと聞いた記憶がある。
今は、魔族の地上部隊を迎撃する際に勝手の良い拠点として使っていると聞いたとかなんとか。
また、俺達が居る側は緑生い茂る草木に囲まれ、馬車が通行しやすいように石製の道路が舗装されていたりと豊かな一見となっているが、国境を隔てると一転し荒れ果てた荒野となって居る。
魔族には土地の整備と言う概念がないのだろう。
砦にある高所より魔物達を確認したデビッドが大きな声を上げた。
「おいおい、まさか突撃するつもりじゃないよな?」
「ハッハッハ! 何言っているカイル、男なら単騎無双して当然だぜ!」
自信満々に高笑いをするデビッド。
俺はルッド君に対して、コイツを麻痺にさせてくれと目で合図を送る。
「ククク……考える事は同じですね……」
デビッドが背を向けた瞬間、ルッド君は吹き矢をデビッドの首元に撃ち込んだ。
「ぐおっ! また雷かよ! クソッついてね、身体がしびれてうごけね、ぇ」
デビッドは口をあわあわさせながらその場に崩れ落ちた。
「ねぇ? カイル? デビッドに何かしたの?」
ルッカさんが気になり尋ねて来たが、
「さぁ? 俺は知らないよ? さっき当たった雷が今効いたんじゃない?」
「ふーん? そうかしら? 変ねぇ?」
「ククク……細かい事は気にしない方が精神的に良いですよ……」
「それもそうね、私も一緒に突撃しようと思ってたけど止めておくわ」
いや、ルッカさん? あなたウィザードでしょう? と言っても予想出来る返事だけどさ。
『なんじゃ、折角漢気があるのに勿体ないのぉ』
でもアイツ女好きだぜ?
『なんじゃと!? ムムムそれは不潔じゃのぉ、折角漢気が溢れるのに勿体ないのぉ、残念じゃがワシの力はかせんわい』
闘神の斧が物凄く落胆している。
『じゃが、そこの赤髪の坊ちゃんも漢気が溢れておるわい! ふぇっふぇっふぇ、ワシの力を貸してやらんでもないぞい、ほれほれほれ』
いや、本人に言ったら雷魔法食らうぞ?
『なんでじゃ? 多数の敵に対し単騎突入なんて漢気溢れる事言ってるんじゃ、どっからどう見ても漢じゃろう』
あーそれ、その事言うと物凄く怒り出すよ。
『難しい少年じゃのぅ』
いや、もっとよく見てみろよ。
『なんじゃ、幾らワシが漢好きじゃからって嫌らしい目でじろじろ見るのは気が引けるわい』
まだ気付かないのか?
『ぬぉっ! なんじゃと! 胸元がわずかながらに膨らんでるじゃないか! 女子(おなご)じゃないか! このっ、ワシを騙しおって!』
アンタが勘違いしただけで誰も騙してないが。
『ぐぬぬ、漢気溢れるウィザードに使われると思ったのにがっかりじゃぞい!』
でも、万が一の時は使わせたいと思うが。
『あまり気が進まんのぉ~お主の身動きが封じられてお嬢ちゃんしか動けない状況じゃったら渋々触らせるかのぉ』
闘神の斧は深いため息をついた。
しかし、ここから見る限り魔物の数は多い、地上部隊で50体位の小隊が複数あるな。
猪型の魔物の群れに狼型の魔物の群れ、ちょっとデカイゴブリンの群れが見える。
以前俺が戦ったゴブリンは小さいからどうにもならなかったが、あれ位の大きさだと怪我以上の危険はある。
けど、炎獄の谷で戦った魔物達に比べたら数が多いだけでどうって事は無さそう。
『その数は厄介なもんじゃぞ!』
分かってるよ、だから単身で突撃しようとするデビッドを麻痺させてでも止めたんだよ。
『なんじゃ、分かっておったか、つまらんのぉ』
闘神の斧からのくだらない問いかけが終わった所で俺は残りの部隊の索敵をした。
他には、ゴブリンが魔物に乗っている、ゴブリンライダーの小隊も居る。
で、空には翼竜の小隊か、あまり大きくなさそうだけどこれも数が厄介だな。
先に空中の敵を迎撃してから地上の敵を迎撃するかな。
「よしっ、行こう、ルッカさんは範囲魔法で殲滅を、ルッド君は遠距離攻撃と支援を、ルミリナさんは支援魔法と治療魔法をお願いします!」
俺も武器を弓に切り替え魔物部隊殲滅を開始した。
-聖魔将ルミナス-
ヴァイスリッター、ギルドハウス上空に辿り着いたルミナスは一度地上に舞い降り近くの裏路地へと潜り込んだ。
「例の建物の中から聖女の気配がするわね、けれど強い人間の気配もするのね」
ルミナスの言う強い人間の気配はルッセルやセフィア、エリクの気配だ。
「あたしが調べた限り聖女の候補は2人で、2人共この建物を拠点としている、つまりもう1人は出払ってるのかしら?」
ルミナスは腕組みをし思案する。
程無くして女にモテ無さそう、もしくは女が好きそうな男が通り掛かる事を目撃した。
ここで、何かを思いついたルミナスはフードをかぶり魔族である事をぱっと見で分からなくさせた上でヴァイスリッターの入り口にで待ち伏せをした。
暫くして、ヴァイスリッターからあまりモテ無さそうな容姿をしたファイターが出て来るのを確認したルミナスがそっと彼の目の前に立ちニコっと笑顔とウィンクを見せて、
「こんにちわ、今日出払ってる人って誰かいますか?」
「こ、こんにちわ! 出払ってるひ、人ですか? た、沢山居るんですけど」
女性に不慣れなファイターは、少々鼻の下を伸ばしながらニヤニヤしながら返事をしている。
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