Ex冒険者カイル

うさぎ蕎麦

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3章

84話「魔聖将ルミナス2」

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「あらあら? あたしの魔法を打ち消すなんてやるじゃない? ひょっとしてボクちゃん、ルカンちゃんをやっちゃった人かしら?」

『むむむ、何と卑猥な事を言うんじゃ! ハレンチな奴じゃのぅ!』

 今の言葉の何処が卑猥なのか分からないが。
 
「この前の魔族の事かッ! だからどうした! 貴様が求める聖女なんかここには居ないぞ!」
「良いわねぇ~仲間想いのぼくちゃんあたしそういう男の子大好きよ★ 後でお姉さんと良い事しましょうね★」
 
 胸元をチラつかせながら誘惑している魔族だが、俺に興味は無い。

『ふむぅ、こやつの話じゃとワシらの仲間に聖女が居るみたいじゃぞい。 どれ、ワシがその聖女とやらの気配を探知してみるかのぉ。 ほっほーあのプリーストのお嬢ちゃんが聖女じゃったとはのぉ~見た目通りで安心したぞい!』

 つまり、ルミリナさんが聖女!?
 そんな話は一切聞いた事も素振りも感じなかった、もしかして本人も知らないのか?
 どうする?
 この魔族はルミリナさん目当てで来たみたいだぞ。

「悪いけど俺はそんな趣味は無い!」

 闘気を纏った俺は、その力を利用し滞空している魔族目掛けて高い跳躍をし闘神の斧を振り下ろした。
 
「短気はダ・メ」

 魔族は俺の初動を見た所で軌道を読み切り俺の攻撃をあっさりと回避し、反撃の雷魔法をぶつけて来た。

「クッ!」

 魔族の魔法は纏っている闘気を貫通、『魔法抵抗(レジスト)』も貫き身体を少し感電した感覚を襲う。

『気合が足らぬぞい!』

 魔族の攻撃に失敗し着地した俺に対し闘神の斧が喝を入れ闘気を補充した。

「クソッ、もう一度行くぜ!」

 俺は再び地面を蹴り高い跳躍を見せる。
 だがその程度では空を飛んでいる相手に当てれる訳も無く、敵魔族の蹴りをもろに受け地面に叩きつけられてしまう。
 派手な音を立て砦の地面をえぐるが、闘気のお陰で大した痛みは無かった。
 しかし、やけに短絡的な行動を取ってると感じるのだが身体が勝手に動いてしまいどうしようも出来ない。
 恐らく闘神の斧を持つ事による影響だと思う。

『気合じゃ! 根性を見せるのじゃ!』

 俺の考えを無視して闘神の斧が喝を入れる。
 闘気は補充されるのだが、戦術を練ろうとする思考が遮断されてしまった。
 俺は再び敵に向け跳躍のみで攻撃を仕掛ける。
 当然ながら、大振りな一撃は虚しく宙を切った。
 これでは周りから猪と言われても何一つとして文句は言えない。

「空を飛ぶことは出来ないのか!?」

 たしか、ルッセルさんが闘気の力を使ってある程度空中戦をこなせるという話をエリクさんから聞いた事がある。

『おぉ! その手があったわい! ひしょーのじゅつとやらと違って長い時間飛ぶことは出来んぞい! お主からじゃ得られる漢気パワーが足りんのじゃ!』

「さんきゅー! よしっ! 行くぜ!」

 俺は再び地面を強く蹴り、魔族へ向け大きな跳躍をした。
 
「あら~? 元気なボクちゃんね★ あっちの方も元気かしら?」

 魔族が、怪しげな笑みを見せながら俺の攻撃を最小限の動きで回避し、反撃の氷魔法を発動させた。

「この程度ッ」

 俺は右方向に大きく動き魔法を回避。
 外れた魔法は、地面に巨大な氷塊を作る事になった。
 この威力の魔法を大きく防いでいたと考えると、闘気の力が凄まじいものだと痛感する。

「ボクちゃんお空を飛べる様になったのぉ? やるじゃなぁい?」

 今度は炎の魔法を放って来た。
 真っ直ぐ放たれた魔法に対し、俺は高度を取る事で回避。
 そのまま降下の勢いをつけ反撃に転じた。
 が、頭の中では命中させやすい小振りな攻撃をしようとしたが、身体が勝手に大振りな攻撃をしてしまった。

「残念でした★」

 俺の攻撃は空気を斬る派手な音をが周囲に響いただけだった。
 大振りの攻撃を外し、生じた膨大な隙に対して魔族は俺の頭上から氷魔法を発動させた。

「ちくしょうっ!」

 頭上から氷魔法の直撃を受けた俺は氷漬けにされた上、再び地面に叩きつけられてしまった。

『ぬおぉぉぉ、この程度の氷がナンボのもんじゃい!』

 闘神の斧が気合を込めるが、俺の身体を包み込む氷が解ける気配は無い。
 無理矢理空を飛んだせいで闘気を使い過ぎたせいだろうか?

「あはっ、ボクちゃん残念だったね★ このままあたしの玩具にしたいけど。 聖女に用があるのよね」

 魔族は俺にウィンクを見せるとルミリナさんの方へ向かった。
 つっ! しまった、このままじゃルミリナさんがッ!
 俺は炎属性の魔法を発動させるが、魔族によって生み出された氷の中ではわずかに溶かす事も出来なかった。

『ぬぅぅぅっ! 漢気、漢気を寄こすのじゃあああ!』

 闘神の斧がそう言うが、俺には彼の求める漢気が無い。
 クソッ、どうすれば?
 あれは麻痺して動けないままのデビッド。
 よし、目は合ってる。
 『異常治療(キュア)』をデビッドに掛けてみよう!
 デビッドの漢気なら闘神の斧のエネルギーを回復出来るハズだ。
 俺は、魔族が掛けた氷魔法には魔力封印能力が無い事を祈りながら、デビッドに向けて『異常治療(キュア)』を発動させた。
 よしっ! デビッドの身体にキュアの光が包み込んだぞ!
 デビッドがゆっくり起き上がって、こっちに来てくれた!

「ハァ、ハァ、やっと身体の痺れが消えたぜ! それよりカイル! 一体何があったんだ! お前が戦っているのは見たんだけどよ! クソッ、身体さえ自由だったら俺も加勢したがっ」

 デビッドが悔しそうだが、思った通り熱く力説している。
 良いぞ、このまま闘神の斧の漢気パワーを充電してくれ!

『むほっ! これじゃ!この漢気ッ! みなぎるぱわーーーじゃぞい!』

「この氷をどうにかしねぇと! 待ってろ! こんな氷俺が砕いてやるぜ!」

 デビッドが気合を込め、携帯している鈍器を使い俺を包み込んでる氷を殴打した。
 だが、デビッドの気合も空しく氷はビクともしない。

『クルクルクルッ! 来るぞいッ!』

「チクショウ! 友一人助けられねぇ癖に何が国王軍だっ! うおーーーーっ! こんな氷程度ッ!」

 デビッドが更に気合を込め、大きく振りかぶって氷に向けて鈍器でフルスイングを放った。

『来たぞいっ! 漢気ぱわー満点! 行くぞっワシの闘気の前にこんな氷など赤子の手をひねるも同然じゃいっ!』

 デビッドの一撃が氷に直撃させる事と闘神の斧が闘気の力で氷を砕いたの同時だった。
 派手な音を立て、俺の身体を纏っていた氷はバラバラに砕け散り地面に落ちた。
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