ブレイバー・フィルリーク

うさぎ蕎麦

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1章「魔剣オルクストート」

15話

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 魔剣オルクストートを入手しプリーストタウンへ戻ったフィルリーク達。
 フィルリークはシフォンのいる部屋へ、フィアは魔剣オルクストートを片手に自分の部屋へ向かった。
 フィアが自分の部屋へ戻るや否や、説教モードへ移行済みである教育係のじいやが突撃をし、早速その手腕を見せようとするが、フィアが手にする魔剣オルクストートを見た瞬間その態度を一変させた。

「フィ、フィア様!?」
「魔剣」
「そ、その様な物騒な物を!?」
「そう」
「い、いえ、フィア王女! 素晴らしき成果でございますぞ!」
「ダメ」

 じいやが少々錯乱気味な言葉を並べながらオルクストートへと手を伸ばした所でフィアがその手を振り払った。

「し、しかし! いつどこでブレイブタウンの人間の耳に入るか分からぬ以上安置しなければなりませぬぞ!?」
「触ったら乗っ取られる」
「はっ!? 申し訳ありませぬ、このじいやあろうものがこの程度の事すら気付かぬとは!?」
「別に」
「こ、これさえ我が手中に収めてしまえば! プリーストタウン、アセザル大陸の平和は未来栄光保たれますぞ!」
「……それは分からない」
「ななな、何故でございますか!? この魔剣さえブレイブタウンの手に渡らなければ高い魔法防御を手にされなくなりますぞ! しからば! マジックタウンへの侵攻すら出来なくなりますぞ!」
「そうね」
「で、でしたら何故その様な事をおっしゃいますか!?」
「……この国に、魔剣の力をほしいと思う人間が居ないとは思わない」
「はっ! た、確かに仰る通りでございますがっ!」
「この国に邪教徒が潜伏している噂位知ってるよね?」

 珍しくフィアがいつもとは違う真剣な眼差しを向けている。
 それは、普段見せているじいやを困らせるおてんば王女様でなく、王女フィア・ラックフィルトの風格にふさわしい空気を纏う視線だ。

「はっ! 存じておりまする!」
「その邪教徒がシフォンを狙っている事も知ってるよね?」
「はっ!」
「あの娘は治療の力、光の力がない、召喚術の才能も」
「しかしながら! シフォン様は日々熱心な努力をなされておりますぞ」
「わかってる、けれど、もしも普通じゃない力があの娘には備わっていたとしたら? それが光と遂になる闇という力だったら? 邪教徒達がその力に気付いているから狙っていると」
「そ、そのような事!?」
「絶対とはいわない、あくまで可能性の一つ、そうでもなければあの娘を狙う理由は浮かばない」
「王女だから故、フィア様が王位継承に興味が無い事を聞きつけ、ならばシフォン様を狙おうという考えではありませぬか?」
「それもある、私としては、あの娘にはこのお城の人達が誰も知らない隠れた才能があるのかもしれない、そう思う」
「そうでありますか」
「この魔剣私の力だから制御出来ている、私以外の人間が触ってしまえば精神を乗っ取られる、光の魔力が足りないから魔剣の力を相殺出来ない、闇の魔力を持ってないから魔剣の力から守れない、特にシフォンにだけは絶対に触らせてはダメ、何か物凄く嫌な予感がする」
「かしこまりました、このじいや、命に代えてその魔剣には指一本触れさせませぬぞ!」
「そう」

 フィアは自室を出て、魔剣オルクストートを安置すべく地下室へと向かった。
 地下へと続く階段を降りると、通路に繋がり少し奥に進むと複数の部屋の入り口が並ぶ。
 フィアは、最も奥にある部屋に入った。
 部屋の中は、薄く白い明かりに照らされた空間であり、壁には魔法が原因ではないかと考えられる傷跡がちらほらとついていた。
 それ以外物が置かれている訳でも何かある訳でもなかった。
 その部屋の中心部に魔剣オルクストートをそっと置くと、魔法の詠唱を開始した。
 
『や、やっと開放されたと思ったらこんな密室ですか!? これじゃあ元居た洞窟と変わりませんよ!』

 フィアの手から離れ、ようやくしゃべる事が出来る様になった魔剣オルクストートが抗議の声を上げた。
 しかし、フィアがそんな言葉を聞く訳もなく、暫くした所で魔法を発動させた。
 
「他に手がない」

 そう呟くと、魔剣オルクストートを中心に白い光が集まった。

『ちょ……結界じゃないですか!?』
「御名答」
『そ、そんなぁ!? これじゃあ私何も出来ないじゃないですか!?』
「それは仕方ない」
『うっぐ……あんまりじゃないですか!?』
「君が誰かの手に渡ると世界が混沌に満ちる」
『……鬼、悪魔ぁ……』
「そう」

 魔剣オルクストートに対して結界の展開を終わらせたフィアは、そっと呟いた後今いる部屋を出て自室へ戻った。
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