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押せ押せデート
しおりを挟む待ってました精霊祭!!デート(お使い)です。
精霊祭はツガイを探す精霊達がキラキラ光ながら夜の空を飛び回る日で、綺麗な光景に夜中まで出店や演奏で町が賑わいます。
恋人たちもウキウキ。
この日限定の特別な料理も多く、それをお使いで買ってくる事になりました。ラグラ様とラグラ様のご友人数人分、そして私達の分も含め結構な量だ。
精霊祭は夜なので、3時に仕事を終えた私は、お洒落をしてから再び研究室を訪れる。
王城内を通り抜け魔術師の研究室までお洒落して来たので視線を感じるけど気にしない。浮かれててごめんね!見逃して!
軽い足取りでルナス様の研究室の扉をノックした。
「お使いの準備ができました。ルナス様は準備整いましたか?」
「今行きます。」
出てきたルナス様はいつもの服にローブのフードを深く被った姿だった。
(私気合い入れすぎた。恥ずかしい!!温度差恥ずかしい!!)
〈いや、お使いだからじゃん?〉
恥ずかしさを隠しきれないながらも誤魔化そうと笑う。
「ははは、私ちょっと気合い入れすぎですね。」
「いいえ、可愛いと思いますよ。父には会いましたか?」
「いえ、事前にお使いのメモを貰っているので会わなくてもすぐ行けますよ。」
ルナス様に可愛いって言われた!可愛いって言って貰えた♪
ルナス様は少し考えたあと困った様に笑ってから「行きましょう」と歩きだした。
何だか最近、困った様に笑うお顔をよく見る気がする。
(迷惑してたりするのだろうか。
私とは違うタイプが好みだとか・・・好みじゃない人にアプローチされて困ってるという事?。)
〈急な疑心暗鬼笑えるじゃん。とりあえずお使いするじゃん。終わってから、キラキラ贈って好きって言ったら良いじゃん。止めるのは断られてからじゃん。〉
(そうだね、止めるなら告白してから!!それまで押せ押せじゃん!)
〈押せ押せじゃん!〉
この精霊祭ではキラキラする物を贈って告白するのが定番。ここは流行りに乗ろうと宝石の付いたペンを用意した。
男性物なので断られたらお父様かお兄様に使ってもらおう。
二人で城内を歩くのは初めてだ。歩幅を合わせてくれていて歩きやすい。好き。
◆◆◆◆
「ルナス・ウォルズマー様、良いところに!この前のこの魔術式なのですが・・・」
ルナス様、城内を歩くとなかなか話しかけられる。「少しすみません。」と私に断りを入れてから、一つ一つ丁寧に答えている。
私には何を言ってるかサッパリ分からないけど、半べそで駆け寄ってきた人が全力の「ありがとうございます!」で帰っていく。仕事で頼られてる姿、格好いい!!
それが何人目かの時。
「それで、ウォルズマー様はこれからトランヴェジェール様とデートですか?」
と急に私の名前が出て来て慌てた。
「はい!!」
「えぇ!?本当に!!」
ボーッとしていた所に自分の名前が出てきてデートなんて言うものだから思いっきり大声出てしまった。
そんなに驚くって事はこの服装の温度差だろう。
「申し訳ありません。一週間前から楽しみにしていて、つい気合い入ってしまいまして。」
「そ、そうですか。お二人はそのお付き合いを・・・」
「そろそろ行きましょう、アーシェリアさん。急ぎますのでここで失礼します。」
会話を切り上げ、そのまま手を引かれて早足で王城を出てしまった。
(手を繋げるなんて!これは脈あり!!)
〈回復早いじゃん。ドロドロの感情美味しかったじゃん。アタシはメメっちの所行ってイチャイチャするじゃん。〉
ネムがさっさと何処かへ行ってしまった。ドロドロの感情?分からないけど満足してそうで良かった。
王都の街に行くとお祭りムード全開で空は精霊の光がキラキラ輝いている。
二人で歩いていくと街の待ち合わせスポットの広場に着いた。飾り付けもキラキラで神秘的な雰囲気がある。
だけど周りの楽しい雰囲気とは裏腹に握られた手が震えている。
「ルナス様?体調が優れませんか?」
声をかけると歩いていた足がピタリと止まる。
「きっとこのままでは変な噂になってしまう。君と一緒に居るだけで傷つけてしまうかもしれない。」
「何の話ですか?」
「さっき話し掛けてきた男の事です。君と一緒の僕を見つけて悪意で話し掛けてきたのが明らかだった。なのに君はデートの言葉に返事を返し、楽しみにしてたとまで言うから。面白おかしく言われてしまうかもしれない。」
ルナス様の顔色が悪い。
「そんな事気にしなくていいんです。それより顔色が悪いです。少し休みましょう?」
そのまま手を引いてベンチへ行こうとするのにルナス様が動いてくれない。
「このまま一緒に行動するのも良くない、噂を助長してしまう。もし僕と恋人だとても言われたら君が困る。」
「困りませんよ?」
ここはキッパリ言っておこう。アピールに次ぐアピールで攻める時!
私の大胆な言葉に驚いた様に固くなるルナス様。
「いや、困るでしょう?」
「困りません、むしろ外堀埋められてラッキーのうちです!」
声がつい大きくなってしまい喧嘩していると思われているのか私達の様子を見てる人たちの視線を感じる。
「僕なんかと噂になったら、君の名誉に関わるでしょう。良縁があっても遠退いてしまう。」
「私はルナス様となら噂になってもむしろ喜びますから。」
周囲がザワザワしだし、気がつけば視界の端に見回りの兵士が控えている。危なくなったら止めようと思われているだろう。
「そんな気を使う必要ないんですよ。」
「気を使ってなんかいません。本心です。私はルナス様が大好きですから。」
「またそう言う事を・・・。」
2回目の告白のはずなのにまた困った顔をしているだけだ。
もどかしい、これ絶対本気にされてない。どうしたら伝わるんだろう。この気持ちが本気だと伝えたい。
恥ずかしいより伝えたいと思う気持ちで必死になる。
「私は本気で言ってます。ルナス様が好きだと。」
少し高くないっている足場に飛び乗り、周囲の注目を集めた。
「ここに居る人達皆の前で宣言したっていいんです。私、アーシェリア・トランヴェジェールはルナス・ウォルズマー様が好きだと。だから貴方の気持ちが知りたいんです。私の言葉を真正面から受け止め真剣に答えを下さい。」
気がつけば人集りができていて、周辺から「おおーー!!」と声が上がる。
「公開告白!きゃー♪」
「アーシェリア・トランヴェジェールって元婚約者候補の?相手はルナス・ウォルズマーだって!」
「醜い魔術師って言われてる?なんか凄い場面に立ち会ってる気がする!」
「おーーー、にーちゃんどうすんだい!」
待ち合わせの広場は野次馬達が大盛り上がり。正直に言うと告白には早いと思う。まだ祭りを楽しんでいない。お使いも済ませてない。普通はデートの最後とかだよね?デート前に告白は後がキツイ。それでも今は突き進むしかない!!
彼の目を真っ直ぐ見て、彼の反応を逃さない様に見つめる。
この好きの気持ちがどうか伝わって欲しい。
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