【R18】男の娘に恋した学園生活~男装は間違いではない~

かたたな

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文化祭の終わり。

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 私たちの手元にある輝く星形の照明。

 私が願いを書く事を待っているのだけど…。

「願い事…『私たちの子供たちが、素敵な縁に恵まれますように。』に、しようかな。」
「じゃー、ボクは『自分の力で伯爵家の地位を更に安泰にする。』かな?」
「二人して欲張りだね。」
「欲張りはダメなんて言われてないし?」

 笑いながら温室を出る。
 すっかり暗くなった外の世界は、熱くなった私の頬を冷ましてくれる。

 胸がぽかぽかと温かい。

 私自身、自分には戦うしか取り柄がないと思っていたのかもしれない。それなのに、私には他にもできることがある未来を教えてくれた。その、もしもの未来は、私が本当に望んでいた幸せだと自然と思える。

 だから、彼の子を授かり、その子供たちが婚約者を見つける年まで健やかに成長できるように…そんな欲張りな願いを込める。

 最後の文化祭だもの、たくさんの願いを込めても良いよね。

 本物の星空の下、たくさんの星が落ちてきたような幻想的な中庭。そこへ、二人一緒に願いを書いた星を浮かべる。

 私たちの願いは星の中に溶けて消え、文化祭の最後を飾るダンスパーティーを盛り上げる一つの光となった。その光を眺めていた時。クラウは私の手を軽く引いて揺らす。

「踊っちゃう?なんだかんだで初めてだよね、文化祭のダンスパーティーで一緒に踊るの。」
「そうだけど、ダンス苦手で…」
「だいじょーぶ、誰もボクらを見てないから。みんなパートナーしか見てないっしょ?」

 答えに困っていると、クラウの先導で自然と足を踏み出していた。みんなの願いが私たちを優しく照らし、近くにいるパートナーの姿は見えても、他の参加者はよく見えない。

「本当だ…今まで参加しなくて損したかも。」
「まっ!どんなとこでもボクと飛び込めば怖くない!ってね。」
「うん。」

 私はクラウに引っ張られるようにダンスを楽しみ、気が付けば音楽に合わせて楽しく踊っていた。クラウの手から、次のステップのタイミングが伝わってくる。間違えても、彼の手が元のリズムへと戻してくれる。

 クラウはいつもそうだ。

 私がうじうじしてても引っ張ってくれる。私の行く先を明るくしてくれる。流されやすい私に、こっちだよ!と示してくれる彼を信じれる。

「クラウ、愛してる!」

 音楽で聞こえないかもしれない、それでも私の気持ちが溢れて言葉になった。そして、私の消えてもおかしくないその思いに、彼は微笑んでくれる。

「ボクも、リーシュが大好き!愛してるぞー!」

 ちゃんとまっすぐに私の言葉を受け止め、私にまっすぐに感情をぶつけてくれる彼が愛しい。



 こうして、最後の文化祭が幕を閉じた。


 …
 

 そして、次の日から。

 私たちのラブラブ学園生活が始まる。
 

「クラウ。」

 クラウの背中にスルッと回り込み、気付かれないうちにギュウッと後ろから抱きしめた。その抱き締めた肩はビクリと震える。

「え、な!?リーシュ!?」
「クラウに会いたくて、早めに授業切り上げてきたんだ。」

 その瞬間、周囲の空気が変わった。無理もない。現在、クラウの受けている授業は乗馬の訓練。貴族にとって乗馬は必須科目で、家庭教師として教える機会も多いのだとか。

 もちろんクラウは今、乗馬の訓練着を着ている。
 髪を一つにまとめて男の子そのものの姿をしている。私は男装のまま。何も事情を知らない人達にとって、私たちの絡みは同性のアレそのもの。それでもクラウからラブラブの許可を貰っている私は自信をもっていちゃついた。

「少し離れるのも辛いよ、今すぐにでもキスしたい。」

 そう言って顎に指を添えてこちらを向かせる。

「ま、待って!馬もみんなも見てるから。」
「ほっぺでもダメ?」
「するのはダメじゃないよ、でも、場所が悪い…ぁ、後で、二人きりの時が良い…」

 そう顔を真っ赤にして照れるクラウは可愛すぎた。そして周囲から私たちを見守る視線を感じる。

「じゃあ、後で。絶対。部屋に行っても良い?」
「部屋!?そんな、部屋だと我慢できなくなる。」
「我慢しなくてもいいと思うのだけど…もうすぐ結婚する婚約者なんだよ?」
「そうだけど!いつもボクばかり…さ。」

 きゃー!と何かを期待する声が上がった時。他の女子生徒から「しっ!甘いBL 空間が壊れるわ!」とお叱りが入っていた。このままイチャイチャしてもいいの?やったー♪と思ったのも束の間。

「リーシュさん。片付けの時間とはいえ、まだ授業中です。」

 先生に怒られたのだった。

「怒られちゃった、また後でね?クラウ。」
「うん、また後で。」

 爽やかな笑顔を張り付けて、私はその場を後にした。

 まだ足りない。
 もっと甘えたい!

 私はそう思いながらクラウの授業が終わるのを待ったのだけど、授業を終えたクラウに合流すると「やり過ぎだって」と言われたのだった。

「リーシュは、お兄さんと似てないなって思ってたけどさ。こういうところ兄妹だなって実感しちゃったよ。」
「私は人前でのちゅーは我慢したよ?」
「愛情表現が直接的で大胆なんだよー。嫌じゃないけど…」

 そう言ってプクっと膨れる頬を指で触れるとプシュッと空気が抜ける。

「可愛い。クラウ。」
「許可した途端ホント恐ろしいんだけど。」
「恐ろしくなるほど愛を感じる?」

 調子にのって聞くと、彼は腕を組んで悩むそぶりを見せてから。

「愛は…感じてる。不安になんてなる暇が無いくらい。」

 私は素直に「良かった!」と笑う。


 ◇ ◇ ◇
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