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3章
81話「国境線の戦い」
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「はぁ、ルミ? アンタ男の転がし方分からないよね?」
「う、うぅ」
ルミリナは力無い返事を姉にした。
「あのね、そう言う事も覚えないと男達から何されるか分からないのよ?」
「冒険者ギルドのお姉さんと同じ事言っちゃやだよぅ」
以前、冒険者ギルド受付嬢リンカと同じ事をアリアからも言われたルミリナはがっくりと肩を落としうつむいた。
「お姉ちゃんだから言うけど、ルミみたいな人畜無害な女の子なんて男達の絶好のカモよ?」
「そ、そんな事無いもん」
「カイルって人がお人好し過ぎるだけ。 ヴァイス・リッターのみんなだってカオス学長の影響が働いてるからマシに過ぎない」
「じゃあ私もヴァイス・リッターの人達と」
姉の言葉に対し希望を感じたルミリナが顔を上げて僅かに表情を晴らすが、
「甘く無いわいよ、お金の為に気持ち悪い男と同行するのは当たり前、気持ち悪い男達はルミに近付かないよね?」
「え? う、うん、そうだね」
「私が何もしてないと思ってる?」
「うぅ」
改めて、姉に守られている事を痛感させられたルミリナは唇を噛み締める。
「見てくれが良くったってロクでも無い男ばかりよ、何されるか分かったもんじゃないのよ?」
「う、うん」
まるで自分が何かを経験したかのように言うアリアだが、それに気付いているのか気付いていないのかルミリナは少しばかり言葉を濁した。
「ルミ? お父さんとお母さんの事忘れたとは言わないよね?」
「忘れて無いよ、忘れて無いから、お姉ちゃんまで居なくなっちゃうの嫌だよ!」
ルミリナは、一度乾きかけた瞳を再び濡らしながら叫んだ。
「だから、良い人見付けてお嫁さんになりなさいって言ってるのよ」
「ばかっ! お姉ちゃんのばかぁっ!」
アリアの言葉に対し感情の波を制禦出来なくなったルミリナは、大粒の涙を流しながら姉に抗議した。
そんなルミリナに対しアリアは、席を立ちルミリナの傍によりそっと頭を撫でた。
「良い? 人生って全てを手にする事は不可能、何かを手に入れるには何かを犠牲にしなければならないの。 私が犠牲になるだけでルミが生き残る事が出来る。 けど、私が犠牲にならなければ私もルミも生きて行く事が出来ないのよ。 ルミがね、シスターで居続ける事も適わ無いの」
「おねぇ、ちゃん、ごめんなさい、でも、でも、それならお姉ちゃんもお嫁さんになれば」
姉の言葉に対し、ルミリナは必死に言葉を紡ぎ出す。
「そうね、お姉ちゃんは、男を知り過ぎてしまったの、良い事も悪い事も全て、それに、強くなり過ぎる事は男を好きになれなく事でもあるのよ。 お姉ちゃんは誰かのお嫁さんになるには強くなり過ぎたの」
「じ、じゃあ、もっと安全な」
ルミリナが力の無い返事をする。
「若さは無限じゃないの、今は女性としての魅力があるけどそれも数年しかない、限られた時間の中お金を稼ぐにはこうするしかない」
アリアは、ルミリナの肩に手を添えた。
「でも、その時はもっと強く」
「そうね、ルミの言う通り、でも仮に私がAランクで戦えるセイジになったとする。 けれど、Bランクの若くて可愛いプリーストが選ばれるのが現状なの、現に私も本来Aランクのセイジが入る場所を割り込んでるのだから」
「そう、なんだ」
「全く、お姉ちゃんが教えれる事は教えたから、それでも考えが変わらないならルミの好きにしなさい、ルッセルさんの命令ならね」
「うん! お姉ちゃん大好き!」
ルミリナは今までの曇った表情を一転させ、嬉しそうな笑顔を見せると小走りでアリアの元を去った。
―魔王城―
「ルミナス様! 何処へ行かれるのですか!」
魔聖将ルミナスは、単身で何かの調査へ向かおうとしている。
「ヒ・ミ・ツ★」
見張りの問い掛けに対し、ルミナスはウィンクと投げキッスを見せつけた。
「へっへっへ、そーですよね、と言いたいところですけど、私としても最低限の把握をしておきませんと魔王様に何されるか分かりません」
「あらやだ? 魔王ちゃん、真面目なのねぇ~? 大丈夫よ、聖女とやらの居場所が分かったから優しく迎えに行くのよ」
「は、はぁ、そうでありますか、せいじょとやらは人間ですよね?」
「そうよ? 多分人間の女、あたしも女だから別に興味無いのよね~でも聖神の杖の為に必要だからしか~~~~たなく行くのよ? これで十分かしら?」
「は、はい、分かりましたであります」
「場所は大体この辺り、無いとは思うけど万が一の時は救援部隊ヨロシクネ★」
見張りに説明を終えたルミナスは転移魔法を発動させ目的地へ移動した。
彼女が見張りに説明した場所は、丁度ヴァイスリッターのギルドハウスの辺りだった。
―セザール国境近辺―
ルッセルさんより指示を受けた3日後、俺とルッカさんとルミリナさんは俺達でも倒せる範囲の魔物が多数攻め込んで来るセザール国境付近へ向かった。
「よぉ、カイル! 魔族討伐だぜ! 燃えてくるよな!」
俺達をサムズアップを見せ笑顔で迎え入れるデビッド。
機動力を確保出来る軽鎧(ライトアーマー)に身を包み盾も備えている。
武器は片手で扱える斧みたいだ。
「ククク……カイル君、お久し振りですね……」
何処からともなくスッと音を立て現われたのは黒装束に身を包むルッド君だ。
色々な暗器を保有していると思うが、残念ながらその詳細は誰にも明かしておらず、俺にも詳しい事は分からない。
「お? なんだぁ? カイル、またルッカちゃんと喧嘩したのか?」
「またって? 喧嘩した記憶は無いけど」
チラっとルッカさんを見ると何だかムスッとしているが、いつもの事だろう。
「全く、しかたねぇなぁ、ここは俺が取り持ってやるから」
デビッドは俺の肩をポン、と叩くとルッカさんに近付くが。
「ライトニング・ウォール」
ルッカさんが完成させた魔法名を叫んだ。
ルッカさんとルミリナさんの周囲に雷の壁が展開された。
デビッドはその存在に気付かずルッカさんに触れようとさらに踏み込んだところで、
「うわああああ!!!! 何だこれッ!! 電気が俺の身体を走ってるッ!!」
びりびりびりびりっ、と分かり易い音を立てデビッドが身体を硬直させた。
「ククク……新しい魔法ですか、精進してますね……」
「あら? デビッド君? 雷に撃たれるなんて運が悪いわね」
素知らぬ顔で嘘をつくルッカさん。
しかも、コボルドキングの時と同じ嘘を。
「ああ、全くだぜ、クソッ、天気はこんなにも晴れてると言うのにッ」
「ホント珍しいわね?」
「う、うぅ」
ルミリナは力無い返事を姉にした。
「あのね、そう言う事も覚えないと男達から何されるか分からないのよ?」
「冒険者ギルドのお姉さんと同じ事言っちゃやだよぅ」
以前、冒険者ギルド受付嬢リンカと同じ事をアリアからも言われたルミリナはがっくりと肩を落としうつむいた。
「お姉ちゃんだから言うけど、ルミみたいな人畜無害な女の子なんて男達の絶好のカモよ?」
「そ、そんな事無いもん」
「カイルって人がお人好し過ぎるだけ。 ヴァイス・リッターのみんなだってカオス学長の影響が働いてるからマシに過ぎない」
「じゃあ私もヴァイス・リッターの人達と」
姉の言葉に対し希望を感じたルミリナが顔を上げて僅かに表情を晴らすが、
「甘く無いわいよ、お金の為に気持ち悪い男と同行するのは当たり前、気持ち悪い男達はルミに近付かないよね?」
「え? う、うん、そうだね」
「私が何もしてないと思ってる?」
「うぅ」
改めて、姉に守られている事を痛感させられたルミリナは唇を噛み締める。
「見てくれが良くったってロクでも無い男ばかりよ、何されるか分かったもんじゃないのよ?」
「う、うん」
まるで自分が何かを経験したかのように言うアリアだが、それに気付いているのか気付いていないのかルミリナは少しばかり言葉を濁した。
「ルミ? お父さんとお母さんの事忘れたとは言わないよね?」
「忘れて無いよ、忘れて無いから、お姉ちゃんまで居なくなっちゃうの嫌だよ!」
ルミリナは、一度乾きかけた瞳を再び濡らしながら叫んだ。
「だから、良い人見付けてお嫁さんになりなさいって言ってるのよ」
「ばかっ! お姉ちゃんのばかぁっ!」
アリアの言葉に対し感情の波を制禦出来なくなったルミリナは、大粒の涙を流しながら姉に抗議した。
そんなルミリナに対しアリアは、席を立ちルミリナの傍によりそっと頭を撫でた。
「良い? 人生って全てを手にする事は不可能、何かを手に入れるには何かを犠牲にしなければならないの。 私が犠牲になるだけでルミが生き残る事が出来る。 けど、私が犠牲にならなければ私もルミも生きて行く事が出来ないのよ。 ルミがね、シスターで居続ける事も適わ無いの」
「おねぇ、ちゃん、ごめんなさい、でも、でも、それならお姉ちゃんもお嫁さんになれば」
姉の言葉に対し、ルミリナは必死に言葉を紡ぎ出す。
「そうね、お姉ちゃんは、男を知り過ぎてしまったの、良い事も悪い事も全て、それに、強くなり過ぎる事は男を好きになれなく事でもあるのよ。 お姉ちゃんは誰かのお嫁さんになるには強くなり過ぎたの」
「じ、じゃあ、もっと安全な」
ルミリナが力の無い返事をする。
「若さは無限じゃないの、今は女性としての魅力があるけどそれも数年しかない、限られた時間の中お金を稼ぐにはこうするしかない」
アリアは、ルミリナの肩に手を添えた。
「でも、その時はもっと強く」
「そうね、ルミの言う通り、でも仮に私がAランクで戦えるセイジになったとする。 けれど、Bランクの若くて可愛いプリーストが選ばれるのが現状なの、現に私も本来Aランクのセイジが入る場所を割り込んでるのだから」
「そう、なんだ」
「全く、お姉ちゃんが教えれる事は教えたから、それでも考えが変わらないならルミの好きにしなさい、ルッセルさんの命令ならね」
「うん! お姉ちゃん大好き!」
ルミリナは今までの曇った表情を一転させ、嬉しそうな笑顔を見せると小走りでアリアの元を去った。
―魔王城―
「ルミナス様! 何処へ行かれるのですか!」
魔聖将ルミナスは、単身で何かの調査へ向かおうとしている。
「ヒ・ミ・ツ★」
見張りの問い掛けに対し、ルミナスはウィンクと投げキッスを見せつけた。
「へっへっへ、そーですよね、と言いたいところですけど、私としても最低限の把握をしておきませんと魔王様に何されるか分かりません」
「あらやだ? 魔王ちゃん、真面目なのねぇ~? 大丈夫よ、聖女とやらの居場所が分かったから優しく迎えに行くのよ」
「は、はぁ、そうでありますか、せいじょとやらは人間ですよね?」
「そうよ? 多分人間の女、あたしも女だから別に興味無いのよね~でも聖神の杖の為に必要だからしか~~~~たなく行くのよ? これで十分かしら?」
「は、はい、分かりましたであります」
「場所は大体この辺り、無いとは思うけど万が一の時は救援部隊ヨロシクネ★」
見張りに説明を終えたルミナスは転移魔法を発動させ目的地へ移動した。
彼女が見張りに説明した場所は、丁度ヴァイスリッターのギルドハウスの辺りだった。
―セザール国境近辺―
ルッセルさんより指示を受けた3日後、俺とルッカさんとルミリナさんは俺達でも倒せる範囲の魔物が多数攻め込んで来るセザール国境付近へ向かった。
「よぉ、カイル! 魔族討伐だぜ! 燃えてくるよな!」
俺達をサムズアップを見せ笑顔で迎え入れるデビッド。
機動力を確保出来る軽鎧(ライトアーマー)に身を包み盾も備えている。
武器は片手で扱える斧みたいだ。
「ククク……カイル君、お久し振りですね……」
何処からともなくスッと音を立て現われたのは黒装束に身を包むルッド君だ。
色々な暗器を保有していると思うが、残念ながらその詳細は誰にも明かしておらず、俺にも詳しい事は分からない。
「お? なんだぁ? カイル、またルッカちゃんと喧嘩したのか?」
「またって? 喧嘩した記憶は無いけど」
チラっとルッカさんを見ると何だかムスッとしているが、いつもの事だろう。
「全く、しかたねぇなぁ、ここは俺が取り持ってやるから」
デビッドは俺の肩をポン、と叩くとルッカさんに近付くが。
「ライトニング・ウォール」
ルッカさんが完成させた魔法名を叫んだ。
ルッカさんとルミリナさんの周囲に雷の壁が展開された。
デビッドはその存在に気付かずルッカさんに触れようとさらに踏み込んだところで、
「うわああああ!!!! 何だこれッ!! 電気が俺の身体を走ってるッ!!」
びりびりびりびりっ、と分かり易い音を立てデビッドが身体を硬直させた。
「ククク……新しい魔法ですか、精進してますね……」
「あら? デビッド君? 雷に撃たれるなんて運が悪いわね」
素知らぬ顔で嘘をつくルッカさん。
しかも、コボルドキングの時と同じ嘘を。
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