AUKUYAKU☆令嬢に転生したおっさんのAKUGYOU記1

うさぎ蕎麦

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1章「おっさん田中太郎悪役令嬢に転生」

2話「転生先は悪役令嬢」

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「では、本題に入ります。 これから田中さんには3つの選択肢があります。 このまま天国に行く事、地球で田中さんが死んだ2年後に転生。 この2つはどれも面白くないのでお勧めしません」

 だったら最初から選択肢を1つにしてくれよ。
 
「それは仕方がありません、私もこんなマニュアルが無ければ最初からそうしてますから」

 どうやら女神にも応対マニュアルがあるみたいだ。

「やらかす新人女神が結構いますからね。 3つ目はズバリ、オタクな人生を歩んできた田中さんなら察する事が出来るでしょう!」

 椅子から立ち上がり俺に向けてビシッと指を差すクリスティーネ。
 君は一々人をビミョーにあおらなければ気が済まないのかね。

「演出と言ってくれたら私は喜びますよ?」

 あーはいはい、演出ですね。

「フハハハハ!オタク神と呼ばれたこの俺には分るぜ!そう、ズバリ、それは異世界転生だッ!」

 流れ的にはこんな感じで良いだろうか?
 正直こんな事脳内以外で言った事が無いから恥ずかしいのだが。

「その通りですッ! 流石は暇があれば小説家に○ろうランキングの上位作品を読み漁っていた田中さんですね」

 無駄に拍手を送ってくれるクリスティーネ。
 しかし、それはそれで何だか悪い気はしない。
 
「今回田中さんにオススメのナーロッパはこれです」

 クリスティーネが指差した世界は、○ろうで良くある設定の世界だった。

「続いて、田中さんにオススメな転生先はこれです」

 クリスティーネは俺の意見を聞く事も無く転生先を提示する。
 書かれていた内容は、とある貴族の令嬢だった。

「大丈夫ですよ! ピカピカ王道純真な貴族令嬢なんてつまらないものに転生させるなんてさせませんから!」

 瞳を輝かせながら力説するクリスティーネ。
 確かに王道まっしぐらに生きていれば何にも困る事の無い人生がつまらない事は否定しない。
 しかし、俺は男だぞ? 転生先に女性を出されても困惑するのだが。

「良いじゃないですか! おっさんの心を持つぴっちぴちの少女! 見ていて楽しいと思いませんか?」

 アンタの言う通り見ていて楽しいだろうな。
 って待てよ、それってアンタのしゅみ入って無いか!?

「いえいえ、まさか、その様な事はございません。 あくまでも田中サマの性格等を考りょした結果最善となる転生先を提示しただけでございます」

 その割には笑いをこらえているのは気のせいか?

「さぁ、田中さん。 流行り物の悪役令嬢に転生させてあげます! 流行ってるから大丈夫です! ロマンあふれる様々なイベントが田中さんを待っています!」

 物は言い様と言わんばかりにキレイな言葉を並べ力説するクリスティーネ。
 見ている方はそれで良いかもしれないが、転生させられる身として良いとは限らんと思うが。
 だがしかし、ここまで言われると俺も悪乗りの1つもしたくなる。
 俺が生前読んでいた異世界モノ小説で女神自身を連れて行く物語があったはずだ。
 つまり、女神と一緒に過ごす悪役令嬢ライフか。
 うむ、何だか楽しそうな気がするゾ!
 想像をふくらませた結果、楽しそうな未来が描かれた俺は嬉しそうな笑みを浮かべる。
 
「私、転生先の世界に持ってて良いものがあるなんてまだ説明してませんけど?」

 クリスティーナが絶対零度の空気をまとい、凍て付くジト目を俺に向ける。
 
「そ、そうだよな、ははは。 転生って言ったらてっきりそうだと思ってな」
「あの作品有名ですから、真似して女神を転生先の世界に持って行こうって言い出す輩が結構いるのですよ。 ですから天界の方でもマニュアルで対策してるんですよ。 転生者に頼まれたからどうしても行きたいって女神もいますけど」

 クリスティーナが深いため息を付きながら1枚の書類を俺に渡す。

「どの道私と田中さんでは相性も何もありませんよ? 私同性愛の趣味はありませんから」

 さっきまでの熱量は何だったと言いたくなる位の冷気を纏うクリスティーネ。
 で、凍り切った声で書類を見ろと言う。
 
 書類には、俺が持って行けるオプションについて書かれていた。
 種類は3種類。
 
 1つ目は読み易い文字でこんせつ丁寧に書かれていた。
 ざっくりと、性別男の天才科学者で10歳位だ。
 オプションだけあって、転生先の技術力では有り得ないとんでもない発明をしてくれるそうだ。
 早い話、ど○えもんに近い感じの存在との事だ。
 
 2つ目、書類に入りきらないサイズの文字で書かれている。
 読ませる気すら無さそうであるが。
 
 3つ目、今度は逆に肉眼では見辛いレベルの小さい文字で書かれている。
 これはこれで読ませる気すら無さそうだが目をこらしてみると、女神クリスティーネどうのこうのと書かれている。
 
 どうしても私が良いと言うなら仕方ないとかなんたらかんたらとB4用紙3分の1のスペースぎっしりに長文が書かれていた。
 この女神、意外とツンデレ属性も持っている様に思えた。
 
 しかし、1つ目のオプションが非常に面白そうだ。
 天才科学者の発明品と共に過ごす悪役令嬢ライフ。
 うむ、悪くない。
 
「ちなみに2つ目は?」
「マニュアルだから仕方なく3択にしただけですから気にしなくて良いですよ。 見て分かる通り私はぜひとも1番のオプションを田中さんにオススメします」

 クリスティーネが視線をチラチラさせている。

「分かりました、では1つ目のオプションでお願いします」
 
 これはこれで面白そうだと思った俺はあっさりとした返事をする。

「ほ、本当に良いんですか? 後悔しませんか?」

 クリスティーネは3つ目の説明が書かれた辺りをチラチラ見ながら言う。

「良いですよ」
「さ、さすが田中さん、決断力高いですね、でも本当の本当に1つ目で宜しかったですか?」
「うん」
「本当の本当の本当ですか? やっぱり3つ目とか選んで頂いても宜しいんですよ?」

 しかし、さっきまでの凍て付く空気は何だったんだ? と疑いたくなる様に視線をチラチラさせながらしおらしくしている。

「いや、1番目で」
「本当の本当の(中略)本当ですか? 分かりました、田中さんがそこまでおっしゃいましたら仕方ありません。 その、もしも3つ目を選びたくなった時は言ってくれても良いんですからね?」

 どうやら、転生後クリスティーネを呼び出す選択肢もあるみたいだ。
 ならば、それは後の楽しみとして取っておこう。
 
「はい、分かりました」
「うぅ、これで田中さんの異世界転生手続きは終わります。 それではお楽しみくださいませ」

 クリスティーネは残念そうな声を出し、魔法の様なものを完成させると俺に発動させた。
 5秒後、俺は全身を白い光に包み込まれ何処かへ転移したのであった。
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